新・御神楽少女探偵団
ブランド名 elf ジャンル 推理トリガーシステムAVG
発売日 2003.12.26 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(228x163x37mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 3.62GB(DVD-ROM)
原画 さめだ小判、SHINYA シナリオ 河野一二三
音声 フルヴォイス
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 30箇所+簡易保存1箇所 あり(2曲、OP・ED)
おまけ チャプター回想、CG鑑賞、イベント回想、音楽鑑賞、ダイジェスト、おまけシナリオ
対象属性 推理物、ミステリー、猟奇殺人、陵辱、眼鏡っ娘、お下げ、ポニーテール、リボン、紫髪、
ストレートロング、ヘアバンド、お嬢様、着物、ボブカット、シスター、ショートカット、黒髪、
中国娘、チャイナドレス、お団子頭
1プレイ時間 9〜15時間 お奨め度 6

レビュー
概要
時は大正9年。帝都に開業していた御神楽探偵事務所は、所長の不在により
事務所を閉じていた。そしてある日、所員の元に所長が中国の大連にいると
いう情報が入り、大連に向かう。そしてそこで、様々な事件に関わっていくこと
になる……という、推理トリガーシステムAVG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

桧垣千鶴(ひがきちづる)。
御神楽探偵事務所の所員。控えめで大人しいが、冷静沈着で芯が強い。

鹿瀬巴(かのせともえ)。
カフェー山茶花で働く女給。御神楽探偵事務所の所員。
明るく活発で、御神楽探偵事務所員のリーダー的存在。

久御山滋乃(くみやましげの)。
御神楽探偵事務所の所員。華族の生まれであるお嬢様。プライドが高い。

倉元あかね(くらもとあかね)。
大連に向かう船の中で出会った少女。

野中五十鈴(のなかいすず)。
大連の教会に勤めるシスター。

美作すえ(みまさかすえ)。
どこか愁いを帯びた雰囲気のある謎の女性。

浜中夕子(はまなかゆうこ)。
座敷割烹『ことら』の女将。

梁芳蘭(りょうほうらん)。
御神楽探偵事務所の面々がお世話になる中華娘。

生駒梓(いこまあずさ)。
ナイトカフェー鶺鴒の女給。明るく親しみやすい女性で、巴達にも良くして
くれる。

鶴牧要(つるまきかなめ)。
伊福部邸で家庭教師をしている女性。

伊福部知佳(いふくべちか)。
伊福部家の一人娘。エキセントリックな性格(笑)

野上糸(のがみいと)。
伊福部邸の女中。巴達の知り合い。

神原多喜子(かんばらたきこ)。
浪速町の外れで興行を行っている芸人。

絵の方は可愛らしくすっきりした絵柄ですね。CGの処理も綺麗だと思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化とも豊か。変化が大きく、アニメチックな演出も
多用されていて、見ていて楽しいです。目パチ・口パクもあります。
前作とはキャラデザからして変わっているので、もはや「あんた誰?」という状態
なのはご愛敬(笑)

キャラクターは探偵団の面々は三者三様で、サブキャラクター達も個性豊かな
キャラクター揃い。
そんな個性豊かなキャラクター達の中で、野上糸が一際いい味出してます(笑)

音声は……微妙。キャラクターとのマッチングも、今ひとつに思えるキャラが
ちらほら見受けられますし、女性キャラクター、特にメイン級のキャラクターは
今ひとつ演技に物足りなさを感じます。巴は結構いいとは思うんですが。
逆に男性キャラクターは、皆さん演技も達者で非常にいい味を出しています。
キャストは非公開ですが、かなり豪華な面々が出演なさっていますね。
一部「あんたそれ反則だろう」と思えるキャスティングもあったりして(笑)
# どう見ても名探偵コナンの目暮警部な森松警部補とか(笑)

音楽はほのぼのした曲からもの悲しい曲、勇ましい曲など、多種多様。
シーンに合った曲が使われており、雰囲気を盛り上げてくれます。

ゲームを開始するとプロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌の方はちょっとジャジーな雰囲気のアップテンポな曲。
絵の方は曲に合わせてコロコロと切り替わったり、良く動いていると思います。
ただ、リアルな背景の上にアニメチックなキャラクターが乗っているため、若干
違和感を覚えます。

エンディングも歌あり。こちらも独特の雰囲気がある曲ですね。
絵の方は、水面の下にキャラクターの絵が表示されるという、面白い演出に
なっているのですが、面白いだけで見づらいです(^^;
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢の決定は
キーボードで出来ますが、移動場所選択やメニューの操作はキーボードでは
出来ないようです。
既読スキップ、強制スキップ、自動進行搭載。バックログはありません。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作は比較的軽快。

セーブ箇所は30箇所+簡易保存1箇所。セーブは章の終わりにのみ可能です。
簡易保存はメニューが出せる所(移動場所選択や会話相手選択など)で可能
です。
セーブデータはセーブ日時の他、話のタイトルと章のタイトルが保存されます。
数としては、セーブポイント全てでセーブするとちょっと足りないのですが、
数分で終わる短いチャプターなんかもありますし、そもそもセーブ/ロードが
あまり必要のない作品だと思いますので、これだけあれば足りるでしょう。
どっちみち、チャプターの途中ではセーブ出来ませんし、ね。

システムはマップ移動場所選択+選択肢決定+クリックポイント+推理トリガー。
マップ移動場所選択は、その名の通りマップ上から移動場所を選択します。
移動できる場所はマークが付いています。どこに誰がいるかなどの情報は
表示されません。
選択肢決定はオーソドックスな物ですが、この作品の場合、誰が犯人か、
動機は何かなど、事件の核心に迫る重要なシーンで使われます。
クリックポイントは、事件現場などで画面をクリックすることにより、証拠を
探したりするときに使用されます。クリックできる箇所はカーソルを合わせ
るとマークが表示されますのでそれほど苦労はしないでしょう。
そして推理トリガーですが、会話の中でポイントになると思われるセリフが
出てきたときに、推理トリガーを使用できます。本当に事件の鍵となる所で
トリガーを使用すると、推理ポイントが加算され、ストーリーが進展します。
チャプターをクリアしたとき、推理トリガーをどれだけうまく使ったかによって
ランク付けがされ、探偵星が加算されます。
この探偵星は、特殊なイベントを見るときのポイントとして使用します。
シナリオ・プレイ感
ゲームの方は、所長の御神楽を追いかけて、所員達が大連に到着した所
から始まります。そこで所長を捜しているうちに事件に巻き込まれていく……
という感じですね。

ゲームは3つの話からなっており、各話がそれぞれ複数のチャプターに分か
れています。ただ、各話に登場するキャラクターは共通のキャラが多いですし、
話も繋がっていますので、全体で大きな1つの話、という感じですね。

ストーリーは終始緊迫した感じで進みます。まあ、まわりで事件が起こって
いて、その捜査をしているわけですし、ね。
まあ、一部コミカルな会話もあるにはありますが。
# 「絵まで出してるのにこれが嘘でしたなんてなったら、もう推理ゲームじゃ
# なくなっちゃいますからね」……こらこら(^^;

いろんな人と会話をし、推理トリガーで情報を集めていくうちに、どんどん
ストーリーが進展し、新たな事件が起こったりして、息もつかせぬ怒濤の展開
という感じです。与えられる情報量は絶妙で、徐々に謎が明らかになっていく
過程がうまく描かれていると思います。

一部、「ちょっとそれは強引じゃないか?」と思える部分や、「そんなこと今更
言わなくてもわかっているよ」と思える部分はないことはないですが、全ての
人に同じように感じさせるのはなかなか難しいでしょうし、ね。
充分許容範囲だと思います。

H度は低め。数としてはそこそこあるのですが、どれも尺が短いです。
描写の方も淡泊で、あっという間に終わってしまう感じです。
「たっぷりと時間をかけた愛撫」が、わずか3メッセージぐらいで片づけられて
いるのはいかんともしがたく。

テキストは誤字等もほとんど見あたらず、丁寧で読みやすいと思います。
あまりクセもなく、すんなり入っていける感じですね。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は不明。結構長い期間大連に滞在しているような。

ワンプレイは9〜15時間。各話ともすんなりクリアして3時間程度、まわれる
場所は全て回って、会話も全部聞いて4〜5時間といったところでしょうか。
トータルで、だいたい10時間ちょいといったところでしょうか。
一発ですんなりクリアできたとして、ですが。

難易度はやや高め。基本的に移動場所を虱潰しにまわって、会話できる
限り会話しまくるという感じなのですが、ポイントとなる所で推理トリガーを
使わなければならず、ポイントを外すと無駄弾を使うことになります。
推理トリガーの数はある程度余裕はありますが、手当たり次第に使うと
すぐになくなりますし、間違えるとランクが下がって貰える探偵星が減ります
ので、使いどころはよく考えないといけません。
ただ、慣れるとだいたいポイントは判るようになりますし、一度見過ごしても
もう一度会話をすれば同じポイントが出てきますので、焦らずじっくりと進め
れば、クリアは出来るでしょう。
パッケージには「一発攻略率約3%」とか書かれてますけど、さすがにこれは
言い過ぎな気がします。おそらく推理トリガーを使える総数と、有効な場所の
数の比率で単純に出したんでしょうけど。
総評
お奨め度ですが、推理物が好きな人にお奨め。ただし、凌辱シーンがあったり、
猟奇的でエグいシーンも結構ありますので、そういうものに耐性のない人には
ちょっとキツいかもです。
殺人現場の検証で、かなりエグい画像を見せられたりしますし、ね。

ポイントとなるところで推理トリガーを使用し、謎解きも選択肢で行うため、
「推理している」という雰囲気がとても良く出ており、推理物が好きな人なら
なかなか楽しめると思います。
ただ、推理トリガーの使いどころがちょっと難しいのと、セーブが基本的に
チャプターの最後(次のチャプターの頭)でしか出来ないため、やり直すのが
ちょっと面倒ですけど。
ただ、チャートなどを見てしまうと、せっかくの「自分で謎を解き明かして
いく」という雰囲気が薄れてしまうので、難しいところですが……。

あと、移動場所を総当たりする必要があったり、会話も同じ会話が続くように
なるまで何度も繰り返し会話をしなければならないなど、ちょっと作業に感じ
面倒なところもあるので、お手軽にはプレイできませんね。
まあ、実際の捜査ってこんな感じなんでしょうけど、もう少しプレイしやすく
する配慮があっても良かったかも。

ともあれ、謎を解き明かしていくという雰囲気はとても良く出ている作品だと
思いますし、用意されている情報はちょうどいいぐらいだと思いますので、
簡単なゲームに飽きた、ちょっと手応えのある推理物をプレイしたい人は、
是非どうぞ。ちょっとプレイする人を選ぶゲームだとは思いますけど。
1作目の「御神楽少女探偵団」と、2作目の「続・御神楽少女探偵団」の
PC移植版も同梱されていて、なかなかお買い得ですし。
まあ、キャラクターの顔があり得ないぐらい変わってたり、声まで違ってる
気がしたりはしますけど(^^;

最後に。「ミスアメリカ?」「それじゃバトルフィーバーでしょ」待てお前ら。
今って大正9年じゃねーのか? バトルフィーバーJなんてやってねーだろ(笑)


「続・御神楽少女探偵団〜完結編〜」の続編とはこれいかに。
実は完結していなかったってこと?(笑)



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