心輝桜
ブランド名 Carrie're ジャンル インタラクティブAVG
発売日 2002.06.28 定価 \7,800
パッケージ 紙製パッケージ(168x229x42mm) マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 Install Disk : 400.0MB、CD-DAなし
Game Disk : 1.1MB+CD-DA=507.5MB、CD-DA22トラック
サウンドトラックCD : CD-DA=289.2MB、CD-DA9トラック
原画 ここのか シナリオ 空陽十、懐園
音声 なし
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 20箇所 あり(1曲、OP)
おまけ 音楽鑑賞、CG鑑賞、シナリオ回想
対象属性 純愛、コメディ、義妹、紫髪、ツインテール、リボン、お兄ちゃん、巫女装束、猫耳、
眼鏡っ娘、お下げ、黒髪、看護婦、赤髪、オーバーニーソックス、金髪、メイド、
エプロンドレス、ストッキング、ガーターベルト、着物、ロリ
1プレイ時間 約4時間 お奨め度 8

レビュー
概要
不思議な力を宿す霊木の守人である主人公。かけがえのない義妹を失い、
その傷を癒すために人との触れ合いを求める。しかしその相手も何らかの
傷を負っていた。お互いの傷を癒しつつ、築かれていく信頼関係。
そして、奇跡の桜が輝くとき、それは嘘偽りない真実となる。
すべての想いを受けとめそこに佇むもの、その名は……という、ちょっと
切ない雰囲気のインタラクティブAVGです。
システム
インタフェースはほぼフルキーボード操作可。
メッセージスキップ、バックログ搭載。どちらもキーボードで操作出来ます
し、セーブ・ロードにもショートカットキーが割り当てられています。
……ここまでやっておいて、どうして選択肢の決定がキーボードで出来ない
かなぁ(^^; まあ、選択肢少な目ですのでそーんなに気にならないといえば
気にならないのですが……。
あと、バックログはマウスのホイールにも対応している親切設計ですね。
てゆーか、ホイールでしか操作できない気がしますけど(^^;
# ホイール機能のないマウスではバックログは見られない?
##まあ、キーボードで見られるからいいよね(笑)

ただ、メッセージを戻したとき、誰のセリフかが表示されない(表示が変わら
ない)ので、ちょっと使いづらいかも。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作の方は比較的軽快。
スキップ動作はやや引っかかりがありますけどね。

セーブ箇所は20箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
選択肢の数はそれほど多くありませんから、まあ数は足りるでしょう。
そもそもシナリオ分岐の場所はあからさまなので(笑)

ゲームシステムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
選択肢の数は少な目で、効果もはっきりしているものが多いですから、
どちらかというとノベルに近い感じですが。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

古坂唯。主人公の義妹。主人公に助けられたことをずっと気にしており、
なんとか主人公の役に立とうとする。しかし、一年前に行方不明に。
髪留めとは思えない重さの鉄球を付けている。通称・地獄鉄球(笑)

鈴森静名。主人公のお目付役。精神的にも物理的にも最凶(笑)
天上天下唯我独尊を地で行く。悪意に限りなく近い善意の持ち主(笑)
素手で熊をさばく(笑)
# 「あまりワガママ言ってると……消すわよ」(笑)

古坂綾。主人公の義妹(自称)。霊木の根本にいた所を静名に誘拐される(笑)
そして主人公の家に住み込むことになる。愛される義妹を目指す明るく
元気な娘だが、ちょっぴり寂しがりや。
# 産毛すら生えていない(^^;

風崎夏輝。主人公の幼馴染みで、ボディーガード。職業は看護婦だが、
武術・剣術の達人。動物に例えるなら豹っぽく見えるコアラ、ライオン
っぽく見えるハムスター(笑)
# わけわかりません(^^;

ソルネ。物神を集める博物館の館長。何故かメイド服。
人形の物神であり、もう百年も生きている。
# 「百歳のおばあちゃんですけどいいんですか?」……喜んで!(T_T)

コマ。猫(笑) 山に住んでいる霊獣らしい。
ウソくさい関西弁を話す。


絵の方はなかなか可愛らしくていいですね。ただ、立ち絵はキャラのほぼ
全身が入るような構図になっているためか、パーツパーツが小さくてそれに
比べて線が太いため、やや荒削りに見えてしまいますね。ちょっと損してる
感じ。イベント絵はそうでもないんですけど。
古坂綾萌え。てゆーか、猫耳巫女さん!?(爆)
# ソルネも夏輝も可愛いんですけどね。

それと、パッケージの絵はちょっといまいちかも(^^;
パッケージ裏面のサンプル絵は可愛いんですけどねぇ。

あと特筆すべき点は、立ち絵の使い方。大きなアクションの立ち絵が多く、
それがシーンにぴったりとハマっていて、立ち絵だけでもかなり楽しめま
した。シーンに合わせてころころ切り替わる立ち絵はなかなかいいですね。

静名が障子の陰に隠れて立っていて、突然そこから声が聞こえたので驚いて
振り向く夏輝……なんていうシーンが立ち絵だけで見事に動きを表現されて
いるのは素晴らしいですね。
# 遠い目をしているシーンでは、ホントに遠くを見てますし。

なので、若干荒削りな印象の絵ではありますが、この演出はそれを補って
あまりあると思います。非常に良かったです。
# 目の幅涙の夏輝、らぶりー(^^)


音声はなし。結構ぐっと来るセリフとかコミカルな掛け合いが多いので、
音声ありで聞いてみたかったかな、という気もしますね。


音楽はシーンにぴったりマッチした曲が多く、BGMとしては優秀ですね。
さすがに「今までの美少女ゲームとは違うBGM」を謳っているだけのことは
ありますね。……さすがにそこまでたいそうなものとは思えませんが(^^;


プロローグが終わるとオープニングアニメーションが流れます。
歌の方はポップな明るい曲調に綺麗な旋律の乗ったいい歌……なのですが、
歌声が揺れすぎ(^^; ビブラートなのかエフェクトなのか定かではありま
せんが、ちょっと気になりました。そしてやや歌声が弱いですね。もう少し
自己主張しても良かったかも。

絵の方はほぼ静止画スクロールの組み合わせなのですが、なかなか凝った
演出がされていて、曲とのタイミングも合っているのでなかなか見応えが
あります。
シナリオ・プレイ感
ゲームは章立てて進んでいきます。各章は基本的に1つのイベントが入って
いるだけで、章と章の繋がりはやや薄いですね。どちらかというと各章が
それぞれその話で完結している、という感じです。

話はまず主人公が義妹を失う話から始まるわけですが……何の迷いもなく
義妹を抱く主人公。雰囲気もなにもあったもんじゃない(^^;
こう、義妹を抱くときはその背徳感がいいのであって……って、前から
なんべんもやってたんかいっ!(^^;
# 台無し(^^;

そして、あやが主人公の家族になる話が来て、夏輝戻ってきて、ソルネと
出逢ってようやく本筋開始……といったところでしょうか。
ここまで、選択肢はほとんど(一切?)ありません。潔いです(笑)

キャラクターはみんな個性的で、会話は非常に楽しく、ストーリーは終始
コミカルな感じで進んでいきます。中でも静名さんは最凶(笑)
# さらっと流してたけど、特製の毒入り白玉粉って何だ(^^;

そして後半はヒロインが持った心の傷と、義妹を失った主人公の心の傷を
お互いに癒しあいながら、絆を深めていく……という展開。
なかなかぐっと来るシーンもあり、盛り上がりもあって良かったです。
「何でってあたし達、家族でしょ?」……ちょっと痺れましたね。

ストーリーはテンポよく、テキストも読みやすいので、非常にプレイし易く
感じました。誤字等もあんまり気になりませんでしたし。
# 「書き入れ時」とか「寝むった」とかあったけど(^^;

特筆すべきは、ヒロインの個別シナリオに入ったとき、残りのヒロインが
きっちりサブにまわってゲームを盛り上げているところでしょうか。
キャラクター同士の掛け合いが非常に楽しかったです。

サブキャラも非常にいい味だしてますね。夏輝の母親なんてさいこーです。
「あたしはね、自分の娘と旅館なら、喜んで旅館を潰すね」……なかなか
こーいうセリフは言えないですよねぇ。痺れました。
# そしてそんな母親とリアルバウトを繰り広げる娘(笑)

そういう名前のあるサブキャラだけじゃなく、街のみんなまで格好いいと
いうのは、もう、なんて言うか、最高です(^^)。

それと、主人公は思い過去を背負っているわけですが、別にヘタレたりして
いるわけでなく、結構明るく前向きなので、感情移入しやすかったです。

ホントにキャラクターが活き活きしていて、とっても良かったです。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は約1ヶ月……らしい。いや、ゲーム中で日にちを気にすることは
全くありませんので……。

ワンプレイは4時間程度でしょうか。ヒロインが全員揃うまでは完全に共通
ですので、それ以降だと2〜3時間というところ。

難易度は低め。シナリオ分岐の選択肢は明かで、その後の選択肢は常識的な
ものを選んでいれば問題なくエンディングには辿り着けます。
ただ、1つ選択肢を間違えるとバッドエンドに直行することもありますので、
一応注意は必要かも知れませんけど。ただ、バッドエンドもちゃんとした
話になっていますから、見ておいて損はないでしょうけど。
総評
お奨め度ですが、ちょっと切ない、でも最後には心温まる柔らかい雰囲気の
作品が好きな人にお奨め。キャラクター同士の掛け合いはコミカルで非常に
楽しいですし、途中ほろっと出来るようなシーンもあったりして、なかなか
楽しめると思います。
# てゆーか、私はソルネシナリオでだくだく泣いてましたが(笑)

ただ、ワンプレイ4時間程度で、共通部分を省けば2〜3時間。攻略対象が
3人だけですので、ややボリューム不足を感じますね。
1つ1つの話自体は短めながらもきっちりまとまっていて出来もいいとは
思うので、あと2本ぐらいシナリオがあったら嬉しかったかも。
面白いだけに、ちょっと物足りないなー、という感じです。

細かいところを言えば、いきなり能力を使いこなしてるしとか、そもそも
組織って何なんだよとか、夏輝の剣術はホントに人間業か? とか、静名って
いったい何者? とか(笑)、いろいろあるにはあるのですが、そういうことを
あまり感じさせないテンポのよいストーリー展開とコミカルな会話、そして
切ないシナリオは素晴らしいと思います。どのシナリオでも泣けます(^^)

定価は若干安めに設定されているわけですが、もう少し高くてもいいから
もう少しシナリオを増やして、音声も付けてくれれば、かなり高い評価が
出来たと思えるだけにちょっと残念です。
でも、私は現状で充分楽しめたのでよしとします(^^)

全体的にやや荒削りでこぢんまりした印象の作品ですが、どこか輝くものを
持っていると思いますので、音声なくても気にしないという人は、是非一度
プレイしてみて欲しいですね。
キャラクター同士のかけあいと、演出は一級品です(^^)


最後に。「おかしいで、あやルートを選んだ人間がツルペタ好きやないなんて」
……いや、そんなこと言われましても……(^^;


しかし……結局唯ってなかったことにされるのね……(^^;
# いや、BAD ENDでは救われてるんですけど……。
##よく考えたら、オープニングでさりげなくネタバレしてるんですよね(^^;



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