ぶらばん! 〜The bonds of melody〜
ブランド名 ゆずソフト ジャンル AVG
発売日 2006.07.28 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(232x164x38mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 2.65GB(DVD-ROM)
原画 こぶいち、むりりん シナリオ 天宮リツ
音楽 30曲、Famishin あり(2曲、OP・ED)、
榊原ゆい、中山★マミ
音声 あり、榊原ゆい、安玖深音、松永雪希、みる、斉藤愛子、
中本伸輔、三咲里奈、野神奈々、四季透、矢沢泉、一条和矢
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 90箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 91枚
おまけ CGモード、回想モード、音楽モード
対象属性 学園物、萌え、純愛、青春、幼馴染み、ストレートロング、オーバーニーソックス、黒髪、
眼鏡っ娘、アホ毛、委員長、女教師、緑髪、ボブカット、金髪、ツインテール、お嬢様、
ツンデレ、ストッキング、赤髪、触角、しましま、紫髪、ショートカット、ボクっ娘、先輩
1プレイ時間 7〜8時間 お奨め度 6

レビュー
概要
主人公の通っていた赤城山学園は、人口の減少に伴い廃校になり、この春
から円山学園に通うことになった。ブラスバンド部に所属していた主人公は、
新しい学園でもブラスバンド部に入ろうとするが、円山学園ブラスバンド部の
顧問が受け入れを拒否。結果、赤城山ブラスバンド部と円山ブラスバンド部の
2つの部が存在することになってしまう。学園としては同じ部を2つ存在させる
わけにはいかず、どちらか1つを廃部にするため、1ヶ月後に開かれる学園内
コンクールで負けた方を廃部にするという。コンクールに向けて練習を開始
する赤城山ブラスバンド部だが、新しい部長に主人公が任命される。果たして
赤城山ブラスバンド部は、円山ブラスバンドに勝ち、廃部を免れることが
出来るのか……という、学園ブラスバンドアドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

中ノ島妙(なかのしまたえ)。(CV:榊原ゆい)
主人公の隣の家に住んでいる幼なじみ。優しくほのぼのとした雰囲気の
女の子で、面倒見がいい。ブラバンド部ではトロンボーンを担当する。

今宮紀子(いまみやのりこ)。(CV:松永雪希)
主人公のクラスメイトで、ブラスバンド部ではクラリネット担当。
真面目で堅物の委員長気質で、新しい学園でも委員長に選ばれ、主人公に
「委員長」と呼ばれる。委員長の中の委員長、キング・オブ・委員長(笑)
結構負けず嫌い。

新開地和音(しんかいちかずね)。(CV:野神奈々)
学園の教師でブラスバンド部の顧問。アバウトで面倒くさがりでやる気
なさげだが、面倒見は良く優しい先生。酒好き。

雲雀丘由貴(ひばりがおかゆき)。(CV:斉藤愛子)
円山学園ブラスバンド部部長。やや高飛車で素直じゃないお嬢様だが、
根は素直で面倒見のいい優しい女の子。

海老原みなせ(えびはらみなせ)。(CV:安玖深音)
円山ブラスバンド部に入部拒否され、赤城山ブラスバンド部に入部して
きた新入生。トランペット担当。明るく元気いっぱいでハイテンションな
女の子。お祭り好きでトラブルメーカー。

御影須美(みかげすみ)。(CV:みる)
円山学園ブラスバンド部でパーカッションを担当する新入生。しかし、
部内の人間関係がうまくいっていない。物静かで控えめな女の子。
しかし、リズム感は天性の才能がある。

朝霧春奈(あさぎりはるな)。(CV:三咲里奈)
ブラスバンド部前部長。優しく頼りがいのあるお姉さん。しかし、助言は
するが手助けはしない、やや厳しい一面も。でも、基本的には面倒見の
いい先輩。

絵の方はとても可愛らしく、ほんわかした柔らかい雰囲気の絵柄。
表情も活き活きとしていてとても魅力的です。
CGは綺麗に丁寧に処理されており、原画の雰囲気も活かされていていい
ですね。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。アクションは大きくわかりやすく、
コミカルな表情なんかもあって、見ていて楽しいです。
演出もなかなか凝っていていいですね。

キャラクターは様々な方向性をもったバラエティ豊かな配置になっていて、
様々な属性がカバーされている気がします。そーんなに飛び抜けたキャラは
いないんですが、みんな個性がはっきりしていて会話も楽しくていいですね。

音声はキャラクターとのマッチングも良く、演技の方も文句なし。
特にみなせは、もうこの人しかいないというぐらいのマッチっぷりです。
特定の方面に於いて(笑)

音楽は管楽器をメインにした曲が多く、作品の雰囲気とばっちり合っていて
いいですね。
さらに、ブラスバンドの練習をしているときなど、ちゃんと効果音でその音が
出ているのは素晴らしいです。
風呂場での音声はちゃんとエコーがかかっていたり、細かいところにも気を
遣ってあって好感が持てます。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
タイトルメニューでしばらく放置していても流れますが。
歌は軽快なテンポの可愛らしい歌。とても聴き心地が良く、ほのぼのとした空気も
いいですね。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なものですが、随所にアニメーションが
入っていて、結構動きもあっていいですね。ちょっと絵柄が本編の絵柄と離れて
いる感はありますけど、まあ仕方ないでしょうか。

エンディングも歌あり。ゆったりした落ち着いた曲で、余韻の楽しめるいい歌だと
思います。

挿入歌もあり。歌はオープニングと同じものですが、なかなか使いどころも良く、
盛り上げてくれます。

なお、コンクールシーンはアニメーションで描写されます。なかなか雰囲気が出て
いていいですね。ちょっと使い回しというか、繰り返し映像が気になりましたが。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢決定はキー
ボードで可能ですが、メニューの呼び出し等はキーボードで出来ないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。スキップ動作も高速です。次の選択肢に進んだり、前の
選択肢に戻る機能も搭載されています。

セーブ箇所は90箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とゲーム内画像が保存されます。
数としては、選択肢は明確で、あまりセーブ/ロードの必要はないため、これ
だけあれば充分でしょう。

システムはマップ移動場所選択+選択肢決定型のアドベンチャー。
マップは誰に会いに行くかを決めるもので、空振りはありません。
また、「指導モード」というモードが用意されています。これは、流れてくる
音楽を聴いて、悪いところを指摘する、というものです。シナリオの進行には
影響ないようですが、おまけモードに影響が出るようです。
ちょっと音楽をかじったことのある人ならなんとかなると思いますけど、全く
音楽のわからない人にはちょっと辛いかも? まあ、理想の音と実際の音を
聞き比べることが出来ますから、頑張れば大丈夫でしょうか。ストーリーには
影響ないとのことですし、2周目以降は無効に出来ますから。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は可変。呼びかけ部分は無音になりますが、名前で呼ばれる
ことはそんなにありません。なお、初期設定の「香住純(かずみじゅん)」の場合、
きっちり呼びかけしてくれます。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公達が円山ブラスバンド部への入部を拒否され。赤城山ブラス
バンド部として集まるところから始まります。
コンクールで円山ブラスバンド部と対決することになり、様々な妨害や困難を
乗り越えていくという、青春学園ストーリーです。

前半は明るく楽しくドタバタな雰囲気で進みます。円山ブラスバンド部顧問の
妨害を受けつつ、コンクールに向けて練習を続け、一致団結していくところが
描かれます。ギャグやパロディも満載で、なかなか面白いです。
# 「もう一度問う。貴様らの目的は?」「ハゲを倒すことです!」……そーなの?(笑)
特に、スクライドネタはやりすぎです(笑)
# 「意地があんだよ、男の子にはぁ!!」「ときめいて、疾ねっ!」(笑)

後半は、ヒロインの抱えた問題を中心とした、ややシリアスな展開。
ちょっと重苦しく、鬱々とした雰囲気で進むことが多くて、プレイしていて
やや気が重くなったりもしました。キャラによっては結構鬱展開に入りますし。

ただ、ラストはすっきり爽やかに終わってくれるため、プレイ後の気持ちは
爽快です。
まあ、お約束というか予定調和というか、ご都合主義な終わり方ですけど。
結局そこに落ち着くのかよ! みたいな。

プレイしていて気になったのは描写のちぐはぐさ。朝、遅れそうとか言って
急いでいた割には、学園に着いてからやたらゆっくりしていたり、もう時間が
ないとか言いながら平然と休んだり、前提と過程と結果がどうにも一貫して
いないように感じました。

あと、主人公の人間像も、ちょっと気になりました。
主人公は案外真面目で責任感もあってその点はいいのですが、めちゃめちゃ
鈍感すぎてウザかったり、優柔不断でなうえに最後まで態度をはっきりさせ
ないこともあったり、それまで全然好きというそぶりを見せていなかったのに
流されたように好きと言ったり、どうにも感情移入しづらかったです。
恋愛面以外では特に問題ないキャラなんですけどねぇ……。

H度は並。各ヒロインとも複数回(3回)用意されています。尺の方はやや
短めで、描写はキャラによってややばらつきがありますが、まあそこそこ。
内容的には基本的に純愛らぶらぶ系のものですが、平然と外や学園内で
やってみたりと、なかなかチャレンジャーです。

テキストはそれほど誤字は目立たないんですが、Hシーンで気になるのは
ちょっと興ざめかも。あと、日本語的に微妙なものもありました。
重苦しい扉って何(^^;
# 「手のひらに軽くキスをする」……いや、手の甲だと思うな……(^^;
プレイ時間・難易度
ゲームは4月10日(月)から始まります。
ゲーム期間は約3週間。1日ずつプレイしていくタイプです。

ワンプレイは7〜8時間。やや長く感じましたが、共通部が結構多いため、
2周目以降はスキップを使えばかなり短縮できるかと。

難易度は低め。基本的に狙ったキャラと逢い続けていればOKです。
選択肢はわかりやすいものばかりなので悩むことはないでしょう。
指導モードはちょっと難しいかも知れませんが、攻略には影響しないよう
ですし、特に問題ないでしょう。
総評
お奨め度ですが、青春恋愛ストーリーが好きな人にお奨め。
コンクールで勝つためみんな一丸となって頑張っていくストーリーは見て
いて気持ちいいですし、恋愛面ではヒロインの抱えた問題を乗り越えて
結ばれるという、ベタで王道な展開ですが、まあ安心して見ていられると
思います。

キャラクターはみんな活き活きとしており、会話はとても楽しく、萌えの
要素もいっぱい詰め込まれていて、演出も凝っていていいですね。
キャラ重視の作品としては、ほぼ文句なしではないでしょうか。

ただ、主人公がどうにも恋愛面で弱く、また妨害やいじめ、ヒロインの
抱えた問題など、ちょっと負の要素があって、どうにもプレイしていて
気持ちよくなかったです。まあ、クリアしたときはすっきりとして気持ち
いいのですが……。

まあ、ちょっと重苦しい展開があることを除けば、システムも使いやすく
キャラクターも魅力的でお話もそこそこ面白くて、充分楽しめる作品だと
思います。やや鬱な展開に嫌悪感を抱かない人はどうぞ。

……と、ここまでが一般的(?)に見た感想。
以下に、吹奏楽経験者としての視点から見た感想を書きます。

まず、円山ブラスバンド部はコンクールの県大会で銀賞……って、びみょー(^^;
まあ、地区大会で金賞取らないと県大会には出られないでしょうから、それ
なりに実力はあるということでしょうけど、なんか中途半端(^^;
どうせなら全国大会銀賞とかにしたらいいのに……って、それは勝てないか。

それに、ブラスバンド部を題材にした作品で、コンクールで対戦しようという
のに、双方ブラスバンド部の規模や編成が判らないので実感が掴めません。

さらに、円山ブラスバンド部はコンクール県大会銀賞とのことですが、赤城山
ブラスバンド部の実力は全然わからないんですよね。
でも、知ってる曲だからとはいえ、初見で合奏が出来るって、みんな結構実力
あるような気がします……。
なので、対戦の緊迫感とか、危機感が全然伝わってこないんですよね。
てか、主人公、合奏やった後にアドバイスも何もなしにそのまま解散!?(^^;
# ちゃんとアドバイスしているときもありますけど。

そして、楽器ってかなりデリケートで、ちょっとぶつけたり濡らしたりするだけで、
簡単にへこんだりチューニングや音色まで変わったりするんですよね。
それなのに……Hシーンに持ち込むなっ。楽器を大切にね! 高いし!(^^;

私が吹奏楽経験者だからかも知れませんが、突っ込みどころ満載すぎて
ちょっとアレ。まあ、普通は気にならないと思いますけど(^^;

最後に。春奈先輩や由貴先生が攻略できてもバチは当たらないと思うんだ……。
# むしろ、塚本麻衣エンドで! ←さすがにそれは無理(^^;


以下、ネタバレなつぶやき。

てか、コンクール直前で2日とか部活休んでも普通に勝てちゃうと言うのは
なかなかのご都合主義ですね(^^;
元々、あんまり練習しなくても簡単に勝てたんじゃ? というか、赤城山
ブラスバンド部の実力は全国大会クラス?(笑)

それに、あのオチはそこ以外落としどころないだろうというか、結局全ては
大河原のせいですからね(^^;
大河原さえいなければ、全て丸く収まったのに。てゆーか、それじゃゲームに
ならない(笑)

「センパイに足りない物、それは情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!
そして何よりも――速さが足りないっ!」……なるほど。みなせはストレイト
クーガーだったのですね(笑)
# コアすぎです、そのネタ(^^;



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