Lost Life〜だけど きみに つたえたいこと〜 | |||
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ブランド名 | OVERALL | ジャンル | 純愛泣かれADV |
発売日 | 2004.08.27 | 定価 | \8,800 |
パッケージ | 紙製パッケージ(158x218x35mm) | マニュアル | A5ブックタイプ |
DISC容量 | DISK1 : 475.6MB、CD-DAなし DISK2 : 555.9MB、CD-DAなし |
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原画 | たかさわるう、やくり | シナリオ | SLANT EYE(JHONNY、秋空静、 鳴神雷華、小原和也) |
音楽 | 18曲、SAMURAI MUSIC WORKs、八幡浩暢 | 歌 | あり(2曲、OP・ED)、紅まどか |
音声 | ヒロインフルボイス、月山かなる、風吹茜、桜井唯、高瀬聖 | ||
インタフェース | ややキーボード操作可 | 描画 | Window・フルスクリーン両対応、 800x600 |
セーブ箇所 | 100箇所 | CG枚数 | |
おまけ | CG閲覧モード、イベント回想モード、MUSICモード | ||
対象属性 | 純愛、感動、病院物、ストレートロング、リボン、お姉ちゃん、オーバーニーソックス、 緑髪、女医、白衣、ショートカット、金髪、ボクっ娘、お兄ちゃん、ロリ、黒髪、看護婦、 ナース服、ピンク髪、ストッキング、紫髪、ドジっ娘、ボブカット、銀髪、猫耳、尻尾 |
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1プレイ時間 | 4〜5時間 | お奨め度 | 6 |
レビュー |
概要 |
先天性心疾患を患っている主人公は、もう自分の命が長くないことを告げられ、 自分でもそれを悟っていた。そのため、自分が死ぬときに、誰も悲しませない ようにと、周りの人からは距離を置いて生きてきた。しかし、その時が近づくに つれ、周りの人達の優しさに気付き主人公の心は揺れ動く。残り少ない時間の 中で、主人公は彼らに何を遺すのか……という、純愛泣かれアドベンチャー。 |
キャラクター・CG・音声・音楽 |
キャラクターは以下の通り。 桜木茜(さくらぎあかね)。(CV:月山かなる) 主人公の義姉。主人公と2人きりの家族で、主人公を過保護なまでに可愛がる。 明るくハキハキした元気いっぱいの女性で、主人公が絡むと暴走気味。 料理が苦手で、その破壊力は東京ドーム20個分。摂氏に直すと-279.15度。 先生。絶対零度越えてます。それ。 葉引桐子(はびきとうこ)。(CV:高瀬聖) 主人公の親友・直実の妹。極度のブラザーコンプレックスで、常に兄のことを 第一に考える。強気で勝ち気で乱暴なボクっ娘。 中村望(なかむらのぞみ)。(CV:桜井唯) 主人公と同じく心臓の病で入院している女の子。自分のことを「中村」と呼び、 独特の口調で話す。外見は幼いが、それは心疾患による発育不良のためで、 実は主人公と同い年。主人公とは診察室で2人一緒にお尻を叩かれた仲。 蠱惑の洗濯板(笑) # 「ぶっちゃけ言うと某倫理協会的にまずいと思うのですよ」……お前もな。 端島柚葉(はしじまゆずは)。(CV:月山かなる) 主人公の通う病院の看護婦。優しく面倒見がいいが、かなりドジ。 天然ホルスタイン。 鹿島美優(かしまみゆう)。(CV:風吹茜) 主人公のクラスメイト。無口で感情表現に乏しい不思議少女。 主人公に興味を抱いており、時折意味深な発言をする。 石津文(いしづあや)。(CV:桜井唯) 病院そばの公園で出会った少女。いつも公園のベンチに座り、誰かを待って いる。周りのことに興味を示さず、主人公にも冷たい態度を取る。 絵の方はややばらつきが大きく、輪郭がやたら尖ってる絵なんかもあったりと、 今ひとつ安定性には欠け、粗い印象があります。ただ、ほんわかした雰囲気を 醸し出しており、作品の雰囲気とは合っているかも。 CGは淡い色遣いの柔らかい塗りで、独特の雰囲気を醸し出しています。 立ち絵はポーズ変化・表情変化ともあり。ポーズ変化はパターン自体は少ない ですが、表情変化は感情をよく表していてわかりやすいです。 キャラクターは暴走系のキャラと静かなキャラの両極端。暴走系キャラの印象が やたら強いため、静かなキャラはちょっと弱いかもです。ただ、みんな個性的で、 いい味を出していると思います。 中村LOVE☆ 最初のプレイ、迷わず中村エンドに行った自分に乾杯。 音声は若干微妙なキャラもいますけど、暫くプレイしていれば慣れるでしょう。 茜や桐子といった暴走系キャラは、ホントに元気に活き活きと演じられています。 ただ、柚葉の声はちょっと微妙かも。控えめすぎて今ひとつ感情が乗っていない ように思えますし、ちょっと聞き取りづらいです。もう少し、他のキャラとレベルを 合わせて、聞き取りやすくして欲しいところですね。 音楽は静かで落ち着いた切ない雰囲気の曲が多め。雰囲気を醸し出している と思います。 ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。 歌は透明感のあるすっきりとした歌。静かな感じではないのですが、どこか落ち 着いた雰囲気の歌で、なかなか聴き心地はよいです。 絵の方は、キャラクター紹介・シーン紹介的なもの。ただ、最後にストーリーの 根幹をなすようなメッセージが出てくるので、見逃さないようにしましょう。 エンディングも歌あり。穏やかでしっとりとした歌で、ラストの雰囲気をうまく 表した、余韻の残る歌ですね。ただ、ちょっと間延びした感はありますけど。 |
システム |
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢決定、バック ログなどはキーボードで操作出来ますが、各種メニュー操作はキーボードでは 出来ないようです。 既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。 バックログはマウスのホイール機能に対応、音声は自動的に再生されます。 ただ、ログがシーンの切り替え時にクリアされるため、シーンが変わった直後は 全く戻ることが出来ませんので注意。 あと、画面下にSKIPのボタンがありますが、このボタンは強制スキップになって いるので注意が必要です。 描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。 動作はやや重め。かなりメモリを食うようで、定期的にスワップが発生します。 スキップ動作は軽快。ただ、メモリをバカ食いするのは同じで、しょっちゅう スワップが発生します。 セーブ箇所は100箇所。セーブ/ロードは随時可能です。 セーブデータはセーブ日時の他、シーンタイトルとメッセージの一部、そして 開始時からのプレイ時間が保存されます。 数としては選択肢もそれほど多くないですし、これだけあれば充分でしょう。 使い切ることはないかと思います。 システムは選択肢決定型のアドベンチャー。最初の2〜3の選択肢で誰の話に 入るかが決定し、そこからは選択肢でイベントやエンディングが分岐するという 感じになっています。また、一度エンディングまで行くと選択肢が追加されたり、 特定のキャラをクリアしないとシナリオに入れないキャラがいたり、結構細かく 制御されています。 システム的な特徴としては「HOT SPOTシステム」があります。これはHシーンで マウスを使って色々な行為をする、いわゆるクリックポイント型のシステムです。 どんな順番で何をするかの自由度が高く、好きな順番で進めることが出来ます。 また、設定によって、ヒロインの興奮度を示すゲージや、次に何をすればいいか というガイドを出すことも可能になっています。 さらに、普通にHシーンを読みたい人のために、通常モードと切り替えも可能に なっています。 ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。 主人公の名前は「桜木隆杜」固定です。 |
シナリオ・プレイ感 |
ゲームは、主人公が残りわずかな命を周りの人に悟られないように、努めて 普通に生きていくところから始まります。しかし、何度か倒れて病院に行ったり しているうちに、身近な人との絆が強くなり、出来るだけ人とは距離を置くように していた主人公の心が揺れ動いていく……という感じです。 ストーリーは終始静かで穏やかな、しかしどこか切ない雰囲気で進みます。 もちろん、コミカルなシーンや、ちょっとキツいシーンもあったりはしますけど、 それもどこか退廃的な雰囲気が漂っているように感じます。 誰も悲しませないために人と距離を置いていた主人公が、死を目前にして人の 優しさ・想いにふれ、徐々に心が揺れていく様がとてもよく描かれており、切なさ 炸裂の悲しいストーリーでした。 そして、エンディングなんですけど、びっくりするような演出が待っています。 最初、バグって落ちたかと思いました(^^; ただ、演出としては確かに面白いんですけど、説明も何もなくいきなりなので、 ちょっと面食らいます。せめて、その後になんでそうなったのか、説明が欲しい ところですね。 特筆すべきは演出の数々。抱き上げたときはホントに抱いているかのような 視点移動がありますし、物がぶつかる時はホントにぶつかっているかのような 演出がなされていますし、頭に何か乗せた時とかもホントに乗っているように 感じます。ただ、そういった演出があるのは主に前半で、後半はほとんどそう いった演出がなくなってしまうのは残念。……時間、無くなったのでしょうか(^^; 気になった点は、若干整合性の甘さが見受けられることでしょうか。 日付の経過や場面移動に若干食い違いが見受けられます。病室で話していた ハズなのに、屋上で話していたことになったりとか。 # 「名前も知らない今朝会った少女」……いや、めっちゃ自己紹介しましたが(^^; H度は並。各ヒロインとも複数回用意されています。尺の方はそこそこ。ただし 「HOT SPOTシステム」を使っている時は、好きなだけ攻めることが出来ますが。 ただ「HOT SPPOTシステム」を使っていても、同じ行為を何度も繰り返していると 同じ反応しか返ってこなくなるため、すぐに飽きるかもですけど。 描写はそこそこ濃いめですが、純愛系のシーンばかりのため、やや大人しい 感がありますね。ただ、描写は丁寧で、初めての時の反応とか、慣れてきた時の 反応などがきっちり描かれていますし、ラブラブな雰囲気も醸し出されています。 テキストは、ちらほら誤字は見受けられますが、さほど気にはなりませんでした。 ただ、ちょっと読点が少なくて若干読みづらいかも。まあ、音声のある部分では 声優さんがきっちり間を開けて読んでくれていますけど。 |
プレイ時間・難易度 |
ゲーム期間は不明。平然と数日が経過したりしますし、日付を意識することは ありません。 ワンプレイは4時間32分。はい、私の初回プレイ時間です。 きっちりエンディングを見るまでの道のりがキャラによって違うのですが、 だいたい3〜5時間ぐらいでしょうか。 難易度は低め。最初の2〜3個の選択肢でシナリオが分岐しますし、その後も それほど選択肢は多くないため、クリアするのは簡単でしょう。 「HOT SPOTシステム」を使った場合でも、簡単に興奮度が上がるため、特に 苦労をすることはないかと思います。 ただ、1度最後まで行かないと出てこない選択肢があったり、特定のキャラを クリアしないとクリア出来ないキャラもいるので、その点は注意が必要です。 ちなみに、クリアしたキャラはタイトルメニューに登場します。なかなか面白い 演出ですね。 |
総評 |
お奨め度ですが、もの悲しく切ない雰囲気の、感動的な話が好きな人にお奨め。 手放しでハッピーエンドというわけではありませんが、心に染み入ってくるような、 綺麗な終わり方が多いです。 人と距離を置いていた主人公が、周りの人達の心に触れ、何かを遺したいと 思うなど、心情描写が巧みで、感情移入しやすかったです。 ただ、ちょっとラストの描写が弱く、すっきりすんなり終わってしまうような感じ なので、もうちょっと引っ張って余韻を楽しませて欲しかったな、と思いました。 それと、このゲームは「泣かれゲー」というジャンルなわけですが、その割には あーんまり泣かれてないような……。 特に、きっちりとしたエンディングの時は、むしろ笑顔だったりすることもある ぐらいで、今ひとつ「泣かれ」の要素が弱い気がします。 おかげで、プレイしている方も一歩引いた感じで、今ひとつ泣けませんでした。 もっと気持ちのぶつけ合いをしっかり描いてあれば、もっと感情移入できて、 だくだく泣くことが出来たんじゃないかなーと思えるだけに残念です。 私も最初にプレイした中村シナリオの1周目では泣けましたが、それ以降では ちょっとうるうるする程度でしたし。 基本的に結末が見えている作品ですから、よっぽど途中を上手く持って行か ないと、なかなか感動させるのは難しいと思いますし。 あと、全体的に不思議な雰囲気の漂う作品なのですが、そのあたりの説明が 弱く、「どうしてそうなったの?」という疑問が湧いてしまいます。 そのあたりのことは美優シナリオでしか触れられておらず、美優シナリオでも 抽象的な説明しかなされていないので、どうしてかはいまいち不明です。 ややシナリオがパンチに欠ける印象はありますけど、それでも切なくなるような いいお話ですし、心情描写が丁寧で、演出も巧みなため、感情移入しやすく、 雰囲気重視の人にはお奨めできる作品だと思います。 もう少し設定などがしっかりしていて、シナリオにもメリハリがついていれば、 かなり高い評価が出来たと思います。 最後に。「最初から」と「プロローグから」って、違いがよく判らないのですが(^^; # ふつー「最初から」と「本編から」とか、「プロローグから」と「本編から」とか # じゃないですか?(^^; 以下、ネタバレを含む感想。というか、このゲームはネタバレしないように 書くとかなり曖昧なことしか書けないので、実はここより下がメイン(笑) このゲームは、ほとんどのシナリオは1周目が終わると最初に戻されてもう一度 同じ話をやり直すことになるのですが、何故最初に戻されるのかの説明が殆ど なく、訳もわからないまま2周目に放り込まれるので面食らいます。しかも、2周目 だという説明がないため、気付かずに別のキャラのシナリオに入ることも出来て しまうため、いまひとつ1周目と2周目の繋がりが弱くなってしまっています。 もう少しこの部分をきっちり説明して、明確にしておけば、もっとプレイしやす かったと思えるだけに残念ですね。 さらに、1周目と2周目は展開にあまり差がなく、ラストの方がちょっと違うだけと いう場合が多いので、いまひとつ2周目の意味がわかりません。 しかも、ほとんどのシナリオでは2周目の時でも1周目の話が出てこないため、 ただ単に1周目とはちょっと違う選択をしただけ、という印象が強いです。 美優シナリオでは1周目の記憶があるので効果はありましたが、それ以外の シナリオでは、1周目の存在がほとんど無意味に思えます。 また、ほとんど同じ流れのシナリオを2回プレイすることになりますので、どう してもインパクトに欠け、メインである2周目が今ひとつ泣けないという状態に なってしまうのは勿体ないです。殆どのシナリオで1周目の方が泣けましたし。 そして、最初から主人公が死ぬという結末はわかっていますので、そこに至る までの過程と、その後のアフターフォローがメインになるわけですが、アフター フォローが非常に短く、拍子抜けの感がありました。 ここはもっと丁寧に描いて、余韻を楽しませて欲しいところです。 最後の最後に。果たして、主人公に縛られたままずっと過ごしていくのが、 本当に幸せなのかどうか……なかなか微妙な終わり方ですよね。 もう少し、未来に希望を抱かせるような終わり方の方が、個人的には好き なのですが。まあ、このあたりは好みの問題でしょう。 |