シンシア 〜Sincerely to You〜
ブランド名 Sincere ジャンル 狼少女ふれあいADV
発売日 2004.04.23 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(155x224x50mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 669.8MB、CD-DAなし、StarForce
原画 Ein シナリオ 夏椿、焔薙牙砥
音声 まきいづみ茶谷やすら一色ヒカル本条真琴児玉さとみ、オカテツ、下野薫、
文月かな、大久保けんたろう、草刈猛
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 40箇所+クイックセーブ1箇所+
オートセーブ3箇所
あり(3曲、OP・ED)
おまけ CG MODE、EVENT MODE、BGM MODE
対象属性 萌え、ほのぼの、純愛、ギャグ、感動、館物、メイド、ボブカット、チャイナドレス、
ヘアバンド、ストッキング、金髪、お嬢様、オーバーニーソックス、ストレートロング、
ウェディングドレス、ショートカット
1プレイ時間 3〜4時間 お奨め度 7

レビュー
概要
空軍のパイロットだった主人公は、ある日、領空侵犯機の撃墜命令に従い出撃
するが、その侵犯機は民間機だった。そのことを報告するも命令は撤回されず、
主人公は仕方なくその民間機を撃墜する。しかし、そのことがマスコミによって
話題になったため、軍は主人公に責任を押しつけて追放した。それから数年後、
その事件の生存者が発見される。しかしその少女は野生の狼に育てられており、
人間性を失っていた。その少女の担当医が自分の知り合いであることを知った
主人公は、償いをするために頼み込んでその少女のリハビリに協力する。
果たして主人公は、その少女に人間性を取り戻すことが出来るのか……という、
狼少女ふれあいADV。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

シンシア・キュリオ。(CV:まきいづみ)
事件の唯一の生存者。長年狼に育てられたため人間性を失っており、言葉も
話せなくなっている。その仕草はまるで犬のようで、四つ足で走ったり、歯を
むき出して威嚇したりする。家の者には懐いているが、外部の者には懐かず、
主人公も嫌われている。
# 「わふわふ」……もはやそれは犬ですらない(笑)

マリアヴェル・キュリオ。(CV:茶谷やすら)
キュリオ家の長女で、不在がちの母親に変わって仕事をこなしている。
頭の回転が速く、経営手腕も優れているが、妹にはだだ甘。自分自身もちょっと
子供っぽく、甘えん坊な一面がある。雷ふぇち(笑)
# 「あの方々、嫌いなんですもの♪」……笑顔で仕事に私情を挟むマリア萌え(笑)

八代瀬緒(やしろせお)。(CV:一色ヒカル)
キュリオ家に仕えるメイド。主人公のことを信用しておらず、冷たい態度を取る。
主人公をからかい、いじめる様は、まるで漫才。
# 「後で目を潰すか記憶を失うまで殴るかしますのでそこで待ってて下さいね」(笑)

フィズ・コロネール。(CV:児玉さとみ)
キュリオ家の台所をあずかる女性。気さくな性格で、主人公とも気軽に接する。
料理の腕は抜群で、どんな料理でも作ってしまう。

シー・キュリオ。(CV:本条真琴)
シンシアとマリアの母親で、キュリオ家の当主。仕事で忙しく不在がち。
娘達には甘く、久々に目の前にすると理性を失う(笑)

絵の方は、ほんわかとした可愛らしい絵柄。犬モードのシンシアなんかは非常に
可愛らしいです。ただ、立ち絵はなかなか良いのですが、イベント絵はばらつきが
やや大きく、特にHシーンでかなり崩れているのが見受けられるのはちょっと残念。
CGはそこそこ綺麗ですが、背景と人物のマッチングがいまいちな感じ。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。会話に合わせてころころと変わり、
アクションも大きいため見ていて楽しいです。
ただ、輪郭がはっきりしており、若干背景から浮いているような印象があります。

キャラクターは人間性を失った少女・シンシアと、しっかり者だけど甘えん坊な
マリア、そして一見クールだけど実はお笑い担当の瀬緒と、個性豊かで魅力に
溢れるキャラクターが揃っています。
なんと言っても犬モードのシンシアが可愛いのですが、シンシアに嫉妬して甘えて
くるマリアや、優しくされて照れる瀬緒など、萌える描写は満載です。

音声はキャラクターとのマッチングはほぼ良し。演技の方は、シンシア以外に
ついては全く問題ないレベル。
シンシアは最初人間の言葉を話せないため、「わん」だの「きゅーん」だのという
犬っぽい鳴き声が多いのですが、最初は少し違和感を覚えました。
まあ、プレイしているうちに気にならなくなりましたけど。

音楽はゆったりほのぼのとした曲が多め。静かで落ち着いた雰囲気が漂います。

ゲームを起動すると、オープニングアニメーションが流れます。
歌はちょっと切ない雰囲気の漂う綺麗な歌。ミドルテンポで聴きやすいです。
絵の方はキャラクター紹介の合間に、戦闘機の飛行シーンなどが挿入されており、
ちょっとハードな雰囲気も漂っています。
キャラ絵は、やや線が太くて浮いている気はしますが、まあ許容範囲でしょう。

エンディングも歌あり。歌は2曲用意されており、エンディングによって使い分け
られています。1曲はアップテンポでややハードなロック調の曲。
なかなか格好いいのですが、歌声があまり表に出てこず、やや聞き取り辛いです。
それと、ゲームラストの雰囲気とはかなり相反するような感じで、折角の雰囲気が
壊れている気がします。

もう1曲はスローテンポな、それでいて力強い感じの歌。ただ、こちらもラストの
雰囲気とはちょっとズレてる感じ。もう1曲の方と、使いどころ入れ替えた方が
いいような気がするのですが……。

あと、ゲーム中にシンシアが歌を歌うシーンがあるのですが、これが破壊力絶大。
そこでそう来るか、という感じです。
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能にも対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能となっており、音声のリピート再生にも
対応しています。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。メッセージスキップもそこそこ高速です。

セーブ箇所は40箇所+クイックセーブ1箇所+オートセーブ3箇所。
セーブデータはセーブ日時の他、ゲーム内日付とシーン画像が保存されます。
数としては、選択肢があまりなくシナリオの分岐も少ないため、これだけあれば
充分かと思います。大抵はクイックセーブとオートセーブで事足りるかと。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。誰に会いに行くかを決定し、たまに
イベント中で選択肢が現れる、という感じです。
誰に会いに行くかでエンディングが分岐し、選択肢によってハッピー/バッドが
分岐するようなシステムですね。

ディスクレス起動可。ただし、初回起動時のみディスク要求されます。
バックグラウンドでの動作は不可です。

なお、このゲームは初回起動時に、マニュアルに書かれているシリアルコードの
入力を要求されます。これはマニュアルプロテクトのたぐいでしょうか。
誤爆もなーんにも起きませんでしたけど。
シナリオ・プレイ感
ゲームは、主人公がシンシアの担当医としてキュリオ家で過ごしている所から
始まります。家の者以外に懐かないシンシアは主人公を避けており、マトモに
リハビリは出来ないような状態です。
そんなシンシアに根気強く接し、なんとか心を開かせて、人間性を取り戻そう
という話です。

前半から中盤にかけては、ほのぼのまったりとした展開が続きます。
シンシアと触れ合っていく心温まる描写や、マリアとのゆったりした会話、
そして瀬緒との漫才(笑)など、プレイしていて頬がゆるむようなイベントが
続き、温かい気持ちになれます。

後半はうってかわってややハードな展開。主人公は元軍人で、まだ完全には
戦争が終結してはおらず、キュリオ家が反戦活動を行っている事なども絡めた
ややシリアスな展開になっています。

ラストはハッピー系エンドとバッド系エンドが明確に分かれており、ハッピー系
エンドはまさにハッピー、大団円な感じです。かなりご都合主義な雰囲気が漂う
終わり方ではありますが、プレイ後の気分は爽快です。
バッド系エンドは切なく悲しい終わり方で、胸が締め付けられる感じです。
こちらはご都合主義はなく、リアルで生々しい展開となっています。

特筆すべき点はなんと言ってもヒロイン達とのふれあい。
シンシアと触れ合って人間性を取り戻させるのが主目的で、なんとかシンシアと
仲良くなって、リハビリをしようと努力します。その様がとても上手く描かれており、
主人公に同調して一喜一憂出来るような感じです。
他にも、シンシアが甘やかされているのを見て嫉妬したマリアが主人公に甘えて
来たり、主人公を快く思わない瀬緒が主人公に暴言を吐いたりと、ほのぼのと
するコミカルな日常が面白いです。
他にも、サブキャラクター達も個性豊かで魅力的で、会話がとても楽しいです。

問題点としては、後半の唐突で性急な展開。舞台背景には戦争があり、それが
ストーリーに絡んでくるのですが、今までのほのぼのまったりとした雰囲気から
いきなりそんな話に突入するため、ちょっと面食らいます。
しかも、それによってメインであるはずのシンシアのリハビリがうやむやにされ
たり、ご都合主義の連続で話が進んだりと、折角それまで築き上げてきたものを
台無しにしている気がして残念です。

H度はやや低め。各ヒロインとも1回のみで、尺もそれほど長くはありません。
描写はキャラクターによってかなりばらつきがありますが、やや薄めでしょうか。
ここでネックになるのはシンシアでしょう。この作品は、シンシアのリハビリを
していく話で、感情移入してしまうとシンシアを性的な対象として見ることは
難しいと思います。なので、どうしてもHシーンの導入は強引で、性急な感が
否めません。

テキストは誤字等はあまり見あたらず、それほどクセもなく読みやすいと思い
ます。コミカルな描写や甘えてくる描写が秀逸で、読んでいてほのぼの出来る
かと思います。逆に、ハードな部分はやや弱いですけど。
プレイ時間・難易度
ゲームは4月23日から始まります。ゲーム期間は約8ヶ月。結構長いのですが、
イベントのあるところだけをつまんでプレイすることになり、1月あたり3〜4日
程度しかイベントがないため、実際にはかなり短く感じます。

ワンプレイは3〜4時間。期間の割には短く、あっさりした感じでしょうか。

難易度は低め。基本的に、狙った人に会い続けていればOKです。誰に会うか
以外の選択肢はごくわずかですし、効果も比較的わかりやすいと思います。
ただ、1つ選択を間違えただけでハッピーエンドに行けないことが多々あります
ので、その点は注意。まあ、最初からやり直してもたいした手間ではないでしょう。
ちなみにこの作品は、最初のプレイでは絶対にハッピーエンドに行かないように
なっているようです。一度バッドエンドを見た後、全く同じ選択をしても、途中で
話が変わったり選択肢が増えたりして、ハッピーエンドに行けるようになります。
先にハッピーエンドを見てもさほど問題はないように思うのですが、何故こんな
仕様にしたのでしょうね。ちょっと理解に苦しみます。
総評
お奨め度ですが、ほのぼのまったりとした心温まる作品が好きな人にお奨め。
シンシアと触れ合っていく様はとても楽しく、他のキャラクターとの会話もかなり
面白く、感情移入しやすかったです。
特に中盤までは非常に楽しく、シンシアが何かを覚える度に、主人公と一緒に
なって喜んだりしてました。

ただ、終盤はあまりに駆け足すぎで、展開も唐突なため、やや置いてけぼりな
感があったのは残念。戦争の話を突然持ってきたのは、ちょっと失敗だったん
じゃないかなー、と思いました。もっとほのぼのまったりとしたまま終わって欲し
かったです。シンシアのリハビリというメインテーマをほったらかしていることも
あったりと、やや尻すぼみな感がありました。

しかし、それを補っても余りある魅力的なキャラクター達と、ふれ合いの楽しさが
ありますので、ほのぼのまったりした話が苦手でなければ、充分に楽しめるかと
思います。

それと、ゲーム期間はそこそこ長いものの、実際のプレイ時間はかなり短く、
基本的にストーリーの流れは同じでエンディングの数もあまり多くないため、
全体的にややボリューム不足な感は否めません。
もう少し、話に幅があってもよかったかな、とは思いました。

後半の性急な展開を受け入れられるかどうかで大きく評価は変わってくるかと
思いますが、中盤までのほのぼのした雰囲気はとても心地よいですし、魅力的な
キャラクター達との会話も楽しく、充分楽しめました。
ほのぼのまったりした雰囲気の作品が好きで、絵柄が気に入った人は是非。

最後に。「先生は小さい子が趣味なんですね!」……身も蓋もない(笑)


ネタバレなつぶやき。


これだけ話を引っ張っといて、「奇跡」の一言で片づけてどーする。
まあ、何かの切っ掛けで一気に思い出すとは思ってましたが、まさかそこまで
ご都合主義な展開を持ってくるとは……しかも2回。
地道なリハビリとか全部台無し(^^;
シンシアの回復に一喜一憂していたピュアな私を返せ(笑)
# つーか、いきなりテロとか起こされてもねぇ。

それと、はっきり言って、シンシアは喋らない方が可愛い(^^;
人間性を取り戻したシンシアって、なんかいまいち……。
# ずっと犬のままでいてください(笑)

ところで、初回特典でオフィシャルファンブックが付いているのですが……
開けた瞬間ページが分解したんですけど(^^; 接着弱すぎ(^^;



ロビーに戻る  レビュートップに戻る