ぴゅあぴゅあ PURE☆PURE
ブランド名 KLEIN ジャンル ねこみみ+いぬみみ萌え萌えゲーム
発売日 2004.05.28 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(230x165x39mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 disc1 : 669.0MB、CD-DAなし
disc2 : 655.7MB、CD-DAなし
原画 桜沢いづみ シナリオ 渡部好範
音声 あり、金松由花大野まりな、大波こなみ、MARIO
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 60箇所 あり(1曲、OP)
おまけ gallery、memories、introduction
対象属性 萌え、純愛、感動、赤髪、ボブカット、犬耳、尻尾、ご主人様、首輪、ボクっ娘、
エプロンドレス、スクール水着、病弱、金髪、妹、お兄ちゃん、ツインテール、
リボン、眼鏡っ娘、猫耳、黒髪、ストレートロング、オーバーニーソックス、
メイド服、ウェイトレス、浴衣、シスター、ウェディングドレス
1プレイ時間 11〜14時間 お奨め度 5

レビュー
概要
犬や猫がそのまま人間になったような『耳っ子』と呼ばれる種族がいる世界。
主人公は、そんな世界で犬猫をはじめ、耳っ子まで扱うトリマーになるべく、
養成学校に通っていた。その学校にいる耳っ子、さちやひなた、そして親友の
御堂拓也らとともに、楽しい毎日を過ごしていた。そんな中、主人公は次第に
さちに心惹かれていく。果たして、人間と耳っ子の恋の行方は……という、
ねこみみ+いぬみみ萌え萌えゲーム。
# めちゃめちゃストレートなジャンルですね(^^;
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

ひなた。(CV:金松由花)
トリマー養成学校で暮らす犬の耳っ子。明るく元気いっぱいで無邪気なお子様。
主人公のことを「ご主人様」と呼び慕い、いつも付きまとう。
ことある毎に遊んで欲しいとせがむ寂しがり屋。

さち。(CV:大野まりな)
トリマー養成学校で暮らす犬の耳っ子。大人しく控えめで真面目ないい子。
主人公のことを「ご主人様」と呼び慕い、甲斐甲斐しく尽くす。
努力家で頑張りやさん。

美和。(CV:MARIO)
主人公の妹。ちょっぴり人見知りの大人しい子。料理が上手で、主人公の所に
食事を作りにやってくる。眼鏡っ娘ですが、着けてないときの方が多いです。

とばり。(CV:大波こなみ)
歓楽街の路地裏で出会った猫の耳っ子。主人公に助けられ、恩を感じている。
猫らしくコロコロと態度が変わる。頭が良く、何でもそつなくこなしてしまう。
ミステリアスな雰囲気を持っている。

絵の方は柔らかいタッチのほんわかとした絵柄。可愛らしさがにじみ出ている
ような感じです。
CGは淡い色遣いのほんわかとした塗りで、原画の雰囲気を上手く活かしている
と思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。アクションは大きく、表情も会話に
合わせてコロコロかわるので、感情移入しやすいです。

キャラクターは個性豊かでバラエティに富んだ面々。耳っ子が中心となっており、
不思議な雰囲気の漂うキャラが多いですね。
ヒロインもみんな魅力的なんですが、親友の御堂がすっごいいいヤツで、一番
好きかもです。男ですけど。
登場人物みんないい人ばっかりなので、安心して気持ちよくプレイできますね。

音声はキャラクターとのマッチングもよく、演技の方も問題なし。
ひなたは最初結構うるさく感じたんですが、まあ元々そーいうキャラですし、
後半はちょっぴり大人しくなりますしね。

音楽は静かな切ない雰囲気の曲と、アップテンポな激しい曲が半々ぐらい。
クリアで広がりのあるサウンドで、聴き心地がよいです。どこかで聴いた事の
あるような、馴染みやすい曲が多いですね。

ゲームを開始すると、4時間にも及ぶプロローグ……というか、1章が終わると
オープニングアニメーションが流れます。
歌は流れるような旋律の爽やかな歌。なかなか聴き心地がいいです。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもので、特筆すべき点はなし。
ただ、ラストの演出はかなりやられたって感じです。
オープニング単体で見れば、まあそこそこ出来はいいと思うのですが、直前の
シーンからこのオープニングへ繋ぐのはちょっと無理があるかと。
もっとしっとりした切ない曲か、いっそのこと激しい曲かにしないと、完全に曲が
負けてしまっている気がします。雰囲気が合ってない気がします。
歌単体で聴くと、かなりいいんですけどねぇ。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢決定はキー
ボードで出来ますが、各種メニューはキーボードで操作出来ないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログは音声の再生に対応しています。
画面上に出ているメニューボタンは、save/load/sys.とlog/skipをボタンで
切り替えるようになっているので、ちょっと気付きづらく、また煩わしいです。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作はやや重め。CPU利用率も結構高いです。

セーブ箇所は60箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、章番号とシーン名が保存されます。
数としてはそこそこ選択肢の数はありますが、分岐となる選択肢は少ないため、
これだけあれば充分足りるかと思います。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
特徴としてはセリフのふきだし表示。
セリフの表示が通常のメッセージウインドウ表示とふきだし表示のどちらかから
選ぶ事が可能になっています。ふきだし表示の場合、立ち絵の横にふきだしで
セリフが表示され、ふきだしの形も感情に応じて変わるので、誰がどんな風に
喋っているのかわかりやすいですね。ただ、画面のあちこちにふきだしが出ます
ので、視線の移動が多くなるため、ちょっと疲れますけど。
あと、後半はふきだし表示にしていてもメッセージウインドウにセリフが出る
ことが多かったです。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは、卒業試験を目前にして、主人公がトリマーの練習に明け暮れている
ところから始まります。
親友の御堂に指導してもらいつつ、耳っ子のさちにサポートしてもらい、ひなた
には応援してもらいながら、卒業試験を目指して頑張っていく、という感じです。
# まあ、ひなたは役に立っていないわけですが(笑)

前半は、明るくほのぼのとしたコミカルな展開。さちやひなた、御堂たちとの
明るく楽しい日常が描かれています。

後半は、最初かなり重い雰囲気で始まりますが、次第に明るくなっていき、
最後はちょっと切ない展開になっていく、という感じ。
まあ、純愛物の王道的展開です。

特筆すべきは感情描写の丁寧さ。ふきだしの形状やキャラクターの表情、
セリフを出すタイミングなどの演出もあって、キャラクターの感情がとても
良く伝わってきます。

そして、キャラクター同士の関係がとても良く描かれており、助け合いながら
前に進んでいく様は、見ていて気持ちいいです。
登場人物はみんないいヤツばかりで、特に御堂はもはや究極のいいヤツで、
安心して気持ちよくプレイすることが出来ました。
途中、主人公がヘタレたりうじうじしたり暴走したりするんですが、周りの
キャラクターが支えてくれるため、あまり不快ではありませんでした。

気になったのは事前情報の少なさ。ゲームはいきなり主人公がトリマーの
練習をしている所から始まるのですが、舞台背景や設定の説明が全くない
状態で始まるため、最初は主人公が何をしているのか、ここがどこなのか、
ひなたやさちが何者かなど、全く説明されないまま当然のように進みます。
なので、マニュアルなりメーカのサイトなりを見て、事前知識は入れておいた
方がいいと思います。
ただし、パッケージだけは見ない方が賢明です。詳しくは後述。

それと、ゲームは章立てて進むのですが、気が付いたらいつの間にか章が
変わっているという状態で、何のための章立てなのかいまひとつ理解でき
ません。まあ、別に困ることはないんですけど。

H度はやや低め。キャラクターによって回数に差があり、複数回あるキャラも
いれば、1回しかないキャラもいたり、1度もないキャラすらいます。
……いや、さすがに実の妹はマズいでしょ?(笑)
描写の方もあっさりめで、尺もそれほど長くないです。絵柄からもほんわかと
した雰囲気が漂っていて、どちらかというと雰囲気重視のラブラブHという感じ
です。H度は低いですが、萌え度は高く、気持ちは良く伝わってくる感じです。
純愛物の典型的なHシーン、という感じでしょうか。

テキストは、やや誤字が目立ち、表現のちぐはぐさも見受けられます。
「照れなきゃやらなきゃいいのにな」……照れるならやらなきゃいいのにな、
ではないのでしょうか……。「振り返し」が殆ど「振り替えし」になってたり。
# 「だからひなたっ、しかもそっちは禁煙席だぞっ! お客さん、タバコは吸わ
# ないんだからっ!」……吸わないなら禁煙席であってるじゃん(^^;
文章自体は、あまりクセもなく読みやすいのですが、やや表現が淡泊で淡々と
進むため、若干メリハリやテンポに欠ける感はあります。
プレイ時間・難易度
ゲームは2月16日の月曜日から始まります。ゲーム期間は……1年半ぐらい?
ゲームが章立てて進み、途中で大きく時間が飛びますし、通常もイベントのある
日だけをプレイするような感じなので、あまり期間に意味はないですけど。

ワンプレイは11〜14時間。淡々と進むため、かなり長く感じました。
いや、実際かなり長いんですけど。

難易度は低め。シナリオの分岐となる選択肢が少なく、選択肢の効果も明確で、
それほど悩むことはないでしょう。
ただ、各シナリオのイベントの分岐はちょっと判りづらいかも。
総評
お奨め度ですが、ほのぼのまったりした純愛物が好きな人にお奨め。
ただし、途中で結構キツい展開があったり、そもそも耳っ子の存在自体がかなり
切ない雰囲気が漂っていたりはするんですけど。

シナリオはやや淡泊で、大きな盛り上がりは1つ2つしかないような感じですが、
独特のほんわかほのぼのした雰囲気は心地よく、世界観に浸れます。
まあ、人によっては物足りなさを感じるかも知れませんが。

さて、実はこのゲーム、パッケージにかなり凶悪なネタバレがあります。
あらすじに前半から中盤にかけての話の流れが書かれているのですが、前半の
ラストにある最大の山場のオチが書かれてしまってます。……プレイ前に読んで
しまってヘコみました……。確かにストーリー自体はそこからさらに続き、むしろ
それ以降がメインという感じではあるのですが、いくらなんでもオチを書かなくても
いいと思うんですけど……。
マニュアルではそこまで触れられていませんし、メーカのサイトではその部分を
上手くぼかして書いてあり、見事なゲーム紹介になっているんですけどねー。
どうしてパッケージにだけ、こんな直球な書き方をしたのか理解できません。
どの程度酷いか、最後に隠して書いておきますね。

そんな感じで、前半の最大の山場、もしかしたらゲーム中で最も感動できる
かも知れないようなところのオチがパッケージに書かれていて、せっかくの
ストーリーも上辺だけの絵空事に思え、感情移入できませんでした。
これがなかったら、お奨め度は確実に +1 したと思います。
ですので、もしこれからプレイしようと思っている人は、メーカのサイトと
マニュアルで事前知識を仕入れて、パッケージは見ないことをお奨めします。

ほのぼのまったりした雰囲気は心地よく、ちょっと切ない展開は感動できる
部分もあると思いますし、CGも独特の雰囲気を醸し出しており、音声や音楽も
感情移入しやすくなっています。周囲のキャラクター達に支えられながら、前に
進んでいく様は、みていて感動を覚えます。
やや盛り上がりに欠けることと、山場のオチがパッケージに書いてあることを
除けば、よくまとまった作品だと思います。
若干だらだら長く感じるかも知れませんが、雰囲気に浸るためだと考えれば
それほど苦ではないでしょう。

最後に。「妹はな、全人類の共有財産なんやで……」……御堂が壊れた(^^;
# 何故か、御堂を見ていると頭の中で堀川りょうさんの声が浮かぶ私は、
# 名探偵コナンの見過ぎでしょうか(^^;


以下、「君が望む永遠」のネタバレを含みます。←何故!?(^^;

パッケージのネタバレ具合がどんな程度かの解説コーナー(笑)

他のゲームを例として持ってきて申し訳ないですが、ぶっちゃけた話、
「君が望む永遠」で、パッケージに「一章のラストで遙事故ります☆」と
書いてあるようなもんです。それは書いちゃいかんだろう……。
パッケージでこんなにダメージ受けたのは「Coda-棘-」以来かも。
# 「宴〜憂いの館〜」は、推理物のクセにマニュアルに犯人書いてあり
# ましたけど(笑)
##ズバリではないですけど。

ちなみにこのゲームには封入特典として「初期設定+ラフ」と「線画+ラフ」が
付いています。そして一緒に「極度にネタバレ要素が含まれていますので、
ゲームを一通りプレイされてから読まれることをお勧めいたします」という
注意書きが入っています。
……そこに気を遣うなら、パッケージにも気を遣ってくれ(T_T)



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