RUN | |||
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ブランド名 | Lip2 | ジャンル | ノベルタイプAVG |
発売日 | 2003.03.20 | 定価 | \8,800 |
パッケージ | 紙製パッケージ(168x230x42mm) | マニュアル | A5ブックタイプ |
DISC容量 | 427.6MB、CD-DAなし | ||
原画 | 綾風柳晶 | シナリオ | 卑影ムラサキ with 企画屋、 東八千代、Teufel |
音声 | ヒロインフルボイス、西田こむぎ、長崎みなみ、吉川華生、かわしまりの、草柳順子 | ||
インタフェース | フルキーボードサポート | 描画 | Window・フルスクリーン両対応 |
セーブ箇所 | 100箇所 | 歌 | あり(1曲、ED) |
おまけ | CG鑑賞、Hシーン回想、BGM鑑賞 | ||
対象属性 | 純愛、義妹、お兄ちゃん、ストレートロング、茶髪、リボン、ヘアバンド、しましま、 ポニーテール、パンチラ、看護婦、ナース服、青髪、幼なじみ、お下げ、黒髪、 着物、巫女さん、巫女装束、女医、白衣 |
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1プレイ時間 | 3〜5時間 | お奨め度 | 6 |
レビュー |
概要 |
尊敬していた父が亡くなり、自分も父のようになりたいと思った主人公は、 父が遺した古いバイクに乗って、父が昔やっていたというあてのない旅に 出ることにする。そして出発した初日、道の真ん中に倒れ込む少女と出会い、 その少女と一緒に旅をすることになる。そして立ち寄った街で様々な人と 触れ合う主人公。果たして主人公はこの旅の中で父にあって自分にない 何かを掴むことは出来るのだろうか……というノベルタイプアドベンチャー。 |
キャラクター・CG・音声・音楽 |
キャラクターは以下の通り。 久保芹乃(くぼせりの)。(CV:草柳順子) 義妹。良く言えば繊細で純情な、悪く言えば気弱で涙もろい女の子。 甘えん坊で内気で目が離せない。 ナナ。(CV:西田こむぎ) 旅の途中で出逢った謎の少女。名前も住所も年齢も何も話してくれない。 一人旅の途中で、主人公と一緒に旅をすることになる。 時代劇のような古風な話し方をする。常識知らずで純真で素直。強気でわがまま。 小野琴子(おのことこ)。(CV:吉川華生) 旅先の街で出逢った幼なじみ。。優しく面倒見の良い看護婦。 江田島愛唯(えだじまうい)。(CV:長崎みなみ) 旅先の街で出逢った甘味屋の看板娘。 おっとりマイペースで、困っている人がいると力になりたくなる優しい女性。 住吉姫美子(すみよしひみこ)。(CV:かわしまりの) 旅先の街で出逢った女性。明るくさばさばした性格。酒好き。 絵の方は細身のすっきりした可愛くかつ綺麗な絵ですね。 イベントCGはなかなか綺麗で、表情変化もあっていい感じです。 シーンによっては若干キャラの印象が違って見えるものもありますが、 まあ許容範囲でしょう。 # 季節はすっかり逆になり風は冷たくなったけど、着ている服は半袖(笑) 立ち絵は表情豊かでポーズなどのアクションも数こそ少な目ですが大きく 動くために見た目の印象では良く動いているように思えます。 会話シーンはとても楽しいです。 個人的にはイベントCGより立ち絵の方がお気に入りだったり。 背景は使い回しが若干多いのが気になりますね。 全然違う場所なのに全く同じ背景が使われていたりしますので、もう少し 枚数があっても良かったかも。 キャラクターはナナ以外はみんなごく普通の女性という感じで、変な クセがなく非常に人間味の溢れるキャラクターですね。 性格付けははっきりしていますので、入り込みやすいと思います。 個人的には唯一異彩を放つナナが好きなんですが(^^) 音声はキャラクターと合っていて演技の方も申し分なし。 ナナは独特の口調や性格を見事に演じきっていて素晴らしいです。 琴子も心の動きがとても丁寧に演じられていて、感情移入しやすいです。 音楽は明るめのゆったりした曲が多いですね。のどかな雰囲気が漂って いる感じです。ただ、やや奥深さに欠ける感はあるのが勿体ないですが、 まあBGMとしては合格点でしょう。 エンディングは歌あり。歌の方は可愛らしい感じですが、ちょっと声量が 足りないと言うか、声が前に出ていない感じがします。 折角ナナの声優さんが歌っているわけですから、もっとキャラクターを イメージした歌にしても良かったんじゃないかなー、と思います。 ナナをイメージしたらもう少し力強い歌になりそうなんですけどねー。 もしくはすっごい時代劇調の歌になるか(笑) |
システム |
インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。 既読スキップ、未読スキップ、バックログ搭載。 バックログはマウスのホイール機能にも対応しています。 描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作の方は比較的軽快。 セーブ箇所は100箇所。セーブ/ロードは随時可能です。 数としては充分すぎるぐらいです。全ての選択肢でセーブしても使い切る ことは出来ないかと思われます。 セーブデータはセーブした日時の他、そのシーンの名前も記録されます。 たまにこのシーン名がネタバレっぽくなっているのはご愛敬。 システムは選択肢決定型のアドベンチャー。 メッセージが全画面表示のノベル形式です。 |
シナリオ・プレイ感 |
ゲームは一人旅を始めた主人公が、峠道でナナと出逢って始まります。 一緒に旅をすることになり、辿り着いた街で路銀を稼いだりするために しばらく逗留することになるのですが、そこで出逢った人達を絡めて 物語が展開していきます。 前半はキャラクター紹介的な明るく穏やかな話が続きます。 これといった大きな盛り上がりもなく、終始ほのぼのと進む印象ですね。 あ、いや、けっこー大変な事が起こったりはするのですが。 そして後半、その街で出逢ったキャラと共に歩むか、ナナと一緒に旅を 続けるかを選択することになります。明確な選択肢として出てこない場合も ありますけど。 ここでナナと一緒に旅を続けることを選択すると、その街で出逢った女性は サクっとなかったことにして、次の街に行くことになります。 ……主人公、ドライ過ぎです。 次の街でも同じようにある女性と出会い、そしてまたその女性と歩むか ナナを追いかけるかを選択することになります。 ここでさらにナナを追いかけるとナナとの話になるわけですが…… 一途なのか浮気者なのかわかりませんね、この主人公(^^; この作品の一番のネックはこの主人公の行動かと思われます。 主人公流されすぎ。てゆーか、ちょっとは疑問を抱け(^^; 道端で出逢った全く正体不明のナナと一緒に旅をしたり、ナナと一緒に 旅をしているにも関わらず出逢った女性にことごとくちょっかいを出したり、 そうかと思えばその女性をおいて街を離れるときは自分勝手な理由を 付けて「彼女なら一人で大丈夫」みたいなことを言って去っていくという。 金持ちのお坊ちゃんでそういうことに慣れていないのかも知れませんが、 いくらなんでも勝手すぎる気がします。感情移入はし辛いですね。 # 「それを認めてしまったら、自分はまるで女性から女性に気移りする、 # ただの女ったらしになってしまうような気がしてならない」……正解(笑) ##「……まあ、こんな美人だったら、キスぐらいしたくなっても…いいよな」 ##……ほぅら(笑) そして主人公はナナと一緒に旅をしているわけですが、殆どのシナリオでは 街に着いてしばらくすると主人公とそこにいる女性との話になってしまい、 ナナが殆ど出てこなくなってしまいます。 これではその女性と共に歩むかナナと一緒に旅をするかの選択に重みが 生まれてこないと思います。もう少し各ヒロインとナナを絡めてシナリオを 展開して欲しかったですね。 唯一琴子シナリオはこのあたりを上手く処理出来てていたと思いますので、 なかなか感情移入度は高かったです。 エンディングも上記のシナリオにおける問題と絡んだ問題が。 各ヒロインのエンドに入るときはナナとの旅をやめることになるわけですが、 この時の描写が非常にあっさりしていて、ナナが突然消えたり、あまつさえ ほとんどナナのことに触れられないままうやむやのうちに終わってしまったり しますので、それまでの展開が台無しです。 きっちりナナとの関係にもカタをつけて欲しかったですね。 そしてゲームの根幹であると思われるナナシナリオですが、最後が酷く ご都合主義かつ矛盾しているのはいただけないですね。 詳しい説明はネタバレになるので避けますが、ラスト付近のメッセージを よーく読むと明らかに時間の概念がおかしいです。 他のシナリオでも、ご都合主義ここに極まれりな展開が山盛りですが(^^; # いくらなんでもそこまで上手く行かないだろうという展開多すぎ……。 Hシーンは純愛物としてはそこそこのレベル。長さもそれなりに用意されて いますし、描写の方も丁寧だと思います。まあ各キャラ基本的に1回しか ないので物足りなさは感じるかも知れませんが。 特筆すべきは1回のHシーンにそこそこな枚数のCGが使われていること。 イベントCGの半分以上が各キャラ1回しかないHシーンに割かれているのは 純愛物としてはなかなか頑張っているかと思います。 ……いや、通常イベントCGが不足している、とも言えるのですが(^^; # イベントCG、Hシーンしか印象にないです……。 テキストは全画面表示のノベルタイプなわけですが、文字は見やすく テキストも読みやすいと思います。誤字・脱字も若干見受けられは しますけどほとんど気にならないかと思います。 1つだけ気になったというか、笑った誤字はありましたが。 # 「あれ以来、ナナがまら姿を見せなくなったことだ」……ふたなり!?(笑) |
プレイ時間・難易度 |
ゲーム期間は不明。旅の目的を達成するまでという感じですね。 ワンプレイは3〜5時間。最初に攻略できるヒロインをクリアするのに3時間、 その後に続けて攻略できるヒロインをクリアするのに5時間ちょい、という 感じでしょうか。 難易度は低め。誰のシナリオに入っているかは明確ですので、そのキャラ 寄りの選択をしていけば問題ないでしょう。ただ、たまに思いがけない 選択肢がシナリオの分岐になっていたりするのでちょっと注意が必要です。 一部やや選択肢の効果が解りにくいキャラがいますが、何度かプレイして いればわかるかと思います。 メッセージスキップはそこそこ高速ですから、繰り返しプレイはあまり苦に ならないと思いますし。 |
総評 |
お奨め度ですが、のどかな田舎町で暮らすほのぼのまったりストーリーが 好きな人にはお奨め。旅先の街で出逢った女性と過ごすうち、次第にその 女性に引かれていきつつ、自分のやりたいこと、大切なことを見付けて いくという所はよく描かれていると思います。 大きな盛り上がりこそないものの、きっちりまとまったストーリーになって いると思います。……ナナの存在さえなければ。 本来ならちょっと心温まるいい話……だと思うんですが、ナナの存在が 手放しで喜べなくしている気がします。 ナナと結ばれるときは他のキャラを見捨てているわけですし、他のキャラと 結ばれるときはナナをほったらかしにしているわけで。 どうしても罪悪感というか、心残りがありますね。 まあ、そこまで詳しく丁寧にドロドロとした描写はされていないので結構 さらっとスルーされてしまうのですが(^^; このあたりを丁寧に描きつつ、なおかつ雰囲気を壊さずに綺麗にまとめて くれれば、かなり高い評価が出来ると思えるだけに残念。 それと、このゲームは最初に2人のヒロインのうちどちらかのシナリオに 入って、そのヒロインのエンドに入らなければ次の街で2人のヒロインの うちどちらかのシナリオに入って、そこでもそのヒロインのエンドに入ら なければナナシナリオに入る……という感じになっているのですが、 最初のシナリオと次のシナリオをどういう組み合わせで選んでも、殆ど シナリオの内容に違いがないため2回の通しプレイでほぼコンプリート 出来てしまうというのはちょっと寂しいです。 ナナエンドまで行くのに5時間ぐらいですから、2回の通しプレイだと 10時間、共通部分をスキップすればこれより短く終わってしまいます。 ですのでやや物足りなさを感じるかも知れませんね。 シナリオの組み合わせによってイベントの内容が変わるとか、別の 展開があればもう少し楽しめたような気がします。勿体ないですね。 折角シナリオからシナリオに渡り歩けるシステムになっているのなら、 もう少しそれを利用して欲しかったです。 システムは必要と思われるものは一通り揃っていますし動作も快適、 メッセージスキップも高速で繰り返しプレイもストレスなし、CGも綺麗で キャラクターも可愛く、音声もばっちり、音楽もBGMとしては問題なしで パーツパーツを見ればなかなか良くできている作品なのですが、シナリオ 間の繋がりと、ナナと一緒に旅をしていることを上手く活かせていない という点が全体のまとまりをやや損なってしまっているかなぁと思える 勿体ない作品です。 そして何より主人公が非常に流されやすく考えなしのヤツなので、感情 移入がし辛いのもマイナスですね。 ただ、雰囲気はとてもいい感じですし、シナリオもナナのことを度外視 すればそこそこまとまった話ですから、ゲーム自体がやや短めなことも ありますので息抜きがてら気軽にプレイする分には良いかと思います。 雰囲気が気に入った方ならどうぞ、という感じですね。 ただし、プレイする前には必ず同梱されている修正FDのファイルを入れて プレイしましょう。さもないととっても寂しいことになります(^^; しかし、せめて自動でインストールされている場所を探してアップデート するようにとか出来なかったのでしょうか……この修正ファイル……。 ところでこの話の発端って何かを見つけるためのバイク旅行……のハズ ですが、ほとんど旅をしてないような気がします(^^; シナリオ中での実質移動距離、バイクで2日(笑) いや、オンロードをぶっ飛ばせばそこそこ移動は出来るでしょうけど、 古いバイク、かつ2人乗りで、しかも峠道などを多く走っているという 状態ではそれほど移動できているとは思えないのですが。 まあ、移動距離だけが問題ではないですけど、ゲーム期間中ほとんど 街に滞在しているというのはどーよ(笑) 最後に。「芹乃は義妹、芹乃は義妹、芹乃は義妹」……それ、自分に言い 聞かせているつもりなのでしょうか? 逆効果としか思えないのですが(笑) |