君と恋して結ばれて
ブランド名 Rusk ジャンル 学園青春恋愛ADV
発売日 2006.06.23 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(230x165x45mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 988MB(DVD-ROM)
原画 浅葉ゆう シナリオ 柊★たくみ、P助
音楽 25曲、よっぴ、Motoharu Yoshihira あり(2曲、OP・ED)、Rita
音声 主人公以外フルボイス、青山ゆかり、松本あゆな、風華、山口勝平、空野太陽、間寺司
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 90箇所 CG枚数 88枚
おまけ おまけH、シーン回想、CG鑑賞、音楽鑑賞
対象属性 学園物、純愛、青春、ボブカット、リボン、お兄ちゃん、体操着、ブルマ、しましま、浴衣、
幼馴染み、黒髪、ポニーテール、幼なじみ、金髪、ストレートロング、アホ毛、帽子、巨乳、
ウェイトレス、エプロンドレス
1プレイ時間 5〜6時間 お奨め度 6

レビュー
概要
春、学園に新入生がやってくる季節。桜の舞い散る中で出会う男女。再会、
そしてはじまり。やがて惹かれ合い、結ばれていく。果たして彼らは、どんな
恋模様を描いていくのか……という、学園青春恋愛ADV。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

花守ひなた(はなもりひなた)。(CV:松本あゆな)
章一の妹。活発で元気な女の子。短気で怒りっぽくて直情。胸が小さいことを
気にしている。ちょっぴり我が儘で独占欲強め。下着集めが趣味。

柳渚緒(やなぎなお)。(CV:青山ゆかり)
陽輔と同じアパートに住んでいる幼馴染み。クールで控えめ、いつも仏頂面。
陽輔に対しては言いたいことをずばずば言うが、基本的には控えめ。
だらしない人は嫌い。ひよこグッズ集めが趣味。

桐島空(きりしまそら)。(CV:風華)
章一やひなたの幼なじみで、航太と同じマンションに住む。清楚でお嬢様っぽい
外見だが、結構お茶目で積極的な女の子。帽子集めが趣味。

絵の方は、とても活き活きとした可愛らしい絵柄。表情が非常に豊かで、細かい
表情変化もしっかり表現されているのがいいですね。
CGは明るめの発色で丁寧に処理されており、よく映えます。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。会話に合わせてぱたぱたと切り
替わり、アクションも大きく、バリエーションも豊かで、立ち絵を見ているだけ
でも楽しいです。

キャラクターは明るく元気なひなた、クールで控えめな渚緒、いたずらっぽく
マイペースな空と、三者三様の配置。というか、女性キャラがこれだけしか
いないというのも凄いですね(^^;
# 母親とかもいるにはいますけど。
男性キャラも、アツくてちゃらんぽらんな陽輔、知的でスカした章一、ウブで
少年っぽい航太という配置になっています。

音声は、キャラによってはやや浮いているように感じられました。特に男性
キャラは、声優さんの声のイメージの方が強すぎて、どうしても引っ張られて
しまっているような印象がありました。
女性キャラは、空は違和感なく馴染んでましたが、渚緒はクールなところが
やや抑えきれていないように感じることがあったり、逆に聞き取りづらかったり、
ひなたにいたってはかなり微妙に感じました。

音楽はゆったりとした落ち着いた雰囲気の曲が多め。澄んだ綺麗な旋律の曲が
揃っていて、とても聴き心地がいいです。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌はやや落ち着いた雰囲気のしっとりした曲。とても綺麗な曲だとは思いますが、
ややインパクトには欠けますね。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。特筆すべき点はなし。

エンディングも歌あり。曲はアップテンポな曲ですが……なんかすごい微妙(^^;
まず、出だしの音程とかバランスかなりヤバいですし、ボーカルと曲のレベルや
タイミングなんかもかなり微妙。こう、聴いていてむずむずする感じでした(^^;
どうも、曲と歌が合っていないような印象を受けるんですよね……。
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
音声のリピート再生も可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600。
動作はやや重め。画面の切り替えでちょっと引っかかる感じですね。
スキップ動作は比較的高速です。

セーブ箇所は90箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とシナリオタイトル、何章かが
保存されます。
数としては、それほど選択肢は多くないですし、これだけあれば充分でしょう。
全選択肢でセーブしても足りるんじゃないでしょうか。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。
まず最初に3本のシナリオのうちどれをプレイするかを決定し、その時点で
主人公とヒロインが決定します。
あとは、その2人の恋愛模様を中心に描いたシナリオが展開されます。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「萩野陽輔(おぎのようすけ)」「花守章一(はなもりしょういち)」
「桜庭航太(さくらばこうた)」固定です。……ええ、シナリオによって、主人公
違うもので(^^;
シナリオ・プレイ感
ゲームは、春になり、新入生が学園に入ってくるところから始まります。
それぞれの主人公がヒロインと出会い、惹かれ合っていく、真っ直ぐな青春
純愛ストーリーです。

ストーリーは大きく3本用意されており、最初に選択することによって分岐
します。その後はずっと選択した主人公とヒロインを中心としたストーリーが
展開されます。
各ストーリーは主人公とヒロインが固定で、他のヒロインと結ばれたりする
ことはありません。
ただ、3つのストーリーは時間軸が同じで、たとえば陽輔のシナリオをプレイ
している時でも、章一と空はつきあい始めたり、航太と渚緒とダブルデートに
行ったりします。
別の視点から同じイベントを見ることが出来たり、なかなか面白い作りですね。

基本的に前半でつきあい始めて、徐々に絆を深め合って、やがて結ばれていく
ところを描く、とても自然でリアルな恋愛模様が展開されます。
いや、まあ、かなりのハイペースで結ばれる場合もありますし、狙ってるのかと
思えるぐらい未遂事件が続くシナリオもありますけど。
ただ、基本コンセプトが「結ばれること」なので、途中でHしていても、最後に
初めて身も心も繋がるという感じですね。そういう意味では、本当のHシーンは
最後の1回だけなのかも。

ラストはとても爽やかに、すっきり綺麗に終わります。
ラストの演出はなかなか面白いですね。ちょっとかったるく感じることもあり
ましたけど(^^;

特筆すべきは心情描写。各キャラクターがどういう風に考え、行動しているかが
丁寧に描かれており、とても感情移入しやすいです。
また、別のシナリオでは同じイベントを別の側面から見ることが出来たり、
エピローグで女の子がどんな風に考えていたのかが語られたりと、イベントを
より深く見ていくことが出来るような作りになっているのはなかなかいいですね。

また、シナリオごとに主人公とヒロインは決まるわけですが、それ以外のキャラも
同時進行で恋愛してますし、しっかりストーリーにも絡んでくるので、臨場感が
あって面白いです。
男の3人組と女の子の3人組がそれぞれ付き合うという感じで、キャラクター間の
関係も様々でうまく絡み合っていて、リアルな人間関係を楽しめるのもいいですね。
ドロドロすることはないので、安心してプレイできるのもありがたいです。

H度はやや高め。各ヒロインとも複数回用意されており、尺の方はそこそこ用意
されています。ただし、複数回用意されていても、本番は1回のみというキャラも
います。描写は爽やかに描かれてはいるのですが、結構濃いめかも。
2回戦、3回戦が用意されていたりもします。ちなみに全員初めてです。
基本的に純愛系ラブラブHばかり。シチュエーションもそれほど幅はなく、
すっごく普通な印象があります。
まあ、初めて結ばれて、いきなり複数回Hとかやってますけど(^^;
また、クリア後に見られるおまけHもありますので、数は充分かと。

テキストはちらほらと誤字は見受けられますが、それほど気にはならないかと。
ただ、「幼馴染」と「幼なじみ」が同一シーンで混在したりしてましたけど。
「桜庭先輩」を「こうたせんぱい」と読んでいるところもありましたね。
あと、「そういうわけですので」を「そういうことですので」と読んだり。
# 「皆の集、待たせたな!」……突っ込むところ?(^^;

シナリオによってはややテンション高めで、ちょっとついて行くのが大変な
こともありましたけど、基本的には自然で読みやすいテキストだと思います。
プレイ時間・難易度
ゲームは4/7(水)から始まります。陽輔シナリオは4/8からかな。
まあ、最初のシーンだけ4月でいきなり日付が飛ぶシナリオもある……というか
陽輔シナリオ以外はそうなんですが(^^;
ゲームは章立てて進みます。ゲーム期間は約半年? 最後は1年経ってたりします。
イベントのあるところだけをつまんでプレイするようになっています。

ワンプレイは5〜6時間。シナリオは全部で3本で、それぞれは完全に独立して
いてスキップは全く効きませんから、総プレイ時間は純粋に×3+αといった
ところでしょうか。

難易度は低め。選択肢はあるものの、どちらを選んでも同じ結果になったり、
あくまでフレーバー的な印象が強いです。シナリオは基本的に一本道で、特に
悩むこともないでしょう。
総評
お奨め度ですが、甘酸っぱく初々しい青春純愛ストーリーが好きな人にお奨め。
宇宙人や超能力者や未来人がいるわけでもなく、戦ったり魔法を使ったりする
こともない、ごくごく普通の恋愛ストーリーで、落ち着いてまったりとプレイする
ことが出来るかと思います。
キャラクターの心情描写も巧みで、どのキャラクターもとても魅力的で、感情
移入もしやすいでしょう。
また、どのキャラクターも恋愛には慣れておらず、とても初で純粋な恋愛模様を
楽しむことが出来ます。

ただ、裏を返せば大きな盛り上がりもなく、あまりメリハリもないまま進むため、
やや退屈に感じたり、中だるみする可能性もあります。
まあ、ストーリーはサクサクとテンポ良く進むため、退屈に感じることはそれほど
ないとは思いますが。でもまあ、ややインパクトに欠ける作品ではあるかと。

そして、各シナリオは主人公とヒロインが固定で、一本道のストーリーのため、
シナリオに幅がなく、また3本のシナリオは同じ時間軸で進むため、イベントが
被ることもあり、より一層展開の幅は狭くなっていると思います。
結ばれるキャラも決まっており、意外性もなく、やや面白みには欠けるかも
知れません。
また、シナリオによって主人公が異なり、結ばれるヒロインも決まっているため、
どうしてもプレイヤーは第三者視点で見ることになるため、感情移入は出来ても、
主人公の視点になってプレイすることは難しいかも知れません。

でもまあ、まったりゆったりした日常の描写は心地よいですし、とても自然で
落ち着いた雰囲気の、王道恋愛ストーリーで、安心してプレイできるかと。

ただ、絵やシナリオはまあいいのですが、音声や主題歌など、音響の面では
やや物足りなさ……というか、ちぐはぐさが感じられたのは残念です。
これがキャラや作品にぴったりハマっていれば、もっと感情移入できたんじゃ
ないかなー、と思えるのですが。

全体的にとてもクオリティは高く、落ち着いた雰囲気の作品ですので、キツい
ゲームや突飛なゲームをプレイして疲れたときにはいいかも知れません。
雰囲気や作品のコンセプトが気に入った人は是非どうぞ。

このゲームを一言で言い表すなら「普通」。突拍子もない展開や設定もなく、
自然で落ち着いた雰囲気で、良くも悪くもすっごい普通の作品でした。
独特のシナリオ構成は面白いんですけどね。

最後に。「じゃあ今度はエッフェル塔にしよっ♪」「アメリカまで行くのか……?」
「イギリスだよ……」……なあ、誰か突っ込むヤツいないのか?(^^;
# 「よう、色男」「なんだ、色物」(笑)


ひなたシナリオではバカップルっぷりを、空シナリオでは空に振り回される
章一を、渚緒シナリオではウブな純愛が楽しめるわけですが……ひなた
シナリオは展開が急でやや説明不足が目に付きましたし、空シナリオでは
ちょっと空の意地の悪さが鼻について、純粋には楽しみきれませんでした。
その分、渚緒シナリオはじっくりたっぷり楽しめましたけど。



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