そらうた
ブランド名 FrontWing ジャンル ADV
発売日 2004.08.27 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(165x230x38mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 5.61GB(DVD-ROM)
原画 フミオ シナリオ ヤマグチノボル橘ぱん
反転星屑美たけゆき
音声 あり、吉田皐月、神村ひな、赤白杏奈、まきいづみ、野神奈々、岬友美、小池竹蔵
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 55箇所+クイックセーブ3箇所 あり(1曲、OP)
おまけ CGモード、音楽モード、シーン回想
対象属性 学園物、純愛、感動、萌え、幼馴染み、ツインテール、リボン、オーバーニーソックス、
体操服、ブルマ、ストレートロング、緑髪、ボブカット、眼鏡っ娘、バニー、うさ耳、
スクール水着、紫髪、女教師、女医、白衣
1プレイ時間 5〜7時間 お奨め度 8

レビュー
概要
子供の頃に事故で両親を亡くし、主人公も重傷を負い、目が覚めた時に両親の
霊と対面する。それ以来、霊が見えるようになった主人公は、従姉である霊子の
家に引き取られ、暮らしていた。しかし、何度も霊に逢い、成仏していく様を見て
いるうちに、主人公は人を愛したり、悲しんだりという、激しく心が震えることがなく
なってしまう。そして、夏休み、幼馴染みの知夏と霊子といつものように暮らして
いた主人公だが、ある日、霊子が一通の手紙を残して姿を消してしまう。果たして
霊子に何があったのか。主人公の運命は……という、ADV。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

佐倉知夏(さくらちか)。(CV:神村ひな)
主人公の幼馴染み。明るく元気一杯の暴走突撃娘。主人公に想いを寄せており、
何かとまとわりつく。ちなみに、名前ですが、本当は「ともか」と読むらしい。
# 兄チャマとかチェキとかゆーな(^^;

夕凪澪(ゆうなぎみお)。(CV:まきいづみ)
学園で主人公の隣のクラスの女の子。大人しく控えめな女の子。絵を描くのが
好きで、親友の真奈と一緒に絵本を作っている。

永澄真奈(ながすみまな)。(CV:赤白杏奈)
澪の親友。明るくさっぱりした性格の女の子。澪とは親友以上の関係で、常に
澪のことを大事に考えている。

小西霊子(こにしたまこ)。(CV:吉田皐月)
主人公の従姉で、義理の姉、かつ親代わり。主人公は「たまねえ」と呼ぶ。
おっとりマイペースな女性で、ちょっぴりズレている。フリーライター。

瀬戸内葵(せとうちあおい)。(CV:野神奈々)
主人公のクラスメイトで、記憶喪失の女の子。感情表現に乏しい。
幼い外見だが、言うことは大人びており、突っ込みは厳しい。

犬伏薫(いぬぶしかおる)。(CV:岬友美)
保健の先生。葵のカウンセリングも担当している。大雑把な性格で、片づけが
苦手。1日で保健室を悲劇的に散らかす。

絵の方は表情豊かで活き活きとした可愛らしい絵柄。たまに、やたら子供っぽく
見えたり、逆にすっごく大人っぽく見えたり、ややバラつきも見受けられますが、
充分許容範囲でしょう。
CGは綺麗なんですが、一部色遣いがちょっとどぎついものも見受けられて、
それだけ他からやたら浮いているように感じました。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。ポーズ変化は大きく、表情変化も
コミカルなものが多くて、会話に合わせてコロコロ変わり、見ていて楽しいです。

キャラクターは個性豊か……というか、イタいキャラが多め。知夏や霊子は、
ちとヤバげ(^^; 葵や澪もけっこーキてるかも……。
唯一マトモっぽい真奈は……ですしねぇ(^^;

音声はキャラクターとのマッチングもよく、演技の方も問題なし。
ちょっと知夏はいっぱいいっぱいな感じがしますけど、元々そういうキャラですし、
そんなに気にはならないかと。
そして、伏せ字ですが、ピー音が「ん」の上にちょっと被さっているだけなので、
ほとんど違和感なく聞こえます。

音楽はほのぼのまったりした曲が多め。次いで、静かで切ない曲が多いです。
作品の雰囲気をよく醸し出していて、見事なBGMですね。
あと、効果音についてですが、一部効果音が鳴っている時、アプリケーションが
応答なしになるのはどうかと思います(^^;
# チャイムが鳴ってる時とか、全く反応しませんからねぇ。

長めのプロローグが終わると、オープニングアニメーションが流れます。
歌は爽やかで温かい雰囲気のある歌で、とても聴き心地がよいです。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもので、特筆すべき点はなし。
ただ、絵はとても綺麗で、見応えはあります。
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作は比較的軽快。
スキップ動作はそこそこ高速ですが、かなりマシンパワーに依存しています。
非力なマシンだと、描画とかでちょっと引っかかるかも。

セーブ箇所は55箇所+クイックセーブ3箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、ゲーム内日付と自由記述のコメント(何も入力
しなければメッセージの一部)、シーン画像が保存されます。
数としてはそれほど選択肢もないため、これだけあれば充分かと。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。フラグの蓄積もありますが、
1つの選択肢をきっかけにシナリオが分岐するタイプです。

ディスクレス起動不可。毎回ディスクチェックが入り、ディスクがない場合は途中
までしかプレイ出来ないようになるようです。
これがクセもので、一度このモードで起動してしまうと、ディスクを入れて起動し
なおしてもずっとこのモードのまま進むようです。私も、どうしても他のシナリオに
入れなくて、ためしに再インストールしてみてもダメで、セーブデータも消して
再インストールしてようやくマトモにプレイ出来ました。……ふざけんな。
ちなみに、ユーザ登録をしてサポートを受ければ、ディスクレス起動が可能になる
ファイルを貰えます。……最初からこれ入れとけっちゅーねん。
バックグラウンドでの動作は可能です。主人公の名前は「小西道隆」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームはいつものように平和な夏休みを過ごしていて、夏休みの終わり、霊子が
失踪するところから始まります。「ところから始まります」と言ってますが、ここまでに
2時間ぐらいはかかるんですけど(^^;
# 一応、ここまでがプロローグなので。

前半……というか、プロローグは明るく楽しい雰囲気で進みます。知夏や霊子と
ほのぼのとした日常を過ごし、コミカルな会話も満載です。

そして、霊子が失踪し、夏休みが終わって学校が始まったところで、物語は動き
始めます。始業式の時に幽霊と出会い、その死の真相を巡って話が進みます。
そんな中、ヒロイン達との関係も進展していく……という感じです。

後半は、辛く切ない展開が満載。胸が締め付けられるような切ない展開や、
胸が熱くなるような感動的なイベントが盛りだくさんで、とても感情移入出来、
魅力的な展開でした。

ラストは、手放しでハッピーというものは少なく、悲しく切ないものが多め。
でも、どこか希望を抱かせるような、温かいストーリーです。

特筆すべきは、ヒロイン達の描写。心理描写が秀逸で、主人公への気持ちや
他のキャラに対する気持ちなどがとても丁寧に描かれており、感情移入が
とてもし易いです。特に、後半は気持ちが痛いほどに伝わってきて、切ない
展開に拍車をかけています。

さらに、伏線の張り方がとても巧みで、プレイしていると「ああ、あれも伏線に
なっていたのか」と感心することしきり。そして、全てのシナリオをクリアすると
謎が全て明らかになっているような感じで、とてもすっきりします。

逆に主人公の描写はやや物足りなさを感じます。主人公は幼い頃から幽霊が
成仏するところを何度も見て、悲しいという気持ちや人を好きになる気持ちが
薄くなっていて、それを癒していくというのがテーマにもなっているんですが、
そこがちょっと弱くて、今ひとつ伝わってこないのが残念です。
ただ、主人公が勝手にヘタレてヒロイン達を遠ざけているだけに思えます。
特に、知夏シナリオの主人公は、殴り倒したくなってきます。

あと、気になったのは、ヒロイン間で似通ったシーンや展開がちょっと目立つ
ことでしょうか。Hシーンの展開が似通っていたり、ほとんど同じイベントが
あったり、エンディング前が共通になっていたりと、盛り上がりにやや水を
差されたような印象もあるのが残念です。

H度はやや高め。各ヒロインとも複数回用意されており、描写も濃いめ。
尺もそこそこ用意されており、2回戦に入ったりすることも。
内容は純愛ラブラブなものばかりで、バリエーションには乏しいのですが、
純愛物としてはかなり頑張っていると思います。

テキストはところどころに誤字が見受けられますが、それほど気になりません。
ただ、最後の最後、一番盛り上がっているいいシーンで、しかもゲームの根幹に
関わるところで、狙ったように誤字があるのはさすがにどうかと。もう台無し。
あと、独特の個性を持ったイタいキャラが多いため、ちょっとなじめない人も
いるかと思われます。
それと、テキストと音声が微妙に違っていることもありました。
プレイ時間・難易度
ゲームは8月21日から始まります。ゲーム期間は約3週間。シナリオによって、
若干差があります。

ワンプレイは5〜7時間。1つだけ他より長いシナリオがありますが、それ以外は
5〜6時間ぐらいで終わるかと。前半はほぼ共通になっていますので、スキップを
使えばかなり短縮出来ます。

難易度は並。狙ったキャラよりの選択をしていればクリア出来るのですが、
知夏のフラグがやたら強いようで、知夏以外のキャラを狙う時は、極力知夏
寄りの選択は避けないと、すぐ知夏シナリオに入ってしまうので注意。
総評
お奨め度は、ちょっと切ない純愛ストーリーが好きな人にお奨め。
ヒロインの心情描写が秀逸で、気持ちが痛いほど伝わってきて、とても感情移入
し易かったです。
そして、お約束ながらも感動的な展開が多数用意されていて、どのシナリオでも
泣けるような感じです。
# 知夏シナリオはちょっと弱い気もしましたが。

真奈シナリオなんて、かなり序盤からオチは判りましたし、たぶん泣いちゃう
だろうなーと構えていたんですが、やっぱ泣きましたしね。
お約束で王道な、使い古された展開ではありますが、多くの人に好まれるから
こそ王道なわけで。
ただ、ラストはもう少し余韻を残して欲しかったな、と思いました。ちょっと
スパッと終わりすぎで、余韻に浸る暇があまりなかったです。

お約束で展開読めまくりなストーリーではあるのですが、それでも感動出来る、
力を持ったシナリオでした。そして、キャラクターも魅力的で、とても可愛くて
愛しくて、プレイしていると自然に心惹かれる感じでした。
さらに、設定もしっかりしていて、主人公が何故幽霊が見えるのかとか、事件の
真相とかがきっちり説明されていて、プレイ後はとてもすっきりします。
# まあ、手放しでハッピー、という訳には行きませんが。

ちなみに、プレイする時は必ず全キャラクリアして、それからもう一度最初から
始めましょう。そうすることで、初めて物語の真相を知ることが出来ますので。
これを見ないと、酷く消化不良なゲームですからね(^^;
というか、それまでの話は前座で、この話がメインですから。
各所にちりばめられた伏線が、きっちり処理されていくのはなかなか爽快です。
しっかり練り込まれ、きっちり設定が作られている見事な作品だと思います。

ただ、パッケージに結構ステキなネタバレが載っていますので、プレイする
時はパッケージは見ない方がいいかも。まあ、そーんなに致命的なネタバレ
ではありませんけど……。

そして、プレイする時は、必ずディスクを入れた状態で起動しましょう。
じゃないと、延々と知夏シナリオをループすることになります。……泣くぞ?
これさえなけりゃ、更に高い評価をしたかも知れないんですけどねぇ。
# ある意味、誤爆よりタチが悪い(^^;

最後に。自分のあられもない写真をオカズとして差し出すたまねえ萌え(笑)
# おだまる(笑)


ちょっぴりネタバレなつぶやき。

しかし、殺人事件の犯人捜し、すっごいてきとーに流されてましたね(^^;
真奈や澪シナリオに至っては、知らないうちに勝手に死んでるし(^^;
もうちょっとこれも、ストーリーに絡めていれば、もっと面白くなったと思える
だけに残念です。
それと、幽霊になって初体験……って、冷静に考えたらすげぇな(^^;

「君が望む永遠」をプレイした人なら、絶対思うであろうこと。
「ほんとうのたからもの」?(笑) ←台無し(^^;



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