終末少女幻想アリスマチック
ブランド名 キャラメルBOX ジャンル 少女剣劇・救世虚構恋愛奇譚ADV
発売日 2006.10.27 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(190x278x47mm) マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 2.66GB(DVD-ROM)
原画 クロサキ シナリオ 嵩夜あや森林彬
音楽 22曲、ホスプラグ細井聡司 あり(3曲、OP・ED・挿入歌)、
榊原ゆい中原涼
音声 あり、安玖深音、由良香、佐本二厘、文月かな、まきいづみ松永雪希理多
深井晴花、ありす、Prof.紫龍、空野太陽
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 100箇所 CG枚数 112枚
おまけ CG鑑賞、音楽鑑賞、シーン回想、スタッフルーム
対象属性 格闘、学園物、紫髪、ポニーテール、赤髪、ゴスロリ、ガーターベルト、ストレートロング、
黒髪、ボクっ娘、巫女装束、巫女さん、盲目、ボブカット、オーバーニーソックス、しましま、
双子、眼鏡っ娘、お兄ちゃん
1プレイ時間 13〜16時間 お奨め度 7

レビュー
概要
九州の片田舎で暮らしていた主人公は、ある日、新東雲学園都市に招聘される。
世界では、「散花蝕(ペトレーション)」という多次元世界異常によって、住む場所が
失われつつあった。主人公は「散花蝕」を回避するためのプロジェクトに参加し、
世界を救うために戦うことを決意する。刻一刻と滅びに向かう世界で、主人公は
どんな未来をつかむのか……という少女剣劇・救世虚構恋愛奇譚ADV。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

觀興寺六花(かんこうじりっか)。(CV:佐本二厘)
主人公と同時期に新東雲学園都市へとやってきた女の子。槍使い。
明るく人懐っこい女の子で、誰とでもすぐにうち解け仲良くなれる。
愛称はりっちゃん。平然とシモネタを口にする、想像力豊かで品性下劣な
スケールのでかい女(笑)
育ち盛りの食べ盛り。燃費が悪い。食べることに人生を賭けている(笑)
前世に因縁でもあるんじゃないかというぐらい苺が好き。
でも本当は優しく、人のことを思いやれるいい娘。
# 沈黙とシリアスに耐えられない。ゆみみか。

伊集院観影(いじゅういんみかげ)。(CV:深井晴花)
主人公を新東雲学園都市へと招待した張本人で、新東雲量子科学研究所
研究主任かつ主人公の担任。色気たっぷりの大人の女性。研究に対しては
真摯でクール。しかし、案外可愛らしい一面も。

月瀬小夜音(つきがせさやね)。(CV:由良香)
主人公のクラスメイトで、凄腕の剣士。いつもゴスロリ衣装を身につけている。
真面目で冷静沈着、落ち着いた雰囲気の女性。ただ、やや自信過剰で高飛車。
思ったことははっきり口にする、ある意味素直な女の子。
# 「あら、簡単ですわ…負けなければ良いのです」……か、格好いい……(^^;

小鳥遊圭(たかなしけい)。(CV:理多)
主人公のクラスメイトで、魔術師。いつも男装をしており、男言葉で話す。
ドイツからの帰国子女で。女性に対しては気障な言葉を吐いたり口説いたり、
シモネタも平然と繰り出す。レディーキラー。超絶マイペース。
プロジェクトには直接は参加していないが、その魔術知識の豊富さから、
顧問のような扱いでアドバイスをしている。

刀伎直冬芽(ときのあたいふゆめ)。(CV:安玖深音)
主人公達から遅れて新東雲学園都市にやってきた巫女さん。目が見えないが、
魂魄を感じることが出来るため、ある程度は普通に行動できる。
純粋培養のお嬢様で、一般的な知識に乏しく、また人を信じやすいため、
影響を受けやすい。礼儀正しく、ほのぼのとした雰囲気を振りまく女の子。
誰とでもすぐ仲良くなれる。霊力はかなり高い。

中条黒衣(ちゅうじょうくろえ)。(CV:文月かな)
主人公達の直後に新東雲学園都市にやってきた下級生。小太刀使い。
気が強く、男性に対しては容赦がない。お姉ちゃん大好きっ子で、いつも
お姉ちゃんのことを中心に物事を考える。姉を護るために力を欲し、強く
なると決意している。案外単純で純情。

中条白衣(ちゅうじょうしろえ)。(CV:まきいづみ)
黒衣の双子の姉。気が小さく控えめ。無口で照れ屋な女の子。ややマイナス
思考で、物事を悪い方に考え、ふさぎ込むことも。家庭的で家事が得意。
おっとりしているが、心優しい女の子。

疋田伊織(ひきたいおり)。(CV:松永雪希)
主人公達の先輩。無口で無感情な女性。しかしそれは、ただコミュニケー
ションが下手なだけで、思ったことは素直に口にする。知識は非常に豊富で
年齢以上に大人びている。人の話を勝手に納得して去っていく。
# ぼるしち(笑)

絵の方はとても可愛らしく活き活きとしており、表情や動きも豊かで、とても
魅力的な絵柄だと思います。色気もあり、コミカルな絵もあったりと、非常に
メリハリの効いたバラエティに富んだ絵ですね。動きもあって素晴らしいです。
CGは綺麗に丁寧に処理されており、原画の味も活かしてあっていいですね。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。会話に合わせてコロコロと切り
替わり、非常に表情豊かでアクションも大きく、コミカルな表情なども多彩に
用意されていて、見ていてとても楽しいです。

キャラクターは個性豊かな面々揃い。明るく元気なキャラと落ち着いたキャラに
はっきり分かれている感じですね。どのキャラクターもとても活き活きとしており、
会話も非常に楽しいです。
特に、六花は感情の起伏が豊かで、いじり甲斐のあるいいキャラですね(笑)
すっごいお気に入りです。
他にも、冬芽や黒衣が照れたときは超絶可愛らしいですし、白衣のささやかな
抵抗やひかりを相手にする観影さんも可愛らしかったりと、皆とても魅力的で
いいですね(^^)

音声はキャラクターとのマッチングはばっちりで、演技の方も文句なし。
メインキャラだけでなく、サブキャラも個性たっぷりに演じられていて、
とても感情移入しやすいです。呪文の詠唱シーンとか、戦闘時の口上など
凄く格好いいです。なお、主人公もたまに喋ります。
ただ、1つ気になるのは次回予告。次回予告は音声のみで進むのですが、
ここの音量が音声の音量と連動しておらずBGMの音量と連動しているのか、
音声に比べて小さくてすっごく聞き取りづらいです。
音声の音量と合わせて欲しいところですねー。

音楽は静かで落ち着いた曲が多め。広がりのあるクリアなサウンドで、作品を
包み込んでくれる感じです。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌は落ち着いた雰囲気の、しかし力強い、大人っぽい感じの歌ですね。独特の
雰囲気を持っていて、なかなかいい感じです。
絵の方は、シーン紹介的なもの。どちらかというと、イメージムービーという
感じでしょうか。曲に合わせて絵が切り替わり、とても雰囲気のある絵が作品の
世界観をよく表していると思います。

エンディングも歌あり。落ち着いた雰囲気の静かな曲で、ラストの余韻を残して
くれる、染み入ってくるような歌ですね。

挿入歌も用意されています。静かでちょっと切ない曲で、シーンともよく合って
いて、作品を盛り上げてくれます。
システム
インタフェースはほぼフルキーボード操作可。バックログの音声再生のみ
キーボード出来ないっぽい? ただし、キーボード操作はマウスカーソルが
Windowの中に入っている必要があります。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールに対応しています。
メッセージですが、若干文字が小さくて読みづらいかも。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。スキップ動作はそこそこ高速です。ただ、ちょっと描画で
引っかかる感はありますね。

セーブ箇所は100箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とメッセージが保存されます。
数としては、選択肢の結果はすぐにわかるようになっていますし、分岐も明確
ですので、これだけあれば充分かと。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。
システム的な特徴としては、骨牌(かるた)システムがあります。これは、
ゲーム中に手に入れられるカードによって、様々な効果を得ることが出来る
というものです。たとえば序盤をスキップできるようになるカードとか、
特定キャラのルートに迷わず入れるようになるカード、特定キャラのルートを
出現させるのに必要なカードなどがあります。
結果的に、クリア順制御がかかる、シナリオ追加型のシステムになっています。
また、難しい言葉が出てきたとき、吹き出しで注釈が表示されるようになって
います。どうせなら、いつでも見返せるようにして欲しかったかも。
すぐに消えちゃって、バックログでも見られないですからねー。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「丸目蔵人(まるめくろうど)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が新東雲学園都市にやってくるところから始まります。
そこで、散花蝕を回避するためのプロジェクトに参加し、戦いを繰り広げる
ことになる……という話。

前半は明るく楽しいコミカルな展開。個性豊かなキャラクター達が、
活き活きと日常を繰り広げていきます。
ギャグやパロディ満載で、特に六花との漫才は最高です。圭や信綱が絡む
ときも、もれなくお笑いになってますけど。

中盤は、プロジェクトが動き出し、参加者同士で命がけの戦いを繰り広げ
たり、プロジェクトの影響で現れた謎の敵を倒したりする、緊迫した展開が
入ってくるようになります。

そして後半は、各ヒロインが抱えた問題や、プロジェクトの真相などが
明かされる、ややシリアスで重い展開になります。

ラストはすっきりとハッピーエンドになります。これは作中でも約束されて
います(笑)
……でも、実は、手放しでハッピーエンドじゃないんですけどね……。

特筆すべき点は演出の細かさ、丁寧さ。立ち絵の出し方や動かし方から、
切り替えるタイミングなどもよく考えられていますし、徐々に顔が赤くなる
ところなんかはとてもステキです(^^)
ショックを受けている六花がすげぇらぶりー♪
# 六花が注釈に突っ込んで、注釈が謝っているのはすごいシュール(^^;
# 「わ、ちょっとっ! 余計な注釈出すのやめてよ!?」「ご、ごめんなさい……」(笑)

逆に気になったのは、シナリオによって設定が若干違ってくること。
パラレルストーリーと考えればいいのかも知れませんが、残滓の説明なんかが
微妙に違ってきたり、観影の知っていることが違っていたりすると、ちょっと
プレイしていて戸惑います。

あと、見ていないイベントを見たかのように進んだりすることもありました。
おそらく裏ではそのイベントが起こっているんでしょうけど、プレイする順番に
よっては見たことのないイベントが見たように進むので、話が繋がっていない
ように思えることも。
# 残滓退治の話をまだ聞いてないのに、残滓退治に参加する気満々だったり。

H度はやや低め。キャラによって回数に差があり、1〜3回。1キャラに絞って
言えば、1〜2回です。メインキャラは大抵2回用意されています。
内容は基本的に純愛系のらぶらぶHで、内容はごく普通。一部、複数キャラ
との絡みがあるぐらいでしょうか。……って、誰だかバレバレですね(^^;
あと、サブキャラにもHシーンはあるのですが、主人公と絡むものはなく、
主人公以外のキャラと絡むため、サブキャラが気に入った人はちょっと辛い
気持ちになるかも知れませんね。

テキストは誤字等はほとんど気にならず、丁寧で、綺麗な日本語が使われている
印象のある、好感の持てるテキストですね。「役者不足」と正しく使っているのは
珍しいですね。大抵「役不足」と言っちゃいますし。
ただ、ちょっと言い回しが難しいところもありますけど、難しい言葉には、注釈
ウインドウが出ますし、許容範囲でしょうか。
プレイ時間・難易度
ゲームは7月11日月曜日から始まります。
ゲーム期間は約1ヶ月。基本的に1日ずつ進みますが、後半は結構飛んだりします。

ワンプレイは13〜16時間。かなり長めです。2周目以降は半分ぐらいはスキップが
効きますが、そもそも長いため、半分でもかなり長いわけで。コンプリートするには、
かなりの時間がかかるかと思います。

難易度はやや低め。選択肢を選んだときに誰の好感度が上がるかが表示される
ため、狙ったキャラの好感度を上げるのは簡単です。ただし、クリアするために
特定のカードが必要なキャラがおり、それを手に入れないままクリアしようとすると、
別のキャラのシナリオに入ってしまったりするので注意が必要です。
総評
お奨め度ですが、メリハリの効いた学園格闘恋愛物が好きな人にお奨め。
明るく楽しくコミカルな日常と、緊迫感のある格好いい戦闘シーン、そして
世界を救うという壮大なテーマを持ったシナリオと、それに絡む恋愛と、
とても盛り沢山で、メリハリのあるシナリオを楽しむことが出来ます。
設定もなかなかよく考えられており、各キャラクターは実在の剣術を習得
していたりと、難しいながらもちょっぴり身近な感もあり、実感が持ちやすく
なっているのはいいですね。また、難しい言葉には注釈が入ったりと、
出来るだけわかりやすくなるような配慮がしてあるのは好感が持てます。
……まあ、それでも結構抽象的で解りづらいわけですが……(^^;

さらに、演出がとても凝っていて、音楽や声優さんの演技もばっちりシーンに
合っていて、とてもクオリティの高い作品になっているかと思います。

ただ、散花蝕だのプロジェクトだのと、ベースの設定がかなり小難しく、
抽象的な表現も多いため、やや解りづらく、感情移入の阻害になっている
ように感じられるのは勿体ないですね。どうしても第三者的、客観的に
見てしまうような印象がありました。
また、後半の展開は結構駆け足で、どうしてそうなったのかという過程を
端折っていきなり結果に辿り着くようなこともあり、やや肩すかし感も
ありました。

そして、最後までプレイして初めて作品の全容が解るような構成になって
いるわけですが(いや、よくわかんないところもありますけど(^^;)、
1周がかなり長いため、最後のシナリオをプレイする頃には、最初の方に
出てきて伏線とか、いい感じに忘れてます(^^;
プレイ負荷はかなり高く、ちょっと気軽にはプレイしづらいのが厳しいです。

でも、とてもよく考えられた作品で、クオリティも高く、独特の雰囲気を持った
力のある作品だと思いますので、雰囲気が気に入った人は是非どうぞ。

最後に。運命改変……絶対運命黙示録?(^^; ←禁句
# かしらかしらご存知かしら(笑)


しかし、冬芽は本筋に関係ないキャラかと思ってたら、まさかメインヒロイン
だとは思いませんでした(^^;
疋田先輩は何かありそうだなー、とは思ってましたけど……。逆に、小夜音は
思ったよりあっさりしてましたね。
# 疋田先輩、シナリオとしては優遇されてますけど、他のキャラのシナリオでは
# 一番酷い扱いを受けている気が……。てゆーか、マジ殺しされてるし(^^;

ところで、このレビューを読み返していて思ったんですけど……私、六花が
好きすぎる(笑)



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