Silent Half 〜サイレント・ハーフ〜
ブランド名 LimeLight ジャンル AVG
発売日 2004.02.27 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(169x232x42mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 Game Disc : 1.49GB(DVD-ROM)
特典音楽CD : CD-DA=207.5MB、CD-DA6トラック
原画 宮下未紀 シナリオ Johny久留間
音声 主人公以外のキャラクターボイスあり、涼森ちさと奥川久美子、もっち、田中美智、
征十朗、加古川高、森山葵、須藤彦一、森川明大
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 30箇所 あり(5曲、OP・ED)
おまけ Recollections(回想モード)、Story、Picture
対象属性 純愛、ピンク髪、ストレートロング、触角、オーバーニーソックス、体操服、ブルマ、猫耳、
妹、お兄ちゃん、幼なじみ、眼鏡っ娘、ボブカット、緑髪、ショートカット、ボクっ娘、病弱
1プレイ時間 6〜9時間 お奨め度 5

レビュー
概要
主人公は、ある日川原で1人の少女に出会う。その少女・遥香は主人公の親戚の
家に引っ越してきて、学園でも同じクラスとなる。出会った時から親しげな遥香との
距離はどんどん縮まり、やがて2人は付き合うようになる。しかしある日、遥香は
納骨堂の上から転落してしまう。間一髪助けた主人公だが、遥香は昏睡状態に
陥ってしまう。そして、長い昏睡状態から目覚めた遥香は、主人公に関する記憶を
失っていた……。記憶を失った遥香とのすれ違いの中で、主人公は何を見つける
のか……という、アドベンチャー。

このあらすじだけで結構ネタバレってる気がしないでもないのですが(^^;、まあ
パッケージに書いてある所までしか書いてないのでいいよね(^^;
これ以上説明端折るとわけわかんなくなりそうですし……。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

椎乃遥香。(CV:涼森ちさと)
主人公の前に現れた少女。逢った直後から親しげに接してくる。
元気いっぱい、傍若無人で、会った端から川にぶち込みたくなるような娘(笑)
「ぷー」が口癖。「ぷぃ」「ぷぇ」「ぷぉ」などのバリエーションもある(笑)
「むーむー」だの「あぅ」だの、変な口調が多い。
# 長いキスで苦しくなって、タップしてギブアップする女の子。ありえねぇ(^^;

相庭志緒理。(CV:奥川久美子)
主人公の従姉で、遥香が居候する家に住んでいる。細かいことを気にしない
大雑把な性格。永遠にハタチ(笑)
# 30前で「にゃふー」だの「んにゅー」だのという口調はどうだろう(^^;

嶺川柚。(CV:田中美智)
主人公の幼なじみ。無口で物静かで生真面目。好き嫌いが激しい。

相庭直紀。(CV:もっち)
主人公の妹。不治の病で長い間入院している。死の運命を受け入れており、
明るく振る舞う。

椎乃遊美。(CV:?????)
遥香の妹。明るく元気いっぱいのお子さま。主人公のことを「お兄ちゃん」と呼び
慕う。「のー」が口癖。
# 「きさまにあねのしかくはないのー」(笑)

絵の方は表情豊かで可愛らしい絵柄。基本的に繊細な感じなのですが、シーンに
よってややバラつきはあるような気がします。
CGの処理も基本的には綺麗で丁寧なのですが、こちらもシーンによってややバラ
つきがあるような感じですね。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともあり。特に表情変化はアクションが大きく多彩
なため、見ていてとても楽しいです。コミカルな表情も多いですね。

キャラクターは個性豊かなキャラクター揃いなのですが、遥香の個性が際だって
いるため、結構普通に見えたりもします。
変な口調のキャラクターが多く、ちょっとなじめない人もいるかも知れません。
というか、ほとんどのキャラが「んにゅー」とか言ってるんですが(^^;

音声はキャラクターとのマッチングもほぼ問題なく、演技の方もいいですね。
ただ、遥香は記憶を失う前と後では口調などが変わるのですが、あまりにも
変化が大きすぎるため、別人のように聞こえてしまいました。
それと、エンドロールで椎乃遊美や、クラスメイトの杉本さなえのキャストが
「?????」になっているのですが、これって隠す意味はあるのでしょうか?
声を聞けばわかるレベルだと思いますし、別にゲーム中で大きな意味を持つ
わけでもないと思うのですが……。
# きっと何かあると思ってプレイして、何もなかったので拍子抜けしました(^^;

音楽は、静かで穏やかな曲が多め。緊迫したアップテンポな曲もありますが、
基本的にはゆったりした雰囲気が漂っていますね。

ゲームを起動して、しばらく放置するとオープニングアニメーションが流れます。
歌はしっとりとした静かな歌で、切なさたっぷりです。
絵の方はシーン紹介的なもの。ゲーム中の絵をいっぱい貼り付けたり、ゲーム
画面そのものをそのまま表示したりと、なかなか凄いです。まさか、メッセージや
日付表示までそのまんま使ってくるとは(^^; ……手抜きに見えるんですが……。

エンディングも歌あり。各キャラクターのエンディング毎に別の歌が使われて
いるのですが……どうも、ラストの雰囲気と合っていない曲が多かったように
思います。絵の方もエンディングによっては静止画1枚固定表示だったりして、
何の面白みもありません。取って付けたようなエンディングに見えてしまいます。
システム
インタフェースはマウスカーソルのキーボードエミュレーションによる、フルキー
ボードサポート。既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作は比較的軽快。
スキップ動作も高速です。

セーブ箇所は30箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、ルート名が保存されます。
数としては、選択肢が結構多く、エンディングの数もそれなりにあるため、もう
少し欲しいところですね。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
フラグによってシナリオが分岐するタイプですが、選択肢を1つ間違えるだけで
別のシナリオに入ったりするので注意。

特徴的なのはストーリーを見る視点を変更できること。
主人公視点のみの「ホリゾンタルフェイズ」と、主要なイベント時に、主人公
以外のキャラクター視点となる「バーティカルフェイズ」が用意されているの
ですが、これはゲームを開始する時に選ぶだけでその後は変更できません。
ちなみに、「バーティカルフェイズ」だけでプレイしても、全てのイベントCGは
回収できるので「ホリゾンタルフェイズ」の存在意義は感じないのですが……。
まあ、余計な情報の入ってこない、ストーリーに集中するための視点、という
感じでしょうか。元々情報量少ないですけど。
シナリオ・プレイ感
まず、ゲームの冒頭、恋人である遥香が転落事故で入院するわけですが、それ
までの主人公と遥香の描写が弱く、また事故の前後も淡々と描写されるため、
今ひとつ実感がつかめないというか、感情移入しづらかったです。
まあ、これは事実だけを先に見せようという演出なんでしょうけど、ちょっと唐突に
感じました。

その後ゲームは、遥香が昏睡している現在と、主人公が遥香に出会ってから、
事故が起こるまでの過去の回想が交互に進んでいきます。

過去の回想は、明るく楽しいコミカルな雰囲気で、ドタバタの日常が描かれて
いる感じです。
# 「……あー、君達、後が支えてるんで手短にお願いね」……止めろよ(^^;
##「あの男をころすのよー」「放課後の夜道にしなさい。それに素手じゃムリ
##でしょ」……だから止めろよ(^^;

現在の描写は、遥香が目を覚まさない間も、主人公は学園に通ったり、陸上の
部活動を続けたりするところが描かれており、どこか切なく、もの悲しい感じの
展開になっています。

そして、遥香が目を覚ました所からは現在の描写のみとなり、作品の雰囲気も
がらっと変わります。
遥香は主人公のことを覚えておらず、なんとか記憶を取り戻そうとする主人公と
ことごとくすれ違い、また衝突します。
後半になればなるほど、切ない、イタい展開が多くて、プレイしていて辛いです。
エンディングもどこか後味の悪い、すっきしない終わり方でした。

プレイしていて感じたのは、感情移入のし辛さ。前半は現在と過去の時間軸が
ころころ変わりますし、後半は話が唐突で抽象的で、非常にわかりにくいです。
遥香シナリオである程度説明はされますけど、背後関係とか、そもそもどうして
そんなことがとか、そういった説明はほとんどなくてすっきりしません。
主人公も突然ヘタレたりキレてみたり、行動が今ひとつ掴み切れませんでした。

H度はやや低め。ほとんどのヒロインは複数回用意されているのですが、尺は
それほど長くなく、描写も比較的あっさりめです。基本的に純愛系のシーンが
ほとんどで、バリエーションもあまりありません。
一部、陵辱っぽいシーンもあるのですが、そちらもあまり描写は濃厚ではなく、
あっさりと流される感じです。
ちなにみに、短いHシーンは回想に登録されませんので注意。

テキストは誤字も目立たず、クセもなくて読みやすいと思います。ただし、
特徴的な口調のキャラクターが多いため、ちょっと気になるかも知れません。
遊美や遥香はともかく、志緒理や母親まで変な口調なのはどうだろ(^^;
プレイ時間・難易度
ゲームは2003年8月12日から始まります。……具体的すぎ(笑)
ゲーム期間は2ヶ月〜1年2ヶ月。幅ありすぎ(笑)
ただ、ゲーム前半は過去の回想と現在とを交互に進んでいくような感じですし、
前後半とも何かイベントのある日だけをつまんでプレイするような形ですから、
あまり期間に意味はないかも知れませんが。いきなり1年経過してたりしますし。

ワンプレイは6〜9時間。シナリオによってやや幅がありますが、総じてちょっと
長めに感じました。

難易度は並。基本的に狙ったキャラクター寄りの選択をしていけばいいのですが、
一部、どちらを選べばどのキャラ寄りになるのか判りづらい選択肢があったり、
選択肢を選んだときの効果もすぐには判らないことがあるので注意が必要です。
さらに、選択肢を1つ間違えるだけで別のシナリオに入ったりもします。
個別ルートに入れば、セーブデータに誰のシナリオに入っているのかが保存され
ますので、セーブしてみて上手くいっているかチェックしましょう。

ちなみに、全てのエンディングを見るとストーリー回想モードのOmakeが見られる
ようになるのですが……そこまで苦労して見るほどのものかなー、これ(^^;
総評
お奨め度ですが、色々な思惑の絡み合う、人間ドラマの好きな人にお奨め。
前半の過去回想こそ明るく楽しい展開ですが、後半に入るとひたすらどろどろ
した展開になり、さらに突拍子もない設定が出てきたりして、息もつけない展開
です。……ごめんなさい。ちょっと言い過ぎました(^^;
まあ、それなりにドキドキは出来ると思います。

ただ、その後半に出てくる設定があまりにも突拍子がなく、さらに結局はどういう
ことなのかという説明が曖昧なまますませられるため、クリアした後も今ひとつ
すっきりしない、後味の悪い終わり方になってしまっています。
私はてっきり回想モードのOmakeでこのあたりを説明してくれるんだと思っていた
のですが、プレイしてみて肩すかしを食らいました。

それと、この作品は分類的には純愛系だと思うのですが、一部陵辱っぽいシーン
があったり、寝取られ……までは行きませんが、ヒロインが主人公以外の男性と
身体を合わせるという描写があります。
実際に行為の描写は1回しかないのですが、ゲーム中にちらほらとほのめかす
ようなシーンがあって、気になる人はちょっと辛いかも知れません。

あと、5曲のボーカル曲が売りになっているようですが、エンディングは効果的に
使われていると思えるものは少なく、取って付けたような感じで残念です。

全体的に、やや淡泊で淡々と進み、雰囲気も重苦しい感じで、プレイしていて
あまり楽しくなかったです。かと言って、ストーリーが良かったかというと、
時間軸がころころ変わったり、主人公の行動が一貫していなかったり、唐突に
突拍子もない設定が出てきたり、あまつさえそれがきっちりと説明されていな
かったりと、感情移入がしづらく、説得力もなかったように感じます。
いたずら電話とか、遥香の前の学校での話とか、主人公の母親の話とか、伏線
張るだけ張ってほったらかしという感じで、勿体ないです。
# どれも、それっぽい説明はあるんですけどね。特に前の学校の話は。

最初に事実だけを突きつけて、その後現在と過去とを交互に描くという試みは
面白いと思いますが、それが今ひとつ有効に使われておらず、現在と過去が
完全に独立しているため、意味を感じませんでした。ただ単に感情移入しづらく
なってしまっているだけの感じ……。
もう少し、ストーリーの構成を工夫して欲しいところですね。

ゲームの雰囲気はなかなかいいと思うのですが、ヘタに突拍子もない設定を
入れ、さらにストーリーの構成も捻ってしまったために、非常に解りにくい作品に
なってしまった感があり、残念です。
# 結局、柚や圭吾はどこまで知っていたのでしょうか? 立ち位置が解らない……。
##西さんも今ひとつよーわからんキャラでしたし……。

解りづらい、抽象的な話が好きな人はどうぞ、という感じでしょうか。
ただし、純愛ラブラブストーリーだと思ったら後半で泣くことになります。
いろんな意味で(笑)

最後に。杉本さなえエンドきぼー。てゆーか、一番いい娘でしょ?(笑)


主人公の名前は「孝之」をきぼー。そして、遥香は事故で3年間眠り続けて、
その間に柚と付き合って、遥香が目を覚ました時にドロドロの展開に……(笑)
# 出来れば、柚は「水月」に、圭吾は「慎二」に改名して。←やりすぎ



ロビーに戻る  レビュートップに戻る