屋根づたいの君へ
ブランド名 Le.Chocolat×KLEIN ジャンル 恋愛体験アドベンチャー
発売日 2005.11.04 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(168x235x50mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 1.23GB(DVD-ROM)
原画 磯野智 シナリオ みけみけこ、Dr.どっぷり&夜行人間
大和環渡部好範
音楽 18曲、 志倉千代丸、磯江俊道、彩音 あり(3曲、OP・ED・挿入歌)、彩音、
井上みゆ
音声 あり、まきいづみ渋谷ひめ
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 49箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 89枚
おまけ Memory(GRAPHIC、SCENE、MUSIC)
対象属性 純愛、ツインテール、オーバーニーソックス、先輩、後輩、ウェイトレス、メイド服、
ご主人様、幼なじみ、眼鏡っ娘
1プレイ時間 5〜6時間 お奨め度 4

レビュー
概要
楽しい学園生活を送っていた主人公は、ある日夢を見る。それは、
月明かりの下で一人の少女が悲しそうに空を見上げている夢だった。
そしてある日、主人公が街を歩いていると、一人の女性とすれ違う。
次の日、今まで空き家だった隣の家に、誰かが引っ越してくる。その夜、
主人公はまた夢を見る。そこで、少女のことを思い出す主人公。そして
窓を開けると、その夢と同じように、屋根の上にたたずむ一人の女性。
それは街で見かけた女性で、夢の中に出てきた少女でもあった。その
女性は主人公のところにやってきて突然キスをする。そして、「ねぇ、
エッチしようか」と言う。果たして主人公の運命はどうなっていくのか
……という、恋愛体験アドベンチャー。

いきなりこんな始まり方をして、恋愛も何もあったもんじゃないような
気がするのですが(^^;
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

長沢友紀(ながさわゆき)。(CV:渋谷ひめ)
主人公の後輩で、いつも主人公につきまとう。明るく元気いっぱいの女の子。

蓮見依乃里(はすみいのり)。(CV:まきいづみ)
主人公の幼なじみ。昔、隣の家に住んでいたが、両親を亡くし、祖父の家に
引き取られて引っ越してしまい、それ以来音信不通になっていた。
おっとりほんわかした優しい女性。お姉さんぶったりすることもあるが、
子供っぽく可愛らしい一面も持っている。

絵の方はとても可愛らしく活き活きとした絵柄。表情豊かで魅力的で、
かなり好みかも。線が少なめのアニメ調の絵という感じですね。
CGも原画の雰囲気を活かしたアニメタッチの塗りになっていて、丁寧に
処理されていると思います。背景も綺麗ですね。
立ち絵はポーズ変化はなし、表情変化はあり。立ち絵はちょっと引いた絵と
バストアップの大きな絵があり、表情は豊かでコミカルな表情もあり、見て
いて楽しく、感情移入もし易いです。

キャラクターは明るく元気な友紀と、大人しくおっとりした依乃里という
対照的な配置。ただ、あくまでメインは依乃里で、友紀は脇役という感じに
なっています。どちらも魅力的で、甲乙付けがたいですね(^^)

音声はキャラクターとのマッチングはほぼ良し。依乃里は最初、ちょっと
おっとりほのぼのしすぎかなーと思ったんですけど、プレイしているうちに
ぴったりとハマってきた感じです。友紀は最初からドンピシャでしたけど(^^)
演技の方はどちらも問題なし。感情表現が豊かで、とても感情移入がしやす
かったです。
あと、淫語等はテキストでは伏せ字になっているのですが、音声ではちゃんと
発音されます。

音楽はほのぼのゆったりした曲が多め。次いで、静かでちょっと切ない雰囲気の
曲ですね。作品の雰囲気とはよくマッチして、シーンを盛り上げてくれます。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌は力強く格好いい歌で、かなり聴き応えがありますね。
絵の方はフルアニメーションになっていて、とてもよく動いており、イメージ
ビデオのような感じに仕上がっています。元々の絵がアニメ調なこともあって、
とても自然で、良く出来たオープニングアニメーションだと思います。

エンディングも歌あり。力強さの中にも切なさが漂う曲で、ラストの雰囲気とも
なかなかよく合っていて、余韻も楽しめていいですね。

挿入歌もあり。可愛らしく、それでいて力強い歌で、元気が出てくる感じです。
使い所としてもまあまあでしょうか。
システム
インタフェースはややキーボードサポート。メッセージスキップや選択肢決定は
キーボードで可能ですが、メニュー操作等はキーボードで出来ないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ搭載。
バックログは音声の再生も可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。スキップ動作はそこそこ高速です。

セーブ箇所は49箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とシーンタイトル、ゲーム内日付が
保存されます。
数としては、エンディングの数は少なく、それほど悩むこともないため、これ
だけあれば充分かと思います。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。選択肢の積み重ね
によるシナリオ分岐になっている、好感度型のシステムのようです。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作は不可です。
主人公の名前は「岸田邦彦(きしだくにひこ)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公の隣の家に幼なじみの依乃里が戻ってくる所から始まります。
依乃里は主人公に現在の状況と自分の気持ちを打ち明け、主人公もそれを
受け入れて、結ばれるところから始まります。

前半は、依乃里といちゃいちゃしまくる、ラブラブでほのぼのした展開。
ちょっとした気持ちのすれ違いなんかもありつつ、平和に毎日を過ごします。

そして後半、依乃里の婚約者である三国が依乃里にアタックしてきて、
主人公の後輩である友紀も主人公にアタックを始め、依乃里を中心とした
三角関係(主人公・依乃里・三国)と、主人公を中心とした三角関係(依乃里・
主人公・友紀)の2つが出来上がります。
自分の気持ちや相手の気持ちを確かめ、依乃里の置かれている状況なども
含めた、シリアスで重い展開が続きます。

最後はすっきり綺麗に終わって、プレイ後は爽やかな気分ですね。
ただ、冷静にもう片方の女性のことを考えると、結構せつないですが(^^;

まずプレイを始めて思ったことは、最初は設定とかの説明も何もなく始まる
ので、入り込みづらかったです。しばらくぽかーんとしてました(^^;
てゆーか、いきなり「ねぇ、エッチしようか」とか言われても、「喜んで!」と
答える以外に出来ないじゃないですか。

あと、後半の三角関係、ここがこの作品のキモだと思うんですが、どうにも
この部分の描写が弱く、あーんまり三角関係という感じがしないんですよね。
まあ、あまり長くされても気分のいいモノじゃないんですけど、もう少しじっくり
描いてあってもいいかなー、と思いました。
まあ、寝取られとかあったら暴れますけどね(^^;

さらに、ラストがちょっとあっけない印象がありました。特に依乃里シナリオ
では、かなり無茶な行動に出て大盛り上がりしたのに、最後はそんな簡単に
終わっちゃうの? という感じでした(^^;

H度はやや高め。依乃里に関しては数多く用意されています。友紀も複数回は
あるのですが、1シナリオでは1回だけ……というか、ぶっちゃけ2つだけです。
描写の方はそこそこ濃厚。尺はちょっと短めでしょうか。
2回戦が用意されていたり、純愛系にしてはなかなか頑張っていると思います。
ただ、前半の依乃里との夜のHは使い回しが多く、組み合わせが変わるだけと
いう感じなのは残念。ここは頑張って独立したシーンを用意して欲しかった
ところです。
それと、前半はかなり濃厚なシーンが続くのですが、後半になればなるほど
淡泊になってきて、最後の方はかなりあっさりした印象があります。
特に可哀想なのは友紀で、まともなシーンは1つだけ、それもあっさり流される
感じです。

テキストは誤字だらけ。「てにをは」の間違いや変換ミス、単純なタイプミス
からアクロバティックな間違いまで、もはや笑うしかないぐらいです。
しかも、Hシーンとか、エンディング間際の盛り上がっているところで来るもん
ですから、気になって気になってしょうがないです。一番やっちゃダメな所
だと思うんですけど……。それ以外の所なら、さらっと流せるんですけどねー。
それでは、おもろ誤字をいくつか紹介。
「判定の手が手持ちぶさた」……「反対の手が」と言いたかったのでしょうね(^^;
「……でも、このままだとだめ出しな」……だめ出しするのかよ(笑)
「窓の外を卒倒課外ながら」……「そっと伺いながら」ね(^^; これは凄い。
「さすがに来るまで来てる距離だからな」……「車で来てる」ですよね(^^;
ちょっと考えないと解らないような誤変換があったりして、なんだかクイズを
やっているような気分ですよ(^^;

あとテキストと絵が合っていないところもちらほら見受けられました。
まだ射精していないのにもう絵では精液が出ていたりとか。
商店街のハズなのに自室の背景が表示されていたりとか、立ち絵がずっと
残ったりすることもありました。

それと、日付の表示がなんかオカシイです。イベントの切れ目で変わるように
なっているのか、真っ昼間に日付が変わったり、2日経ってるはずなのに1日
しか増えてなかったり。

さらに、選択肢として出るはずの文字が、メッセージウインドウにも出たり。

普段は砕けた話し方なのに、突然ですます調が混じったりと、ちょっと統一が
取れていない印象もありますね。

さらにさらに、効果音が鳴っている最中にスキップすると、効果音がずっと
鳴りっぱなしになることもありました。ピンクローターの音が鳴りっぱなしに
なるのは、かなりシュールだと思います(^^;

極めつけは、一部音声が鳴らないところとか、テキストとは違ったズレた音声が
鳴ることもあってしょんぼり。
Hシーンやエンディング間際で音声がなくなるのはちょっとねぇ……。
# 「はいっ、大丈夫ですよっ♪ 学園祭の準備ってちゃんと言ってありますから」
# というのは「この『値切りの友紀ちゃん』の実力、お見せしちゃいますねっ」
# と読むのか(^^;
プレイ時間・難易度
ゲームは9月27日から始まります。
ゲーム期間は約1ヶ月。基本的に1日ずつプレイするタイプですが、途中で
日付が飛んだりもします。

ワンプレイは5〜6時間。テンポ良くサクサク進むので、時間を忘れてプレイ
出来るかと思います。また、2周目以降はメッセージスキップを使えばかなり
短縮することが出来ます。

難易度は低め。依乃里寄りか、依乃里を遠ざけるような選択をするかで
はっきり分岐します。ただ、選択肢によってその後のイベントが変わることが
あり、全てのシーンを回収するのはちょっと面倒ですね。
総評
お奨め度ですが、ちょっとせつない純愛ストーリーが好きな人にお奨め。
ゲームが始まってすぐに依乃里と結ばれるわけですが、その後に気持ちが
すれ違ったり、気持ちを確かめ合ったり、三角関係で揺れ動いたり、ハードな
状況に追い込まれたりと、様々な恋愛模様を楽しむことが出来ます。

ちょっと三角関係の描写が弱かったり、ラストがあっけなかったりというのは
ありますけど、よくまとまった綺麗なストーリーだと思います。

ただ……上にも散々書きましたが、システム・スクリプト回りが酷すぎ。
大量の、ともすれば意味が解らないぐらいの誤字、テキストと食い違う絵と声、
鳴らない音声、鳴りっぱなしの効果音、ストーカーのようについてくる立ち絵、
真っ昼間に変わる日付、タイムスリップと、もう笑うしかない状態です。
せっかくのいいお話も、こんな状態では感情移入出来るはずもなく、醒めた
目で冷ややかに読み進めるような状態になってしまいました。
もう、ストーリーを楽しむより、誤字を見付けて楽しんでる感じ……。

あと、ヒロインは2人いて、パッケージにも「付き合い方によってヒロインが変化!」
とか書いてあるんですが、友紀は完全におまけで、最後に取って付けたような
Hシーンがあってさらっとエンディングになってしまい、いくらなんでも可哀想だろ、
と思いました。友紀LOVEな人は、絶対物足りないと思います。
まあ、最初に依乃里と結ばれるわけで、友紀に走るのはぶっちゃけ浮気なわけ
ですけど(^^;
# あんまり浮気っぽくならないよう、工夫はされていますけど。

そして、ヒロインが2人で、エンディングの数もバッドエンドを含めても片手で
足りる程度のため、ボリュームにも乏しく感じます。
しかも、基本的に1本道で、終盤にやっと個別ルートに分岐するような形のため、
スキップを使えばあっけなく終わってしまいます。10時間かからないかも。
その割には、依乃里の変装をどう褒めるかでイベントが変化し、全て見ようと
思ったら、都合5回もプレイが必要になるなど、余計なところに力を注いでいる
ように思えてしまいます。

ちょっと描写が弱い部分はありますが、そこそこ面白いストーリーに、
魅力的な絵、可愛らしい音声、シーンと良くあった音楽にクオリティの高い
アニメーションなど、パーツパーツで見ればかなり良くできていると思うの
ですが、システム回りが台無しにしてくれている感じです。
システム回りがしっかりしていれば、お奨め度 6 か 7 を付けてもいいと
思える出来だけに、非常に残念です。

まあ、誤字なんて全然気にしないぜ! という人なら大丈夫かも知れませんので、
パッケージのあらすじにも変な日本語ありますから、とりあえずそれを見て、
耐えられそうだったら是非プレイしてみてください。
あ、でも、絵の表示の問題や、音声の問題はキツいか(^^;
# 「奥深いシュミレーションを楽しみたい人」……「シュミレーション」という
# 表現、久しぶりに見た気がする……(^^;

修正ファイルを入れればマシにはなりますが、それでも結構残ってますし。
まあ、今後さらに修正ファイルは出ると思いますので、それでシステム回りの
問題が全てクリアになれば、充分楽しめるかと思います。
素材はいいだけに、ホントに勿体ないですね。もう少し丁寧に作って欲しい
ところです。
# プレイするときは、必ず最新の修正ファイルを入れましょう。

最後に。オープニングに出てきたようなシーン、本編にはないんですね(^^;
# 完全にイメージ映像って感じですか……。


三国さん、すっごいオトナでいい人ですよね。惚れました。
それに比べて、主人公はヘタレすぎ……。というか、考えなさすぎ(^^;



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