くれいどるそんぐ〜昨日に奏でる明日の唄〜 | |||
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ブランド名 | ういんどみる | ジャンル | ハートウォーミングファンタジーAVG |
発売日 | 2004.02.27 | 定価 | \8,800 |
パッケージ | 紙製パッケージ(168x231x42mm) | マニュアル | B6ブックタイプ |
DISC容量 | 2.58GB(DVD-ROM) | ||
原画 | 啼兎☆、こ〜ちゃ | シナリオ | あごバリア、EQ、ちゃとら |
音声 | あり、日向裕羅、成瀬未亜、北都南、海原エレナ、金田まひる、岩田由貴、 一条和矢、Prof.紫龍、山中荘一、小池竹蔵 |
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インタフェース | フルキーボードサポート | 描画 | Window・フルスクリーン両対応、 800x600 |
セーブ箇所 | 60箇所 | 歌 | あり(2曲、OP・ED) |
おまけ | After...、CG鑑賞、シーン回想、BGM鑑賞 | ||
対象属性 | 純愛、ファンタジー、萌え、ほのぼの、ハートフル、ハートウォーミング、金髪、幼馴染み、 オーバーニーソックス、ウェイトレス、ツインテール、リボン、お兄ちゃん、ストレートロング、 黒髪、ボブカット、赤髪、ヘアバンド、メイド、エプロンドレス、ストッキング、ガーターベルト、 ショートカット、銀髪、サイドポニーテール、しましま |
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1プレイ時間 | 3〜4時間 | お奨め度 | 9 |
レビュー |
概要 |
主人公は、3年前に妹を失い、王国騎士団を辞めて冒険者となっていた。ある日、 冒険を終えて帰ってきた主人公は、道端で妹にそっくりな少女と出逢う。 その少女は、なんと伝説の「竜」の子供を連れていた。少女に頼まれた主人公は、 その仔竜を預かることになる。折しも、街では竜族最後の存在とされる「聖竜」の 遺骨が発見され、お祭り騒ぎとなっていた。 果たして主人公は、悲しい過去を振り切って、竜と少女を守ることが出来るのか ……という、ハートウォーミングファンタジーAVG。 ちなみに、パッケージやマニュアルにストーリー説明があるのですが、この説明は 全体の8割ぐらいまで話を語ってしまっているので(^^;、プレイ前には見ないことを お奨めします……。 |
キャラクター・CG・音声・音楽 |
キャラクターは以下の通り。 レア・ティータ。(CV:日向裕羅) 主人公の妹に瓜二つの少女。仔竜(自称・犬(笑))を主人公の所に連れてくる。 明るく元気いっぱいの無邪気な女の子。主人公のことを「お兄ちゃん」と呼び 慕う。十三歳(笑) メティス・ゼウ・ジュピス。(CV:成瀬未亜) 主人公の幼馴染みで、この国の王女様。主人公を気に懸け、毎日のように 朝起こしに来る。護衛も付けず街を出歩く、駄菓子が好きな庶民派王女様。 二日酔いで酔いつぶれて1日寝込むお姫様(笑) # 「わ、私が憧れていたお姫様はどこー!?」(笑) セレニア・ラスムーン。(CV:北都南) 酒場「Oasis」の看板娘。主人公の幼なじみでことある毎に主人公をからかう。 常に笑顔でマイペース。ただし、怒らせると怖い。ただし、顔は笑顔(笑) # 「あらあらまあまあーーーー」(笑) ##凄腕のウェイトレス(笑) アルテ・ラスムーン。(CV:海原エレナ) 王国騎士団第八部隊長。セレニアの双子の妹で、騎士団ただ一人の女性 部隊長。突っ込みに真剣を使い、かつ的確に急所を狙ってくる。死ぬわっ(^^; 鴨肉一つで剣を抜く女性(笑) # 「責任を取れ」「本命決定かい?」……そんな伝言を伝えるために、しかも # 伝えるまで帰ってこなくていいとまで言われる部隊長っていったい……(^^; ミル・リゼット。(CV:金田まひる) 主人公の周りの人間達の中で、ずば抜けたやかましさを持つ幼馴染み(笑) 貴族の屋敷に仕えるメイド。人の言うことをすぐ真に受ける。 貧血を起こしやすい体質。ナルトの渦巻きを見て目を回す(笑) # ちびっこメイド一号。……二号は?(笑) フィアナ・ファウファウ。(CV:岩田由貴) 迷子になった仔竜を保護してくれた女の子。謎の生物・パンニャを連れている。 常に周りの人を気にし、何かあればすぐに謝る。大人しく控えめで、ちょっと 不思議な女の子。 絵の方は、柔らかいタッチの可愛らしい絵柄。ちょっとシーン毎にばらつきが 大きい気がしますが、可愛いから許す。←ダメ人間 CGの方も、ほんわかとした柔らかい感じの彩色で、原画の雰囲気を活かして いると思います。ただ、一部塗りがべたっとしていて、髪の毛なんか全然質感が なかったりもしますけど、可愛いから許す。←黙れ 立ち絵は、ポーズ変化・表情変化ともあり。さらに、会話に割り込んでくる時は ぴょこんと現れたり、落ち込んだ時は沈んでいったりと、静止画ながらも演出に 動きが取り入れられていて、見ていて非常に楽しいです。 さらに、立ち絵自体もかなり大きめに表示されて臨場感たっぷりです。 キャラクターは、柔らかい雰囲気を持った優しいキャラクター揃い。 ほとんどが主人公の幼馴染みで、会話も気易い感じです。 ヒロイン同士の会話も多く、何気ない会話までとても楽しめます。 どのキャラクターも非常に魅力的で、みんなお気に入りという感じなのですが、 その中でもメティスは非常に印象深いです。 この国の王女であるにも関わらず全くそれを感じさせず、むしろ普通の女の子 よりも普通っぽくて、とても親近感が湧きました。とても家庭的な王女様(笑) # 「これが、俺達の国の王女なんだな、と」(笑) ##しかし、王女に留守番を頼む主人公って凄いな(^^; 音声は、キャラクターとのマッチングばっちりで、演技も文句なし。 どのキャラクターも非常に活き活きしており、想いが良く伝わってきて、感情 移入度もかなり高いです。 注目すべきは仔竜。セリフは「あぎゃあぎゃ」という鳴き声だけなのですが、 これだけで感情表現が見事になされており、言っていることがわかるような 感じです。これぞ声優さんの真骨頂、という感じですね。ブラボー。 音楽は、静かで切ない感じの染み入ってくるような曲が多め。次いで、ほのぼの ゆったりとした温かい雰囲気の曲が多いですね。とても作品の雰囲気とマッチ していて、シーンを盛り上げてくれます。 ゲームを開始するとプロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。 歌は明るくポップで、ちょっと可愛らしい感じのする歌。作品の雰囲気を、上手く 表していると思います。 絵の方はキャラクター紹介的なもので、余り動きもないのですが、背景が綺麗で 目を引きました。 エンディングも歌あり。結構明るくポップな歌で、未来に希望を抱かせるような、 広がりのあるいい歌だと思います。 ちなみに、ある所では別バージョンの歌が使用されていて、そちらは可愛らしい 感じで、これもなかなか良かったです。 |
システム |
インタフェースはフルキーボードサポート。 既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートプレイ搭載。 バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声も自動的に再生され ます。通常時も音声のリピート再生は可能です。 描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。動作は軽快。 セーブ箇所は60箇所。セーブ/ロードは随時可能です。 セーブデータはセーブ日時の他、シーンタイトルとシーン画像が保存されます。 最新のデータには「LATEST SAVE DATA」とマークが付きます。 数としては、それほど選択肢は多くない作品のため、これだけあれば充分だと 思います。 システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。選択肢の結果で イベントが分岐するタイプです。若干フラグも関係しているようですが。 |
シナリオ・プレイ感 |
ゲームは、主人公がレアから仔竜を預かるところから始まります。 幼馴染み達と一緒に、仔竜が見つからないように、ひっそりと毎日を過ごして いきます。 前半はひたすらコミカルに進みます。会話がとても面白く、ほのぼのとした 雰囲気が漂っています。 # 「……お兄ちゃん。普段どうやって生きてるの……?」 # 「ふ。『人に依存して』に決まってるだろう」……威張るな(笑) ##「お前ら、人様の生活をなんだと思ってる」「ロウソク」……即答かよ(笑) ##吹けば消えるらしい(^^; 後半は、仔竜や主人公の過去なども絡めて、シリアスでちょっとハードな展開 にもなったりしますが、最後はとても綺麗に爽やかにまとまるので、プレイ後の 気分は爽快です。 やや強引で、ご都合主義な印象もありますけど、それがあまり気にならず、 すんなり受け入れられるような感じです。 特筆すべきは、キャラクターの描写。ヒロイン達の殆どは、主人公の妹の ことを知っており、それぞれのやり方で影から支えたりしている訳ですが、 その描写が巧みで、想いがよく伝わってきます。 何か問題が起こったらすぐに手を差し伸べたり、自分のことは構わず駆け つけたり、人と人との絆がよく描かれていると思います。 逆に、嫉妬したり、訳あって主人公と敵対したりすることもあるのですが、 心の葛藤を描きつつもそんなにドロドロと描写はされず、むしろ理由付けを はっきりして、爽やかに描かれているため、嫌な気持ちになることはありま せんでした。むしろ、より感情移入できた感じです。 そして何より、主人公の描写。普段はおちゃらけていたり、やる気のない 雰囲気を出している主人公ですが、心の中には常に亡くなった妹のことを 引きずっています。そんな主人公が、周りの人に励まされたり、絆を深めて 行くことによって、再び「守りたいもの」を見付け立ち上がる様は、見ていて 胸が熱くなりました。 そうして立ち直った主人公はとても格好良く、その言動には痺れました。 過去を引きずりながらも、うじうじ悩んだりヘタレたりしている訳ではなく、 感情移入もし易かったです。 他の男性キャラ、国王や酒場のマスターや酒場の常連客までも、とてもいい 味を出していたと思います。騎士団長のラウスも格好良くていい奴ですね。 基本的に、出てくるキャラクターみんないいヤツで、安心してプレイ出来る 感じです。 H度はやや高め。ほとんどのキャラクターは複数回用意されており、描写は 純愛物にしては結構濃いめで、尺もそこそこあります。純愛系のシーンしか ないため、シチュエーションや行為のバリエーションには乏しいですが、それ でも色んな場所で行われるHシーンは、なかなか楽しめました。 テキストは、ちらほら誤字は見受けられますが、それほど致命的なものはなく、 気にするほどでもないでしょう。ところどころ読点が少なかったり、不適切な ところも見受けられますが、これもさほど気にはならないかと。 総じて、比較的読みやすいテキストだと思います。 1箇所、2つのメッセージが同時に表示されて、音声も同時に流れるところが ありましたけど、ご愛敬。 |
プレイ時間・難易度 |
ゲーム期間は約1ヶ月? ゲーム中では日付は明記されません。 まあ、キャラによっては数ヶ月〜数年後まで続いたりするわけですが。 ワンプレイは3〜4時間。プレイしやすい感じですね。 難易度は低め。前半の選択肢でシナリオが分岐し、分岐の選択肢は比較的 判りやすいため、それほど苦労することはないでしょう。 全選択肢を選んでいけば自然とクリアできるような感じです。 ちなみに、全キャラをクリアするとタイトルメニューに「After..」というメニューが 現れ、後日談を見ることが出来ます。プレイするなら、これは必ず見ておき ましょう。 ただ、「全キャラをクリアすると」と書きましたが、私はリゼットをクリアする前に 見られました(^^; 条件は他にあるのでしょうか? でも、リゼットシナリオを見ていないと解らない単語も出てきましたけど……。 |
総評 |
お奨め度ですが、ほのぼの純愛ハートフルストーリーの好きな人にお奨め。 出てくるキャラクターがみんないいヤツで、キャラクター描写も巧みなため、 安心してプレイすることが出来、とても楽しめると思います。 会話が楽しく、各キャラクターの気持ちがよく伝わってきて、主人公も馴染み やすいキャラクターで、感情移入度はかなり高いと思います。 ややインパクトに欠ける感はありますが、ほのぼのとした雰囲気は良く出て おり、ヒロイン達の想いや主人公の成長はとても心温まるもので、プレイして いてとても心地よかったです。 「くれいどるそんぐ(子守唄)」というタイトルが今ひとつ表に出てきていない 感はありますが、舞台背景や設定も面白く、システムも安定しており、絵や 音声や音楽のクオリティも高く、ほとんど文句の付け所のない作品でした。 心温まる、ほのぼのとしたとてもいい作品でした。 雰囲気が気に入った人は、是非プレイして戴きたいです。 最後に。「メティス! なんとしても国王を説得するぞ!」……クロイス、弱っ(笑) # 一国のお姫様の影響で庶民化する冒険者(笑) 以下、物語の核心に触れる、凶悪にネタバレな感想。 未プレイの人は絶対見ちゃダメ(^^; メティスシナリオで仔竜から渡された手紙。それを受け取る前から、「そこに 書かれている文字が『ありがとう』だったら私は絶対に泣く」、と思いました。 ……まあ、だくだく泣いたわけですが(^^; # この時点で、私の負け確定(笑) そしてAfter...ですが、もう聖竜の正体はバレバレな訳ですが(笑)、それでも 胸が熱くなりました。 ただ、書かれている文字はもう少し捻りが欲しかったかも。 # いや、あれしか教えていないので無理でしょうけど(^^; ##この際、タイムパラドックスとかは気にしてはいけません(笑) そして、仔竜を演じる海原エレナさん。完璧です。完敗です。素敵すぎ。 思えば、私が同じくお奨め度 9 付けた「はっぴ〜ぶり〜でぃんぐ」でも、 海原エレナさんは「あーうー」としか喋らないキャラを演じてましたね。 こういうキャラクターやらせたら右に出る者はいない、という感じですね。 最高です。仔竜萌え(笑) ……え? パンニャ? ウン、オモシロイヤツダッタヨ(笑) ちなみに、お奨め度に 9 を付けましたが、ホントは最初、8 にするつもり でした。しかし、いざレビューを書き始めてみると、知らず知らずに胸が 熱くなり、目もうるうるしてくるような有様だったので、思わず 9 を付けて しまいました。 元々、ちょっとインパクトに欠けるという意外は全く欠点の見あたらない 作品で、個人的には充分お奨め度 9 付けてもいい思っていたのですが。 久しぶりに、心温まるいい作品に出会えて良かったです。 私の好みのど真ん中をぶち抜かれました。 |