天ツ澪
ブランド名 創美研究所 ジャンル アドベンチャーゲーム
発売日 2003.10.31 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(146x216x30mm) マニュアル ブックレット
DISC容量 496.8MB、CD-DAなし
原画 タケシマサトシ シナリオ すずきけんいち
音声 あり、葦沢モモ美、鈴堂弓香、ゆずきりあ
インタフェース キーボード操作不可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 20箇所+クイックセーブ1箇所 あり(1曲、OP)
おまけ CG VIEW、SCENE REPLAY
対象属性 純愛、伝奇物、黒髪、巫女さん、ショートカット、オーバーニーソックス、お兄ちゃん、
スクール水着、眼鏡っ娘、ストレートロング、ボブカット
1プレイ時間 5〜6時間 お奨め度 4

レビュー
概要
教育実習のため、十数年ぶりに田舎を訪れた主人公。そこで主人公は三人の
少女と出会う。そして毎日を過ごすうち、ある事件が起こり、主人公達の運命は
動き出す。果たして主人公達はどうなっていくのか……というアドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

仁科雪乃(にしな ゆきの)。(CV:葦沢モモ美)
おっとりボケボケした天然娘。常にまわりの人のことを思いやり、自分の思いは
極力表に出さないようにしている。人懐こくて穏やかで優しいが、頑固な一面も。
触れただけで精密機器を破壊する(笑)

立花加代(たちばな かよ)。(CV:鈴堂弓香)
主人公が下宿することになったアパートの大家の娘。大人しく控えめな性格だが、
実は主人公達の反応を見て楽しんでいる一面も。

沢口遙凪(さわぐち はるな)。(CV:ゆずきりあ)
主人公がよく食事をしに行く喫茶店の娘。冷静で、物事をはっきり言う。
主人公にはことあるごとに突っかかってくる。

絵の方は、ほんわかした雰囲気の可愛らしい絵。独特のタッチですね。ただ、
若干シーンによってばらつきがあるように感じます。
CGの方は、こちらも独特の塗りで、柔らかい雰囲気を作り上げていますが、
一部ベタっとしている印象を受ける部分もありました。
立ち絵はポーズ変化はありませんが、表情は会話内容に合わせて変化します。
ただ、やや会話の内容とずれているように感じるところもあり、感情移入度は
それほど高くありませんでした。

キャラクターは人懐こい雪乃、控えめな加代、クールな遙凪と、役どころが
はっきりしたキャラクター配置になっています。
そして何より、サブキャラである佳代の母親や遙凪の母親などが、なかなか
いい味を出しています。
美野里萌え。←そこかよ
大家さんもかなりらぶりーですねー。
メインキャラでは、やっぱり雪乃が一番でしょうか。
どのヒロインもですが、ラブラブになってからの展開はかなり萌えます(^^)

音声は……微妙(^^;
キャラクターとのマッチングはまあいいと思うのですが、演技力の方にやや
物足りなさを感じます。雪乃はそこそこいいのですが、加代と遙凪、特に
加代の演技はちょっと気になりました。
あと、雪乃も、「いたいです」のイントネーションが、どのシーンでもほぼ同じ
だったり、「ふふふっ」という笑い方がやや不自然だったりと、所々気になる
点はありました。

音楽はのどかな曲や幻想的な曲、クラシック調の曲が目立ちます。
全体的に静かで穏やかな印象が強いですね。

長めのプロローグの後、オープニングアニメーションが流れます。
歌は明るく伸びのあるポップな歌。爽やかな感じのなかなかいい歌ですね。
絵の方はシーン紹介的なもの……なのですが、私の環境ではカクカクしていて
マトモに見られたモノではありませんでした。そーんなにマシンパワーを必要と
するようにも思えないのですが、いったいどんな描画方法なのでしょうか。
システム
インタフェースはキーボード不可。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ搭載。
バックログはマウスのホイール機能にも対応しています。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は激重。何をどうやったらこんなに重いんだってぐらい、描画処理が
狂ったように重いです。オープニングのアニメーションがマトモに表示され
なかったのも、この描画処理のせいでしょうね。ホントにどんな描画方法を
採用しているのやら……。

セーブ箇所は20箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、誰のシナリオかと、シーンタイトルが保存
されます。数としては充分すぎます。選択肢の数が非常に少なく、まず使い
きることはないかと思います。クイックセーブすらも、ほとんど使わない気が。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。ただし、選択肢の数は片手で
数えられる程度ですので、ノベルと言った方がしっくりくるかも。
そして、特定の条件を満たせば新たなシナリオがプレイできるようになる
シナリオ追加型のシステムとなっており、最後までプレイして初めて物語の
全容が見えるようになる感じです。
シナリオ・プレイ感
ゲームは、主人公が教育実習のため、田舎の町を訪れる所から始まります。
実際に実習が始まるよりも早く町に着いた主人公は、加代のアパートに
転がり込み、学園で用務員のバイトをやりつつ、人々と交流を深めます。
そんなある日、主人公はある出来事に遭遇し、大きな問題を抱えてしまう。
教育実習をやりつつ、その問題を解決するために、雪乃と協力して色々と
調査をする……という流れになります。
# 11月3日に、当たり前のように授業のある学校っていったい……(^^;

1時間以上にも及ぶプロローグで、主人公が問題を抱えるところまでが
描かれ、問題を解決していく部分が本編にあたります。

本編が始まって、すぐに選択肢が現れるのですが、その選択肢によって
ヒロイン(シナリオ)が決定します。そして、それ以降は、そのヒロインとの
シナリオに入ります。勿論、それ以外のヒロインも話には絡んで来ますけど。

ストーリーはまったりとした雰囲気で進みます。主人公の抱えた問題は
かなり深刻なものなのですが、その割には緊迫感がありません。
描写も淡白で、淡々と進むような印象ですね。
各所にコミカルな会話が挟まれているのも緊迫感のなさに一役買っている
と思います。

そして後半、ヒロイン達が抱えた問題が唐突に展開し、それを解決して
エンディングという感じです。

問題点として第一に挙げられるのはテキスト。これは後述します。

そしてシナリオですが、前半は、緊迫感もなくコミカルな会話も交えつつ淡々と
進み、後半突然シリアスでハードな展開になります。切り替えがあまりに唐突な
ため、最初何が起こったのか理解できませんでした。
その後はそのままのテンションで突っ走るような感じですが、最後はうやむや
のうちに終わった感じで、強引さが目立ちます。

ゲームの冒頭で主人公が見る夢が、話の鍵になるのですが、夢自体の描写は
ほとんどなく、本編中で「そういえば……」という感じで夢の話が出てくるため、
どうしても説明不足の感は否めません。
もちろん、はっきり描写してしまう訳にはいかないんでしょうけど、もう少しうまく
表現できなかったのでしょうか。プレイヤーが知らないのをいいことに、都合よく
使われているように感じました。

H度はやや高め。各ヒロインとも複数回用意されており、尺もそこそこ。
最初はライトな行為だったのが、回数を重ねる毎に徐々にハードな内容に
なっていくのはなかなか良かったです。描写の方も、やや淡白ながらも
そこそこ丁寧だと思いますし。
ただ、基本的に純愛系のHですので、あまり激しい行為や、突飛な行為は
ありません。
あと、CGはやや枚数が足りないかもですね。テキストと絵が食い違っている
ように感じるところがちらほらありました。

テキストですが、ここが最大のネックです。
まず誤字についてですが、多数見受けられます。話が進めば進むほど目に付く
ようになっていき、最後のシナリオではもうそこかしこにある状態です。
「自身をもって断言」したりと、「方を抱」いたりとか。「落し着けられ」たりとか。
「好みを引き裂かれてしまうのではないかと思えるほどの不安」って(^^;
「俺の方も体中の力が抜けてしまった俺は」などという謎な表現や、
「とてもそうは見えない二人の様子は、とても暖かく感じられる」などという
表現もあったり。「、」が行の頭に来る反禁則文もちらほら見うけらられました。
さらに、所々、テキストと音声が若干違っているところも見受けられました。
そして、その場にいないにも関わらず「隣に立っている加代ちゃん」なんていう
記述もありました。
挙げていけばキリがないのですが、もう少しテキストには気を遣って欲しい所
ですね。ストーリー重視な作品なわけですから。
こんな状態なので、言いたいことがすんなりと伝わってこず、ストーリーに集中
することが出来ませんでした。
プレイ時間・難易度
ゲームは10月20日の月曜日から始まります。ゲーム期間は約1ヶ月。
基本的に1日ずつプレイしていくタイプですが、後半は何日か飛んだりすることも
あります。

ワンプレイは5〜6時間。淡々と話が進むため、やや長く感じました。
そしてこのゲームは、全てのシナリオを見ないとエンディングが見られないように
なっていますので、エンディングまで到達する時間で考えれば、12〜15時間と
いったところでしょうか。そこそこ長いです。

難易度は低め。というか、ゲーム全体を通して、選択肢は2箇所だけです(^^;
最初に誰のシナリオに入るかの2択(後に3択)と、最後に誰のエピローグを見る
かの選択肢。この2箇所しか選択肢がありません。なので、クリアできなかったら
何かおかしいです(笑)
総評
お奨め度ですが、ほのぼのまったりした雰囲気の伝奇物が好きな人にお奨め。
「龍神さま」や「天ツ澪」を絡めて進むストーリーはなかなか面白く、設定も興味
深いですね。
キャラクターも活き活きしていて会話も楽しいですし、気持ちを確かめ合った
あとのラブラブっぷりにはかなり萌えました。

ただ、ゲーム全体を通して、選択肢の数は2つだけ。1回のプレイでは1つしか
選択肢がないことも。
一番最初の選択肢でシナリオが分岐して、そこからは個別シナリオになるため、
エンディングの数はそれほどないのですがプレイ時間は思ったよりかかります。
ただ、最初の選択肢が出るまでに1時間以上かかるので、そこまではスキップ
すれば短縮できますけど。
# スキップ、遅いですけどね。

そんな感じで、選択肢を極力廃して、ストーリー重視にしているようですが、
それにしてはややストーリーが弱いかな? という感じです。
そして、シナリオがやや淡白だったり、展開が唐突だったり、テキストにやや
難があったりで、今ひとつ感情移入できなかったのは残念です。
せっかくの設定やキャラクターを活かしきれず、強引に話をまとめにかかった
ような印象を受けました。

シーンによって絵にばらつきがあったり、テキストと絵に相違があったり、声も
演技力にやや難があったりと、ちょっと全体のまとまりがないように感じました。
特に後半になればなるほど増える誤字は、きっちり最後まで通して確認できて
いないのではないかと思えてしまいます。
全体的に、やや丁寧さに欠ける作品のように感じました。
システムも激重で、プレイストレスが高かったですし。
設定や雰囲気はなかなかいいだけに、ちょっと残念です。

最後に。「違います! 違うんです。違います。ノーです」……パニクりすぎ(笑)
# 雪乃、可愛すぎ(^^)


「日曜日なのに……先生、何処にも誘ってくれなかった」……遥凪も可愛すぎ(T_T)

しかし、進路をどうするかという話で、大学を受験するか就職するかという話が出たり、
「生徒」という表現が普通に出てきたりしてるんですけど(^^;



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