天空のシンフォニア
ブランド名 カクテルソフト ジャンル 育成SLG
発売日 2004.11.26 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(168x230x42mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 Game Disc : 677.9MB、CD-DAなし、プロテクトあり
F&C NON STOP VOCAL MIX : CD-DA=527.5MB、CD-DA1トラック
原画 満月○ シナリオ 夏姫、MIYA
音声 一部あり
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 100箇所+クイックセーブ1箇所 あり(2曲、OP・ED)
おまけ ギャラリー、イベント回想、ミュージック
対象属性 魔女っ娘、ファンタジー、義妹、お兄ちゃん、スクール水着、触手、ショートカット、
リボン、オーバーニーソックス、タカビー、お嬢様、巫女装束、黒髪、長耳、紫髪、
巨乳、緑髪、帽子
1プレイ時間 7〜9時間 お奨め度 6

レビュー
概要
2年ぶりに修行の旅から帰ってきた主人公。家に入るとそこには師匠の友人を
名乗る怪しげな人物がいた。しかし肝心の師匠は置き手紙を残し旅に出ていた。
その手紙には、5人の魔女候補を立派な魔女に育ててくれとあった。仕方なく
訓練を開始する主人公。しかし、その魔女育成には大きな目的があった。
果たして主人公は、5人の少女達を立派な魔女に育てることが出来るのか。
そして、みんなの運命は……という、育成SLG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

ミルファリア=フロイハイム。
通称ミルフィ。主人公の義妹で、主人公のことを「お兄ちゃん」と呼び慕う。
お兄ちゃん子で、いつも主人公について回っている。明るく元気だが、ちょっと
嫉妬深い一面も。

リュミエール=フォンドベルテ。
通称「リュミ」。街1つ統括してる魔導大家のお嬢様。魔法の能力は高く、
ついでにプライドも高い。主人公や周りの人にもキツく接するツンツン娘。

ミオリ=ホオヅキ。
みんなの役に立ちたいと、魔女になる訓練を受けに来た女の子。素直でいい娘。
でもうっかりさんでドジ。自分に自信が持てない。
# 名前の表記、「ホオヅキ」と「ホオズキ」が混在しているのがなんとも……。
##植物の名前で行くなら「ホオズキ」が正解でしょうけど。

ノエル=シグルドア。
おっとりボケボケマイペース天然娘。父親が魔導師なこともあって、精霊と会話
する術に長けている。

アルエット=ルーン。
訓練に遅れて合流してきた女の子。魔法の能力は非常に高く、あらゆることを
そつなくこなす。ただし、無口・無感情で、人とのふれ合いを極力避けるため、
周りからの印象は悪い。特に、リュミとはことごとく衝突する。

原画は柔らかいタッチの可愛らしい絵柄。各キャラクターの個性がしっかりと
表現されていて、描き分けもきっちり出来ていると思います。
特に、正面から見た、目がくりっとしている表情がすっごく可愛らしいのが
印象的です。焦った時のミオリとか、きょとんとしたミルフィとか。
CGの方は、全体的に淡い色遣いで、ややコントラストが弱く、控えめな感じの
ため、背景と同化しているような感じで、ややキャラが引き立っていないのが
勿体ないですね。まあ、とっても自然には見えるんですが。
立ち絵はポーズ変化・表情変化共にあり。会話に合わせてコロコロ変わり、
見ていて楽しく、感情移入もしやすいです。

キャラクターは個性豊かな面々揃いですが、基本的におっとりほのぼのした
雰囲気のキャラが多いです。そんな中、一人元気でやかましいリュミは、かなり
目立っているかも。
個人的にはミオリ萌え。とっても素直でいい娘です(T_T)

音声は、訓練開始時の一言や、戦闘シーンでの技の名前を叫ぶ時など、ごく
一部のみに入っています。イベントパートでは音声はありません。
会話主体で進むイベントが多いため、ちょっと物足りない印象がありますね。

音楽は明るくほのぼのとしたコミカルな曲が多め。もちろん、静かな曲や
緊迫感のある曲も多数用意されていて、雰囲気を盛り上げてくれます。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌はビートの効いた曲にのせた格好いい系の歌。ただ、ちょっと歌声にパンチが
足りないというか、無理してる感じがして、いまひとつ乗り切れませんでした。
エフェクトがキツすぎるからかもしれませんけど。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。動きはそれほどないのですが、
幻想的な雰囲気がとてもいい感じです。

エンディングは特定のエンディングのみ歌あり。
歌はビートの効いた激しい曲で、ちょっと雰囲気外してるかなー、という感が強い
ですね。絵的な演出は凄くいいんですけど。

歌のないエンディングは、曲はしっとりとしていて聴き心地が良く、絵もなかなか
綺麗で見応えがあります。
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。……ですが、戦闘シーンなんかは
さすがにキーボードでは操作しづらいです(^^;
既読スキップ、強制スキップ、バックログ搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しています。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。
スキップ動作はコンフィグを開いてスキップをONする必要があり、使い勝手は
やや悪いですね。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。ただし、CPU利用率はべったり100%で、他のアプリを同時に
動かす場合、そのアプリは極端に重くなります。スキップ動作はそこそこ軽快。

セーブ箇所は100箇所+クイックセーブ1箇所。セーブは選択肢の出ているところと
戦闘シーン以外で可能です。……いつセーブしろと……。
セーブデータはセーブ日時の他、章番号と章タイトルが保存されます。
同じ章ならどこでセーブしても番号とタイトルは同じため、ちょっとデータの判別は
し辛いですね。

システムは、メニュー選択型の育成SLG。
各キャラクターは「HP」「MP」「AP」「魔力」「精神力」「ストレス」というパラメータを
持っており、「体力向上」「魔法学講義」「瞑想」「魔法の練習」「休養」の5つの
メニューをこなすことによって、それぞれ対応したパラメータが上昇します。
また、Lesson2以降は「AP」を使用することにより、魔法を覚えることが出来ます。
覚えられる魔法は「魔力」と「精神力」、そして現在覚えている魔法の種類に
よって決まります。各キャラクターは得意な属性を持っていて、その属性の
魔法は覚えやすく、効果も高いようです。
メニューは週毎に決定し、週末の夜には誰か1人に特訓をすることが出来ます。
……Hなことは想像しないように。いや、たまにそーいうイベントもありますが。

戦闘は、9x9のマスにキャラクターを配置し、順番が回ってきたら行動をすると
いう、個別ターン制になっています。9x9のマスは、前に行くほど攻撃力は高く
防御力は低くなりますので、攻撃するときは前の方に、敵からの攻撃を受ける
時は後ろの方にいれば効果的です。

このゲームにはプロテクトが施されており、毎回ディスクチェックが入ります。
もし誤爆した場合、サポートユーティリティを使ってメーカにサポート依頼をする
ことになるのですが、このユーティリティは5日間起動できますので、サポートを
受ける間もゲームが出来るのはありがたいですね。……いや、誤爆しないのが
一番いいんですけど……。というか、サポートを受ける前に、クリアしてしまった
わけですが(^^;
したがってディスクレス起動不可。バックグラウンドでの動作も不可です。
主人公の名前は「ウィル」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームの方は、主人公が2年ぶりに家に帰ってくるところから始まります。
そして、5人の魔女を育てることになり、徐々にその意味を知っていく……と
いう感じです。

前半は明るく楽しくコミカルな雰囲気で進みます。
個性豊かなキャラクター達との会話は楽しく、主人公もノリノリなので、とても
テンポ良く進む感じです。

中盤は、ヒロイン同士の関係や、ヒロインと主人公の関係などを描いた、やや
シリアスで重い展開になります。シナリオによってはかなりドロドロした人間
関係が描かれていたり、主人公がやたらヘタレたりと、ちょっとプレイしていて
気が重い部分もありました。
また、そういった問題が、ちょっとした一言であっさり解決してしまったり、やや
描写不足が気になりました。

後半は、主人公や魔女達に課せられた使命を果たす、シリアスで、緊迫感に
溢れた展開になります。ここからはもうコミカルさは殆どなく、徹底的に
シリアスで、ラストまで突っ走るような感じです。

ラストは感動的で、ほのぼのしたものが多め。やや描写の弱い、インパクトに
欠ける終わり方が多いように感じました。ラストはもう少し丁寧に描いても
良かったんじゃないかなー、という感じで。

特筆すべき点は育成の柔軟性。各キャラクターには一応属性や特性はあるの
ですが、育て方は自由のため、好きなように育てることが出来ます。
まあ、あんまり変な育て方をすると、なかなかパラメータが伸びなかったりします
けど。なので、戦略の幅が広く、何度も楽しめるようになっています。

気になった点は、シナリオの進行と個別イベントのアンマッチ。
シナリオでは落ち込んで引きこもり状態なのに、能力アップのイベントなどでは
やたら明るく楽しく会話していたりと、ちょっと不整合が気になります。

あと気になった点といえば、イベントではドラゴンブレス召喚の魔法とか反射の
魔法なんかを平然と使ってるんですが、育成パートではそんな魔法は覚える事が
できません。敵との戦いでもそれを使わせて下さい(^^;
あったらすっごい便利そうなんですけど……。

H度はやや低め。各ヒロインともHイベント自体は複数回用意されていますが、
本番のHは1回しかないヒロインもいます。尺の方もやや短めで、あっさり
終わるものが多いですね。描写の方はそこそこ濃いですが、基本的に普通の
純愛系Hが多いため、こちらもあっさりした印象があります。

テキストは誤字等はほとんど気にならず(ホオヅキの名前以外)、テンポも良く
読みやすいテキストだと思います。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は半年。週単位のスケジュールで進んでいきます。

ワンプレイは7〜9時間。戦闘パートにどれだけ時間をかけるかで変わって来る
とは思いますが。

難易度は並。各ヒロインを効率よく育てていけば、それほど苦労する事もないの
ですが、最初の頃は特性などもわからず、魔法を覚える順番などもわからない
ため、やや苦戦するかも知れません。
序盤は「魔力」と「精神力」を集中的に上げて、覚えられる魔法を増やすよう
心がけていれば、まあなんとかなるでしょう。
戦闘は、各キャラクターは1ターンに1つしか魔法を使えないため、攻撃するか
防御をするかで悩むかも知れませんね。
「イフリート」や「ウンディーネ」といった上位魔法を覚えていれば、力押しでも
なんとかなるでしょうけど、それまでは「アクアシールド」で防御をしつつ、
「ライトニングバンカー」あたりで攻撃していく感じかと。
総評
お奨め度ですが、ファンタジー育成物が好きな人にお奨め。
育成の幅はそこそこ広く、どんな魔法を覚えさせるかで戦略も変わってきて、
何度も楽しめるようになっています。
キャラクターも魅力的でやりとりも楽しく、テンポもいいのでサクサク遊べる
と思います。

ただ、ややシステム面が弱く、スキップが使いづらい、セーブ出来るポイントが
限られているなど、もう少しプレイしやすくして欲しいところです。

それと、ヒロインには対になるキャラがいて、その対になっているヒロインは
ストーリー展開がほぼ同じ。さらにどのシナリオも目的は同じのため、大まかな
流れはほぼ同じで、ややストーリー的には幅が狭く、今ひとつ面白みには欠ける
感もありますね。
設定とか伏線なんかは結構きっちりしているので、練り込めばもっと面白く
なったんじゃないかなー、と思うんですけど。

でもまあ、可愛らしい魅力的なキャラクター達の繰り広げるドタバタ劇と、
悩みなどを解決していくシリアスな展開を楽しむことが出来、育成や戦闘部は
ゲームとしても充分楽しめますので、興味を持った方は是非。

なお、パッケージの絵がやたら退廃的で暗い感じですが、本編はそんなことは
ありませんので、ダークな作品が苦手な人は安心して下さい。

最後に。爽やかなタイトルで、ゲームとしてそこそこ楽しめて、H度は低めで、
音声はパートボイスで……絶対コンシューマ移植するでしょ、これ(^^; ←禁句
# 移植の際は、もちろんフルボイス化で。


パッケージの絵、なんだか最終兵器彼女みたい(^^;



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