Blue-Sky-Blue[s] 空を舞う翼
ブランド名 emu ジャンル 純愛アドベンチャーノベル
発売日 2002.09.20 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(156x225x50mm) マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 GAME DISC : 1.99GB(DVD-ROM)
SPECIAL CD : CD-DA=592.4MB・CD-DA14トラック
原画 甲斐 シナリオ 門司
音声 あり、草柳順子中瀬ひな、綾瀬まゆ、歌織、西田こむぎ、吉川華生、坂本薫
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 30箇所+クイックセーブ1箇所 あり(1曲、OP)
おまけ eventCG、recollection、Sound track
対象属性 純愛、学園物、ポニーテール、リボン、幼なじみ、金髪、ツインテール、天然娘、黒髪、
オーバーニーソックス、ボクっ娘、赤髪、ボブカット、眼鏡っ娘、触角、ストレートロング、
うさ耳、裸エプロン、ウエイトレス、エプロンドレス
1プレイ時間 6〜7時間 お奨め度 6

レビュー
概要
10年前に母親と死別している主人公。父親と男二人の生活は大変だったが、
幼馴染みの美砂が母親のように世話をしてくれていた。
しかし、父親の仕事の都合で北海道に引っ越すことになった主人公。
離ればなれになるのが嫌だった美砂は、主人公の父と結婚し、名実ともに
主人公の母親となる。そして引っ越した北海道で同じ学校に通う主人公と
美砂。そこで「大空倶楽部」の仲間たちと出会い、それぞれの生き方に
触れているうちに、各人の過去や悩みを知ることになる。美砂のことで
思い悩んでいた主人公は、未来への翼を広げるため空を見上げる……
という、純愛アドベンチャーノベルです。
システム
まず、インストーラですが、インストール中にプロローグが表示されたり
4コママンガが表示されたりと退屈しないようになっています。こういう
心配りはありがたいですね。

インタフェースはややキーボード操作可。
メッセージ送りや選択肢決定はキーボードで可能ですが、設定メニューや
セーブ/ロード、バックログなんかはキーボードでは操作できないようです。
ちょっと残念。メッセージスキップは既読スキップ・強制スキップあり。
バックログはマウスのホイール機能にも割り当てられています。
スキップは高速で使い勝手はいいですね。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作の方は比較的軽快。

セーブ箇所は30箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
これとは別にクイックセーブ/ロードが1箇所用意されています。
数としては、選択肢の数がそれほどないゲームですのでまあ足りるでしょう。
あ、セーブ/ロードは随時可能と書きましたが、唯一クイズミ○オネア(笑)の
時は出来ないようです。セーブしようとしたらなんかダイアログ出ました(^^;

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
選択肢の数は少なく、ノベルと言っても差し支えないレベルですね。
# 実際、アドベンチャーノベルと書かれてますけど。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

白石美砂。主人公の幼なじみで、今は主人公の父親と結婚しているため
主人公の母親でもある。……ということで名前は正確には安倉木美砂ですね。
怒りっぽい、瞬間湯沸かし器のような女(笑)

三ツ葉風夏。世間知らず……というか、常識知らずのお嬢様。
脳天気な天然娘。非常に忘れっぽい。格好良く言うと記憶があいまい(笑)
# 「ふーかさんは光合成します」「出来るんならやってみろ」「むりだ」
# ……早っ(^^;

佐木川恵奈。髪に鈴の付いた髪飾りをしていて、動くたびに鳴る。
……それってかなり迷惑なんじゃ……。
教師に怒鳴られてもやめないらしい。やっぱ迷惑なんじゃん(^^;
# リンリン女(笑)

一松香澄。学級委員長。生真面目メガネ(笑)
恵奈とは仲がいいんだか悪いんだか微妙な関係。
太り気味なのをちょっと気にしている。

篠瀬ともみ。身体は小さいが態度はデカい。
マニュアルのキャラクター紹介にただ1つたりとも褒め言葉が見つからない
とってもステキなキャラ。……ある意味褒め言葉?(笑)
教え子に身も蓋もなくはっきり「腐ってます」と言われる教師(笑)
# 主人公曰く、金髪の悪魔(笑)
##「……バカ……?」(爆笑)

木桧まどか。番組プロデューサー。主人公の父親のもと彼女。
# 「こうして昔の男をアゴでこき使える。凄い出世だねぇ」(笑)
##「笑ってンじゃねーよ」「番組フケたら死なす」(笑)


絵の方は可愛くていいですね。イベントCGは塗りも丁寧で綺麗で非常に好感が
持てます。立ち絵の方も綺麗ではあるんですが、表情変化だけで動きがない
ため、今ひとつ感情移入度は低いかも。
あと、日陰の部屋っちゅーわりには燦々と太陽照りつけてますけど?(笑)

キャラクターは個性的で面白いキャラが多いですね。中でもともみは個性が
強烈すぎて胸焼けしそうですが(笑) 風夏もかなり強烈ですけど。
ともみ萌え……と言わないと殺されそうですが(笑)、風夏が一番好きかな。
とっても健気でいい娘ですし、すっとぼけた発言が多い中、たまにとっても
深いことを言ったりしますし。
美砂や恵奈もキャラクターとしてはかなり好きなんですけどね。

音声の方ですが、おおむねキャラと合っていて、演技の方も安心して聴ける
レベルで問題なし。
美砂は最初やや違和感がありましたが、元気な声になったところでぴったり
キャラにハマったような感じですね。
ともみも最初は若干違和感あったのですが……「あたしは、この学園を支配
するっ!!」……うん、ぴったりだ(笑)
元々この2人は外見と性格がちょっと(ともみは激しく(笑))ズレているように
思うので、私の先入観による所が大きいでしょうけど。実際、プレイして
いると全く違和感なくなりましたし。慣れたとも言うかも知れませんが(^^;

ところで、音量調節の時に出るサンプル音声なんですが……反則(笑)

音楽の方は、おおむねシーンに合った曲が使われていますね。
あまり自己主張をしないBGMBGMしたBGMだったのであまり印象には残って
いないんですけど。

プロローグが終わるとオープニングムービーが流れます。
歌はややI'veくささ控えめながら、それでもやっぱりI'veソング(笑)
ノリよりもメロディライン重視な感じの曲でちょっと好感。
I'veI'veした曲が好きな人にはいまいちウケないかも知れませんけど。
絵の方は基本的に静止画切り替えのキャラクター紹介。キャラクター紹介
部分は特に言うことはありませんが、ラストの方の演出はなかなか良かった
かな。ただ、ちょっとカクカクしてましたけど(^^;
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が北海道に引っ越し、それに着いてくるために幼馴染みの
美砂が主人公の父親と結婚するところから始まります。
……って待てこら。なんでそこで主人公と結婚せぇへんねん。そしたら全て
丸く収まるだろーが。……そこでゲームも終わるかも知れませんけど(笑)
つーか、親父。あんたそれ受けてホントに結婚したのか!(笑)

それから新しい学校で大空倶楽部の人達と出会い、触れ合っているうちに
それぞれの持った過去を知り、その意味を見つけて未来への希望を掴む…
という話です。

前半はコミカルに話が進みます。特にともみ先生が絡むと100%ギャグに
なるというのは素晴らしいです(笑)
「人間やる気になればこのぐらいいぃっ!」……いや、もはや人間という
カテゴリを著しく逸脱してます(^^;
# 「それはいくら何でもヤバ過ぎる」(笑)
##「敵にするには危険すぎる」(笑)

風夏も持ち前のボケボケっぷりを発揮して、コミカルさに一役買ってますね。
「うん、じゃあ、ソースだけたべる」「……マジ?」(笑)
# ハヤシライスのソースだけ食べるんですか……(^^;

「どうやら閉じこめられたっぽい」(爆笑)
# 家の中で迷うな(^^;

後半に入ると、唐突に強烈なイベントが連続して発生し、その時に誰かが
主人公のそばにいて、その人の過去を絡めたシリアスなストーリーが展開
していきます。中にはかなり強烈な過去を持ったキャラもいて、軽く鬱に
なったりもしながら、最後はなんとか綺麗にまとまる、という感じですか。
ただ、手放しでハッピーエンドと呼べないような終わり方もあって、
後味すっきりとは行かないような。

それと、この個別シナリオに入ってからの展開が非常に早く唐突で、やや
描写不足が感じられました。主人公はいつの間にその子のことを好きに
なったのか、全然わかりません。まあ美砂はわかるとしても、他のキャラは
あまりにも唐突な気がします。

そして一番気になったのは主人公の性格描写。まず主人公は父親のことを
嫌っているという設定ですが、ゲームの序盤はそれほど嫌っているようには
見えません。後半になって感情を一気に爆発させるところがあるのですが、
そこに来て初めて「ああ、そんなに嫌いだったんだ」という感じです。
まあ、根底に流れる設定を知ればある程度納得は出来るものの、もう少し
このあたりの描写は丁寧にして欲しかったかも。
主人公はそれほどヘタレというわけではないのですが、自分の思い込みだけで
頑なな態度をとっているため、感情移入はし辛いですね。電波系?(笑)

Hシーンは純愛ものということで若干薄め。特に、いつ好きになったのか
わからないままHシーンに突入するのでいまいち感情移入も出来ません。
ちなみにゲームをクリアした後のおまけでは通常ではあり得ないシーン(笑)
が見ることが出来、これはなかなか面白かったです。

テキストの方は読みやすくて特に問題なし。
誤字の方もそれほど気になりませんでした。「口内の風紀」とか「隠れて
呼んでいた官能小説」だのという誤字は見受けられましたが(^^;
# 主人公の父親の名前は、どれが結局正しいのでしょうか?(笑)
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は1週間。セーブデータに何日目かが表示されています。

ワンプレイは6〜7時間。私のファーストプレイはラスト手前のセーブデータ
によると7時間1分。途中他のこともしていたので早ければ6時間ぐらいで
クリア出来るかも知れませんが、音声を全て聴いたら7時間ぐらいはかかるん
じゃないかなー、と思います。

難易度は低め。選択肢が少な目で狙ったキャラに関係する選択肢を選んで
いけばクリアできるでしょう。ただ、選択肢が少ないため、他のキャラに
関係する選択肢をいくつか選んでしまうとそっちのキャラのシナリオに
行ってしまう可能性もあるので、ちょっと注意が必要かも。
総評
お奨め度ですが……難しいところですね(^^;
常にインパクトの薄い作品で、多くの人に受け入れられる作品だとは思い
ますが、逆にこういう人にお奨め! とも言いづらいという。
前半は非常にコミカルで楽しいですし、後半はシリアスで考えさせられる
深いストーリーですから、そういうのが好きな人にはお奨めってことで。

ただ、テーマが「誰でも持ってる見えない翼」という非常に抽象的で曖昧な
ものですから、今ひとつゲーム中で何が言いたいのか見えて来づらいと
いうか、ストーリーの軸がはっきりしていないのが難点ですね。
1回プレイしただけでは飲み込めないかも。
主人公のキャラクター描写がいまいち弱いこと、展開が唐突な所もあるので
いまひとつ感情移入もし辛いですし。

まあ、前半のコミカルな部分、とくにともみが絡む部分は非常に楽しく
笑えるので、それだけでもプレイする価値はあると思いますけど。
……ただ、実はここってストーリーの根幹には全く関わってこない部分
だったりするんですよね……(^^;
もう少し、ストーリーの主軸の方も丁寧な描写が欲しかったかな、と
思います。特にテーマが抽象的ですからなおさら。
なかなか理解するのは難しい、考えさせられる作品です。

そしてこのゲーム、共通部分が非常に多く、全体の8割ぐらいを占めます
から、2回目以降のプレイではメッセージスキップを使うと非常に短時間で
終わってしまうので、もう少し個別シナリオ部分のボリュームが欲しかった
かなー、と思います。まあ、もともと長めのシナリオなので、これ以上長く
なるとプレイするのも辛いかも知れませんが……。
# その長い原因は冗長な部分なんですけどね(^^;
##ただ、そこが一番面白いというのも否定できない事実。

所々心にぐっと来るセリフがあったり、根底の設定などは非常に深いので、
うまく料理すればもっと面白くなったんじゃないかなーと思います。
もう少し主人公とヒロインが惹かれていく過程を丁寧に描いて、ラストを
盛り上げるように持っていけばもっと感動できたと思えるだけに残念です。
「嘘は騙すためにつくものじゃないよ。人を傷つけるためにつくんだよ」と
いうセリフはかなりハートにずーんと来ました。深いですね……。

最後に。途中でジャンプするジェットコースター……(^^;
# 「試験運転の結果はどうだった?」「正直、五分五分です」(爆笑)
##「レールなんてただの飾りです。偉い人にはそれがわからんのです」(笑)
##……レールが飾りのジェットコースターってなんなんだ!(^^;


てゆーか、智也と美砂って……(^^;



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