こころナビ
ブランド名 きゅーくす ジャンル 近未来的(?)あったかHな純愛AVG
発売日 2003.06.27 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(154x215x32mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 DISK-1 : 393.3MB、CD-DAなし、Alpha-ROM
DISK-2 : 632.3MB、CD-DAなし
原画 亜方逸樹 シナリオ 茉森晶
音声 一部あり、しまだかおり、南条祐季江、桜井薔子、高橋夕稀、西端由美、唄野舞
インタフェース メッセージ送りのみキーボード可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 20箇所 あり(2曲、OP・ED)
おまけ CG鑑賞、音楽鑑賞、シーン回想
対象属性 純愛、幼なじみ、ショートカット、妹、ボクっ娘、兄ちゃん、ウェディングドレス、赤髪、
ストッキング、ガーターベルト、オーバーニーソックス、緑髪、ツインテール、妖精、
羽根、触角、水色髪、犬耳、尻尾、エプロンドレス、黒髪、ストレートロング、リボン、
巫女さん、巫女装束、関西弁、眼鏡っ娘、カチューシャ、チャイナドレス、銀髪
1プレイ時間 7〜9時間 お奨め度 7

レビュー
概要
今から、ちょっとだけ未来のお話。インターネットの世界は『ラウンダー』と
呼ばれる仮想のキャラクターを操ってWebを巡回するというシステムが流行
していた。そして、それにハマっている主人公の元に、ある日一通のメールが
届く。あまりにも怪しげだったため削除しようとするも、勝手にメールは開き
添付ファイルが実行されてしまう。そして主人公のパソコンには『こころナビ』
という、不思議なブラウザが起動する。果たして主人公は、この不思議な
ブラウザ『こころナビ』を使って、どのような出会いをしていくのか……という、
近未来的あったかHな純愛AVG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

倉持小春(くらもちこはる)。(CV:しまだかおり)
主人公の幼なじみ。ガサツで気まぐれですぐに手が出る。
異常な帯電体質で、静電気に悩まされている。
スポーツ少女で、女子野球部を設立して活動している。

今関凛子(いまぜきりんこ)。(CV:南条祐季江)
主人公の妹。インターネット依存症で男嫌い。
無愛想でかわいげのないシラケ女。しかし心優しい一面も。

ルファナ。(CV:唄野舞)
主人公がこころナビを使ってWebに入り、初めて出会った謎の少女。
無邪気でハイテンション。極度の方向音痴で、思ったところに辿り着けない。
神出鬼没で突然現れる。

初瀬みまり(はせみまり)。(CV:西端由美)
初瀬神社で働く関西弁巫女さん。霊感があるクセに恐がり。
お姉さんっぽく振る舞っているが、可愛らしい面も持っている。

仲手川夢(なかてがわゆめ)。(CV:高橋夕稀)
主人公のクラスメイト。自称不良娘。しかし誰も不良だと思ってはいない。
飼育部で、飼育小屋に近づく者は敵と見なすらしい(^^;
# 「今日から不良になることにした仲手川夢です。ナメないでくださいね」(笑)

アイノ=ペコネン。(CV:桜井薔子)
フィンランド在住の少女。極度のあがり症で緊張状態に陥るとすぐに気絶する。
Webで主人公と出会い、出逢った早々結婚を申し込む(笑)
日本のアニメが好きで、いつか日本に行きたいと夢見ている。日本語もアニメを
見て学んだためそれなりに話せる。
# 地獄のサウナ耐久勝負(笑)

コナ。
こころナビの案内役である妖精。かなりお茶目さん。時代劇にハマったため、
口調も時代劇風。

舞耶(まいや)。
Webコンテンツの1つ、『おもいで図書館』の管理人であるラウンダー。
人の想いを大切にする優しい娘。

ラミュー。
Webコンテンツの1つ、『宝石少女』の管理人であるラウンダー。
占いと漫画描きをする。ラミューのキャラクター自体もマスターである人物が
描いた絵をそのまま利用している。犬耳に尻尾、ひげまで装備。

蘭煌(ランファン)。
Webコンテンツの1つ、『Stressful Angel』の管理人であるラウンダー。
おおらかかつアバウトな性格で、いきなり主人公に肉体関係を迫る。
……いや、Webの中で肉体関係も何も……(笑)
# 確かに『こころナビ』は肉体ごとWebに入ってますけどね(^^;

忍(しのぶ)。
Webの中に存在する幽霊のような存在を斬って回る、Web退魔師。

絵は柔らかいタッチのほのぼのとした感じの絵で、とても可愛らしいですね。
見ていて暖かくなれる、和めるような感じです。
CGの処理も丁寧で、よく雰囲気が出ています。明るめの色使いで鮮やかです。
立ち絵はポーズ変化こそそれほどありませんが、表情変化はなかなか多彩で
会話内容に合わせて変化するため、臨場感があっていいですね。
特に照れたときの表情が可愛らしくて最高です。
イベント絵で一番のお気に入りはみまりがハンバーガーを食べているシーン。
見ていてめちゃめちゃ和みます(^^)

キャラクターはみな可愛らしく、登場人物はラウンダーも含めてみんないい人
ばっかりなので、安心してプレイすることが出来ますね。
そして、どのキャラクターも魅力たっぷりで、誰か1人を選べというのは酷です。
強いて言うならみまりかなー、と。お姉さんになりきれない可愛らしい感じが
たまりません。凛子もかなり反則的に萌えますし、他のキャラクターもみんな
大好きですが(^^)

音声について、このゲームは一部のみ音声ありです。音声のあるシーンは
ゲーム全体の1割にも満たず、Hシーンすら音声のないものもあります。
そしてこのゲーム、初期状態ではなんと音声はOFFの設定になっています。
折角音声が入っているのにどうしてこんなことしたんでしょうね。もしかして、
ホントは音声聞かせたくないんですか?(^^;
で、キャラクターとのマッチングは……微妙(^^; フルボイスだとプレイしている
うちに慣れてきたりするのですが、パートボイスのために慣れることもなく、
最後まで違和感が残ったキャラもいました。
演技の方も一部やや物足りない人がいて、声とキャラが完全にマッチして
いないことも相まって、やや厳しいですね。
確かにこれだと音声OFFでプレイしてもいいかも……と思いました。

音楽は、ほのぼのとしたちょっと幻想的な曲が多いですね。作品の雰囲気と
よくマッチしており、不思議な雰囲気を盛り上げてくれます。
曲自体もかなりのクオリティで、充分単体でも聴けますね。

ゲームを起動するとオープニングアニメーションが流れます。
歌はファンタジックな雰囲気の漂う明るい歌で、アニメチックな感じです。
どこかで聴いたことのあるような、懐かしい感じのメロディーラインですね。
絵の方は基本的に静止画のキャラクター紹介という感じで、取り立てて書く
ことはないのですが、絵の方はなかなか綺麗ですね。

エンディングも歌あり。ポップで明るい曲で、とても爽やかですね。
本編ラストからの雰囲気をしっかり維持して余韻に浸れます。
システム
まず、このゲームはAlpha-ROMによるプロテクトがかかっています。で、私の
環境では当然のように誤爆したわけですが(^^;、メーカのサポート体勢が非常に
悪かったことを挙げておきます。
事前にAlpha-ROMによるプロテクトがかかっている旨の告知はありましたし、
パッケージにも「プロテクト有り」と描いてありますが、予約している人にとっては
どうしようもない話で。せめてサポートぐらいはきっちりして欲しい所存。

インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応していますが、バックログの表示
自体はホイールでは出来ません。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作は比較的軽快。
ただし、スキップ動作はやや遅めかも。

セーブ箇所は20箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータにはセーブ日時のみが保存されます。セーブデータの判別が
し辛く、ちょっと不便ですね。
数としてはそれほどセーブ/ロードの必要なゲームとも思えませんので、
これだけあれば足りるかな? という感じです。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
シナリオ・プレイ感
ゲームの方は、主人公の元に謎のメールが届くところから始まります。
勝手に添付ファイルが実行され、こころナビが起動して、言われるがままに
こころナビを使ってみる主人公。
……いくら近未来で技術が発達したとはいえ、身体ごとWebの中に入って
しまうことにちょっとは疑問を抱いてください(^^;
# 「さーて、今日も一日爽やかな引き篭もりライフを」…ヤな爽やかさだ(^^;

そして、こころナビを使っていろんなサイトの管理人(ラウンダー)と接して
いくうちに、他人を信じず関わりを避けて引きこもっていた主人公が、徐々に
人との繋がりを求めていく……という感じの成長物語になっています。

ストーリーは終始ほのぼのまったりとした雰囲気で進んでいき、Webの中で
色々な人と出会いながら、現実世界でも女の子達との仲を深めていきます。

特筆すべきは会話の楽しさ。主人公とヒロインの会話も自然な感じでとても
楽しいのですが、他のキャラクターも自然に会話に加わってきたり、個別の
ルートに入っても他のヒロインが会話に加わってきますので、とても自然な
感じの会話が繰り広げられていて良かったです。

ラストはやや強引でご都合主義な展開もありますが、爽やかにまとめてくれる
ため、後味はいいですね。まあ、そもそもかなり強引な設定ですから、それ程
ご都合主義は気にならないかもしれませんが。
# でもルファナは無茶だろう(^^;

気になったのはまずやたらと長い共通部分。その長さもさることながら、どの
選択肢を選んでも話の流れがほとんど変わらず、主人公の反応もほとんど同じ
です。なので、主人公が誰のことを一番好きなのかが全くわからず、非常に
優柔不断などっちつかずの態度に見えてしまいます。
後半に誰のことが好きなのか、誰に告白するのかという選択肢が出てきたり
するのですが、その選択肢を前にして「誰に告白したらいいんだろ?」と本気で
悩みました(^^;
# で、その時は結局全員ダメだった訳ですが……。

あと、結局こころナビとはいったい何なのか、というのもよくわかりませんね。
いや、一応作中で説明はされているんですけど、納得できないいうか、ありえ
ないというか(^^;
そもそも、肉体ごとWebの中に入って現実世界には身体が残らないとか、かなり
無茶な設定だと思うのですが……。ところで、肉体ごとWebの世界に入ってしまう
ということは、Webの中でラウンダーが殺されたりしたら、現実世界でも死んで
しまうんでしょうか? そう考えるとすっげー怖いですね(^^;
# Webに入っているときは現実世界ではなかったことにされているようですし。

H度は純愛物としては高めでしょうか。複数回用意されていますし、各シーンの
尺もそこそこ長めで、描写も丁寧だと思います。ただ、純愛物ですからあまり
ハードなプレイはありません。どちらかというと、萌える、可愛らしさを前面に
押し出した感じの描写ですね。その割には縛ったりしてますが(笑)
あと、現実世界では主人公がちゃんとゴムを装着するのはポイント高め。
細かいところまで気を配ってあっていいですね(^^)

テキストは誤字も目立たず、読みやすいです。一部『」』だけが次の行の頭に
来ていたりもしますが、まあ許容範囲でしょう。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は約1ヶ月。ただし、ゲーム中では日付の表示がないため、それ程
日付を意識することはありません。……その割にはクリスマスやら大晦日など、
特定の日を指定したイベントがあったりするのですが(^^;

ワンプレイは7〜9時間。やや長く感じました。音声がほとんどないために、
読む速度でプレイ時間は結構変わってくると思いますけど。
ただ、共通部分を除けば1〜2時間程度ですので、繰り返しプレイ時には
スキップを使えばそれほど時間はかからないかと思います。

難易度は低め……だと思うんですけど、私は2回バッドエンドを見ました(^^;
ええ、ナチュラルに。バッドエンドでもCGがあったりするので無駄ではないの
ですが、誰に告白してもダメなエンドはかなり厳しいです(^^;
基本的に狙ったキャラに逢い続けるような選択をすればいいようですが、
イベントを1つ見逃しただけでクリアできなかったりするので、ちょっと注意が
必要かもですね。
総評
お奨め度ですが、ほのぼの純愛ストーリーが好きな人に超お奨め。
終始ほのぼのまったりとした雰囲気で、キツい展開もほとんどないため安心して
プレイすることが出来ます。裏を返せば大きな盛り上がりやメリハリがないとも
言えるのですが、会話は楽しいですし、感情移入度も高めなので、退屈に感じる
ことはないと思います。
キャラクターも可愛らしく、萌え重視の人もばっちりです(^^)

あと、主人公がこころナビを使ってWebを巡回したり、ホームページを公開したり
するわけですが、この描写がなかなかリアルで丁寧で良かったです。
ネットで活動している人、特にサイトを持っている人には実体験と重なる部分が
あったりして、なかなか面白いかもですね。
# しかし、サイト公開して2日でアクセス2000ってすげーな(^^;

難点としては、まずシステム回り。必要最低限のシステムは揃っているのですが、
ホントに必要最低限という感じで、各機能もやや使い勝手が悪く、快適とは言え
ないのが残念です。スキップもやや遅めですし。
そして何よりプロテクトがありますので誤爆の危険性も捨て切れません。
というか、実体験してますので(^^;

そして、非常に長い共通部分、これも微妙ですね。内容自体は面白いのですが、
どんな選択をしても基本的な流れは同じため、何度も繰り返しプレイしていると
さすがに厳しいです。もう少し選択によって流れが変わって欲しかったです。
さらに言えば、その長い共通部分を終えて入った個別シナリオですが、これが
かなり短くて、あっさりと終わってしまうためにやや物足りなさを感じます。
ヒロインの誰かと仲良くなってラブラブ萌え萌えな展開が続く非常に美味しい
パートなわけですから、この部分はもっと丁寧に描いて欲しかったですね。
ここがメインとも言えるわけですから。

まあ、以上のことを差し引いても、キャラクターの可愛さや会話の楽しさは
かなりのもので、純愛ラブラブな展開はかなり萌えますので、充分楽しめると
思います。音声に関してはなかったことにしてください(笑)

お奨め度は7としていますが、システム回り、特にプロテクト誤爆も考慮して
この点数にしていますので、「うちはAlpha-ROMでは誤爆しないぜ」という
自信のある人はお奨め度に+1しても問題ないかと思います。
そのぐらい、純粋に作品としては楽しめました。

最後に、お約束ですがコナエンドきぼー(笑)
# 結局コナについてはほとんど説明されていないような(^^;


以下、若干ネタバレチックな総評。まあ、プレイ前に見てもさほど影響はない
かと思いますが、極力ネタバレを避けたい人は回避を。

キャラクターに関して、これだけは言っておかねばならないでしょう。
ヒロインの1人である凛子は妹です。義妹ではありません。実の妹です。
……なかなかチャレンジャブルですね(^^;
しかし、シナリオが実に上手く練られていて、見事なストーリー展開に感心して
しまいました。これぞ妹に対する愛、という感じですねー。
ということで、妹属性の人は迷わずいっちゃって下さい。
このシナリオだけでも充分プレイする価値があると思います。

そして、ラウンダーはどうせ現実世界のヒロインの誰かと対応しているので(笑)、
どのキャラが誰と対応しているのかを考えながらプレイするのも面白いですね。
そして、それがわかった後でもう一度プレイし直してみると、また新たな魅力が
見えてきたりするのでなかなかいい感じです。ラウンダーと現実世界のヒロインが
対応していない場合もありますけどね。

しかしこのゲーム、前作の「たいせつなうた」とゲームの構成がとっても良く
似てますよね(^^; まあ、二重世界物ってどれも似たような構成・展開になって
しまうかとは思うんですが……。妹の扱いも……ね(笑)


で、ここからはさらに凶悪なネタバレなので、未プレイの人は回避推奨。





ところで凛子シナリオ、てっきりあのまま主人公をなかったことにして終わるの
かと思ってました(^^;
しかし、凛子エンド後、果たして主人公はいつまで我慢できるでしょうか(笑)
# 半年も保たずに手を出してしまいそうですが(^^;



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