3days-満ちてゆく刻の彼方で-
ブランド名 Lass ジャンル 無限軌道オカルティックサスペンスAVG
発売日 2004.06.25 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(168x230x40mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 GameDisc-1 : 437.8MB、CD-DAなし
GameDisc-2 : 408.3MB、CD-DAなし
Original sound track : CD-DA=527.7MB、CD-DA25トラック
原画 萩原音泉ramis シナリオ LEGIOん、玉沢円、剣技マナ
音声 あり、一色ヒカル、楠鈴音、青山ゆかり、金田まひる、文月かな、常磐もも、児玉さとみ
青葉繁、高橋一休、内匠屋、真宮鈴、間寺司
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 23箇所+クイックセーブ1箇所 あり(2曲、OP・ED)
おまけ CG MODE、BGM MODE、SCENE MODE
対象属性 猟奇、陵辱、オカルト、サスペンス、幼なじみ、帽子、オーバーニーソックス、触角、
緑髪、眼鏡っ娘、金髪、ストレートロング、セーラー服、ピンク髪、ツインテール、リボン、
ショートカット、先輩、眼帯、黒髪、ボブカット、ストッキング、ガーターベルト
1プレイ時間 14〜20時間 お奨め度 7

レビュー
概要
主人公は、幼なじみの藤見たまきと平穏な毎日を過ごしていた。そんなある日、
学園の先輩である柊美柚が惨殺される。主人公はその事件が気になり、独自に
色々と調べていくが、それとともに平穏だった日常が崩れていく。そんな中で、
自分を気遣うたまきの愛情に気付き、思いを伝え合い、身体を合わせる2人。
そこに黒衣の男が現れ、主人公は重傷を負わされる。主人公が息絶える寸前に
見たものは、解体されていくたまきだった。そして、息絶えたはずの主人公が
目を覚ますと、そこは3日前の朝だった。繰り返す3日間の中で主人公は様々な
可能性を見て、事件の真相に近づくことは出来るのか。そして、この繰り返す
3日間から抜け出すことは出来るのか。主人公とたまきの運命は……という、
無限軌道オカルティックサスペンスAVG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

藤見たまき(ふじみたまき)。(CV:一色ヒカル)
主人公の幼なじみで、主人公に一途な想いを寄せる。おっとりしたトロい娘で、
運動神経皆無。とても素直で人の言うことをすぐに真に受ける。

高梨成美(たかなしなるみ)。(CV:児玉さとみ)
主人公の従姉で、同居人。幼い頃から一緒に育ったため、家族同然。人を
からかうのが大好き。二十七歳女。属性サド(笑)

柊美柚(ひいらぎみゆ)。(CV:楠鈴音)
学園の先輩で、主人公が憧れを抱いている女性。繰り返す3日間の初日の朝、
何者かに惨殺される。人を寄せ付けない雰囲気を持った女性。

吾妻瑠花(あづまるか)。(CV:金田まひる)
公園で出会った元気少女。寂しがり屋で、遊び相手を求めている。
動物と会話することが出来る、らしい。

千神奈々子(ちかみななこ)。(CV:常磐もも)
学園の先輩で、美柚の唯一の友達。美柚が殺され深い悲しみに囚われている。
大人しく控えめな女性。前作のヒロインの1人で、前作をプレイしたことのある人
には、「にやり」と出来るようなエピソードがあります。プレイしたことがなくても、
特に問題はありません。

広原月子(ひろはらつきこ)。(CV:文月かな)
たまきの親友。小さな魔人、全文化部の頂点、雑学No.1、自由の体現者、
博覧強記のマシンガントーク女、自称・綾篠の赤色巨星、48の異名を持つ女、
思考の九割を脱線に費やしている。母国語はC言語(笑)
# シベリア柳生研究会? シュレディンガーの猫たんハァハァ同好会?(^^;

吾妻梨花(あづまりか)。(CV:青山ゆかり)
学園の同級生(?)。無口で陰気。自傷癖があり、いつもぬいぐるみを抱いていて、
ぬいぐるみに話しかけたりもするため、みんなから避けられている。

絵の方はほんわかした雰囲気の可愛らしい絵柄。ただ、シーン毎にややバラつき
があり、やたら大人っぽく見えたり、逆に幼く見えたりすることも。
CGは綺麗で丁寧に処理されていると思います。ただ、外の背景は若干ぼやけた
印象があります。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。ただし、それほどコロコロ変わるわけ
ではなく、ポイントポイントで変わる感じです。ポイントは押さえてあるため、感情
移入はしやすいです。

キャラクターは個性豊か……というか、強烈な個性を放つアクの強い面々揃い。
たまき、奈々子あたりはまだマトモですが、成美、瑠花、梨花あたりは強烈な
個性を放っていますし、月子に至ってはもはやありえない(笑)
月子が出てきた瞬間、そのシーンは月子ワールドに包まれるほど。

音声はキャラクターとのマッチングも良く、演技もばっちり。
どのキャラも非常に安定した演技で安心して聴けるのですが、そんな中で月子は
さらに素晴らしいです。強烈な個性を放ち圧倒的なパワーを誇る月子を、見事に
演じられていて、そのマシンガントークは目を見張ります。ブラボー。

音楽は静かで切ない雰囲気の曲が多め。

1回目の周回が終わるとオープニングアニメーションが流れます。
歌はアップテンポでちょっとハードな格好いい系の曲。パンチが効いていて、
なかなか聴き応えがあります。直前のシーンがかなり強烈なのですが、それに
勝るとも劣らないパワーを持った歌で、とても印象的でした。
絵の方はイメージムービーのような感じで、ゲーム中の絵も交えつつ、新たな
動きなどもあって、なかなか見応えがあります。そーんなにアニメーション
しまくっているという感じではないのですが、演出が非常に凝っていて、曲に
合わせて動き・切り替わるので、見ていて痺れます。

エンディングも歌あり。力強さの中にも切なさが漂うような曲で、ラストの
雰囲気を上手く表現していると思います。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。設定でショートカットキーの設定が
出来、ある程度の機能がショートカットで操作可能になっています。
ただ、その設定画面がキーボードで操作出来ないのはちょっと(^^;
あと、タイトルメニューの「Start」にも、何故かキーボードでフォーカスが
当たらなかったり、ディスティニー・クリックやセーブ/ロードはキーボードが
効かなかったり、やや使いづらさがあります。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作はやや重め。画面切替やスキップの時は、CPUパワーを100%食うことも。
スキップ動作は高速ですが、描画などでたまに引っかかります。

セーブ箇所は23箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン名と自由記述のコメント、そして死亡
回数が保存されます。上書きを禁止したり、削除することも可能です。
数としては、選択肢はそれなりにあるものの、周回ルートではセーブしたところ
からやり直すより、そのまま進めてもう一周やった方が手っ取り早いので、
これだけあれば足りるかもですね。もうちょっとあった方が嬉しいですけど。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。序盤は3日間を何度も周回する、
ループシステムになっています。条件を満たすことによって選択肢が増えたり、
「ディスティニー・クリック」によって新たな選択肢が出たりします。
「ディスティニー・クリック」とは、特定の条件を満たした状態で特定のシーンを
通過した時、画面右下の時計が光ります。時計が光っている間に時計をクリック
すると、新たな選択肢が現れ、新しいルートが拓けるというものです。
そうして何度も周回を繰り返し、新しいシナリオを見ていって、条件を満たすと
周回から抜けることが出来、ラストに向かうストーリーが展開します。
そして、もう1つの特徴は「ブラッドリミッターシステム」。これは、グロテスクな
表現を極力抑えるもの……ですが、抑えられるのは絵だけで、シナリオ自体は
変わらずグロいシーンがありますし、絵の方も流血などは描写されるため、
あーんまり意味がない気も(^^;
それに、一番ショッキングだったのは、飛び降り自殺シーンでしたし。
心臓止まるかと思いました……。
さらに言うと、リミッターONにしていても、オープニングムービーでは本来なら
隠される絵がそのまんま出ていたりしますし。ホント、形だけです(^^;

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「高梨亮」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは美柚が惨殺される事件が発生するところから始まります。美柚の事件を
調査しているうち、主人公の周りに不思議なことが起こり、ついには黒衣の男に
殺されてしまいます。しかし、目を覚ますとそこは3日前の朝で、そこから何度も
3日間を繰り返し過ごしていく……という感じです。

前半は、何度も同じ3日間を過ごしているという自覚はないまま、闇雲に毎日を
過ごしていく感じです。しかし、以前の周回で体験した記憶がちらつき、それを
きっかけに新たな3日間を過ごしていきます。
最後に絶望的な展開が待っているのがわかっているため、基本的には重苦しい
雰囲気で進みますが、各所にパロディネタが入っているなど、面白おかしい
会話なども用意されています。特に、月子が絡むとほとんどギャグです。
# 「腐敗と自由と暴力の真っ只中」とか。「巨大化する茸」とか「1upする茸」とか
# 「空気中の元素を固定して実際に物質を生み出す装置」とか……。
##お前、年、いくつだ(^^;

そして、様々なことを体験するうち、繰り返す3日間のことに気付き、新たな道を
拓くために行動することになります。
このパートでは、主人公の過去や、3日間を繰り返すことになった原因などを
交えつつ、物語の真相に近づいていきます。
ここではオカルト要素が強く、シリアスな展開が続きます。

そして最後は、なんだかあっけない展開。風呂敷を広げるだけ広げて、ご都合
主義と強引な展開で、うやむやのうちに終わったような感じで、ちょっと拍子抜け
しました。しかも、手放しでハッピーというものはほとんどなく、どこか切ない終わり
方で、クリア後もいまいちすっきりしませんでした。

H度は並。各ヒロインとも複数回用意されているのですが、前戯だけで終わったり、
ひたすら陵辱するだけだったり、ちゃんとしたHシーンは思ったより少ないです。
尺の方はちゃんとしたHシーンに限ってはそこそこ長めですが、それ以外のものは
あっさり終わるものが多いです。描写は比較的濃いめですが、これもちゃんとした
Hシーンに限った話です。トータルで見ると、ちょっと物足りなさが残るかも。
何より、Hシーンのないキャラもいて、それが結構魅力的なキャラだったりするので、
ちょっと寂しいかも。

テキストはかなり誤字が目立ちます。特に、助詞や「てにおは」に関する誤字が
多く、文章の繋がりがおかしい部分が多々ありました。もうちょっと丁寧に作って
欲しいものです。
プレイ時間・難易度
ゲームは10月16日の木曜日から始まります。ゲーム期間は3日間。それを何度も
繰り返しプレイするような形です。周回から抜けた時は、その3日間以外もプレイ
することになったりもしますが。

ワンプレイは16時間36分。←具体的すぎ
いや、このゲームはオプションでプレイ時間を表示することが出来ますので。
この時間は、私が初回プレイ時にエンディングに辿り着いたときの時間です。
ちなみにこのゲーム、何度も周回を繰り返すというシステムですので、どこ
までをワンプレイとするかは難しいところですが、エンディングに辿り着くまで
と考えると14〜20時間ぐらいでしょうか。やたら幅がありますが、これは周回を
何周で抜け出せるかでかなり時間が変わってくるからです。
周回ルートは1周で2〜3時間。スキップを使えば短いときは30分ぐらいにまで
短縮できると思いますが。
そして、クリアするためには最低でも10周はしなければなりませんので、かなり
時間がかかります。周回を抜けても、その後が結構長いですし。

難易度は高め。周回を抜けるためには条件を満たさなければいけませんが、
その条件がわかりづらく、時計の針によってどれだけ条件を満たしたかが判る
だけですので、ハマってしまうとなかなか抜け出せません。
全く同じルートでも、1回目と2回目では展開が変わったりしますし、条件を
満たすと展開が変わるところが多く、分岐は非常にわかり辛いです。
ただ、修正ファイルVer.2.00以降を入れることによって、ナビ機能が使える
ようになります。これは、周回ルートのシナリオツリーが表示され、今、どの
あたりにいるのかや、周回から抜けるために通らなければならない場所が表示
されますので、そこを目指してプレイすれば、かなり楽になります。もっとも、
そこに辿り着くための条件は自分で探さなければいけませんが、闇雲に周回を
重ねるよりは、はるかにプレイしやすいでしょう。
総評
お奨め度ですが、オカルト要素の強い、ダークでシリアスなストーリーが好きな
人にお奨め。かなりショッキングなシーンもあったりしますので、耐性のない
人はご注意を。「ブラッドリミッターシステム」で、ある程度グロい絵は抑制する
ことは出来ますが、そういったシーン自体が無くなるわけではありません。
そして、そういうエグいシーンって、絵が無くても、テキストだけでじゅーぶん
キツいわけで、苦手な人にはやっぱり辛いかと思います。
絵がないからと言って、「割いた腹に手を突っ込み、子宮を抉り出した」なんて
ことを書かれたら、やっぱ引くでしょ(^^;
というか、絵のない方が、リアルに想像してしまって辛かったり。

ベースの設定はなかなかよく考えられており、かなり壮大なストーリーが展開
したりと、なかなか面白かったです。繰り返す3日間の設定などもしっかりして
いて、周回から抜けた後の展開は、目を見張るものがありました。
ただ、ラストはちょっとあっヶなく、ご都合主義で終わるのは、ちょっと勿体
ないなー、と思います。しかも、手放しでハッピーではない終わり方が多く、
クリア後の爽快感もあまりないですし。

そして、このゲームの印象を大きく左右するのは周回ルートでしょう。
繰り返す3日間を抜け出すために、何度も何度も周回を闇雲に繰り返すことに
なるのですが、どうすれば抜け出せるかの目安になるのは画面右下に表示
されている時計の針だけで、条件は全然見えません。ホントに闇雲に日々を
過ごしていくという感じです。そのため、訳もわからず何度も周回することになり、
周回がちょっと多すぎて、やや中だるみするかも知れません。周回から抜ける
ためには最低でも10周はする必要があり、コンプリートしようと思ったら、20周
ぐらいはしなくてはいけないかと。ちなみに私は15周で抜けました。
何度も周回を繰り返し、徐々に新しい展開が見えてくるのはなかなか面白いの
ですが、目標もなくただ日常を繰り返すため、退屈に感じたり、作業になって
しまいかねないのは勿体ないですね。

ともすればかったるく感じかねない周回ルートや、強引でご都合主義な終わり
方など、やや勿体ない部分もありますが、引き込むようなシナリオや、しっかり
考えられた設定など、なかなか面白く、良くできた作品だと思います。
エグい描写が苦手ではない人で、何度も周回を繰り返すシステムをかったるく
感じない人であれば、充分お奨め出来る作品だと思います。
プレイする時には、Ver.2.00以上の修正ファイルを入れた方がいいとは思い
ますが。

最後に。月子、人外すぎ(^^;
# 周回を抜ける前に、コイツは消しておいた方がいいと思う(^^;


以下、ちょいとネタバレも含むつぶやき。

奈々子エンドきぼー(T_T)
Hシーンすらなかったり、なんだかすげぇ扱い悪い気が……。
まあ、前作のヒロインの1人ということで、おまけ的な存在なんでしょうけど。
# それに、一番扱い悪いのは成美ですね(^^;

しかし、草壁の血がないと満足に術が使えないとか言いながら、デカい魔術
連発したり、そもそも血で呪印を書く意味っていったい……(^^;

ところで、あからさまに「カトゆー家断絶」っぽいサイトが出てきたんですけど(^^;
# 「朝は2度と来ない」ってのも……(笑)



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