エンジェルメイド
ブランド名 Carri'ere ジャンル マルチメイド萌えアドベンチャー
発売日 2004.03.19 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(168x228x40mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 1.81GB(DVD-ROM)
DISC1 : 645.6MB、CD-DAなし
DISC2 : 624.4MB、CD-DAなし
原画 ここのか、天夢 シナリオ 神無月如月、望月JET、七央結日
音声 女性のみフルボイス、成瀬未亜、乃田あす実、柘翁そのか、北都南、かわしまりの
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 90箇所+クイックセーブ1箇所 あり(2曲、OP・ED)
おまけ if、音楽鑑賞、CG鑑賞、シナリオ回想
対象属性 メイド、巫女さん、純愛、コメディ、黒髪、ストレートロング、触角、ヘアバンド、しましま、
お兄ちゃん、ボクっ娘、ショートカット、ショタ、未亡人、幼馴染み、ボブカット、巫女装束、
緑髪、リボン、ご主人様、金髪、ツインテール、体操服、ブルマ、ストッキング
1プレイ時間 2〜4時間 お奨め度 5

レビュー
概要
主人公はある日、目が覚めると過去の記憶を全て失っていた。まわりの人達に
支えられ、慣れないながらも仕事をしつつ、記憶を取り戻す手がかりを探す
主人公。果たして主人公は、無事に記憶を取り戻すことが出来るのか……と
いう、マルチメイド萌えアドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

桜庭あやめ。(CV:北都南)
主人公の秘書。記憶を失った主人公に仕事を教え込み、なんとかやりくりをして
いく有能な女性。事故で夫を亡くしている。

桜庭巴。(CV:かわしまりの)
あやめの子供。素直ないい子で、主人公のことを「お兄ちゃん」と呼び慕う。

天川和音。(CV:成瀬未亜)
主人公の幼馴染みで、従姉弟で、屋敷の居候。主人公の婚約者。
探偵ドラマ好きで活動的(暴力的)な巫女さん。

小野坂藤乃。(CV:乃田あす実)
屋敷で働くメイド。さりげなく毒舌で、言いづらいことでもズバズバ言う。
主人公をよくからかう。

エルナ・フィオレ。(CV:柘翁そのか)
主人公が街で出会ったスウェーデン国籍の少女。泊まる所もないため、屋敷で
メイドとして働くことになる。非効率を嫌う。非効率非効率とちょっとウザい。

絵の方は可愛らしい絵柄ですが、ややばらつきが大きいです。原画家さんが
2人いて、元々それなりに差はあるのですが、それだけではなく同じキャラでも
シーン毎に違って見えることが多々ありました。
CGの方は、やや塗りがべたっとした感じで、若干チープに見えます。原画が
結構繊細なため、ちょっと持ち味を殺してしまっている感じですね。
立ち絵は、ポーズ変化・表情変化ともあり。さらに、メッセージウインドウ横に
フェイスウインドウがあり、そこに表示されている絵も表情が変わるので、
なかなかの臨場感です。……立ち絵の表情と、フェイスウインドウの表情が
食い違ってたりもしますけどね(^^;

キャラクターは非常に個性豊か……というより、クセの強いキャラクターが多め。
探偵ドラマ好きな和音や、非効率嫌いのエルナなど、ゲーム中でそれが前面に
押し出されているため、ヘタをするとかなり鼻につきます。

音声は、キャラクターとのマッチングは特に問題なし。演技の方も基本的に問題
ないのですが、エルナはちょっといっぱいいっぱいな感じですね。

音楽はほのぼのゆったりした曲が多め。次いで、静かな切ない曲でしょうか。
激しい曲、アップテンポな曲はほとんどありません。
作品の雰囲気とは合っていると思いますが、ちょっとバリエーションが少なくて、
同じような曲ばかり流れている印象もあります。

ゲームを起動するとオープニングアニメーションが流れます。
歌はビートの効いた格好いい系の歌で、なかなか聞き応えがあります。
もう少しパワーボーカルでも良かったかも。ちょっと可愛らしい感じですね。
絵の方は、キャラクター紹介・シーン紹介的なもの。しかし、演出はそれなりに
凝っていて、結構見応えはありました。ただ、ちょっとエフェクトをかけすぎで、
映像がぼやけてしまっているのはマイナス。

エンディングも歌あり。歌はゆったりしたテンポですが、力強く前向きな歌で、
パワーをくれるような感じです。
システム
インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。
あと、セーブ/ロード画面もワンキーで出すことは出来るのですが、その後の
操作はキーボードで出来ないという、何のためにワンキーで呼び出せるのか
理解に苦しむ仕様ですね。
既読スキップ、強制スキップ、ヒストリー表示搭載。
ヒストリー表示はマウスのホイール機能に対応しており、通常のメッセージ
送りもホイールで可能になっています。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作の方はやや重め。ところどころ
引っかかるような感じです。スキップ動作も遅く、いらいらします。

セーブデータは90箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーンタイトルが保存されます。
数としては、もはやセーブ/ロードを駆使してなんとかなるレベルを超越している
気がしますので、これだけあればいいでしょう。きっと。
セーブ/ロード画面は常に先頭のページが開くため、後ろの方のデータを操作
する時は、そこまでページを送っていく必要があります。結構面倒です。
最新のページを開くようにしてくれればありがたいのですが。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。
特徴としては「H.S.S(Hなことしちゃうぞシステム)」があげられます。これは、
Hシーンでヒロイン達にしたい事・させたい事を選び、それによってその後の
会話や服装、展開が変わってくる……というものです。
……私には、単なるHシーンでの選択肢決定に見えます。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作は不可です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは、ある朝、主人公が目覚めたら、過去の記憶を全て失っている所から
始まります。……かなり唐突です。まあ、プレイヤーも情報ゼロなわけですから、
主人公との情報格差はありませんけど。

屋敷にいる人達に助けられつつ仕事をこなしながら、コミュニケーションを取る
ことで、記憶を取り戻すきっかけを探す……という感じです。

前半はコミカルな雰囲気で進みます。主人公は明るく面白いヤツで、ヒロイン
達も個性的な面々が揃っているため、会話がとてもコミカルで楽しいです。
# 光一郎様記憶喪失記念特盛り料理……お前、面白がってるだろ(^^;

後半は、各ヒロインが抱えている悩みや、主人公の過去のことを絡めた、やや
シリアスな展開になります。

ラストはやや強引ながらも爽やかで綺麗な終わり方。後味はなかなかいいです。
ちょっとご都合主義は目に付きますが。

特筆すべきはコミカルな演出。和音の必殺技とか、「ごめんなさぁぁーーい」と
いう絶叫とか、演出が無駄に凝っていて、見ていて楽しいです。

問題としては、イベントの繋がりの薄さと、整合性のなさ。
昨日ヘコんでいたヒロインが、次の日にはけろっとしていて全くいつも通りに
振る舞ったり、「○○にいる」と言われていたキャラが全く別の所にいたり等、
やや整合性の甘さが見受けられました。他にも、3日ほど前の事を「昨日」と
言ったりすることもあったり。選択肢は「先日」になってるんですけどねぇ。

H度はやや高め。各ヒロインとも複数回用意されていて、尺はそこそこ長め。
描写も比較的濃いめです。そして、H.S.Sによって、Hシーンでの行動に幅が
あり、バリエーションも豊かです。
ただ、どのシーンもやや起伏に欠ける感じで、今ひとつ盛り上がりきらない
ように感じました。何より、せっかくの衣装を、簡単に脱がしてしまうことが
多かったのは勿体ないかも。

テキストは、誤字がかなり目立ちます。一部、ヘタをすると意味不明にもなり
かねない誤字もあったりして、やや気になりました。
そして、一番気になったのは人称の変化。セリフではヒロインの名前を呼んで
いるのに、地の文では目の前にいる人のことを「あの人」と言い出したり、訳が
分かりません。セリフと地の文の違いを明確にしたかったのかも知れませんが、
いきなり「あの人」とか言われてもねぇ。
# 「おい和音」『あの人は振り向いた』みたいな感じ。
プレイ時間・難易度
ゲームは12月4日のAM9:12から始まります。
ゲーム期間は約1ヶ月。シナリオによってはその後数ヶ月続いたりもしますが。
イベントのある日だけをつまんでプレイするタイプで、イベントがなければ平気で
数日が経過したりします。

ワンプレイは2〜4時間。結構あっさり終わります。……すんなりクリア出来れば。
あと、シナリオによって結構差がありますね。

難易度は激高。選択肢を1つ間違えただけでバッドエンドになるなんて当たり前、
しかも選択肢の効果がすぐにはわからず、普通に進行して最後の最後でバッド
エンドになったりと、かなりいやらしい作りです。
さらに、好感度によって同じイベントでも内容が違たり、バッドエンドルートでしか
見られないCGがあったり、しかも同じバッドエンドルートでも、条件によって別の
イベントになったりするため、CGの回収は狂ったように大変です。
ハッピーエンドを全て見た後で、CGの回収の為にひたすらバッドエンドルートを
繰り返しプレイするのは虚しいです。メッセージスキップも遅いですし。
総評
お奨め度ですが、ちょっぴりコミカルでちょっぴり切ない話が好きな人にお奨め。
ヒロイン達との会話は楽しく、最後はちょっと切ない感じのいい話で締めてくれる
ので、クリア後は心地いいです。
メイド好きな人にもお奨め……と言いたいところですが、メイドっぽくない人が
多いうえに、あまりメイドであることを活かしていないように感じますので、あまり
メイドに期待をするとちょっと肩すかしを食らうかも。

問題点としては、なんと言っても難易度の高さ。普通にクリアするだけでも結構
大変なのに、CGをコンプリートしようと思ったら、気が狂いそうなほど難しく、
選択肢をしらみ潰しにしないといけないような状態です。
やりごたえのあるゲームと言えなくもないですが、ちょっと理不尽に難し過ぎる
気がします。
そして、難易度が高くなかなかクリアできないため、もはや感情移入することは
難しく、純粋にストーリーを楽しめないという状況に陥ってしまいます。
これでは本末転倒な気がするんですけど。

そしてシナリオ、それも主にテキストに気になる点が目立ちました。誤字等は
言うに及ばず、表現の不一致、統一性のなさ、人称の変化など、読んでいて
疑問に思うことが多く、今ひとつ感情移入できませんでした。

それと、主人公はいきなり記憶を失っているわけですが、どうしてそうなった
のかという説明がないため、気になる人はいるかもですね。

あと、プレイするときは必ず修正ファイルを入れましょう。修正ファイルを入れ
ないと、変なCGが表示されたり、回想モードで固まったりするので注意。
まあ、修正ファイルを入れても、誤字や不整合は残りまくってますけど。
# 修正ファイルを入れても、ウインドウタイトルバーにでるバージョンは1.00の
# ままなのは何故でしょう。

最後に。巫女ローリングクレイドルて(^^;
# というか、巫女である意味っていったい……。


以下、めちゃめちゃネタバレなつぶやき……ですが、これから買おうと思って
いる人は見ておいた方がいいかも。特に、巴萌えな人は。


誰もが一目見た瞬間に萌え転がり、あまりの可愛さに我を忘れ、その健気で
一途な思いに心を打たれ、真っ先にクリアしようと一直線に突き進むであろう
巴ですが(反論不可)、実は大きな秘密が隠されています。

ぶっちゃけ、男です(^^;

ゲーム中で全然性別に関する描写・説明がないので変だなーと思っていましたが、
そういうオチとは。
そして、恐ろしいことに、この男である巴とのHシーンがしっかり用意されていて、
あまつさえ最後は結婚までしてしまいますよ! ……ありえねぇ(^^;

なので、巴萌えな人は、そこのところを充分に考慮した上で、プレイに挑んで
下さい。
なお、巴は他のキャラ(あやめ?)をクリアしてからしかクリアできないようなので、
真っ先にクリアしようと一直線に突き進んでも無駄です(笑)

ちなみにこのゲーム、全キャラのハッピーエンドを見ると、タイトルメニューに
「if」というメニューが追加され、その後のアナザーストーリーが読めるように
なるのですが……正直、これだけ苦労してやっとクリアしてた褒美としては、
ちょっと弱い気がします。骨折り損のくたびれ儲け感が強いですね。



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