聖痕〜牙と贄と狂気の館〜
ブランド名 ユメスタ ジャンル 正統派メイドサスペンスAVG
発売日 2004.11.12 定価 \1,980
パッケージ DVDタイプのトールケース
(135x191x14mm)
マニュアル B5用紙2つ折り
DISC容量 546.2MB、CD-DAなし
原画 大田和範 シナリオ 島崎一彦、竹本みかん、瑚島ばる、
椎名恵水、土田太郎、高崎とおる、
秋月兎々丸、長谷焔
音声 女性のみフルボイス、小林和美、成瀬未亜
インタフェース メッセージ送りのみキーボード可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 144箇所 あり(1曲、ED)
おまけ CG鑑賞、シナリオ回想
対象属性 メイド、館物、伝奇物、サスペンス、エプロンドレス、純愛、陵辱、赤髪、ストレートロング、
ストッキング、銀髪、縦ロール、ご主人様、オーバーニーソックス
1プレイ時間 2〜3時間 お奨め度 6

レビュー
概要
主人公は、この地方一帯を収める領主。過去の記憶を失い、城に2人のメイドと
静かな生活を送っていた。しかし、主人公は徐々に記憶を取り戻し、自分の中に
流れる忌まわしい血に気付き始める。主人公の変化と共に、メイド達の運命も
変わっていく。果たして主人公とメイド達の運命はどうなっていくのか……という、
正統派メイドサスペンスAVG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

レイチェル。(CV:小林和美)
主人公が記憶を失う前からずっと仕え続けているメイド。優しく包み込むような
雰囲気を持った女性で、主人公に甲斐甲斐しく尽くす。

カルティエ。(CV:成瀬未亜)
主人公が記憶を失ってから城にやってきたメイド。明るく元気いっぱいだが、
かなりドジ。しかも、今ひとつ反省の色がない。

以上。潔いですねー。

絵の方は、やや暗く重い雰囲気を醸し出す絵柄ですが、綺麗で可愛らしい絵柄
ですね。
CGは落ち着いた色遣い。ただ、背景に比してキャラクターの色遣いがやや暗い
ため、常に逆光にいるような印象を受けてしまいます。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。ただし、どちらもパターンはあまり
多くありません。というか少ない。

キャラクターは穏やかな雰囲気のレイチェルと、元気いっぱいのカルティエと
いう対照的な配置。どちらも魅力的ですが、一途で健気なレイチェル萌え。

音声はキャラクターとのマッチングも良く、演技の方も良好。
カルティエが陵辱されるときの叫び声や錯乱の仕方は、臨場感たっぷりです。

音楽はクラシック調の、荘厳な雰囲気の曲が多め。作品の雰囲気を上手く演出
してくれています。

エンディングは歌あり。歌はしっとりとした切ない雰囲気の曲で、それでいて
どこか力強さを感じさせる、なかなかいい歌ですね。
システム
システムはメッセージ送りのみキーボード可。
強制スキップ、回想、オートプレイ搭載。スキップに既読判別はありません。
ちょっと使いづらい印象が強いですね。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。
動作はやや重め。CPU利用率はべったり100%です。スキップ動作も遅め。

セーブ箇所は144箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とデータレベル、コメントが保存
されます。データレベルとは重要度のことのようですが、これに何の意味が
あるのかはわかりません(^^; マニュアルにも書いてないので……。
数としては、選択肢の数も少なく、一度クリアしたらまた最初から始める必要が
あるため、あまりセーブ/ロードは必要ないかと思いますし、これだけあれば
充分。まず使い切ることはないでしょう。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。
クリアする毎に新しいルートが出現する、シナリオ追加型のシステムです。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「ロアン」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームの方は、主人公が己の中に流れる忌まわしい血に気付き始めるところ
から始まります。
生き物を殺すことに喜びを覚えたり、女性を襲いたいという欲望を抱き、それと
戦い、また流されたりしつつ、運命と向き合っていく……という感じです。

ストーリーは終始シリアスに、重苦しい雰囲気で進みます。
主人公の過去や生い立ちを中心として、メイド達との関係などが描かれており、
徐々に謎が明らかになっていく様はプレイしていてドキドキします。

ラストは切なく悲しい終わり方が多く、それでいて心に何か残るような、なかなか
綺麗な終わり方だと思います。
ただ、ラストの展開がややあっけなく、ぶちっと終わってしまうような感じなので、
今ひとつ余韻に浸りきれないのはちょっと残念。
最後はもう少し丁寧に描いて欲しかったですね。

H度はやや低め。各ヒロインとも複数回用意されていますが、尺はやや短め。
描写もそれほど濃厚ではありません。どちらかというと、Hさよりも、行為
そのものを描写したような、いわば客観的な描き方がされています。

テキストは、ちらほら誤字・脱字が見受けられますが、それほど致命的なものは
ないでしょう。やや小難しい、古い言葉遣いがあったり、突然回想が入ったり
しますので、慣れるまではちょっと取っつきづらいかも知れませんね。
まあ、雰囲気は良く出ていると思います。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は3日? 1日ずつプレイするタイプだと思いますが、日付の経過は
明示されないので、実は飛んでいるかも。

ワンプレイは2〜3時間。手軽でプレイしやすい長さですが、ゲームの雰囲気が
かなり重いため、実際より長めに感じるかも知れません。

難易度は並。選択肢の効果は明確ですが、どちらを選んでも、その後は同じ
ように進んだりしますので、ちょっと注意が必要です。
また、クリアする度に新しいルートが出現するタイプですので、どこから新しい
ルートに入れるかに気付かないとちょっと辛いかも。
総評
お奨め度ですが、シリアスで重い雰囲気の、サスペンスタッチな作品が好きな
人にお奨め。
ストーリー重視の内容になっており、徐々に謎が明らかになっていく様はプレイ
していて引き込まれるような感じです。
設定もしっかりしており、キャラクターも上手く動いているため、ストーリーに
集中しやすく、じっくり楽しむことが出来ます。

ただ、インタフェース面がかなり貧弱で、動作が重めでスキップも遅いうえ、
既読の判別がないため、ほとんどスキップが使えない状態なのは辛すぎます。
シナリオ追加型のシステムで、何度も同じ話を読むことになりますから、既読
部分は飛ばせるようにして欲しいところですね。
ヘタにスキップを使うと、いつの間にか見たこともない話に入っていたりして
つらーい気持ちになります。

それと、謎が徐々に明らかになっていく様がなかなか面白い作品なのですが、
メーカのサイトにその謎がかなりのところまで暴露されてしまっているのは
どうかと。あんなの見てしまうと、面白さが半減すると思うのですが……。
これからプレイしようという人は、メーカのサイトは出来るだけ見ないことを
お奨めしておきます。

低価格ながらボリュームもたっぷりで、引き込むような力のあるシナリオは
なかなか面白く、キャラクターも魅力的で、よくまとまったいい作品だと思い
ます。インタフェースが貧弱なのが残念ですね。
インタフェースさえ良ければ、お奨め度 7 は付けたんですが。内容的には
それぐらい良かったということで。
あ、ちなみにメーカのサイトを見てしまった場合は、お奨め度 5 ぐらいまで
落としてください。面白み半減すると思いますので。

最後に。参加ライターさん多すぎ(笑)
そんなにボリュームでかい作品でもないのに、いったいどれだけのライター
さんが参加してるんだ……(^^;


以下、ネタバレに対する突っ込み。

メーカのサイトで、主人公のことをずばり「ヴァンパイア」なんて書いてしまう
のはどうかと思うのですが……。
そりゃ、城の名前が「ノスフェラトゥ城」だったり、毎食トマトジュースが出て
きたり、地下室にあからさまな棺桶があったりしますから、誰でもすぐ気付く
とは思いますけど……。
でも、ゲーム中では終盤にならないと出てこない設定ですし、ストーリーの
肝だと思うんですけどねー。

他にも、レイチェルが主人公の父の毒牙にかかりそうだったとか、2人で
両親を殺したとか、カルティエが主人公の母親に両親を殺されたとか、
肉体的に責められ従属を誓うとか……もう、そこまで書いちゃったら、
別にゲームやらなくてもいいじゃん、と思うんですけど(^^;
もうちょっと気を遣って欲しいですね。ストーリー重視の作品ならなおさら。



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