青空の見える丘
ブランド名 feng ジャンル AVG
発売日 2006.04.21 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(168x232x41mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 1.73GB(DVD-ROM)
原画 涼香和泉つばす シナリオ サイトウケンジ
音楽 28曲、猫野こめっと あり(2曲、OP・ED)、橋本みゆき
音声 あり、鈴田美夜子、安玖深音、成瀬未亜、九条信乃、加賀ヒカル、
近藤千佳、佐本二厘、先割れスプーン
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 144箇所 CG枚数 114枚
おまけ 音楽鑑賞、CG回想、シーン回想、?????(さとがえり)
対象属性 純愛、学園物、幼なじみ、ストレートロング、帽子、オーバーニーソックス、黒髪、浴衣、
ボブカット、首輪、先輩、ブルマ、体操服、ツインテール、後輩、アホ毛、ストッキング、
ボクっ娘、ポニーテール、リボン、スクール水着、猫耳、巫女さん、巫女装束
1プレイ時間 9〜10時間 お奨め度 7

レビュー
概要
私立ファミーユ学院で幼なじみの伊織と楽しくも平凡な毎日を送っていた主人公。
そんなある日、幼い頃に過ごしていた田舎の幼なじみである春菜がが学院に転校
してくる。そして、主人公を中心に、周りの人たちの関係が変わり始める。
果たして主人公の学園生活はどうなっていくのか……という、学園純愛AVG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

速水伊織(はやみいおり)。(CV:安玖深音)
主人公の幼なじみ。容姿端麗で人当たりも良く、勉強もスポーツもそつなくこなす
人気者。しかし実は我が侭で意地っぱり。主人公の前では素の自分を見せる。
自分の役割は「怒ること」と割り切っている。

西村春菜(にしむらはるな)。(CV:鈴田美夜子)
田舎時代の幼なじみ。おっとりのんびりマイペースで天然のドジっ子。でも鋭い。
ほんわかした雰囲気とは裏腹に、言うことは結構酷い。
# 「秀くんは乱暴は苦手だけど姑息な事は得意なんだよね」(笑)
##「ふわ、秀くん風邪引くの?」「今、君はとても失礼な事を言ったよ春菜」(笑)

諏訪ののか(すわののか)。(CV:九条信乃)
1年上の先輩で学生会長。いつも笑顔を浮かべ、優しそうで可愛らしい外見だが、
実は超絶腹黒い。にこにこしながら平然と酷いことを言い放つ。
# 「むらむらしたら言って下さいね?」「ムラムラしております!」「はい、
# 頑張って我慢して下さい」(笑)

橘ミコト(たちばなみこと)。(CV:佐本二厘)
主人公のクラスメートで伊織の友達。おっとりした雰囲気の女の子で、いつも
誰に対しても丁寧語で話す。よく気が利く優しいいい娘。

藤宮翠(ふじみやすい)。(CV:加賀ヒカル)
1年下の後輩で、小夏の友達。独特の口調と考え方を持つ、個性的な女の子。
背が高く手足も長い美人。常に黒ストッキングを穿いている。黒ストもえー(笑)

西村小夏(にしむらこなつ)。(CV:成瀬未亜)
田舎時代の幼なじみで春菜の妹。明るく元気で万民に分け隔て無くマイペース。
人懐っこく、誰とでもすぐに仲良くなれる。学院最強まであと数歩(笑)
# 「男心なんか知るものかー」(笑)

御代柊花(ごだいとうか)。(CV:近藤千佳)
田舎に住んでいる女性で、主人公達の姉的存在。ミステリアスな雰囲気を持つ
巫女さん。しかし言うことはハチャメチャで破天荒。

絵の方はほんわかとした柔らかいタッチのとても可愛らしい絵柄。原画家さんは
2人いるようですが、それほど絵柄に大きな差はなく、特に違和感を感じることは
ありませんでした。まあ、見分けは着く程度の差はありますけど。
でも、どちらの絵も可愛らしくてステキです(^^)
CGは明るい発色で綺麗に処理されていていいですね。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。会話に合わせてコロコロ切り替わり、
感情移入はしやすいです。

キャラクターは素直じゃない乱暴な幼なじみと、素直で従順な幼なじみという
対照的な配置を中心に、元気っ娘、不思議っ娘、腹黒娘(笑)と、バラエティ
豊かなキャラクターが揃っています。
ミコトちゃん萌え。すっごいいいキャラですねー。
メインキャラでは春菜が好きです。

音声はキャラクターとのマッチングはばっちりで、演技の方も文句なし。
特に、春菜の声はめちゃめちゃ破壊力デカかったです。そして、伊織の声は
すんごい自然にキャラクターに馴染んでいましたし、小夏の元気なところや、
翠の独特の口調、ののか先輩の可愛らしい黒さ(笑)なんかもしっかり表現
されていて、とても活き活きしていて最高です。

音楽は明るく楽しい曲が多め。次いでしっとり落ち着いた雰囲気の曲ですね。
作品の雰囲気を上手く盛り上げてくれます。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
というか、ゲームは章立てて進むのですが、各話の最初にも流れます。
歌は軽快なテンポの爽やかな歌。とても聴き心地が良く気持ちいいです。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。やたらHシーンの絵が多いの
ですが、そんなに前面に押し出さなくても……。
あと、各話の冒頭に毎回流れるわけですが、後半は絵や歌が変わるなど、捻りを
入れて欲しいところです。さすがに何度も見せられると飽きます(^^;

エンディングも歌あり。しっとりとした落ち着いた曲で、余韻の残るいい歌だと
思います。まあ、ラストがあーんまり余韻のある終わり方ではないですが(^^;
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢決定などは
キーボードで可能ですが、メニューを出したり細かい操作は出来ないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600。
動作は比較的軽快。スキップ動作はそこそこ高速です。

セーブ箇所は144箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とゲームタイトルが保存されます。
……ゲームタイトルは別にいらないんじゃないかな?(^^;
数としては、選択肢の数は少なく、これだけあれば充分でしょう。まず使い切る
ことはないかと。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
章立てて進んでいき、章と章の間にside episodeがあり、誰のストーリーを
見るのか選ぶことになります。まあ、見る個数に制限はないので、全ての
ストーリーを見ることも可能ですけど。
選択肢の蓄積によってストーリーが分岐するフラグ型のシステムになっている
ようで、条件を満たすとおまけから新たなシナリオを見ることが出来るように
なります。……まあ、おまけメニューに書いてありますが、条件は5人をクリア
すること、ですけど。
あと、システム的な特徴と言えば、メッセージウインドウの下に、今流れている
BGMのタイトルが表示されることでしょうか。これはなかなか面白いですね。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「今井秀樹(いまいひでき)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは幼なじみの春菜が、田舎から引っ越してきて、主人公と同じ学院に
転校してくるところから始まります。
春菜の妹の小夏も一緒に引っ越してきて、伊織の態度が徐々に変わって来て、
翠やののか先輩とも知り合い、人間関係が動きはじめる……という、王道の
純愛ストーリーです。

前半は明るくコミカルな展開。個性豊かなキャラクター達が、縦横無尽に暴れ
まわる感じで、ドタバタな日常が描かれます。
ギャグやパロディも多く、結構スレスレなネタも入っていて、いろんな意味で
笑えます。まあ、そのスレスレっぷりの描写がちょっとくどいかもですが。

後半は、主人公が自分の気持ちに気付き、今の心地良い関係を壊していき、
またヒロインの抱えた問題とも向かい合っていくという、ちょっとシリアスで
切ない展開になります。まあ、純愛物の王道という感じですが。

ラストは突然トンデモストーリーになったり、電波な話になったりしつつも、
なんとか綺麗に終わるような感じ。
いきなり雰囲気が変わるので、ちょっと面食らいましたけど。

特筆すべきはサイドエピソード。各話の終わり(幕間?)にサイドエビとソード
として、各ヒロインの視点でその日にあったことが描かれます。
ヒロインの心情がわかると同時に、ヒロインの抱えている問題が少しずつ
明かされていくため、先が気になる上手い構成になっていると思います。

そして、演出もなかなか凝っていて、特に立ち絵がとても活き活きとしていて、
通常のイベントでも充分に楽しめます。
てゆーか、アホ毛とか、リボンがぴょこぴょこ動くのが、当たり前のように
イベント中に組み込まれているのですが……(^^;

また、個別ルートに入っても、他のキャラクターもしっかりストーリーに
絡んできて、特に幼なじみ2人はとてもいい味を出していると思います。
主人公もあまり嫌味のない性格で、あまりヘタレたりもしないため、感情
移入もしやすいと思います。ちょっとテンション高くておバカですが(^^;

逆に気になったのは、ヒロイン達の抱えた問題の描写。
サイドエピソードでやたら意味深に描かれていた伏線が、いざ知ってみると
「なーんだ」というようなたいしたことのない問題だったり、シナリオ中では
ほとんど描かれることなくさらっと流されたり、せっかくの設定があまり有効に
利用されていないように思いました。

また、最後に無理矢理キツいイベントを持ってきたり、その展開が説明不足で
ご都合主義に感じたりと、どうにもラストの展開が感情移入し辛かったです。

H度は並。各ヒロインとも複数回用意されており、尺の方はそこそこ。描写は
ややあっさりめ。どちらかというと会話が多めで、萌え系のHシーンという
感じでしょうか。
シーンのバリエーションは比較的豊富で、場所やシチュエーションも様々で、
結構いろんなシーンを楽しむことが出来ます。
ただ、主人公が結構早いので(^^;、あーんまり長くは楽しめません。

テキストはやや誤字・脱字が目立ちます。まあ、微妙な間違いが多いので、
そんなに気にはならないかもですけど。
ただ、「第一部『春』―――完―――」が2回あるのはどうかと思うのですが(^^;
# 「夏だからなのか、(シャワーが)すぐいい温度になる」……まだ4月ですが(^^;
プレイ時間・難易度
ゲームは4月17日(月)から始まります。
ゲーム期間は約3ヶ月。まあ、最後は飛んだりしますけど。
イベントのあるところだけをつまんでプレイするタイプなので、日付の経過は
特に意識する必要はないかと思います。

ワンプレイは9〜10時間。やや長めですが、半分以上が共通パートとなっており、
2周目以降はスキップを使えば大幅に短縮が可能です。

難易度は低め。選択肢の数は少なく、効果も解りやすいため、悩むことはない
かと思います。……間違っても「光一」なんて選びませんよね?(笑)
総評
お奨め度ですが、ちょっと切ない純愛ストーリーが好きな人にお奨め。
2人の幼なじみに囲まれ楽しい毎日を過ごしつつ、いずれその関係を壊して
誰かと結ばれるという、ちょっと切ない展開が楽しめます。
誰かを傷つけながらもみんなに支えられ、問題を乗り越えていくという、
真っ直ぐな青春純愛ストーリーですね。
どのシナリオでもヒロイン全員が上手くストーリーに絡んできて、広がりが
あり、自然な展開でいいですね。

そして、各ヒロインの抱えている問題を、サイドエピソードで小出しにし、
先が気になるような構成になっているのはなかなか上手いと思いました。
ただ、そのせっかくの設定も、実はたいしたことがなかったり、あんまり
掘り下げられることなくあっさり終わったり、突然別のキツいイベントが
発生してうやむやになってしまったりと、あまり有効に使われていないのは
非常に勿体ないと思います。

あと、パッケージにツンデレの黄金比がどうとか書いてありますけど、それは
伊織だけの話なので、ツンデレに期待している人はちょっと肩すかしかも。
どちらかというと、「腹黒」の方が目立っているかもです。

キャラクターは可愛らしくて魅力的ですし、サイドエピソードの使い方は
とても上手く、先が気になる面白い構成になっていると思います。
ちょっとラストが唐突でご都合主義で弱く、せっかくの設定が今ひとつ
活かされていないのが残念ですね。というか、最後の最後にそんなキツい
イベント持ってこなくてもな……。

純愛物が好きで、雰囲気やキャラクターが気に入ったお奨めできますが、
最後に唐突イベントが来ることは覚悟しておいてください。
ちょっとぽかーんと出来るかも(^^;
あと、プレイするときは必ず修正ファイルを入れておきましょう。
誤字や展開の食い違いがかなり修正されるようです。

最後に。「マスク狩り!」「マスク狩りは一人じゃ出来ないんじゃないかな」
……お前ら姉妹揃って年いくつだ(^^;


柊花姉さん、あんたいったい何者だ(^^;



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