世界ノ全テ
ブランド名 たまソフト ジャンル 長編青春アドベンチャー
発売日 2002.04.26 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(228x154x49mm) マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 Install Disc : 686.6MB、CD-DAなし
original sound track : CD-DA=551.1MB、28トラック
原画 大崎シンヤ シナリオ 霊岳、逆神喧云、0-take
音声 女性フルボイス(関西弁)、野宮香央里上井みゅん理多、しゅう、KC
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 75箇所+オートセーブ5箇所+
クイックセーブ5箇所
あり(5曲、OP・ED・挿入歌)
おまけ CGモード、シーン再生、音楽モード
対象属性 青春、学園物、純愛、関西弁、ボブカット、ヘアバンド、ショートカット、触角、
ストレートロング、眼鏡っ娘、リボン、巨乳
1プレイ時間 7〜9時間 お奨め度 7

レビュー
概要
昔暮らしていた町に転校してきた主人公。そこでかつての友人や新たな
仲間と出会う。強まっていく仲間達の絆。そんな日常が突如崩れる。
主人公は、仲間達は、何を思い行動するのか……という、ちょっと切ない
青春アドベンチャーです。
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
未読/既読判別スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
スキップ動作も高速で、バックログもたっぷり前まで戻れますので、非常に
使い勝手のいい優秀なシステムだと思います。
マウスでの操作も、右クリックに割り当てる機能を設定できたり、ホイール
にバックログが対応していたりと、非常にユーザフレンドリーですね。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作は比較的軽快。
ただ、セーブ画面は若干もたつきますね。サムネイル画像を読み込んでいる
からでしょうか。まあ、気になるほどではないかも知れませんが。
あと、メッセージの表示にエフェクトが入っているのか、最速にしているにも
関わらず一瞬待たされる印象がありますね。これはちょっと気になるかも。

セーブ箇所は75箇所+オートセーブ5箇所+クイックセーブ5箇所。
足りないことはまずないでしょう。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
移動場所の選択も選択肢で行います。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

小西智子。主人公の前に転校してきた転校生。
無口で無愛想、人とあまり関わろうとしない。
しかし、主人公とはウマが合うのかよく話す。
# 生きていくためには時としてウソも必要なのだと、彼女は知るべきだと
# 思った(笑)

草薙かすみ。主人公の担任。明るくさっぱりとした性格で、みんなから
慕われている。

櫻井まりも。元気少女。主人公のことを「ヒロ先輩」と慕う後輩。
ムードメーカー。

草薙ほのか。かすみ先生の妹。しかし性格は正反対。
ごめんなさい教の教祖様(笑)

村上瑞樹。大人しく控えめだが案外しっかり者。


絵の方はキャラクターが非常にいきいきとしていていいですね。
それほど絵に萌えるということはなかったのですが、キャラクターの
魅力は余すところなく表現されていると思います。
塗りなども非常に丁寧で綺麗ですね。やや髪の毛とか重たい感じは
しますが。ほとんどのキャラが黒髪ですからね……。

ということで、キャラ絵はいいのですが、背景がちょっと気になりますね。
キャラがやや背景から浮いているというか、溶け込みすぎているというか。
遠近を無視して背景に溶け込んでいるのでちょっと違和感があります。
背景の塗りがちょっと単調でべたっとしているからでしょうか。
帰宅ラッシュというのに人っ子一人いない絵が出てるのもちょっと(^^;

あと、特筆すべき点は立ち絵でしょうか。感情の変化やシーンに合わせて
表情や仕草が変化するだけでなく、普通の顔から照れた顔になるときなど
表情の変化がある時に、一気に変化するのではなく間に1つ途中の絵を
入れてから変化するなど、細かいところまで配慮されてますね。
なので、感情の変化などが非常にうまく表現されていて、スムーズに受け
入れることが出来ます。感情移入もしやすいですね。


声の方はみんなキャラクターのイメージに合っていていいですね。
ちょっと瑞樹は元気すぎかな? とも思いましたけど、あのぐらいの方が
キャラも立っていいかな。

この作品の特徴として、キャラクターが全員関西弁というのがあります。
(主人公とか一部の人は違いますけど、音声のあるキャラは全員)
関西人の私からしたら不自然というか、中途半端に感じるところが多々
あるのですが、ゲームやアニメでホントにリアルな関西弁を使うとかなり
浮いてしまうと思いますし、ホントに本気の関西弁だと理解できない人も
いると思うので(^^;、演出的にはまあこのぐらいが丁度いいかな、と。

演技の方ですが、ちょっと関西弁を意識しすぎたのか、やや浮いていて
違和感のある所がちらほら見受けられますね。
ただ、そういうところも作品の雰囲気に合っているような気がしますけど。
普通っぽいというか。


音楽の方は非常に完成度が高いです。
BGMがシーンにぴったりなのは言うまでもなく、ゲーム中に入る挿入歌も
素晴らしい出来。聴いていて痺れてしまいました。
ゲームの雰囲気を本来持っている魅力以上に引き出すほどの力を持った、
非常に優れた楽曲の数々が用意されていますね。


ゲームを開始するとプロローグアニメーションが流れます。
歌は非常に静かな歌で、ノスタルジーを感じさせますね。
作品の雰囲気をうまく表現していると思います。
絵の方は静止画、しかも背景画ばかりで、なかなか新鮮かも。
そして絵と絵の合間に挟まれる意味深なメッセージも雰囲気出てますね。

そして、1日目が終わるとオープニングアニメーションが流れます。
こちらはプロローグとはうってかわって格好いい系の歌。クリアなボーカルは
曲とのバランスも良く、コーラスも完璧にマッチしていて素晴らしい完成度
ですね。これだけ全てにおいてバランスのいい曲というのはなかなか聴くこと
が出来ないと思います。
絵の方は基本的に静止画のキャラクター紹介的なものですが、曲に合わせて
渋い演出がされており、なかなか見応えがあります。なんかもう、これだけで
結構満足してしまった気分(^^;


エンディングの歌もクリア後の雰囲気を保つ非常にいい歌で、余韻を残しつつ
最後はきっちり締めるという感じの、素晴らしい出来だと思います。
シナリオ・プレイ感
ゲームの方は、出来のいい兄を持つ主人公は、いつも兄と比較されるために
家族を嫌っており、人との関わりも出来るだけ避けようとする。
しかし、転校した先の学校で旧友と出会い、新しい仲間とも出会って、
楽しい日常を過ごす。そんなある日……という感じの展開。

前半部分は、主人公が仲間達と出会い、絆を深め合っていく所が描かれて
おり、まあごく普通の学園ものという感じですね。
主人公を取り巻く女性達との関係もここできっちり描かれます。

そしてそこから中盤にかけては、シナリオによりますけどラブラブで甘った
るい萌え萌えな展開。みんなに冷やかされながらも付き合っているところは
非常に微笑ましいです。

そしてその後、急転直下のドラマティックな展開。今までの日常とはうって
かわって非日常の連続。
物語が二転三転四転五転。ものすごい展開でびっくりしました。
無茶苦茶で強引で突拍子もない展開。いくらなんでもそれは無茶だろう(^^;
もう少し何か方法はなかったか? まあ、これが若さなんですかねぇ……。

そのまま怒濤の展開で終盤に突入。そこでもこれでもかと言わんばかりに
怒濤の展開で、正直もう勘弁してって感じ(^^;
そしてエンディングですが……え? これで終わりなの? という感じ。
それまで凄まじい展開が続いていただけに、異常にあっさりした印象を
受けますね。もうちょっと最後は引っ張っても良かったのでは。
なかなかいい話ではあるんですけど、ちょっと消化不良気味かも。

特に智子シナリオはちょっと難解な話を詰め込んだ割には説明があっさりと
していて短かったので、あっけにとられてしまいました。
他のシナリオにしても、「なんでそこでそうなるの?」とか「他のことは
どうなったの?」と思える部分が多く、ちょっとラストで急ぎすぎたかなぁ
という感じですね。「え? これで終わりなの?」って感じ。

なので、ラストはちょっとうるうるした程度でした。最後にもう1つ心に
ぐっと来るセリフでもあれば、目の幅涙を流してたと思いますけど(笑)


主人公については、基本的にヘタレという設定ではあるのですが、最初は
それほど嫌な印象もなく、仲間とうち解けてからは非常にいい感じでした。
しかし途中で強烈にヘタレて、そこではかなりイライラさせられました。
そしていったん持ち直すも、最後でまたヘタレた展開になって、そのまま
最後まで行ってしまう…という感じでしょうか。
個人的には最後にもっと前向きになって欲しかったんですけど。

あと、キャラクターに関して言えば、兄貴、いい人すぎ。格好良すぎ。
智子シナリオなんて、この人がいないと成り立たないでしょ? ってぐらい。
サブキャラの中では抜群にいい味出していたと思います。


その他では、「紛れも泣く」とか「外にはには」とか「首を立てに振った」
とか、細かい誤字は結構ありますね。それほど致命的なものはなかったと
思いますが、ちょっと気になりました。

あと、中盤、同じイベントを使い回したためか、若干矛盾が生じてますね。
言い出しっぺはまりもなのに麗次がやり玉に挙がってたり。

かなりボリュームのある作品なのである程度仕方ないとはいえ、もう少し
気を遣って欲しかったかな。
プレイ時間・難易度
ゲームは9月12日の月曜日から始まります。
ゲーム期間はシナリオによって違いますが約4ヶ月。

ワンプレイは7〜9時間。結構長いです。
さらに、このゲームはマルチシナリオで、共通パートもそれなりに多いの
ですがどのキャラに合うかという部分は全て別イベントですし、ヒロインが
決まってからは似たようなシナリオでも全て別シナリオ扱いになるために
ほとんど全部読むことになります。つまり、ほとんどシナリオの数だけ
このプレイ時間ぐらいはかかるわけで、コンプリートするのはかなりの
時間がかかりますね。バッドEND回収ですら時間かかりますし……。

難易度としては比較的低め。移動場所選択では誰が何処にいるのかは
わからないのですが、大抵どのキャラがどこにいるのかは決まっていますし、
オートセーブもありますので目当てのキャラがいなければすぐに戻れます。
エンディングに絡む選択肢もそれほど捻ったものはなく、普通に選んで
いけばまあクリアできるのではないでしょうか。
ただ、1つの選択肢でバッド系のENDに直行したり別のシナリオに入って
しまったりすることもあるため、注意はしておいた方がいいかも。
総評
お奨め度ですが、ちょっと切ない青春ストーリーが好きな人にはお奨め。
二転三転するよく練られたストーリーは、「この先どうなるんだろう」と
ドキドキさせてくれます。途中、かなり切ない展開やイタい展開も待って
いたりして、非常にドラマティックです。

ただ、かなり長くてプレイ時間がかかることと、ヒロインが決まってからは
同じイベントでもスキップが効かないため、セリフが1つ2つ違う程度の話を
何度も読まなければならないのはちょっと辛いですね。
そもそも某シナリオを除けば終盤までの話の流れがほとんど同じなので、
最初のプレイではドキドキしながらプレイできるんですけど2回目からは
ダレてしまいます。もう少しシナリオの幅が欲しかったです。
ただ、シナリオ1本で判断した場合にはめまぐるしい展開で飽きることなく
最後まで突っ走る、非常に力のあるシナリオだと思います。
# 某シナリオは途中かなりイタかったけど(T_T)

基本的な話はいいものの、プレイ負荷の高さやラストのあっけなさで
ちょっと損をしている気がしますね。もう少し工夫すれば非常にいい作品に
なったと思えるだけに、ちょっと残念です。それでも、充分満足は行く出来
だったと思いますね。特に智子シナリオは見事。(でもラストは唐突(^^;)
とにもかくにも智子可愛すぎ。萌えたね。らぶらぶだね。

それと、ジャンルが長編青春アドベンチャーということで青春の描写に
ついてですが、序盤から中盤にかけては、ホントに「青春してるなー」
「若いっていいなー」と思える話でなかなか良かったです。
ただ、終盤になると青春のカケラも感じられなくなるのがちょっとアレ
ですが(^^; いくらなんでもドロドロさせすぎでしょう……。

まあ、音楽のレベルも非常に高く、これだけでも充分価値があると思えます
ので、時間に余裕のある方はプレイしてみてはいかがでしょうか。
# いや、まぢで時間かかるので(^^;

ところで……全キャラ関西弁の意味って?(笑)
まあ、確かに気取っていない親しみやすい雰囲気は出てましたけど。

最後に。瑞樹シナリオきぼー(T_T)



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