月面基地前PREMIUMBOX I ロケットの夏編
ブランド名 月面基地前 ジャンル AVG
発売日 2005.09.28 定価 \7,800
パッケージ 紙製パッケージ(139x199x33mm) マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 ロケットの夏〜Full Voice Version〜宇宙島へ行く少年 : 1.93GB(DVD-ROM)
ぼくのたいせつなもの〜Full Voice Version〜 : 410.0MB、CD-DAなし
コンプリートサウンドトラック : CD-DA=644.3MB、CD-DA27トラック
原画 キミヲ シナリオ foca、枯野瑛(A TEAM)、
G・ハギス
音楽 23曲、有田宏 as Rock'n'Banana Artists あり(1曲、ED)、月本美香
音声 フルボイス、氷川涼人、MOMO上条茗、桜川未央、風音、KOHIRO、一ノ橋快音、
荒木幸男、光明寺敬子、愛原瑞生、依田行生、藤井啓輔、甲賀忍、YUKI、滝沢アツヤ
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 60箇所 CG枚数 96枚
おまけ CG鑑賞、BGM鑑賞、シーン回想
対象属性 青春、純愛、学園物、幼馴染み、ボブカット、セーラー服、お兄ちゃん、ショートカット、
長耳、アホ毛、女教師、眼鏡っ娘、アンドロイド、レズ、紫髪、ストレートロング、金髪、
エプロンドレス、お姫さま、尻尾、体操服、ブルマ、黒髪
1プレイ時間 4〜5時間 お奨め度 7

レビュー
概要
本作は、2002年10月11日に発売された「ロケットの夏」と、2004年6月25日に
発売された「らくえん〜あいかわらずなぼく。の場合〜」のおまけソフトである
「ぼくのたいせつなもの」にCG追加・フルボイス化リメイクしたもので、さらに
「ロケットの夏」の後日談となる新作「宇宙島へ行く少年」がセットになって
発売されたものです。

3つの作品をまとめてレビューするとややこしいので(^^;、このレビューでは、
「ロケットの夏〜Full Voice Version〜」を中心として、「宇宙島へ行く少年」も
ちょっと絡めた形でレビューしたいと思います。
「ぼくのたいせつなもの」は内容に関しては触れていません。申し訳ないです。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

香奈城歩(かなしろあゆむ)。(CV:MOMO)
主人公の幼馴染み。宇宙人の母親を持つハーフで、耳が長い。そのせいで
よくいじめられる。おっとりした大人しく控えめな女の子。運動神経は鈍め。
主人公のことは「おにいちゃん」と呼び慕う。

夏海千星(なつみちせ)。(CV:上条茗)
主人公の学園に転校してきた女の子。ロケット乗りに憧れ、ロケット部を
作ろうとする。活動的で明るく元気いっぱいな女の子。

はるひ。(CV:KOHIRO)
学園に勤める教師でアンドロイド。感情表現に乏しく、物静か。一見厳しく
思えるが、心優しいいい先生。

舞原唯(まいはらゆい)。(CV:愛原瑞生)
光陵学園モデルロケット部の部長。千星の友達で、千星を元の学園に呼び
戻そうと必死になっている。

セレン・アンジェニュー。(CV:桜川未央)
サヴォア星のお姫様。国内が政権闘争状態に入ったため地球に逃げてきた。
わがままで高圧的な、子供っぽい女の子。

ベルチア・ヘリアー。(CV:風音)
セレンの護衛を務める凄腕の剣士。でっかい剣をたやすく扱う。
口調や考え方がやや古風で堅苦しい。パニックになると手が付けられなくなる。

瀬川優子(せがわゆうこ)。(CV:甲賀忍)
フリー・ルポライター。地球から宇宙人がいなくなり、鎖国状態になった事件を
調査している。気さくなおねーさん。

絵の方はほんわかした雰囲気の可愛らしい絵柄。アニメ調のシンプルな絵柄で
わかりやすくていいですね。
CGはこちらもアニメ調の処理になっていて、はっきりとした絵で見やすいです。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。パターンはそれほど多くないものの、
アクションは大きく、コミカルな表情も多いため、見ていて楽しいです。

キャラクターは元気なキャラと静かなキャラがはっきり分かれています。
どのキャラも個性的……というか、特異な設定を持っていて、設定を活かした
シナリオが展開されます。
シロナ・シュタック萌え(笑)

音声はキャラクターとのマッチングはばっちり。演技の方は、一部のキャラは
やや物足りなさを感じますが、まあそれほど気にはならないかと。逆に、その
物足りなさが初々しさに繋がっている感もありますし。
なお、この作品は完全フルボイスで、女性キャラだけでなく、男性キャラや
主人公も音声ありになっています。個別に音量調節・ON/OFF出来るようには
なっていますけど。

音楽はゆったりとした落ち着いた曲が多め。ほんわかした雰囲気を醸し出して
くれます。

エンディングは歌あり。ゆったりとした力強い曲で、余韻も残っていいですね。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢決定、一部
メニュー操作はキーボードで可能ですが、メニューを出したりConfigの中は
キーボードでは操作できないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600。
動作は比較軽快。スキップ動作はそこそこ高速です。

セーブ箇所は60箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、ゲーム内日付とシーン画像が保存されます。
数としては、選択肢はそれなりにありますが、分岐のポイントは少ないため、
これだけあればなんとかなるかと。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。条件を満たすと選択肢が増える、
シナリオ追加型のシステムになっています。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作は不可です。
主人公の名前は「真幌高志(まほろたかし)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公の学園に千星が転校してくるところから始まります。
ロケット部に入ろうとする千星だが、学園にはロケット部がないため、ない
なら作ろうということで活動を始める。
子供の頃ロケットが大好きで、天才少年と呼ばれていた主人公もそれに巻き
込まれ、ロケット部を作って50マイルズオーバーと呼ばれるロケットの大会に
参加するための活動を続けていく……という話。

前半はロケット部を作るために走り回るドタバタな展開。
会話はコミカルで楽しいですが、ときおりシリアスで格好いいセリフなんかも
あったりと、メリハリがあっていいですね。

後半は各ヒロインの抱えた問題と向き合いつつ、50マイルズオーバーに出場
するためにロケットを作るという展開。
シナリオによっては結構キツい展開もあったりしますが、心温まるいいお話が
多いです。

ラストはすっきりとまとまっていてプレイ後の気分は爽快です。
ただ、冷静に考えると結構大変な終わり方もありますが(^^;

まずプレイを始めて感じたのは、いきなり設定も何もわからない状態で放り
出されるため、理解するのにちょっと大変でした。
宇宙との交流がなくなったことや、歩と主人公の関係、50マイルズオーバーの
ことや宇宙のことなど、説明もないまま話が進むので、ある程度読み進めないと
ストーリーについていけず、なかなか実感が持てません。

そして、前半はスローペースで進むのですが、後半になるとものすごい勢いで
ストーリーが展開し、あっという間にエンディングという感じで、ちょっと
あっけなく、物足りなさが強いです。
また、ご都合主義も満載でいきなりハッピーエンドに突入するので、今ひとつ
実感が伴わず、雰囲気に浸りきれませんでした。

H度は低め。各ヒロインとも1回のみで、「宇宙島へ行く少年」にいたっては
Hシーンはありません。尺も短めで、描写もあっさり。ほとんどおまけの
ような状態になっています。
内容もごく普通の純愛系のHばかりで面白みもありません。まあ、いきなり
野外プレイだったりはしますけど(^^;

テキストはテンポも良く読みやすいのですが、「宇宙島へ行く少年」の方は、
誤字がかなり目立ちます。
あと、所々整合性が怪しいところも見受けられます。
# 4ヶ月あまり? 5月7日にから8月末までだと、4ヶ月足らずじゃないんですか?
プレイ時間・難易度
ゲームは5月5日の日曜日から始まります。
ゲーム期間はシナリオによって差はありますが、だいたい4ヶ月弱。

ワンプレイは4〜5時間。もっと長いかと思ったのですか、思ったより短く
あっさり終わりました。まあ、後半がとんでもない速度で進みますしね。
そして、共通パートがかなり多いため、2周目以降はスキップを使えば
かなり短縮できます。

難易度は並。基本的に狙ったキャラ寄りの選択をしていればいいのですが、
何でもない軽い選択のように思えるものが実は分岐の鍵になっていたりと、
ちょっとわかりづらい作りになっています。
また、シナリオ追加型のシステムで、条件を満たしていないと見られない
エンディングもありますので、ちょっと注意が必要です。
総評
お奨め度ですが、青春純愛ストーリーが好きな人にお奨め。
みんなで力を合わせて1つの目標(50マイルズオーバー)に向かっていく様は
見ていてとても清々しいですし、最後は達成感もあります。
しかも、ヒロイン毎に展開が全く違っていて、様々なストーリーが楽しめて
いいですね。

ただ、まったりほのぼのしたストーリーかと思ったら結構殺伐とした展開が
あったり、どんよりと重い展開もあったりと、雰囲気に浸ってプレイする、
というのはちょっとやりづらいかも。
まあ、メリハリのあるストーリーではあると思います。

この作品の一番のネックは後半の性急さでしょう。ロケット部の活動が軌道に
乗って、さあこれから50マイルズオーバーに向かって頑張るぞ! と思ったら、
いきなり50マイルズオーバー前日とかまで日付が飛んでコケました(^^;
前半はやたら丁寧だっただけに、突然の急展開にびっくりしました。
もう少し、個別ルートに入ってからも、じっくり丁寧に描いて欲しかったなー、
と思いました。
メインであるはずの50マイルズオーバーが、めちゃめちゃさらっと流されたり、
もはや描写すらなかったりするのは寂しすぎます(^^;
シナリオによって、展開の速度が全然違ったり、面白さもかなり違いますし。

でもまあ、様々なストーリーが読めますし、温かい気持ちになれるお話だと
思いますし、キャラクターはみんな魅力的で会話も楽しく、すっきりとプレイ
出来る作品だと思います。
さらに、後日談である「宇宙島へ行く少年」と、「ぼくのたいせつなもの」も
一緒に入っていて、定価もちょっと安めになっていて、かなりお得な作品だと
思います。これらの作品を持っていない人は是非。

最後に。主人公の打ち上げシークエンス、途中までずっと英語で来ていたのに、
カウントダウンでいきなり日本語になってコケた(^^;


以下、ネタバレなつぶやき。

歩シナリオ、一見ハッピーエンドですけど、冷静に考えたら地球人口1/3は
死滅してますし、主人公の周りの人もかなり死んでいるのでわ。
すっげぇ壮大にダークな終わり方のような気がします……(^^;

あと、千星シナリオのロケット発射シーンはめちゃめちゃ燃えたんですが、
もうちょっと丁寧にじっくり描いて欲しかったですねー。
ちょっとあっけなくて物足りなかったです。






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