待宵草〜まつよいぐさ〜
ブランド名 パティスリー ジャンル ADV
発売日 2003.08.01 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(150x215x32mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 497.6MB、CD-DAなし
原画 陽之星照 シナリオ 反転星
音声 フルボイス、
本山美奈、長崎みなみ、籐野らん、青山ゆかり、まきいづみ、島香麗子、無限穣二
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 50箇所 なし
おまけ CG閲覧、シーン回想、音楽鑑賞
対象属性 純愛、義妹、お兄ちゃん、金髪、ボブカット、オーバーニーソックス、ショートカット、
猫耳、黒髪、スクール水着、体操服、ブルマ、ストレートロング、裸エプロン、人形、
赤髪、着物、和服、ポニーテール、リボン、ツインテール
1プレイ時間 7〜8時間 お奨め度 7

レビュー
概要
主人公・千亜樹と妹のはつみは夏休みを利用して3年ぶりに親戚である神林家を
訪れた。神林家は旅行のために両親が不在で、その間の面倒を見ることも兼ねて
主人公達は呼ばれたらしい。神林家には2人の姉妹と家政婦がおり、主人公達は
楽しい毎日を過ごす。そしてある日主人公は、興味本位で倉庫の整理を始める。
そこで主人公は1体の人形を発見する。すると、その人形は動きだし、主人公に
「パートナーになれ」と言う。なんでもその人形は、人を他人の夢に送り込むことが
出来るという。実際にそれを体験し、その楽しさから主人公は、パートナーとなる
ことを引き受ける。しかし、入り込んだ夢の中には、秘密が隠されていた。果たして
謎の人形・紅巴の正体は。主人公と神林家に住む少女達の運命は……という、
伝奇調のアドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

千木はつみ(ちぎはつみ)。(CV:まきいづみ)
主人公の義妹。しかし、血が繋がっていないことは知らされていない。
ある時を境に成長が止まってしまったため、外見は幼い。
主人公のことが大好きだが、兄妹だからと諦めている。

神林夕姫(かんばしゆうき)。(CV:籐野らん)
色白で大人しい。昔は明るく何でも話す子だったが、いつの間にか口数も減り、
静かになってしまった。言動がちょっとズレている天然少女。

神林観月(かんばやしみつき)。(CV:長崎みなみ)
神林家の長女で、小さな会社の社長さん。食べるのが大好き。
性格は大胆にして細心。……というか、思い切りの良さだけで突っ切るタイプ。
親分肌で面倒見がよい。
妹の夕姫を主体に物事を考えるシスコン。むしろ姉バカ(笑)

霞サキ(かすみさき)。(CV:青山ゆかり)
神林家に住み込みで働いている家政婦さん。この若さで神林家を裏から操る(笑)
穏和な性格で、笑顔を絶やさないムードメーカー。
家事全般を完璧にこなし、運動神経も優れている。
SGHK(スーパーグレートハウスキーパー)と呼ばれている(笑)

紅巴(くれは)。(CV:本山美奈)
主人公が倉庫で見付けた人形。主人公に「パートナーになれ」と命令し、毎晩
誰かの夢の中に主人公を送り込む。
わがままで自分勝手で主人公を下僕のように扱うが、心優しくお節介な面も。

桃山光(ももやまひかる)。(CV:島香麗子)
観月の会社で働くキャリアウーマン。色気たっぷりの女性で、ことあるごとに
主人公を誘惑する。

絵の方はやや個性的な絵柄ですが、なかなか可愛らしいですね。描き分けもよく
出来ていると思います。一部、やや崩れているように感じる絵もあるにはあるの
ですが、さほど気にはならないでしょう。
CGの処理も、絵の個性を活かすような感じでいいですね。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともそこそこ用意されていて、アクションも大きい
ため、感情が伝わりやすいですね。サキが照れたときの顔とかすっごく好きかも。
しかし、まるで魔境のように語られていた倉庫の絵ですが、見た感じとても綺麗に
整理されているのでちょっとがっかり(笑)

キャラクターは個性がはっきりしていて親しみやすいです。
キャラクター同士の会話も楽しく、いい雰囲気ですね。
いつも笑顔でマイペースなサキさんLOVE(^^)
そして、由香里ちゃん萌え。←サブキャラかよ!(笑)
# なんか、猫耳っぽいんですけど(^^;

音声はキャラクターとのマッチングもよく、演技も問題なし。
会話が楽しいゲームなのですが、その会話をより一層盛り上げてくれます。
紅巴は最初ちょっと違和感を覚えましたが、プレイしているうちに慣れましたし、
設定が解れば「なるほどなー」という感じでした。

音楽はほのぼのとした感じの曲が多いですね。ゆったりとしたのどかな雰囲気が
出ていると思います。もちろん、緊迫したシーンにはきっちり緊迫した雰囲気の
曲が使われていますのでご安心を。

オープニングはなしで、エンディングも歌はなし。まあそれはいいのですが……
エンディングの曲、あまりにもショボくないですか?(^^;
盛り上がって、綺麗にまとまったラストシーンの後で、この寂しい曲が流れたの
では、せっかくの盛り上がった気分が萎えます……。
システム
まず最初に、このゲームはDirectX 9.0以上が必要になります。なので、対応して
いない環境では警告が出たりします。ええ、Millennium G400を使っている私も、
「ブレンディング能力に問題がありました」と言われました(T_T)
# まあ、普通にプレイは出来ましたが。

ちなみに、DirectX9.0が入っていないとインストーラが起動するのですが、この
インストーラではDirectX9.0は正しくインストールされないようなので、注意が
必要ですね。

インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢決定などは
キーボードで可能ですが、オプションメニューの中などはキーボードでは操作
出来ないっぽいです。ただし、キーボードで操作する時はマウスカーソルが
ウインドウ内に入っている必要があるようです。
ゲームを起動すると、タイトルロゴが出て「Press Any Key」と表示されるの
ですが、その後のタイトルメニューはキーボード操作不可なんですね(^^;
既読スキップ、強制スキップ、履歴表示、自動再生搭載。
履歴表示はマウスのホイール機能に対応していますが、表示自体はホイール
では出来ないようですね。履歴表示中の音声再生も可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。ただし、画面サイズの指定は起動時に
しか出来ず、ゲーム中に切り替えは出来ないようです。画面サイズは800x600。
そして、なんとこのゲームはウィンドウモードでプレイしているときは、画面の
サイズを自由に変えることができます。ただ、アスペクト比は保持してくれない
ので、ヘタにサイズを変えると歪んだ絵になってしまいますが。
動作は重め。キーを押してから反応が返ってくるまでに若干のタイムラグがあり、
そもそも選択肢などにカーソルを合わせたときもすぐに反応せず、暫くしてから
クリック出来るようになったり、かなりストレスが溜まります。
画面の描き換えもやや時間がかかりますね。画面効果をOFFにしても、あまり
改善されません。
そして、メッセージスキップも画面の描き換えでいちいち引っかかるため、もはや
マトモに使える速度ではありません。ただ、「既読完全スキップ」の機能を使えば
既読部分は一切メッセージを表示せずスキップできるので、こちらは高速です。

セーブ箇所は50箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、ゲーム内日付とシーン画像が格納されます。
数としては選択肢のそこそこ多いゲームで、やや攻略も大変なため、もう少し
あってもいいかもですね。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が神林家を訪れるところから始まります。道に迷ったりいろいろ
しながらなんとか神林家に辿り着き、3年ぶりの再会を喜ぶ。
そして特にやることもないので、興味本位で巨大な倉庫の整理を始めたところ、
少女型の人形・紅巴と出会う。紅巴は、人を夢の中に送り込む力があり、毎晩
誰かの夢の中に主人公を送り込んでくれる。
……入り込んだ夢がHな夢ばかりなのは仕様ですか?(笑)
しかし、毎晩夢の中に入るために夜中にこっそり抜け出して倉庫に行く主人公は
めちゃめちゃタフですね(^^; 寝不足ではないのでしょうか。
夜中に抜け出すことに気付いていない住人達もどうかと思いますが……。
# 特に、サキはすぐに気付きそうなんですけどねー。

そんなこんなで、昼間は神林家の人達と楽しく暮らし、夜は夢の中に入ってHな
ことをするという生活が続きます。

前半はのどかでのほほんとした雰囲気で進みます。キャラクター同士の会話が
とても楽しく、見ていて和みます(^^)
# 千亜樹(主人公)を独占するのは、憲法で禁じられているらしい(^^;

そして後半、紅巴の真の目的、主人公が夢の中に入り込む意味等が語られた
あとは、ちょっと緊迫したシリアスな雰囲気に。
様々な悩みを抱えた少女達と接していくという感じになるのですが、それでも
キャラクター同士の絡みは健在で、お互いに支え合ったり励まし合ったりする
ところは、見ていて心打たれます。

ラストは少女達が抱えた問題を解決してハッピーエンド、という感じではあるの
ですが、全て丸く収まってハッピーという感じではなく、ちょっと引っかかる所が
あるような終わり方ですね。

その各ヒロインの個別シナリオですが、どうもラストの展開が弱いと感じました。
面白くないとか盛り上がらないとかそういう意味ではなく、ラストの方は対象と
なっているヒロインがほとんど不在、もしくは介入しないような状態で進んで
いくため、ラストシーンで突然そのヒロインとハッピーになっても、今ひとつ
現実味がないというか納得できないというか。それが「ちょっと引っかかる」
理由でもあると思いますけど。

あと、気になったのは主人公の外見。たまに主人公の顔が出てくるのですが、
なんか絵を見てるとめちゃめちゃスカした野郎なんですけど(^^;
ちょーっと感情移入しづらいかもですねー。
# あのスカした顔で熱く語られてもね(^^; せめてサングラスはやめて……。

H度は……並でしょうか。各ヒロインは、夢のシーンもあわせれば複数回用意
されていますが、各シーンともやや尺が短めで、描写もあっさりめのために、
やや物足りなさを感じます。
あと、初めての場合でもほとんどそういう描写がないので、初めて好きの人は
注意してください(笑)

テキストはノリが良くて読みやすくていいですね。ただ、文章の途中、ちょっと
変なところで改行が入っていたり、それにも関わらず、反禁則処理がいくつか
見受けられるのは謎ですね。禁則処理のための改行ではないのでしょうか……。
プレイ時間・難易度
ゲームは8月2日の土曜日から始まります。このゲームが発売された次の日から
始まるというのは、なかなか心憎い演出ですね(^^)
これはあれですか? リアルタイムプレイをしろということですか?(笑)
ゲーム期間は2週間です。

ワンプレイは7〜8時間。1日ずつプレイしていくタイプの作品で、期間の割には
やや長めに感じました。

難易度はやや高め。基本的に狙ったキャラクターと逢って、夢に入っていれば
OKなのですが、イベントを1つ見逃しただけで狙ったエンディングに到達出来
なくなってしまったり、選択肢を選んだときの効果も解り辛いため、本当にその
選択が正しいのかどうかがわかりません。しかも、後半かなり進んだところまで
行かないと誰のシナリオに入ったかは解らないため、どこで間違ったか解り辛い
ですね。
そして、あるシナリオは、狙ったキャラと逢い続けるだけではダメで、ワザと逢わ
ないようにしなければいけないところがあり、このシナリオに入るのはとても大変
でした。
シナリオを読ませることがメインの作品だと思いますので、もう少し難易度は
下げても良かったのではないでしょうか。
あと、途中にミニゲーム的なものがあって、ちょっと頭を使いますね。
キャラクターに関するクイズでは、そのキャラクターに関することを答えなければ
いけないのですが、それまでのシナリオをしっかり読んでいないと判り辛い問題も
ありますから注意が必要です。私は当然一発クリアでしたが(^^)
# 愛です(笑)
総評
お奨め度ですが、ちょっと不思議な純愛ストーリーが好きな人にお奨め。
基本的に女の子たちは主人公にラブラブですので、日常生活では甘ったるい
会話が楽しめますし、夜は夢の中でHなことが楽しめるようになっています。
ただ、あまったるいだけでなく、後半はシリアスな展開になったり、ちょっとキツい
ハードな展開になったりもしますので、メリハリはあります。

このゲームの特徴は、やはりキャラクター同士の会話の楽しさでしょうか。
キャラクター同士の関係が絶妙で、面白おかしくしゃべったり、落ち込んだときは
励まし合ったり、主人公とヒロインだけでなく、ヒロイン同士の掛け合いや関係も
丁寧に描かれていて好感が持てます。
# 4人から同時に突っ込まれるのは壮観です(笑)

特に観月とサキの関係とか、観月と夕姫の関係とか、見ていて微笑ましいです。
個別シナリオに入っても、きっちり他のキャラクターがシナリオに絡んでくるのが
いいですね。
# むしろ、対象となるヒロインのほうが出番少なかったりするのですが(^^;

ただ、この作品は夢の中で女の子といろんな体験をするわけですが(主にH(笑))、
現実でその女の子に出逢ったときにはそのことはほとんど影響していないため、
「夢に入り込む」という設定がちょっと浮いているように感じます。
もう少し、夢で起こったことと現実とをリンクさせるとか、せめて女の子の反応が
変わるぐらいはして欲しいですね。
一部そういう描写はあるにはあるのですが、ちょっと弱いです。

……ところで、夢の世界でその人を傷つけると、現実世界でもその傷が残ると
いうことですが、それって、夢の世界で初めてを貰っちゃったら、現実世界でも
傷物になっているということでわ?(^^;

そして、残念なのはシステム回り。DirectX9.0以上必須というのはまあいいと
して(あんまり良くないですけど(^^;)、まず、システム重すぎ。
CPU使用率はそれほど高くないのですが、とにかくレスポンスが悪い。
選択肢の上にカーソルをのせて、色が変わるまで2〜3秒かかることもあり、
かなりイライラします。
メッセージスキップも凶悪に遅く、もはや使い物になりませんね。
まあ、メッセージスキップに関しては、「既読完全スキップ」の機能を使えば
問題ありませんけど。ジャンプしたところでも履歴表示は使えますので、その
前のシーンは確認することが出来ますし。

システム周りはやや貧弱ですが、内容の方は、会話が楽しく、キャラクターが
しっかりと描かれている作品で、ややラストのインパクトには欠けますが、上手く
まとまっているいい作品だと思います。
ちょっと設定に強引なところも見受けられますが、それがほとんど気にならない
ぐらいの力はあるシナリオだと思います。
雰囲気が気に入った方は是非どうぞ。

最後に。血液戦隊ブラッドファイブ。……生々しい戦隊ですね(^^;
# しかも、全部レッド(笑)


で、ここからはネタバレチックな感想。
このゲーム、ネタバレしないように語るのって凄い大変なんですよ(^^;

ぶっちゃけ、ラストの方は紅巴が目立ちすぎて、しかもその紅巴があんな事に
なっているにも関わらず、その後いきなり他のヒロインとラブラブになってしまう
というのは、ちょっと都合良く感じてしまいました。
せめて、あの戦いのあと、エピローグに入る前にエンディングテーマを流して
しまって、それが終わってからエピローグに入るようにすれば、まだ違和感も
少なかったと思うのですが。そのために紅巴の絵を表示してからエピローグに
入っているのかも知れませんが……。

あと、夕姫シナリオで明日が運命の日だと解っていながら、観月は父親が倒れた
のでそれを見に行って、大丈夫だからと言いつつ笑いながら「2,3日こっちにいる」
はないだろう(^^; 父親は大丈夫なんだったら、夕姫のために戻ってきてやれよ(^^;
辛い現実から逃げたいという気持ちもあったんでしょうけど、あれでは観月が
冷たい人間に思えてしまうのですが(^^;

そして、ほぼ全シナリオのラストに入っている「紅巴という存在はなんだったん
だろう」という言葉、夕姫シナリオではあまり相応しくないような……。
ある程度語られちゃってますからねぇ。
# つーか、バレバレですが(笑)

ということで、細かいことを言えばいろいろあるんですけど、でも充分楽しむことは
出来ました。紅巴シナリオはかなり良かったです。まあこれがメインシナリオという
感じですからねー。『待宵草』もこのための設定な気がしますし。
# 紅巴シナリオ、入るのすげー難しかったですけど(^^; あれは気付かんて……。



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