遥かに仰ぎ、麗しの
ブランド名 PULLTOP ジャンル AVG
発売日 2006.11.24 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(188x264x43mm) マニュアル B5ブックタイプ
DISC容量 GAME DISC : 3.68GB(DVD-ROM)
オリジナルサウンドトラック DISC01-BGM : CD-DA=522.2MB、CD-DA23トラック
オリジナルサウンドトラック DISC02-VOCALS : CD-DA=208.5MB、CD-DA6トラック
原画 藤原々々仁之丞 シナリオ 丸谷秀人、健速
音楽 27曲、ファクトリーノイズ&AG、
ツーファイブ、石井裕樹
あり(3曲、OP・ED・校歌)、ゆうか
音声 あり、北都南、遠山枝里子、佐本二厘、井村屋ほのか、安玖深音、風華、天川みるく、
青山ゆかり、木村あやか、如月葵、上州トム、韮井叶、本多啓吾、事務台車、胸肩腎、
春山壱樹、一色ヒカル木葉楓、楠鈴音、茶谷やすらまきいずみ、このかなみ、
町田あみ、松岡ルイ、七原ことみ
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 99箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 83枚
おまけ Music、Scene、CG
対象属性 学園物、純愛、感動、お嬢様、ギャグ、コメディ、金髪、ボブカット、メイド、ツインテール、
赤髪、ポニーテール、リボン、オーバーニーソックス、帽子、ストレートロング、眼鏡っ娘、
ピンク髪、お下げ、ツンデレ、黒髪
1プレイ時間 9〜12時間 お奨め度 8

レビュー
概要
大学を卒業して教員免許を取った主人公は、超お嬢様学校「鳳華女学院」から
誘いを受け、教師として働くためにやってきた。しかし案内に従って着いた所は
周囲に民家の一軒も見あたらない半島の果てだった。そしてようやく辿り着いた
学園は、広大な敷地を持つ、塀に囲まれた学校だった。どうやらこの学院は分校
だという。しかしそんなことは構わず、教師として頑張ることを決意する主人公。
しかし、この学院に通う女の子達は、様々な問題を抱えていたのだった。果たして
主人公は、女の子達の抱えた問題を受け止めることが出来るのか……という、
お嬢様学園純愛アドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

リーリア・イリーニチナ・メジューエワ。(CV:天川みるく)
理事長に仕えるメイドで、学院生たちの面倒も見ているメイド長。
普段は冷静で有能なメイドだが、案外お茶目で可愛らしい一面も。
理事長のことをとても大切に思っており、常に気にかけている。
通称リーダ。……どうしてリーダ?(^^;

風祭みやび(かざまつりみやび)。(CV:北都南)
学院の理事長代理であり、学院生でもある女の子。有数の名家出身で、常に
結果を出すため必死になっている。負けず嫌いで頑固で意地っ張りな女の子。
根は優しく頑張り屋のいい娘だが、必死になりすぎるあまり、余裕がなく、
結果的に周りの人達との間に溝を作ってしまう。

仁礼栖香(にれすみか)。(CV:井村屋ほのか)
分校寮で暮らす女の子。容姿端麗・頭脳明晰・スポーツ万能の完璧超人。
感情表現にはやや乏しく、クール。真面目で几帳面で堅物なため、委員長と
呼ばれているが、みんなから頼りにされている。

榛葉邑那(はしばゆうな)。(CV:風華)
分校寮で暮らす女の子。落ち着いた柔らかい物腰のおっとりのほほんとした
雰囲気の女の子。マイペース。野球の結果を予測するのが得意。役に立たねぇ。

相沢美綺(あいざわみさき)。(CV:安玖深音)
分校寮で暮らす女の子。明るく元気いっぱいのムードメーカー的存在。
いつもカメラを持っており、校内新聞を作っている。好奇心旺盛で何にでも
首を突っ込みたがるが、思いやりのある優しいいい娘。情報通。

上原奏(うえはらかなで)。(CV:木村あやか)
分校寮で暮らす女の子。美綺と漫才コンビを結成している(笑)
ぽわぽわしたちょっと天然ボケの女の子。ちょっと何かあるとすぐにいっぱい
いっぱいになってパニクる。
主人公の先輩教師である暁に密かに好意を寄せている。いや、あからさまに。

三嶋鏡花(みしまきょうか)。(CV:青山ゆかり)
本校側の寮の代表。成績優秀で優しく気の利くいい娘。家柄はとても良く、
礼儀正しい。しかし、理事長とは馬が合わず、ちょっとしたことですぐに喧嘩を
ふっかける。

鷹月殿子(たかつきとのこ)。(CV:遠山枝里子)
本校寮で暮らす女の子。頭が良く成績優秀だが、放浪癖があり授業は休みがち。
どこか遠い目をしていてつかみ所がない不思議少女。
マイペースで、誰とでも物怖じせず接する。

八乙女梓乃(やおとめしの)。(CV:佐本二厘)
本校寮で暮らす女の子。対人恐怖症で、殿子以外とはほとんど喋らない。
動物が好きで、犬の面倒を見ている。

結城ちとせ(ゆうきちとせ)。
本校寮で暮らす女の子。明るくさっぱりあっけらかんとした女の子。
主人公に対しても友達のように接する。
お気に入りのぬいぐるみを1ヶ月手放すぐらいなら、4千万円ぐらい払うと
言い放つブルジョワ(笑)

他にもキャラクターはいっぱいいますが、分校ルートのサブキャラは多すぎ
るので割愛(^^;

絵の方は柔らかいタッチのほのぼのとした雰囲気の漂う可愛らしい絵柄。
表情豊かで動きもある、とても魅力的な絵だと思います。
CGは丁寧に処理されており、明るく発色のいい色遣いで見栄えもいいですね。
立ち絵はポーズ変化・表情変化共にあり。表情豊かでアクションも大きく、
見ていてとても楽しいです。

キャラクターは個性豊か……というか、一癖も二癖もあるキャラ揃い。
基本的にみんなお嬢様なんですが、そんなことは気にならないぐらい、会話は
破天荒でおもしろおかしく楽しいです。特に美綺やみやびが絡むと、もれなく
騒がしくなります(^^;
やっべ、みやびちゃんぷりちー☆
美綺も邑那も殿子も奏も鏡花もみーんな可愛らしくて魅力的ですが。

音声はキャラクターとのマッチングも良く、演技の方も文句なし。
みんなとても活き活きと演じられていて、明るいシーンから重いシーンまで
きっちり表現されています。

音楽はクラシック調の落ち着いた曲が多め。お嬢様学校の格調高い雰囲気が
よく出ていると思います。もちろん、コミカルな曲や静かな曲なんかもしっかり
用意されています。

ゲームを開始すると、長めのプロローグの後にオープニングアニメーションが
流れます。
歌は落ち着いた雰囲気の歌で、ややノスタルジックな独特の雰囲気を持って
います。ただ、終わり方が尻切れトンボな気もしますが。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。特筆すべき点はないですが、
とても綺麗で見栄えはいいですね。
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。スキップ動作はやや遅め。描画で引っかかる感があります。
まあ、あーんまりスキップを使うことはないかもですけど……。

セーブ箇所は99箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像と章タイトルが保存されます。
数としては、本校ルートは選択肢が片手で数えられる程度しかなく、分校
ルートもそれほど多くないので、これだけあれば充分でしょう。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
まず最初の選択肢で、本校ルートと分校ルートに大きく分岐し、本校ルートに
至ってはその直後の選択肢で個別ルートが決まるという、全く無駄のない作り
です。潔すぎ。分校ルートは分岐はもうちょっと先ですが。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作は不可です。
……「Run at Background」という設定はいったい……?(^^;
主人公の名前は「滝沢司(たきざわつかさ)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が鳳華女学院分校にやってくるところから始まります。
世間から孤立した立地条件や、規格外の広さ、豪華さ、学院生の少なさに
面食らいつつも、なんとか教師として頑張っていく中で、女の子達の抱えた
問題と向き合っていく……という、真っ直ぐな学園純愛ストーリー。

まず最初の選択肢で、本校ルートと分校ルートに大きく分かれます。
その後すぐに個別ルートに入るため、本編から始めた場合、共通部がほとんど
ないというのは凄いですね。

で、各シナリオとも、前半は明るく楽しいコミカルな展開。様々なイベントを
通じて、お互いのことを知っていき、距離を近づけていくという感じです。

中盤は、ルートによって結構展開が違って、女の子の抱えた問題を解決して
いったり、一気に距離を近づけていったりします。

後半はややシリアスで、女の子の抱えた問題と向き合う展開。
シナリオによってはちょっとドロドロしたりはしますが、最後はすっきり綺麗に
終わってくれるので、プレイ後の気分は爽快です。

まずプレイしていて感じたのが、本校ルートと分校ルートで雰囲気違いすぎ(^^;
ストーリーの展開もですが、そもそも主人公の性格からして違っているように
思えます。
本校ルートではすっごく真面目でいい先生で、女の子にからかわれても軽く
かわすようなキャラ、かつ鈍感というある意味純愛系の王道なキャラですが、
分校ルートではめちゃめちゃイケイケで、からかわれたり誘われたらそのまま
流れに任せて行くところまで行きます(^^;
まるで18禁ゲームの主人公みたいです。←その通りです
ヒロインはみんなどこぞのお嬢様で、ヘタすると国を左右するぐらいの力を
持ってたりするんですが、そんな女の子にほいほい手を出すってすげぇ(^^;
# 本校ルートの主人公は感情移入しやすかったんですけど、これはちょっと……。

あと、各シナリオによって情報の重みが違うのが気になりました。
あるシナリオではストーリーの根幹に関わる重大な情報が、別のシナリオでは
ぽろっと出てきたり、あるシナリオで必死に解決しようと思っていたことが、別の
シナリオでは当たり前のように解決していたり。
特に、根幹に関わるような情報がぽろっと出てくるのは、プレイする順番に
よってはがっかりするので、いっそクリア順制御をかけてしまっても良かった
んじゃないかなー、と思うんですけど。
他にも、いつの間にか梓乃と普通に話せるようになっていたり。まあ、描写
されていないところでうち解けるイベントがあったと考えるのが自然なんで
しょうけど、突然普通に接してるのでやっぱり面食らいます。

そして、シナリオのボリュームに比して、絵が少なめに感じました。
数だけを見ればそーんなに少なくはないですし、表情の差分なんかもいっぱい
あるんですけど、イベントの数が尋常じゃなく多いですからねー。
このイベントは絵が欲しいだろうと思うところでも絵がなかったり、ちょっと
寂しく感じました。
また、サブキャラに至っては、立ち絵すらないことも。ちとせなんかかなり
お気に入りのキャラなんですが、立ち絵すら出てきやしねぇ(^^;
# 本校ルート主人公受け持ちキャラで唯一というのが泣ける(^^;

また、サブキャラにいたるまで非常に魅力的なんですが、上記の通り絵が
なかったり、イベントが少なかったり、あまつさえ他のキャラとくっついたり、
サブキャラが気に入った人にはちょっと辛い展開になっています。
攻略対象でもおかしくないぐらい目立っているサブキャラもいますしねー。
分校ルートは、サブキャラがとても活き活きしていますし。

ただ、こういった欠点を補って余りある、心温まる感動的なストーリーは
とても面白く、キャラクターも活き活きと描かれているため感情移入もし易く、
力のある感動的なシナリオになっています。もうね、シナリオによっては
章ごとにだくだく泣きっぱなしですよ。
ところどころ視点が切り替わって、女の子の気持ちなんかも分かりやすく
なっているのがいいですね。

H度は並。回数はキャラによって全く異なり、1回から5回まで幅広く用意
されています。まあ、本校ルートは少なめなわけですが。尺の方はそこ
そこ長め、描写もそれなりに濃いめです。
内容的には純愛系のラブラブHがほとんど。バリエーションも少なめで、
取り立てて言うこともないですが、気持ちが良く伝わってくるいいHシーン
だとは思います。内容も純愛物としては頑張ってると思いますし。

テキストはちらほら誤字が目に付きます。特に分校ルートではいいところに
誤字が入るなど、ちょっと気になりました。
また、絵の背景と場面説明が食い違っていて、気になることもありました。
ただ、テンポは良く、力のあるシナリオで、読みやすいとは思います。
プレイ時間・難易度
ゲームは章立てて進んでいきます。
ゲーム期間はキャラによってまちまち。だいたい1年ぐらい? いつ終わったのかも
定かでないシナリオもありますしね(^^;
日付の経過は意識することなく、平然と何日か飛んでいたりします。むしろ、何か
イベントのあるときだけをつまんでプレイするような感じです。
たまに、同じ日なのに、数日経過しているかのようにイベントが発生することが
あったりするのはご愛敬。

ワンプレイは9〜12時間。本編から始めた場合は7〜10時間程度でしょうか。
本校ルートは開始早々に攻略キャラが決まって個別ルートに入るため、ほとんど
スキップは効かず、この時間*攻略キャラ数分だけの時間がかかります(^^;
分校ルートはもう少し後ろで分岐するため、スキップを使えばかなり短縮する
ことは出来ますけど。
ただ、テンポ良くサクサク進むので、そーんなに長くは感じないのが凄いところ
ですね。

難易度は低め。最初の選択肢でルートが決まり、その後も特に難しい選択肢は
ないと思いますので、悩むことはないでしょう。
総評
お奨め度ですが、心温まる感動的な純愛ストーリーが好きな人にお奨め。
……分校ルートは純愛か? と言われるとちょっと疑問ですが、気にしない(^^;

様々な問題を抱えた女の子達と接していき、その問題を解決したり、共に立ち
向かっていったりしながら絆を深めていくという、王道ではありますが、とても
面白く力のあるシナリオで、キャラクターも活き活きとしていて魅力的で、凝った
演出もあいまって、感情移入しやすく良くできた作品だと思います。

ただ、本校ルートと分校ルートで主人公の性格が全然違ったり、そもそも
序盤から個別ルートになるため、オムニバス形式の作品をプレイしている
ような印象で、やや作品全体としてのまとまりに欠ける感はあったり、
シナリオ間で情報に格差があったり、ボリュームに比して絵が少なかったり
気になるところも多いんですが、それを補って余りあるストーリーはとても
良くできていて、どのキャラクターも魅力的で愛おしく、最後まで飽きること
なく楽しめて良かったです。

お奨め度は9を付けようかどうしようか悩んだんですが、そういったところを
考慮して8とさせて戴きました。内容的にはお奨め度9クラスだと思います。
雰囲気が気に入った人は是非どうぞ。心温まる優しい物語を是非。

最後に。暁、いつか倒す(爆)
# 心が荒んだ瞬間(笑)


以下、各シナリオ個別にちらちらと触れています。
そーんなにたいしたネタバレはないですが、気になる人はスルー推奨。

しかし、本校ルートの破壊力は凄いですね。
みやびシナリオなんてずっと頬ゆるみっぱなし、かつ泣きっぱなしでしたよ。
1本のシナリオで、10回ぐらい泣いた気がします(^^;
ほとんど1章1回のペースで泣いてたような気がする……。
あー、もー、みやび可愛いなーっ、なんだかもぉちくしょーーっ!!(笑)

梓乃シナリオも、人と人との関係がよく描かれていて、ホントに心温かくなれ ましたし。
まあ、殿子シナリオは最後がちょっと尻切れトンボで残念でしたけど。

逆に、分校ルートはちょっと気になるところが多かったかも。

邑那シナリオは、ちょっとプレイしていてキツかったです。
ものすごい情報量が多くて、盛り沢山で色々と楽しめたんですが……。
邑那が大好きな人には、かなり厳しいかもですね。いくら最後の一線は守って
いるとはいえ……。
# 私は「みやびちゃんぷりちー」だの「みさきちLOVEー」だの言っていたので
# なんとか大丈夫でした。そのかわり、奏で衝撃を受けましたが(^^;

あと、栖香は美綺をクリアする前にプレイしないと、かなりしょんぼりする
ことになるような気がします……。ちょっとこれはねぇ。
いや、まあ、なんとなーくそうかなーと思えないこともないのですが……。
# そして、栖香エンドも結構な勢いで投げっぱなしでしたね(^^;
# あのままで幸せになれるのかな……。

しかし、リーダや鏡花、奏あたりはエンディング欲しかったですねー。
あと、ちとせも(笑)
# リーダってまだ10代だったんだ!?(^^;



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