Phantom 〜PHANTOM OF INFERNO〜
ブランド名 Nitro+ ジャンル アドベンチャーノベルズ
発売日 2000.02.25 定価 \8,800
パッケージ DVDタイプパッケージ マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 619.3MB、CD-DAなし
原画 どざエモン、矢野君 シナリオ 虚淵玄
音声 なし
インタフェース キーボード不可 描画 フルスクリーンのみ
セーブ箇所 28箇所 なし
おまけ Pictures(CGモード)、Weapoons(武器紹介モード)
対象属性 ハードアクション、銃器、シリアス、ロリ
1プレイ時間 約9時間 お奨め度 9

レビュー
DVDタイプのパッケージ。持ち運びも楽々ねっ(笑)
# このタイプのゲームも増えてきましたね。いいことです(^^)
##資源は大切にね☆(笑)

…初回版は箱らしいけど…(^^;


まず、システムは天下のDIRECTOR。…やる気なくすよね…(^^;

てことで、インタフェースは当然のようにマウスのみ。
ムービーの再生にQuickTimeが必要。
Escキーを押すと問答無用で終了する。
起動時にフロッピードライブをごりごりとアクセスしに行く。
テキストスピードの設定が起動の度に初期化される。
…などなど。いきなりシステム面でマイナス要素たっぷり(^^;

描画はフルスクリーンのみ。…いや、これは表現が適切じゃないかな。
ゲームウインドウ自体は800x600もしくは640x480なんですが、それ以外の
部分を黒塗りで埋めている、という感じです。

動作の方は若干重め。
いや、基本的な動作自体はDIRECTORですからマシンパワーがあればそれほど
気にならないんですけど、メッセージウインドウのフェード処理がちょっと
もたつく感じですね。エフェクトを切る設定が欲しいところ。
# CPU利用率は当然のごとく100%ですが(笑)

あと、設定メニューが面白いですね。
画面内に人型ターゲットが表示されて、どこを撃つかによってどのメニューを
実行するかが決まるという。
# まあ、大したこと無いんですけど(^^;


ゲームを起動すると、フロッピーディスクをがりがりと読みに行った後、
オープニングムービーが流れます。
歌はないのですが、なかなかかっちょいい曲と、渋めのカット割りな絵が
展開されていて、なかなか良かったです。銃の扱いがデカいですね。


ゲームの方は、変な夢から目が覚めると主人公は知らない部屋にいる。
そこには1人の少女と男女2人がいた。そしてナイフを手渡され、少女と戦う
ことになる。なんとか少女を組み伏せるが一撃を食らって倒れる。
薄れ行く意識の中、主人公は「ツヴァイ」と名付けられる。
そして、主人公は「インフェルノ」という組織で暗殺者としての訓練を受ける…。
主人公は過去の記憶を失ったまま暗殺者として生きることになる。
そしていつしか最強の暗殺者の称号「ファントム」を手にすることに…という、
ごっついハードなストーリー。

まず、主人公はいきなり記憶を消された状態で、否応なく暗殺者の訓練を受ける
ことになります。この設定を受け入れるのにしばらく時間がかかりました(^^;
# 具体的には、フェラーリF40をかっ飛ばす当たりまで(笑)
##ここでようやく面白いと思えるようになったのさ。

そして、その後も息もつかせぬ怒涛の展開。だいたい展開は読めてたんですが、
クロウディアが何を考えているのかがいまいちわからなかったので、結局殆ど
分からないままに進んだ、という感じです。

しかし、ストーリーはそんな謎をよそに、すれ違いが誤解を招き、主人公の
周りの人間の運命がどんどん変わっていく。信じたものに裏切られ、守り
たかったものも何一つ守れず、何度も生きる目的を失いながらもそれでも
何かを求めて生き続けるという姿はまさにハードボイルド。

とにかく、ハードさでは2000年にプレイしたゲームの中でぶっちぎりNo,1でしょう。
はっきり言って、ゲーム中を通して笑えるシーンって、片手で数えられるぐらい
しかありませんからね(^^;
# 一番笑えるのがシステムがDIRECTORなこと、起動の度にFDDにアクセスする
# こと、そして、いくつかある誤字・矛盾というのがなんとも…。
##もちろん、苦笑です(^^;


演出的には主人公は暗殺者なので人を殺しまくるわけですが、あんまりその
あたりは詳細な描写はされていないので、ダークな作品は苦手な私でも
それほど嫌悪感なくプレイすることが出来ました。

イベント的にも、キャルの才能の一件とか、ぐっと引き込まれるような
物もあって、最初は感情移入出来ませんでしたが、途中からはかなり
ストーリーにのめり込んでました。

はっきり言って凄いです。感動とか、爽やかさとか、心温まるとか、
そんな感想なんて一切出てこない。出てくる感想は「凄い」のみ。
よくもまあここまでハードにシリアス一辺倒でゲームを作ることが
出来たもんですね。

確かに文章自体の書き方や表現は、KanonやTo Heartのように洗練された
ものではありませんし、冗長な言い回しや辻褄の合わない部分もあるん
ですけど、それを補って余りあるストーリー展開は素晴らしいの一言。

久しぶりに感動とか奇跡とか、そういう物を抜きに没頭できた感じです。


あと、このゲーム、銃の描写がなかなか細かいです。ゲーム中でいろんな銃を
手に入れることが出来ますし、手に入れた銃はおまけモードでその解説を
聞くことも出来ます。

そして、任務に行く前にはどの銃を使うかを選択できて、それによって
イベントが若干変わったりもします。
私は「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」の精神よろしく、弾数の多い銃が好き
なので(笑)、迷わずベレッタを選択。
「威力は弱いので確実に仕留めるためには必ず2発撃て」とか言われて、
「ならコルトガバメントで1発ずつ撃っても大差ないじゃん」とか思いつつ(笑)

ただ、やっぱベレッタはいまいち見た目も格好よげではないですし、そもそも
ゴツくて機能的じゃない。どうせだったらシグ・ザウエルの方がいいなー、とか
思っていると…ホントにシグ・ザウエルが選択可能になりました(^^;

他にも、デザートイーグルが出てきて「こんな銃使えるかっ」と言ったり、
オートマグは3発に1発ぐらいの割合でジャミングが発生するので排莢には
注意しろとか、なかなかマニア心をくすぐるセリフが出てきます。
# 注) 私は別にマニアではありません(^^;
##しかし、ブレイザー狙撃ライフルに対戦車ライフルまで持ち出すか(^^;

あと、眉間に銃を突きつけ合ったり、二丁拳銃をクロスして撃ったり、どこかの
映画で見たことあるなーと思ったら、フェイス・オフ…てゆーか、ジョン・ウー
監督の作品じゃないですか。ぜってー影響受けてるよな(笑)
# 黄金の銃は出てきませんでしたが(笑)

私はそれほど詳しいわけではないのですが、それでもけっこー銃は好きなので、
なかなか楽しめました。


絵の方ですが…これがまた、今時の流行に逆行するような完膚無きまでに
萌えない絵です(笑)

ですが、プレイしているうちにキャラクターに引き込まれていくのが
不思議ですね。これがこのゲームの持つ魅力でしょうか。
それだけこの絵もゲームの雰囲気とばっちりマッチしてるんでしょうね。
# このゲームにすっごい萌えな絵が付いていたら、それはそれで嫌かも(^^;

とりあえず、このゲームをプレイした人はこう叫ばないといけないらしいので、
私もやっときます。「アインーーーー(T_T)」(笑)

でも、私が一番気に入ってるのはキャル。凄い娘ですね。いい娘だし。
最後はあんなことになってしまったのですが、それでもやっぱり一番好きかな。


ゲームは大きく分けて3つのパートに別れていて、その間には1年や2年の
ブランクが空きます。
ワンプレイは3〜9時間程度。すさまじく幅があるのは、このゲームはアロー
ダイヤグラム型の構造になっていて、ある選択肢から分岐したらそのまま
エンディング直行という形になってます。
…まあ、そうやって分岐するエンディングはほとんどバッド系のエンドなん
ですけどね(^^;

はっきり言ってこのゲーム、誰のエンディングがあるかを言っただけで
ネタバレになるような話なんですが、あるキャラよりもあるキャラの方を
先にクリアして方が後にクリアしたキャラの感動があるかも。

ちなみに、ネタバレした瞬間に一部の展開がとっても陳腐になりますので、
出来ればチャートなどには頼らずプレイした方がいいと思います。
それほど難易度は高くないと思いますし。


で、お奨め度ですが…難しいです。
このゲーム、滅茶苦茶プレイする人を選ぶゲームだと思います。
まず、ガンマニアな方(これだけで2人ぐらいは引っかかるだろう(笑))、
アクション映画が好きな方には諸手を挙げてお奨めします。

逆に、ヌルい学園恋愛物が好きで、満足している人はプレイすべきでは
ないかも知れません。
はっきり言って、そこらへんのゲームとは桁が違うシリアスさです。
本気で笑えるところなんて数えるほどです。

一番笑えたのは某エンディングの最後かな。
# 「敵は何人?」「見えた奴は全部敵だ」(笑)

はっきり言ってこのシナリオ、なんかこのセリフで救われたような気分です。
# ただ、雰囲気ぶちこわしよね(^^;

まあ、私がこう思えるのはアインに何の感情も抱いていなかったからだと
思いますけど…。
# アイン命な人にとっては、このエンディングは辛いだろーなー。


あと、このゲーム最大の問題は、やはりこの特異な設定ではないでしょうか。
私は基本的に主人公に感情移入してプレイします。ですので、このゲームの
ように現実にありそうだけど、我々とは全く違う世界が舞台になっていると、
どうも感情移入がし辛いんですよね。
いっそのこと現実にあり得そうにない世界(宇宙とか、魔法が使えるとか)だと、
逆に割り切って感情移入できるんですけど。

なので、お奨めする大前提として、このゲームの世界観を受け入れられる人、
というのがあります。まあ、それがアクション映画が好きな人とかにも
含まれるんでしょうけど。


まだまだ書きたいことはいっぱいあるのですが、本気でこのゲームは
ネタバレをしてしまったらドキドキ感がなくなって、展開が読め読めに
なってチープなシナリオに思えてしまうと思うので、敢えて我慢します。
是非自分の目で確かめてみて下さい。
# チャートに頼らず少なくとも1回は自力でクリアして下さいね(^^;

ということで、このレビューでもし興味を持たれたのなら、是非一度プレイ
してみて欲しいです。はっきり言って凄いです。
# このゲームは「面白い」と言うより「凄い」と言う方が合っている気がします。




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