藍色ノ狂詩曲 〜Deep Blue Rhapsody〜
ブランド名 SPEED ジャンル 音楽遊戯アドベンチャー
発売日 2003.11.14 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(232x167x40mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 GEME DISC : 612.0MB、CD-DAなし
Original Sound Track : CD-DA=526.7MB、CD-DA12トラック
原画 Precious Tail シナリオ Junichi Saegusa
音声 女性フルボイス、Haruka Fukai、Kazane、Miru、Yutaka Saki
インタフェース メッセージ送りのみキーボード可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 30箇所+クイックセーブ1箇所 あり(1曲、OP)
おまけ Album(CG Mode、Music Mode、Replay Mode)
対象属性 純愛、凌辱、ツインテール、リボン、ショートカット、幼なじみ、オーバーニーソックス、
レオタード、ストレートロング、女教師、ポニーテール、眼鏡っ娘、黒髪
1プレイ時間 3〜4時間 お奨め度 3

レビュー
概要
ピアニストを目指し、音楽学校に通っている主人公。発表会を目前に控えた
夏休みの終わりに、パートナーであるヒカリと仲違いをし、パートナーを解消
されてしまう。このままでは発表会に出られないと沈み込む主人公。そして
新学期、暗い気持ちのまま学園に向かう途中、コントラバスを持った少女と
出会う。その少女は転校生で、パートナーを失った主人公に、パートナーに
なってもいいと提案する。こうしてパートナーを得ることができた主人公。
果たして、発表会でいい成績を残し、ピアニストへの道を歩めるのだろうか
……という、音楽遊戯アドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

三田村ヒカリ(みたむらひかり)。
主人公の元パートナー。仲違いをし、パートナーを解消した。
しかし、主人公に新たなパートナーが出来たことを知り、再び主人公に近づこう
とする。大人しく、あまり世間を知らないお嬢様。

彩倉聡美(あやくらさとみ)。(CV:Kazane)
主人公の幼なじみ。控えめで大人しく、物事をはっきりと言えない。
それでも、主人公の前では明るく振る舞う。

彩倉百合子(あやくらゆりこ)。(CV:Yutaka Saki)
聡美の母親。夫は長く家を空けており、寂しさを漂わせている。
優しく、気の利く女性。

黛久子(まゆずみひさこ)。
学園の先生。明るくのーてんき。派手な服装で学生たちの目を引いている。
主人公を気にかけており、ことあるごとに誘惑してくる。

宮條藍子(くじょうあいこ)。(CV:Haruka Fukai)
転校生。珍しい女性コントラバス奏者。腕はウルトラC級。
感情をあまり表に出さず、冷たい言動をとる。

麻布瀬夕菜(まぶせゆうな)。(CV:Miru)
学校の前をうろついていた少女。人懐っこく、すぐに主人公とも仲良くなる。

絵は丸みを帯びた柔らかい感じの絵で、ほのぼのとした雰囲気が漂います。
可愛らしく、愛嬌のある絵柄ですね。
CGの処理は、若干繊細さに欠け、全体的にべたっとした感じになっており、
野暮ったさを感じるかも知れません。良く言えば素朴な感じ、でしょうか。
元々、原画からしてそれ程描き込みの細かい絵ではないので、ある程度仕方
ないかも知れませんが。まあ、私はこういった雰囲気の絵は好きですけど。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともに豊富。会話に合わせてころころ変わる
のは、見ていて楽しいです。

キャラクターはみんな個性的なのですが、今ひとつ掴み所がなく、最後まで
どういったキャラクターなのかよくわからないキャラもちらほら。
その最たるものが主人公なのですが。結局、最後まで主人公の性格は掴み
切れませんでした……。
# 何考えてんだ? こいつ。

音声は、キャラクターとのマッチングも良く、演技も良好。特に気になる点は
ありませんでした。

音楽は、ピアノがメインのクラシック調の曲が多めですね。まあ、元々そういう
音楽を扱う作品ですけど。曲調で言えば、静かでおどろおどろしい感じの曲が
多めでしょうか。ちょっと暗い雰囲気です。
曲名も「裏切りのサンセット」やら「破滅の穴」などという、物騒な名前が並んで
いたりしますし、ね。

ゲームを起動するとオープニングアニメーションが流れます。
歌はちょっぴりクラシック調のゆったりとした、格調高い感じの歌。
まあ、それほど肩肘張っているわけでもないので、馴染みやすいとは思います。
絵の方は静止画のキャラクター紹介・シーン紹介がメイン。曲調がゆったりして
いるためか、派手な動きはありません。
システム
インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートパイロット搭載。
メッセージスキップは、Ctrlキー押下によるものだけのようで、ちょっと煩わしい
ですね。バックログもボタンでしか出来ませんし、今ひとつ使い勝手の良くない
システムに思えます。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作はやや重め。スキップ動作もちょっと遅いです。

セーブ箇所は30箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、場所と何日目かと時間帯が保存されます。
数としては、結構選択肢の多いゲームですので、もう少しほしいところですね。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
発表会のためのレッスンをするときは「レッスンモード」となって、演奏と共に
シンクロ度を表すグラフが表示されます。ただ、あまり意味は感じませんが(^^;
そして、レッスン修了時に出てくる選択肢によって、コミュニケーションの
深さが変わり、それがスキル値に影響します。スキル値が低いと、発表会で
いい成績をおさめることは出来ません。
シナリオ・プレイ感
ゲームは、パートナーを失った主人公が、転校生である藍子とパートナーを
組むところから始まります。
何を考えているのかわからない藍子に苦戦しつつも、なんとか発表会に向けて
練習を重ねていく、という感じです。

前半は淡々と進みます。いろんな女の子と触れ合う中で、徐々に主人公の心が
揺れ動いていく……という流れです。

そして後半、ヒロインの持った問題を知り、それを解決しつつ結ばれる、という
流れになります。
ただ、エンディングは「それでハッピーエンドなのか?」と思えるようなものもあり、
ちょっと後味の悪いものもありますね。

まず、最大のネックは主人公の人物像でしょう。最後までプレイしても、結局
主人公がどういう奴なのか、よくわかりませんでした。
ある時はサディスティックな鬼畜野郎になり、またある時は発表会に出ることが
出来ないとうじうじ悩む弱虫ヘタレ野郎になり、またある時は女の子に優しい
言葉をかけつつすり寄る優男になったり。シーンごとに主人公の性格や行動
原理が違っているように感じて、全く感情移入できませんでした。
はっきり言って、胸くそ悪くなることもしばしばでした。
# 「約束はその場の勢いというところもある。だから、絶対に守らないといけない
# というわけではないかも知れない」……お前、何様のつもりだ?

そして、前半は比較的淡々と進むのですが、後半はかなり駆け足で進む印象が
あり、数々の伏線をラストで一気にまとめようとするあまり、消化不良になっている
ように思える部分が見受けられました。
処理し切れていない伏線や、ほとんど説明されない設定などもあって、ちょっと
理解に苦しむこともありました。

あと、若干不整合も見受けられますね。既に1回抱いているのに初めてのような
描写があったり、選んでいない選択肢をあたかも選んだかのような発言があったり。
そもそも、発表会の本番は、来週なのか再来週なのかはっきりしてください。
# 昨日は「来週」って言ったのに、今日は「再来週」ですか?(^^;
##「それじゃあ、おやすみ!」……まだめっちゃ昼なんですけど……(^^;

H度は低め。各ヒロインとも複数回用意されているのですが、尺がやや短めで、
描写も若干淡泊なため、今ひとつ盛り上がりに欠ける感じです。
ここでも主人公の性格や言動に統一性がないため、様々なシチュエーションを
楽しむことは出来ます。純愛的なものから陵辱的なものまで幅広いです。
ただ、ヒロインが主人公以外のキャラクターと絡むシーンもありますので、そういう
シチュエーションが苦手な人には辛いかもですね。
# しかし、走り高跳びプレイは、いくらなんでもバカすぎ(^^;
##あの角度じゃ入るわけないし、失敗したときのダメージデカすぎ(^^;

テキストは、かなり誤字が多めですね。特に目立ったのが「さ」と「だ」の間違い。
ローマ字入力だと「s」と「d」は隣ですからねぇ。でも、きっちりチェックして欲しい
ところです。文章自体は淡泊で、今ひとつ訴えかけてくるものがない感じです。
文章自体も描写も、今ひとつ丁寧さが感じられませんでした。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は約2週間。最初の1週間は1日ずつプレイする形になりますが、後は
日付関係なしにイベントが起こるような感じです。

ワンプレイは3〜4時間。ストーリーが淡々と進むので、やや長く感じました。
ただ、最後はかなり駆け足気味になるため、ちょっとあっけなくも感じましたけど。

難易度はやや高め。選択肢の数が結構多く、効果もわかりにくいものがちらほら
見受けられました。基本的には狙ったキャラと会い続ければいいのですが、一部
他のキャラに会いに行く途中で発生するイベントなどもあり、気づかずにスルー
してしまうと、クリアできなくなったりしますので、注意が必要です。
総評
お奨め度ですが……難しいですね(^^;
純愛ものかと思いきや、結構鬼畜い行為があったりしますし、ストーリー重視の
作品かと思ったら、伏線の未処理や設定の未消化など、やや弱い面もあります。
キャラクターも、性格などが掴みづらく、何より主人公が今ひとつよくわからない
奴なため、感情移入しづらく、ストーリーに乗れない感じです。

いろいろと設定があったり、伏線が張られていたりするのですが、それがあまり
ストーリー中で生かされておらず、かと思えば説明もなしに突然出てくる設定
なんかもあって、ややちぐはぐな印象を受けます。
もっと最初の方からストーリーを動かし始めてもよかったのではないでしょうか。
最初の1週間なんて、ホント淡々としていてストーリーがあまり動きませんし。
このパートをもっと有効に利用できなかったのかな、と。

いろんな設定を盛り込んだり、純愛・鬼畜両方を入れたり、様々なタイプの
キャラクターを入れたりと、非常に盛りだくさんな感じではあるのですが、
そのどれもが中途半端になってしまっている印象があります。
ちょっと風呂敷を広げすぎ、欲張りすぎという感じがしますね。
もう少し作品の方向性をきっちり定めてほしかったです。
というか、プレイするまではてっきり純愛ものかと思ってました……。
なので、陵辱シーンでヘコみました(T_T)
エンディングも後味の悪いものがあったり、今ひとつすっきりしませんでした。
確かに、パッケージには「欲望」だの「嫉妬」だの「狂気」だのという物騒な
言葉が並んでますし、凌辱チックな絵も載ってるんですけどね(^^;

最後に。「GEME DISC」て(笑)
# 決して私の誤字ではありません(^^;


ちょいとネタバレなつぶやき。

燿子の話とか、新体操の話とか、ちょこっと出てくるだけで殆ど有効に利用
されていないのは残念です。つーか、燿子の話なんて、あんな最後の最後で
出すような設定じゃないと思うんですけど。消化しきれるわけないじゃん(^^;



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