2×4! -ひとつ屋根の下で-
ブランド名 美遊 ジャンル 新機軸アドベンチャー
発売日 2003.10.10 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(165x230x40mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 GameDisc1 : 481.2MB、CD-DAなし
GameDisc2 : 494.4MB、CD-DAなし
原画 あらいぐま シナリオ AGプロモーション
音声 主人公以外フルボイス、華園みはる、春野かえる、みちる、みすみ、
秋田邦彦、馬並硬太、中本伸輔、トク、中澤アユム
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 48箇所+オートセーブ1箇所 あり(2曲、OP・ED)
おまけ アルバム(CG Album、Scene Album、Music Album)
対象属性 純愛、ラブコメ、萌え、お団子頭、ストレートロング、リボン、オーバーニーソックス、うさ耳、
ウエイトレス、エプロンドレス、眼鏡っ娘、看護婦、ツインテール、カチューシャ、ゴスロリ、
メイド服、猫耳、尻尾、肉球、スクール水着
1プレイ時間 5〜6時間 お奨め度 4

レビュー
概要
調理専門学校に通う主人公は、親と喧嘩して家を出ることになった。新たに住む
ことになったアパート「ニキハウス」には、名字が「二」で始まる女性3人が暮らして
いた。一癖も二癖もある住人たちと共に暮らす中で、様々な出来事が巻き起こる。
果たして主人公と住人たちの関係はどう変わっていくのか……という、マルチ
ストーリー&マルチエンディングアドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

二木 更紗(にき さらさ)。(CV:華園みはる)
ニキハウスの大家。主人公に対していつも憎まれ口を叩く。

二葉 演美(ふたば ひろみ)。(CV:春野かえる)
ニキハウス2号室の住人。一見おっとりぼけぼけしたお姉さん。
しかし、罠を張るのが趣味。……迷惑な人だ(^^;

二井見 葉瑠花(にいみ はるか)。(CV:みちる)
ニキハウス1号室の住人。明るく元気でテンション高め。
コスプレアイドルを目指していて、いつもコスプレをしている。むしろ普段着。

絵の方はとても可愛らしい絵柄ですね。目の描き方など若干クセはありますが、
体つきなどは非常に色っぽいです。
CGは非常に綺麗です。背景も無茶苦茶綺麗で、もう文句なしですね。
立ち絵はポーズ変化こそ少ないものの、表情変化はそこそこ用意されており、
感情に合わせて変化するため会話シーンは楽しいです。
あと、日付が変わるときなどに出てくるデフォルメ絵がすっごい好きかも(^^)

キャラクターは個性的な面々揃い。特に演美と葉瑠花はもはや非常識な気が(^^;
演美のワナはもはやシャレになってないものもありますし、葉瑠花のあからさまに
「萌えろ!」と言わんばかりの口調は、ちょっと引きました……。
あと、主人公の名前も「二本」で、みんな「二」が付いてるのは面白いですね。
# まあ、「二」の付いたキャラが4人いるから「2x4」なんでしょうけど。

音声はキャラクターとのマッチングはまあまあ。ただ、普段の声と、Hシーンや
叫ぶシーンの声が全然違うことがあって、やや違和感を覚えました。
ちょっと無理して声色を作ってるように感じます。更紗役の声優さん、地声は
もっとハイトーンな気がするのですが。
演技の方もやや微妙。無理して作っているように感じる部分が見え隠れして
いる気がしました。まあ、それほど気にはならないかも知れませんが……。
しかし、「誰も口が挟めないほどに早口でまくし立てている」ハズのセリフが、
やたらのんびりしていたりとか、ちょっと気になるところもありました。
ところで、「店子」を「みせこ」と読んでいた気がするのですが(^^;
ふつー「たなこ」と読むと思うのですけど……。
# 「自棄」も「じき」より「やけ」と読んだ方が雰囲気出ると思ったり。

音楽はポップで明るい曲やほのぼのとした曲が多いですね。作品の雰囲気を
上手く盛り上げてくれます。

ゲームを起動するとオープニングアニメーションが流れます。
歌は若干ハスキーで低音の響くパワフルなボーカル。ただ、曲はポップな感じ
なので、それほど力がこもった感じがしないのは勿体ないかも。もう少し曲の
方もハードな曲でも良かったのでは。
絵の方はプロローグとキャラクター紹介を兼ねた感じですが、絵はとても綺麗で
演出もなかなか凝っていていい感じ。

エンディングも歌あり。しっとりとしたちょっと切ない雰囲気の漂う歌で、プレイ
後の気持ちを落ち着けてくれるような、包み込む感じの歌です。
歌自体はなかなかいいと思うのですが、エンディングによってはちょっとラストの
雰囲気と合っていないような気がしないでもないです。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。
メッセージ送りや選択肢決定はキーボードで出来るのですが、環境設定やセーブ
などのメニュー内はキーボードで操作できないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、自動送り搭載。
バックログは音声の再生に対応しています。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作の方は比較的軽快ですが、セーブ/ロード画面等を出す時の演出をOFFに
することが出来ないので、ちょっといらいらするかも。

セーブ箇所は48箇所+オートセーブ1箇所。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とゲーム内日付、そして各キャラの
好感度が保存されます。
数としては、シナリオによっては選択肢が結構あるものの、システム上選択肢で
セーブすることが出来ないため、それほどセーブ/ロードは使えないと思います。
シーン切り替わりのタイミングなどで自動的にセーブされるので、ほとんどそれで
事足りる感じです。ですので、通常のセーブ数はこれだけあれば充分かと。

システムはスケジュール決定型&選択肢決定型のアドベンチャー。
1日の初めにその日一日どういう行動をするかを決定します。どう行動するかは
誰の行動にあわせるかを選ぶようになっています。「追っかけ恋愛マップ」という
名前が付いているようですが、「ストーキングマップ」と言った方が解りやすいと
思います(笑)

選択肢は時間制限が設けられています。そして、時間が経過すると選択肢の
内容が変わることがあります。さらに、選択肢によっては「リアルドキドキシステム」
なるものが発動します。これは時間の経過と共にドキドキが上がっていき、それが
最高潮に達したときに選択肢を選ぶと、好感度が大きく変動する、というものです。

さらに、イベントの進み具合によって、女の子からメールが届くこともあります。
ただ、メールは受信する一方で、返事を返すことが出来ないのはどうも……。
私は基本的に受信したメールには返信する質なもので(^^;
ちょっと気になったのは、メールの表示順が完全に受信順ではないとこと。
新しくメールを受信しても、それがどこに入っているのかを探さないといけない
ので、ちょっと煩わしいです。それと、受信したと出たにもかかわらず、増えて
いないこともあって、もう何がなんだか……。

システムは一見ちょっとめんどくさそうで取っつきは悪いかも知れませんが、
慣れればそれほど困ることはないでしょう。
# まあ、難易度は高いわけですが(^^;

で、このシステムなんですが、凄い勢いでリソースリークしてますね。
1周プレイしただけでリソース使い切ってました。どうやらセーブ画面などを開く
ときにリークしているようです。ページを切り替えるたびにどんどんリークして
いくので、後ろの方のページにセーブすると結構大変なことに。
なんとかなりませんかねぇ。

それと、セーブ/ロード画面やバックログ画面、おまけモードなどで画面を上下に
移動するボタンがあるのですが、これが非常に見づらく、ヘタすると気付かない
可能性があるので注意。マニュアルを見れば説明はありますけどね……。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公がニキハウスに入居するところから始まります。そこから学校に
通いつつ、住人たちとドタバタの毎日を過ごします。

前半は住人たちとドタバタな毎日を過ごしつつ、料理学校の学園祭を目指すと
いう話になります。そんな中で、特定のヒロインと仲良くなっていく、という感じ。

そして後半、ヒロインの抱えた問題を解決しつつ、試験や卒展をクリアしていく
という流れになります。

全体的に比較的コミカルなノリで、会話はとても楽しいです。
# 「どうやら私の心は、彼女に源泉徴収されてしまったようだ」……意味不明(^^;
# 「必ず貴方の心を差し押さえる」……もう帰れよ、お前(笑)

さて、このゲームですが、整合性が無茶苦茶です。イベントの前後の繋がりが
殆ど意識されていないように思えます。火傷して家に帰ったはずなのに次の
シーンでは学校にいたり、喧嘩した直後に平然と仲良くバイトしてたり。
「更紗ちゃんは学校を休んだ」とか言われても、さっき見たんですけど(^^;
もうちょっとなんとかならなかったんですかねぇ。

それに、学校で更紗と初めて逢ったときとか、もうちょっと何かリアクションが
欲しいところですね。つーか、主人公と更紗が同じ店でバイトすることになった
描写が全くないのに、当たり前のように一緒に働いてたりするのはどうかと。
# オーナーはいきなりキレるし(^^;

しかも、スケジュール次第では学校とニキハウスを何度も往復したりすることに
なりますし、もう少し繋がりを考えて欲しいところです。
さらに、もの凄くシリアスなシーンの直後に、いつも通りの風呂のシーンや夜の
シーンが出てくるのはどうも……。シリアスなイベントの直後に、汎用の通常
イベントを持ってこられてもねぇ。
スケジュールを自由に選択できるようにした結果、その間の繋がりが無くなって
しまい、対象となるキャラや場所が全くの出鱈目になってしまっていて、もはや
ストーリーとして成り立っていません。
バレンタインデーの時なんて、同じようなイベントが違うシチュエーションで2回
出てきたりしますし。つーか、君塚といつ仲直りしたよ……。
# 「まだ授業が終わっていないのかコックコートを着たままだった」……あのー、
# 滅茶苦茶普段着に見えるのですが……(^^;

はっきり言って、伏線張るだけ張ってそれを処理もせずにほったらかして、
うやむやのうちに解決してハッピーエンドというのはどうかと思います。
とっても電波なシナリオでした。
# いや、シナリオ自体のせいではなく、システムのせいでしょうけど。

それと、基本的にはほのぼの純愛ストーリーという感じなのですが、何度も
見ることになるであろうバッドエンドはちょっと後味が悪いので、注意が必要
かもです。

H度はそこそこ高め。各キャラとも複数回用意されており、シチュエーションも
様々。尺もそこそこ長くて描写も丁寧です。
ただ、会話が多めで、ひたすらHという感じではありません。どちらかというと
萌え重視な感じですね。ひたすらHなシーンは各ヒロインとも1〜2回程度です。

テキストはそれほど誤字も目立たず、あまりクセのないテキストで読み易いと
思います。ただ、「心拍数は推定○○○」というセリフが何度も出てくるのは、
正直ウザかったですが(^^;
あと、主人公のモノローグは『』で括られるのですが、一部それが会話として
成り立っている部分があって、ちょっと戸惑いました。モノローグと会話する
ヒロインって……。
# 電波娘?(^^;
プレイ時間・難易度
ゲームは1月20日の月曜日から始まります。ゲーム期間は約1ヶ月+α。

ワンプレイは5〜6時間。そこそこ長めなうえ、共通シナリオが少ないので、
コンプリートするのは結構時間がかかると思います。
そもそも、1回ですんなりクリアできないと思いますし。

難易度はかなり高め。基本的には狙った娘と同じ行動をすればいいのですが、
ワザと外さないといけないところがあったりします。
さらに、選択肢は時間制限があり、しかもタイムアウトさせることによって新たな
選択肢が出てくるため、どのタイミングで選択肢を選べばいいのかが非常に解り
づらいです。もちろん選択肢でセーブというのも出来ません。
# ほとんどの選択肢はすぐには選ばない方がいいような気がします……。
ですので、クリアするだけでもかなり難しく、コンプリートしようと思ったら相当な
手間だと思います。本気で疲れました(^^;
# 修正ファイル(10MB(^^;)を入れれば、マシになるそうです。
総評
お奨め度ですが、ちょっと変わった雰囲気のラブコメが好きな人にお奨め。
どう変わっているのかはネタバレなので言えません(笑)
基本的にはほのぼの純愛ラブコメだと思っていただければ。

た・だ・し、メインシナリオをクリアするだけでもかなり難しいうえ、コンプリート
しようと思うとかなりの労力とカンが必要になると思いますので、根気、もしくは
閃きのある人でないとコンプリートするのは難しいと思います。
特に某シナリオは、何かを感じたり何かに目覚めないとクリアできないかも(笑)
私も途中で投げそうになりました……。
# 何かが降りてきてクリアできましたけど(笑)
##もう一度クリアしろと言われたら無理かも(^^;

はっきり言って、この「追っかけ恋愛マップ」というシステムは、失敗だったとしか
思えません。こいつのせいで難易度は跳ね上がり、繰り返しプレイも辛くなり、
イベント間の整合性が崩壊し、ストーリーもぶつ切りになり、説明不足や設定の
未消化が多発しているように思えます。
ただ難しいだけなら「ゲーム性を重視したんだな」と納得も出来ますけど、それで
イベントの繋がりまでおかしくなってはとても評価は出来ません。
ごく普通のアドベンチャーにするか、このシステムを使うにしても、前半だけに
すればよかったのではないでしょうか。非常に勿体ないです。
# まあ、前半だけにしても難易度はあまり変わりませんが……。

パッケージには「お手軽攻略機能満載! ヘビーユーザーからビギナーまで、
どなたでも易しく」とか書いてありますが、どこらへんがお手軽攻略機能なの
でしょうか。既読スキップとか履歴機能とか言ったらぶっとばしますよ?(^^;
私には「ヘビーユーザ限定、ビギナーお断り!」に思えます。

絵は可愛らしいですし、設定やシナリオはそこそこ面白いのですが、システムが
全てを台無しにしているようで、とても残念な作品ですね。
イベント1つ1つはそこそこ面白いだけに勿体ないです。まあ、ラストはもう少し
盛り上げてもいいとは思うんですが。ちょっとあっさり終わりすぎかも。
普通のアドベンチャータイプであれば、もっと高い評価が出来たと思えるだけに
残念でなりません。

最後に。更紗の名前が「三木」だったらアパートの名前が面白いことに(笑)。


以下、ちょっぴりネタバレなつぶやき。

しかし、「実はだいぶ前から記憶は戻ってました」とか言われてもねぇ。
お前そんな素振り全然なかったじゃん。全部演技だったのか?
更紗も同じ学校に通っているとわかった瞬間から突然料理に詳しくなったり、
切り替わりが唐突で激しすぎてとても付いていけませんでした。



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