車輪の国、向日葵の少女
ブランド名 あかべぇそふとつぅ ジャンル ヒューマンドラマADV
発売日 2005.11.25 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(164x230x39mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 GAME DISC : 1.32GB(DVD-ROM)
音車祭 : CD-DA130.2MB、CD-DA3トラック
原画 有葉 シナリオ るーすぼーい
音楽 60曲、tiko-μ、
まつ、下地和彦(Sound Union)、
Ebi(Sound Union)、
Sound Team UI-70、
片霧烈火、MANYO
あり(3曲、OP・ED・挿入歌)、
片霧烈火
音声 主人公以外フルボイス、新城麻奈、芹園みや、紫華すみれ、神月あおい、風音、
籐乃らん、盛啓介、さとう雅義、倉田まりや、馬並硬太、石本篤、齋藤亮太
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 150箇所+オートセーブ10箇所 CG枚数 99枚
おまけ CG MODE、EVENT MODE、SOUND MODE
対象属性 幼馴染み、ストレートロング、アホ毛、リボン、オーバーニーソックス、黒髪、
女教師、ボブカット、赤髪、ポニーテール、お姉ちゃん
1プレイ時間 18〜22時間 お奨め度 8

レビュー
概要
罪を犯すと「特別な義務」を背負わされる国で暮らす主人公は、罪人を更正
させる職業・特別高等人を目指し、その最終試験を受けていた。
様々な義務を背負った少女たちと学園生活を共にし、その義務を解消させる
ために日々監督する。果たして主人公は、無事試験に合格し、特別高等人に
なることが出来るのか。主人公の目的は……という、ヒューマンドラマADV。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

日向夏咲(ひなたなつみ)。(CV:新城麻奈)
主人公の幼馴染み。人の話を聞かない、超絶おっとりマイペース娘。
ぼーっとしていることが多い。渦巻きが好き。
異性と触れることが出来ない、「恋愛できない義務」を持つ。

南雲えり(なぐもえり)。(CV:倉田まりや)
特別高等人試験受験者。法律学の分野で名を知られる法律の天才。
今回の試験で最有力候補といわれている。
# 本ゲーム中、最も不憫かも知れないキャラ(^^;

大音京子(おおねきょうこ)。(CV:風音)
主人公が転入したクラスの担任。灯花の母親。
いい家系に生まれ、一流の大学を出ている有能なエリート教師。
母親としては厳しく、「義務」によって灯花を縛り、教育する。

大音灯花(おおねとうか)。(CV:紫華すみれ)
京子の娘。学級委員長。気が強く、いつもツンツンしている。
優柔不断で、物事を自分で決定することを怖がる。くだらないことは嫌い。
親権者に絶対服従の義務、通称「大人になれない義務」を持つ。

三ツ廣さち(みつひろさち)。(CV:芹園みや)
いつも明るく元気いっぱいな女の子。ただし、めんどくさがりの怠け者。
楽をしてお金を稼ごうとギャンブルに手を出す。
1日に12時間しか活動できない義務を持つ。
# 東京都を「ひがし京都」と読んでいた(笑)
##「キミさあ、頭悪いでしょ」……おまえもな(^^;

まな。(CV:神月あおい)
さちの家の同居人。異国から来た異民の少女。純粋無垢な女の子。

樋口璃々子(ひぐちりりこ)。(CV:籐乃らん)
主人公の姉。子供の頃から主人公にべったりで、主人公をいじめるのが
大好き。主人公をハードMに育て上げた(笑)

絵の方は可愛らしく、魅力的な絵柄。角度によってはちょっと崩れた感じが
するのですが、それが独特の雰囲気を醸し出している気がします。
寝ぼけた夏咲がらぶりー。
CGは、ちょっとべたっとした重い印象のある絵もありますけど、まあ許容範囲。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。ポーズ変化はあまりパターンは
ありませんが、表情変化は豊富で、会話に合わせて切り替わり、コミカルな
表情もあって、見ていて楽しいです。

キャラクターはみんな特別な義務を持っていて、心に何かを抱えたキャラ
ばかりのため、かなり個性的で、魅力的だと思います。
ヒロイン達はもちろん魅力的で印象深いのですが、男性キャラのインパクトが
非常に強いです。特に法月のとっつぁんは強烈すぎ(^^;

音声はキャラクターとのマッチングも良く、演技の方も良好です。
ヒロイン達は過去の回想で子供時代が描写されたりするのですが、それも
ばっちり演じられていて、違和感ありません。
また、男性キャラにも音声が用意されていて、個性豊かなキャラクターが
より活き活きとしていると思います。

音楽はピアノをメインにした静かで、ちょっともの悲しい雰囲気の曲が多め。
落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌はゆったりとした広がりのある曲。力強く、ちょっと切ない雰囲気の歌で、
心に訴えかけてくるような感じです。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。演出はそこそこ凝っていて
見応えはあります。

エンディングも歌あり。こちらはしっとりとした落ち着いた歌で、心安らかに
なるような歌ですね。

また、挿入歌も用意されています。こちらも静かな歌ですが、力強さを感じる
歌だと思います。ただ、使い所はちょっと微妙かなー、という気もしました。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢決定、
セーブ/ロード画面など、基本的な部分はキーボードで操作できるのですが、
メニューに入ったり、コンフィグの中はキーボードでは操作できないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。スキップ動作は高速です。

セーブ箇所は150箇所+オートセーブ10箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像と章番号、自由記述のコメントが
保存されます。
数としては、選択肢はそれなりにあるものの、比較的わかりやすいですし、
そもそも数がこれだけあれば充分足りるかと。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
章立てて進んでいき、フラグによってイベントが発生し、エンディングが決定
するようです。

ディスクレス起動不可。バックグラウンドでの動作は可能です。
主人公の名前は「森田賢一(もりたけんいち)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が特別高等人の最終試験のため、故郷の街にやってくるところ
から始まります。そこで、義務を背負った幼馴染み達と触れ合い、監督する
ことによって、義務を解消し、高等人になるために進んでいく……という話。

ゲームは章立てて進んでいき、各章で1人ずつ義務を持った人を監督し、義務を
解消していくという感じで進みます。

コミカルな展開もありますが、基本的にみんな重い義務を背負わされており、
心に暗いものを抱えているキャラばかりなので、どこかもの悲しく、どんより
した雰囲気が漂っているように感じます。
# 「オスギと○ー子です」……ピー音の意味ねぇっ(笑)

ラストの方はたたみかけるような怒濤の展開で、プレイしていてぐいぐいと
引き込まれるような展開でした。

最後はすっきりハッピーエンドという感じではありますが、ちょっとご都合
主義に感じることもありました。

プレイしていて気になったのは、SF小説(現代の日本を描いたもの)の話が
頻繁に出てきてちょっとくどく感じたのと、主人公がプレイヤーに話しかける
ように独り言を言うのがちょっと鼻につきました。まあ、これにも意味はある
わけですけど。

あと、一章一章が結構長いのですが、前半は全然ストーリーが動かず、
後半になって一気に動き始める感じで、前半がかなりかったるく感じました。
また、結構うじうじした展開が多くて、イライラすることもありました。

ただ、ラストの方の展開はぐいぐいと引き込むような力を持っていて、どの
シナリオでもはっとさせられるセリフや展開があって、なかなか良かったです。
特に最終章の展開は、かなり度肝を抜かれました。
「その行動はそういうことだったのか!」とか、「その設定をそういう風に使って
くるか!」と唸らされることもしばしば。よく練られているなー、と思いました。

H度はやや低め。各ヒロインとも複数回(ほぼ2回)用意されています。
尺の方はそこそこありますが、描写は比較的あっさりめ。一部を除いては
ごく普通の純愛系のシーンばかりで、特に目立った点はありません。
ただ、他のキャラのシナリオ中にぽんっと入っていたり、構成としてはなか
なか面白いと思います。

テキストは誤字等はあまり気にならず、テンポもいいですが、独特の言い回しが
結構あったりと、ちょっと馴染みづらい人もいるかもですね。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は不明。4ヶ月ぐらいでしょうか。日付の経過を気にする必要は
ありません。

ワンプレイは18〜22時間。かなり長く、テストを読む速度などでかなり左右
されると思います。ただし、9割方共通シナリオなので、1度クリアしてしま
えば、スキップを使うとかなり短縮できます。

難易度はやや低め。章ごとにヒロインがいて、そのヒロイン寄りの選択を
していればエンディングのフラグが立つ感じですね。
総評
お奨め度ですが、設定や背景のしっかりした、読み応えのあるストーリーを
楽しみたい人にお奨め。
設定や世界観はとてもよく考えられていて、深い話や意表を突く展開なども
あって、飽きることなく最後までプレイできると思います。

ただ、各ヒロインともかなり重い設定を持っていて、シナリオも痛々しい
ものが多く、プレイしていて決して楽しくはありません。感情移入すれば
するほど、苦しい、見ているのが辛い展開が続きます。
でも、ぐいぐいと引き込むようなシナリオで、先が気になって止められない
ぐらいで、決してつまらなくはないです。
楽しくないけど面白い、という感じでしょうか。

あと、1周はかなり長いのですが、ストーリーはほとんど一本道で、一度
クリアしてしまえばあとはほとんどイベントとエンディングの回収だけと
いう感じなので、やや物足りなさがあるかも知れません。
ただ、一度クリアして、設定や背景を理解した上でもう一度プレイすると、
また違った側面が見えてくるので、それなりに楽しめると思います。
さすがに3周目4周目となるとキツいですけど(^^;

独特の雰囲気を持っていて、キャラクターも個性的で、ゲームの構成や
シナリオ展開もあまり他では見られないような個性的なものなので、
新鮮でなかなか面白かったです。
ただ、その独特さやシナリオの重さ、痛々しさで、ややプレイする人を
選ぶかなー、という感じですね。
プレイしていてあまり楽しくはないので、早々に挫けてしまう人もいるかも
知れません。ただ、最後までプレイすれば、その世界観に引き込まれる
こと請け合いという感じの、力のあるストーリーでした。

ちょっと取っつきにくい感はありますが、雰囲気が気に入った人は是非どうぞ。

最後に。規律を破れば殺害も辞さない冷徹な指導者……って、やりすぎだろ(^^;
# プロローグのイベントは、さすがに引いたわ(^^;



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