Fate/stay night | |||
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ブランド名 | TYPE-MOON | ジャンル | 伝奇活劇ビジュアルノベル |
発売日 | 2004.01.30 | 定価 | \8,800 |
パッケージ | 紙製パッケージ(163x230x30mm) | マニュアル | B6ブックタイプ |
DISC容量 | Game Disc1 : 620.3MB、CD-DAなし、CD-ROM XA Game Disc2 : 620.3MB、CD-DAなし、CD-ROM XA Game Disc3 : 432.7MB、CD-DAなし、Alpha-ROM |
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原画 | 武内崇 | シナリオ | 奈須きのこ |
音声 | なし | ||
インタフェース | フルキーボードサポート | 描画 | Window・フルスクリーン両対応、 800x600 |
セーブ箇所 | 300箇所 | 歌 | あり(1曲、OP) |
おまけ | Prologue、Gallary、Music、Movie、ED List、Status、Weapon | ||
対象属性 | 伝記物、アクション、燃え、ツインテール、お嬢様、ボブカット、後輩、ストレートロング、 黒髪、先輩、女教師、ショートカット、金髪、レズ、銀髪、お兄ちゃん、紫髪、ブルマ |
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1プレイ時間 | 20〜24時間 | お奨め度 | 7 |
レビュー |
概要 |
「聖杯戦争」。それは、最高位の聖遺物、聖杯を手に入れるための大儀式である。 ある日主人公は、「聖杯戦争」に参加するために必要な「サーヴァント」と呼ばれる 英霊と偶然契約を結ぶ。正義の味方になりたいと願っていた主人公は、相手を殺す ことには嫌悪感を抱きつつも、人々を助けるために聖杯戦争に参加することを決意 する。果たして主人公は、聖杯戦争を勝ち抜き、聖杯を手にすることが出来るのか ……という、伝奇活劇ビジュアルノベル。 |
キャラクター・CG・音声・音楽 |
キャラクターは以下の通り。 遠坂凛(とおさかりん)。 冬木市一帯を収める魔術師の名家「遠坂」を継ぐ魔術師。 学園では、容姿端麗・成績優秀の優等生を演じているが、その実は感情表現の 豊かな口喧嘩好きの陰険女。しかし、情に厚く、変に生真面目なところもある。 普段は完璧に振る舞うが、大事なところでドジをしてしまう。 美綴綾子(みつづりあやこ)。 凛のクラスメイト。弓道部主将。 間桐桜(まとうさくら)。 主人公の後輩で、一人暮らしの主人公を何かと面倒見てくれる。弓道部所属。 大人しく控えめな性格だが、頑固な一面もあり、やると決めたら考えを曲げない こともある。 藤村大河(ふじむらたいが)。 学園の教師で、両親のいない主人公の保護者で、主人公の家に寄生している。 常人を遙かに凌駕した親しみと気楽さを兼ね備えた人物。 クラスのみんなから「タイガー」と呼ばれるが、そう呼ばれると怒る。 セイバー。 主人公が偶然契約した剣士のサーヴァント。圧倒的な剣技と対魔力を持つ。 最強のサーヴァントと呼ばれるクラス。 生真面目で朴訥。自分の信念に一途。しかし、食事に拘ったり拗ねたりと、 可愛らしい一面も持つ。 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。 バーサーカーのマスター。無邪気で明るいが、無邪気故に残酷な一面も。 主人公のことを「お兄ちゃん」と呼び、懐く。 絵の方は、可愛らしく愛嬌のある絵柄。ただ、シーンによってバラバラで、やや 統一感に欠けます。横顔なんかはちょっとヤバいかも。構図も今ひとつ定まって いない感じです。ただ、「動き」の表現はなかなか巧みで、剣で斬りかかっている 絵なんかは躍動感があってなかなか良いです。 ただ、凛はかなり美人という設定ですし、セイバーに至っては見とれるほど美人 ということですが……こういう個人のセンスに左右される表現って、難しいです よね(^^; いや、まあ、セイバーはそれなりに綺麗だとは思いますけど……(^^; CGの処理もややチープ。背景は凄く綺麗なんですが、キャラクターの塗りがやや べったりしているため、浮いて見えます。線も太めですし。 立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。会話中にころころ変わるため、見て いて楽しいです。ただ、「画像切り替え時にテキストを消去」の設定にしていると、 表情が変わるたびにテキストがOFF/ONされて鬱陶しいですし、その設定をOFF にしているとテキストの後ろでひっそり変わるので、変化が伝わって来ないという ジレンマ。 キャラクターは、強気で勝ち気な凛、生真面目で堅いセイバー、大人しく控えめな 桜という感じで、個性豊かで幅広いキャラクター配置になっています。 女性キャラだけではなく、男性キャラ・サーヴァントもなかなか個性的で、魅力に 溢れています。 音声はなし。結構セリフ主体で進むので、あった方が嬉しかったかも。 音楽は、ゆったりとした曲から激しい曲まで幅広く・数多く用意されており、シーンに 良くあった曲が使われていて、とても盛り上げてくれます。 そして、特筆すべきは効果音。ゲーム中の各所に多彩な効果音が使用されており、 そのシーンの状況を体感することが出来ます。見事です。 3時間程度のプロローグの後、オープニングアニメーションが流れます。 歌はアップテンポな格好いい系の歌。ただ、曲とのバランスがちょっと悪いように 感じました。パーカッションうるさすぎ。というか、曲が全然表に出て来てませんし。 ちょっと勿体ないですね。 絵の方は非常に良く動いていて見応えがありますね。キャラクターが活き活き している感じです。ただ、見たこともないキャラクターがいっぱい出てきたり、 元々のキャラクターデザインがややあか抜けないため、今ひとつ派手さには 欠けますけど。でも、良くできたアニメーションだと思います。 ちなみに、普段は800x600の解像度なのに、アニメーションの時だけ640x480に なるのはちょっとらぶりー。 |
システム |
このゲームはAlpha-ROMによるプロテクトが施されています。誤爆注意。 インタフェースはフルキーボードサポート。 既読スキップ、未読スキップ、テキスト履歴、オートリード搭載。 テキスト履歴はマウスのホイール機能にも対応しており、通常のメッセージ送りも ホイールで可能です。 既読スキップはシーンそのものを飛ばすようになっています。 マウスカーソルの自動追尾はOFFにしたいところですが。 描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。 動作は比較的軽快。 セーブ箇所は300箇所。セーブ/ロードは随時可能です。 セーブデータはセーブ日時の他、シーンタイトルとシーン画像、自由記述の コメントが保存されます。 数としては分岐がかなり多い作品ではありますが、さすがにこれだけあれば 足りるかと思います。 システムは選択肢決定型のアドベンチャー。一度クリアすると選択肢が増え、 新たなシナリオが追加されるシナリオ追加型のシステムになっています。 ディスクレス起動不可、バックグラウンドでの動作は可能です。 |
シナリオ・プレイ感 |
ゲームはまず凛視点でプロローグが語られ、そこから主人公視点に移って、 主人公がセイバーと契約し、聖杯戦争に巻き込まれるところから始まります。 さらっと書きましたけど、ここまでで軽く5時間は超えているわけですが。 その後、7騎のサーヴァント達と契約したマスターを捜し出し、これを打ち負か して聖杯戦争に勝ち残る……という感じです。 主人公は基本的に戦いは嫌で、特に他人が傷つくことを嫌います。なので、 決意を固めるまではもどかしく、ちょっとうじうじした展開になります。 前半はややコミカルなノリで進みます。主人公とセイバー、そして凛や桜との 関係や立ち位置を描き、明示するような展開ですね。 そして、それぞれ役割がはっきりしたところで、本格的に聖杯戦争に入って いく、という感じです。 後半は、各キャラクターの想いや信念を中心として、何故聖杯を求めるのか、 聖杯とは何なのか、という疑問を抱きつつも、戦いの中に身を置くという、 シリアスで重い展開になります。 最後は、手放しでハッピーと喜べるものではありませんが、何かが胸の中に残る、 印象深い終わり方でした。 # 必ず誰か犠牲者は出るわけですし、ね。 特筆すべきは演出の巧みさ。ポーズ変化や表情変化は当然として、近づいて 来る時は立ち絵がアップになったり、じたばたする時は立ち絵が動いたり、 戦闘シーンで剣を振る時も絵が動いたり、視覚効果がまず凄いです。 そして、効果音もそれに合わせて鳴りますし、テキストでの描写も非常に優れて いて、雰囲気が良く伝わってきます。 中でも戦闘シーンのそれは秀逸で、とても迫力があります。 そして、設定の利用の仕方も上手いですね。ワザと説明を遅らせることによって 事実の認識タイミングをズラしたり、曖昧な説明をすることによって事実を誤認 させたりと、プレイヤーの思いこみを上手く利用しています。 ただ、それに気付いてしまうとかなり説明が鼻につき、いやらしく思えてしまう かも知れませんが。ちょっと強引で、ご都合主義にも感じます。 H度は並。複数回用意されており、尺の方もそこそこあって、描写もそれなりに 濃いのですが、シナリオの中に自然に組み込まれている感じで、あまりHシーン という感じは受けませんでした。あくまでシナリオの一部、という感じですね。 テキストですが、誤字はほとんど気にならないのですが、やたら表現が遠回しで 小難しく、ちょっと読みづらいです。漢字がやたら多くて読んでいて疲れますし、 当て字が非常に多くルビを見ないと意味不明なことも多々。 # 「瓢箪から駒」なんて、漢字で書かない方が判りやすい気もするんですが。 いくら雰囲気を出すためとはいえ、もう少し読みやすくしてくれてもバチは当たら ないと思うんですけどね……。 あと、「切嗣」と書いて「おやじ」と読ませた割に、同じセリフ内に「親父」という 表現があったり、ちょっとちぐはぐに感じることもありました。 # 「笑えという自分に、笑っている俺を見ている方がいいと」……意味不明です(^^; あと、文字が全てフォントや色が同じように出るので、画面内にキャラクターが 複数人いる時は、誰のセリフか判らないこともありました。 大抵は口調などでわかるのですが、もう少し考慮して欲しいかも。 |
プレイ時間・難易度 |
ゲームは1月31日から始まります。ゲーム期間は約2週間。1日ずつプレイする タイプです。 ワンプレイは20〜24時間。音声なしのテキストのみで、しかもテキスト量がかなり 多いため、読む速度でかなり変わってくると思います。 難易度は並。選択肢の数は結構多いですが、それほど意地の悪い選択肢はない と思いますので、さほど苦労することはないでしょう。選択を間違えても、すぐに BAD ENDやDEAD ENDに行くことが多く、そこでヒントが貰えるので悩むことはない かと。しかし、BAD END・DEAD ENDが40個はいくらなんでもやりすぎでしょう(^^; さすがにちょっとうんざりしました……。 |
総評 |
お奨め度ですが、深い設定と読み応えのあるシナリオが好きな人にお奨め。 アクションシーンも派手で、演出も素晴らしく、とても楽しめると思います。 ストーリーの展開や、設定の使い方が巧みで、読んでいてぐいぐいと引き込ま れるような感じでした。 ただ、あまりにも長いため、ちょっとずつプレイしていると最初の頃に出てきた 伏線なんかを忘れてしまいそうですし、一気にプレイすると小難しいテキストで 疲れてしまうかも知れません。 長いシナリオは1シーン1シーンを丁寧に描いて雰囲気を伝えることが出来、 また書きたいことを詰め込めるので魅力的な話にはなるのですが、それらを 全て堪能するのは難しいという一面もありますね。 もう少し上手くまとめて、プレイしやすい長さになれば、もっと隅々まで楽しむ ことが出来るかと思うんですけど。 まあ、神話とかを持ち出した時点で、話がふくらんでしまうのは仕方ないかも 知れませんけど。 シナリオも、突っ込みどころは山ほどあるんですが、プレイしている時はそれを 感じさせない力のあるシナリオでした。しかし、後から冷静に考えると、「結局 あの話はどうなったんだろう」とか、「なんでそうなるの?」という疑問がわいて くるのは、ちょっと詰めが甘い気もしますけど。 あと、各サーヴァントには色々と設定があって、メニューのSTATUSからそれを 見ることが出来るのですが……折角「A+」とか能力を決めても、それがあまり ゲーム中で活かされていないのはちょっと残念。 そして、最も気になったのは、プレイヤーの意志が介入する隙が少ないこと。 選択肢はいっぱいあるのですが、殆どがBAD END・DEAD ENDに分岐するだけ のもので、実はストーリーはあまり左右していません。 シナリオは序盤で決定しますし、それもほぼ「何周目のプレイか」で決まるため、 その後の選択肢って実はあまり意味がないんですよね。まあ、間違えれば死ん だりしますから、緊迫感を出す役には立っていますが。 さらに、プレイヤーが欲しいと思う情報はなかなか出てこず、かなり引っ張られて しまうため、プレイしていてちょっといらつくことも。 学園にいるもう1人の魔術師の正体なんて、聖杯戦争に関係ないと言うのなら、 あっさり誰だか教えてくださいよ(^^; ちょっと引っ張り方があからさまだなー、と感じました。 おかげで、主人公に今ひとつ感情移入出来ず、第三者視点で客観的に見てしまう ことが多々ありました。まあ、感情移入するとかなりイタいですけど。 あと、やはりCGの粗さと、テキストの読みづらさが気になりますね。 CGは慣れてしまえばどうということもないのですが、テキストの方はこれだけ 長々と読まされるとさすがに疲れます。もう少し読みやすさを考えて、少しでも プレイ負荷を減らして戴けるとありがたいのですが。 シナリオ、効果音、演出と、目に見えない部分は飛び抜けて優れているが、 テキスト、CGといった、目に見える部分は今ひとつな作品でした。 # いや、演出は目に見えるものも多いですけど。 でも、それらをひっくるめても、とても力のあるシナリオと、優れた演出、 設定を上手く活かした意外な展開など、プレイしていてとても面白く、充分 楽しめる作品だと思います。お話は文句なく面白いので、時間のある人には お奨めです。 手軽にプレイすることが出来ず、構えないといけない感じですけどね。 最後に。イリヤエンドきぼー(T_T) # いや、奴隷エンドでなく(^^; ネタバレ的突っ込み。 ライダーのマスター、なかなか意外な展開ではあるのですが、それってなんか 設定ねじ曲げている気がする(^^; キャスターなんて、もはや聖杯戦争のルール無視してる気がしますし。 確かに面白いんですけど、ちょーっと都合良く設定を使い過ぎな気もしますね。 そもそも、聖杯自体がかなりアバウトな存在で、都合良く使われていたような 気もしますけどね。 そして、凛が学校内を荒らしまくったり、あまつさえ結界で学校中の人が倒れ たりしているのに、次の日には平然と授業が行われている学校萌え(笑) 次の日授業があるのが当たり前のように「明日が勝負」とか言う主人公達。 さすが魔術師です。未来予知まで完璧です。 まあ、プレイしているときはあーんまり気にならないんですけどね。それだけ ゲームの世界に引き込まれているというか。 しかし、「長けりゃ長いほどいい」という訳でもないんですから、もう少し上手く まとめられなかったもんですかねぇ。必要最低限のテキストで、状況を的確に 伝えるというのも技術だと思うんですが。いくらテキストを費やしてもいいのなら、 そりゃいくらでも詳しい描写は出来ますって。長いのを悪いとは言いませんけど、 もう少し読みやすさも考慮して欲しいところですね。 そのあたりが出来ていれば、もっと高い評価出来たんですけど。 # 上手くまとめられないのなら、それは風呂敷の広げ過ぎなわけで。 あと、最後の最後でそれまで積み上げてきたものを全部ひっくり返してしまうと いうのはいかがなものかと。まるで、ニュータイプを否定したガンダムXのよう(笑) ちなみに、私のプレイ時間は2日10時間23分でした。起動しっぱなしで食事を 摂ったりしてましたけど、それでも軽く50時間は超えてますね。 これ、1日1時間ずつプレイしたとしたら2ヶ月近くかかりますよ(^^; 最初の頃の伏線なんて忘れますって……。 あと、「身体は剣で出来ていた」ではなく、「身体は鞘で出来ていた」に変更 きぼー(笑) # なんか弱そう(^^; |