PRINCESS WALTZ-プリンセスワルツ-
ブランド名 PULLTOP ジャンル AVG+SLG
発売日 2006.04.28 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(188x264x42mm) マニュアル B5ブックタイプ
DISC容量 GAMEDISC : 2.66GB(DVD-ROM)
Original SOund Track : CD-DA=639.4MB、CD-DA30トラック
予約特典マキシシングル : CD-DA=84.0MB、CD-DA2トラック
原画 たけやまさみ シナリオ 椎原旬下原正
東出祐一郎林ふみと
音楽 30曲、ファクトリーノイズ&AG、
上松範康(Elements Garden)石川直人
あり(3曲、OP&挿入歌・ED)、
NANA、月子
音声 あり、沢井春香、このかなみ、柳井流海、鷹月さくら、ほくとゆりあ、
リバウンド玉三郎、茶谷やすら、如月葵、一色ヒカル
三咲里奈、秋月まい、大福子、町田あみ、皇帝、松園ルイ
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 99箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 67枚
おまけ CG、Music、SCENE
対象属性 お姫様、ファンタジー、バトル、ドタバタ、お姉さん、黒髪、ストッキング、女教師、
白衣、幼なじみ、ツインテール、オーバーニーソックス、体操服、ブルマ、ヘアバンド、
ショートカット、眼鏡っ娘、緑髪、お下げ、ポニーテール、赤髪、縦ロール、金髪、
ストレートロング、ボブカット、帽子、和服、着物、メイド、エプロンドレス
1プレイ時間 13〜15時間 お奨め度 6

レビュー
概要
平凡な毎日を送っていた主人公。しかしある日、1人の転校生が主人公の
クラスにやってきた。そして、ひょんなことからその転校生・クリスの指輪を
身につけてしまった主人公は、クリスと行動を共にすることになる。クリスは
七央城の王子だといい、王子の后となる姫を決める「プリンセスワルツ」を
開催しているという。ここに、苛烈に、華麗に、ドレスを身にまとった姫達の
戦いが始まる……という、ファンタジーバトルAVG+SLG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

深森静(ふかもりしずか)。(CV:三咲里奈)
主人公の姉。やや無口でぶっきらぼうだが、優しく気の利く女性。主人公の
武道の師匠でもある。

深森七重(ふかもりななえ)。(CV:大福子)
主人公の母親で、学園の先生。ややだらしなくアバウトで、家事などは全て
静に任せている。明るくノリのいい女性。

野々宮のどか(ののみやのどか)。(CV:秋月まい)
主人公の幼馴染み。明るく元気いっぱいで、ややミーハー。
世話焼きで、主人公に対してもお姉さんぶった接し方をする。

館山和子(たてやまかずこ)。(CV:町田あみ)
主人公のクラスメイト。明るい……というか、やかましい女の子。しかし
意外としっかりしており、クラス委員も務める。

金田理子(かねだりこ)。(CV:ほくとゆりあ)
主人公のクラスメイト。やや無口で恥ずかしがり屋。下ネタに免疫がなく、
聞いただけで鼻血を吹いて倒れる(笑)

西本ゆうき(にしもとゆうき)。(CV:如月葵)
主人公のクラスメイト。さっぱりした性格で、親しみやすい女の子。

新井宏美(あらいひろみ)。(CV:茶谷やすら)
主人公のクラスメイト。ややマニアックで、ボーイズラブ好きな女の子(笑)

鈴木恵子(すずきけいこ)。(CV:松園ルイ)
主人公のクラスメイト。好奇心旺盛で無邪気な女の子。

クリス=ノースフィールド。(CV:沢井春香)
主人公のクラスに転校してきた、七央城の王子様。王子らしく、品があり、
輝くオーラをまとっている。

アンジェラ=ヴィクトワール=ブレンディン。(CV:このかなみ)
火の国アグニスの竜の姫。赤いドレスを身にまとい、巨大な槍を武器とする。
高飛車で高慢かつ傲慢、自分勝手で我が儘。プライドが高く、常に偉そうで、
挑発的な物言いをする。しかし、行動は気品にあふれ、エレガント。

イーリス。(CV:沢井春香)
ソルディアの剣の姫。純白のドレスを身にまとい、剣を武器に戦う。

式神楽清白(しきかぐらすずしろ)。(CV:柳井流海)
シホウの大地の姫。クリスの許嫁であるお嬢様。世間知らずで、男性に対しても
全く免疫がない。一見おとなしくおしとやかだが、実は頑固で激情家。

エイプリル。(CV:如月葵)
クリスの家庭教師兼メイド。幼い頃からクリスの面倒を見ており、家事等を全て
そつなくこなす。お茶目なお姉さん。

リリアーナ=ルン=ルン=ギュンスター。(CV:鷹月さくら)
レンスタンツァの嵐の姫。愛称はルンルン、この世界では笹蒲トト子(笑)
常にハイテンションな突撃娘。目立ちたがり屋で派手好き。
# 「ここらで一発、存在感示しておかないと。ギャグキャラだと勘違いされちゃう
# かも知れないしぃ」……手遅れ(笑)

リーゼル=ヘンゼル。(CV:ほくとゆりあ)
鍛冶の国、パルミードの鋼の姫。理力をこめた機械の扱いに長けている。
バルフィッシュという名の巨大なハンマーを武器として戦う。
# ハンマーの名前は「グラーフアイゼン」きぼー(笑)

絵の方はちょっと愛嬌のある可愛らしい絵柄。表情が非常に活き活きとしており、
親しみやすく、感情移入もしやすいと思います。
CGはややべったりした印象もありますが、絵柄とはよく合っていると思いますし、
丁寧に処理されていると思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化共にあり。変化はとても多彩で、特に表情変化は
1つのポーズあたりでもかなりの数が用意されており、微妙な心理状態の変化をも
表現してくれるので、非常に感情移入しやすいです。

キャラクターは個性豊か……というか、アクの強いキャラクター揃い。特に姫達は
一癖も二癖もあるキャラばかりです。

音声はキャラクターとのマッチングはばっちり。ただ、演技の方ですが、一部
バトルシーンでちょっと迫力不足かな? と思えるキャラもいました。
クリスや清白は、かなり演技の幅も広いですし、きっちり演じきるのはなかなか
難しいとは思いますけど。

音楽はゆったりした静かな曲からコミカルな曲まで、幅広く取りそろえられて
います。広がりのある曲が多く、荘厳な雰囲気の漂う曲もあったりと、作品の
雰囲気を盛り上げてくれます。ただ、ワルツはありませんでした。残念。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌はパンチの効いたかっこいい系の歌。ややハードでメリハリのある歌ですね。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。歌はかっこいい系なんですが、
絵はコミカルなものも結構あってちょっとコケました(^^;
まあ、後半の戦闘シーンの絵なんかはなかなかかっこよくて良かったですが。

エンディングも歌あり。しっとりと落ち着いた曲で、切なさを感じるようなどこか
もの悲しい曲です。

そして、クライマックスシーンでは挿入歌も流れます。歌はオープニングと同じ
もの……かな。シーンに良く合っていて、かっこよくていいですね(^^)

さらに、最後の最後のエンディングには、別の曲が流れます。
こちらは明るい雰囲気で広がりのある、希望に満ちあふれた雰囲気の歌で、
ラストの雰囲気ととても良く合っていて、聴いていて心地よかったです。

そして、ゲーム中、ヒロインがドレスを身にまとうシーンもアニメーションで
描写されます。これはどこの魔法少女物なのかと(笑)
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作はやや重め。画面の切り替えや立ち絵の変更でやや引っかかります。
まあ、エフェクトをOFFにすればある程度マシになりますけど、それだとやや
盛り上がりに欠けますしねー。
スキップ動作は比較的高速です。

セーブ箇所は99箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、何日目かが保存されます。
数としては、選択肢はほとんどなく、分岐も明確なため、これだけあれば充分
過ぎるかと思います。まず使い切ることはないでしょう。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー+カードバトルSLG。
まあ、選択肢は片手で数えられるほどしかないので(^^;、主にカードバトルに
なるわけですが。
カードバトルは、「斬」「突」「薙」の3つのカードに、それぞれ強さを示す数字が
書いてあるものを使い、その強さを競うシンプルなもの。
カードは三すくみの優劣があり、強いカードのフィールドでは、その攻撃の
レベルが上乗せされたり、同じカードを複数出すと攻撃力が上がったりなど、
細かいルールはありますけど。
戦いが終わると経験値が入り、それを使うことによってパラメータを伸ばし
たり、技を覚えたりすることが可能です。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「深森新(ふかもりあらた)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公がクリスの指輪を身につけ、共に行動するようになるところから
始まります。王子と結ばれる姫を決める戦い、プリンセスワルツに巻き込まれ、
いろんな人との出会いや戦いを繰り返す……という話です。

前半は各国の姫が登場し、プリンセスワルツの幕が切って落とされる、テンポの
いい展開が続きます。個性豊かな姫達と出会い、戦ったり、日常を過ごしたりと、
様々なイベントが次々と起こります。
基本的に明るく元気いっぱいなキャラが多く(特にクラスメイト)、ドタバタな毎日が
繰り広げられます。
メリハリもあり、先が気になる展開で、とてもプレイしやすいですね。

後半はプリンセスワルツやクリスなどに関わるストーリーが展開し、戦いの真の
意味を見いだしていく展開。緊迫した息詰まる展開が多く、ややシリアスで重い
展開も見受けられます。

ラストはすっきり大団円な感じの終わり方で、プレイ後の気分は爽快です。
……あくまで、最後の最後は、ね。途中はなかなかキツいものがあります。
ただ、ちょっとラストはご都合主義が過ぎる感はありますし、終わり方はやや
あっけない感は否めませんが。

特筆すべきはなんといってもメリハリがあってテンポのいい展開。
個性豊かなキャラクター立ちが繰り広げるドタバタストーリーと、プリンセス
ワルツの緊迫したバトルは非常に見応えがあり、先が気になってどんどんと
読み進めていってしまいました。
バトルはホント、めちゃめちゃアツくて痺れました。「もうダメ」という状況に
なって、大逆転の大技が出てくるなど、まるで週刊少年ジャンプ作品を見て
いるかのようでした(笑)

逆に気になったのは設定の出し方。ストーリーの前半から各所に伏線が張ら
れているのですが、かなりあからさまだったり解りやすいものが多く、展開も
お約束満載で、それほど目新しさや、意外な展開はありませんでした。
まあ、安心してプレイできる、とも言えますが。

H度はやや低め。マトモなHシーンは各ヒロイン1〜2回と少なく、尺の方もそれ
ほど長くありません。描写はそこそこ濃いめですが、数の少なさもあって、
やや物足りなさを感じます。導入が唐突なことも多いですしね。
内容的には純愛系のシーンが多いですが、シチュエーションは結構無茶な
ものもあったり。初めてなのに、いきなり2回戦、なんてのもありますしね(^^;

テキストはちらほらと誤字が見受けられますが、それほど致命的なものは
ないかと思います。テンポ良く、サクサクと読み進められていいですね。
ただ、一部テキストと音声が食い違っていたり、しゃべっている人が
間違っているように思えるところも見受けられました。
# 「アグニス」が「イグニス」と発音されている箇所があるんですが……。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は2週間。基本的に1日ずつプレイしていくタイプです。
ゲーム自体は章立てて進んでいきます。

ワンプレイは……どこまでをワンプレイと言うのかが微妙ですが(^^;、全ての
話に決着がつくまでで言えば、14〜15時間。やや長めですが、1度クリアして
しまえばほぼ任務完了ですので、コンプリートにはそんなに時間はかから
ないかと。まあ、とは言っても、元が長いのでそこそこかかりますけどね(^^;
1周目が終わった時点で8割……9割終わっていますので(^^;、2周目以降は
スキップを使えばかなり短時間で終わります。というか、選択肢の直前で
セーブしておいて、それをロードしてやり直すだけで回収できますし。

難易度はやや低め。シナリオの分岐は、最初で最後の3つの選択肢を選ぶ
だけで決まるため、悩むこともないかと。
カードバトルの方も、バランス良くパラメータを上げていけば、そんなに苦労
することはないかと思います。どうしても無理だったら、EASYモードにすれば
簡単にクリアできるかと。
ただ、HPの回復とか技の復活は日が変わるときのみ行われるので、雑魚敵に
ダメージを食らいすぎると、ボス戦でHPが残りわずか……なんてことになり
かねないので、注意が必要です。
ちなみに、バトルの前とか、通常時もSTATUSから経験値を使ってパラメータを
伸ばすことが出来るので、忘れず伸ばしておきましょう。
私は最初これに気づかず、初期パラメータのままでしばらく戦ってました(^^;
アンジェラになっかなか勝てないなーと思いましたよ……(^^;
# 苦労してなんとか勝ちましたが、パラメータを伸ばしたら簡単に勝てた(笑)
総評
お奨め度ですが、ちょっとコミカルで、しかしアツいバトルストーリーが好きな
人にお奨め。個性豊かな姫君達が繰り広げるプリンセスワルツは、華麗で
苛烈でとても見応えがあり、カードバトルもなかなか面白くて、パラメータの
上げ方によって、戦い方の幅もあり、そこそこ楽しめるかと思います。

テンポ良く、先が気になるストーリーはサクサクと進められますし、ラストの
怒濤の展開は見応えたっぷりで、一気にプレイしてしまえるほど。

ただ、伏線や設定は結構見え見えなものが多く、今ひとつ意外性や盛り
上がりに欠けるような印象はありました。
何より、メーカサイトのキャラクター紹介で、「え? そこまで言っちゃって
いいの?」と思えるようなことが書いてあったりと、情報の出し方がちょっと
マズいんじゃないかなー、と思ったり。

そして、最大のネックはボリューム。基本的に一本道のストーリーで、1度
クリアしてしまえばあとはイベントの回収のみという感じで、ちょっと物足り
なさがありました。いや、全体のボリュームとしては、1周が結構長いので
それなりに満足できたんですが、やっぱり各ヒロインのイベントが少ない
というのが残念ですね。もうちょっと、各ヒロインのストーリーを掘り下げて
欲しかったなー、という感じですね。
カードバトルもいろんな楽しみ方が出来そうなんですが、基本的に繰り返し
プレイが楽しめる作品じゃないですしね。ちょっともったいないかも。

しかし、個性豊かで活き活きとしたキャラクター立ちが繰り広げるワルツは
とても見応えがあり、感情移入もしやすいと思いますので、雰囲気が気に
入った人は是非どうぞ。
ただし、事前にあまり情報は仕入れない方がいいような気がします(^^;

最後に。ルンルン、技の名前、叫ばない方がいいんじゃないかな?(^^;
# せっかく死角に回り込んでも、居場所バレバレだと思うの(笑)
##いや、演出としてはアリだと思いますけど(^^;


このゲーム、ネタバレしないようにレビューを書こうと思ったら、ほとんど
内容に触れられないんですよね(^^;
なので、以下に、ネタバレバリバリの感想をちょこっと書いておきます。
これからプレイする人は見ない方が吉。

「プリンセスワルツ」の設定ですが、いろいろと強引なところが目立ちますね。
王子の后を選ぶ戦いな訳ですが、それに王子であるクリスが参加するのも
無茶苦茶なら、主人公と2人セットで戦うのもアウトな気がします(^^;
まあ、そのあたりは真の敵の目論見だったりする訳ですが、それが解るのは
かなり後半ですし、そこまでずっともやもやした状態が続きました。
まあ、それが「先が気になる」とも言えるわけですが……。
そもそも、主人公とクリスがイーリスになって戦うと言うこと自体を、理解
出来たのは3話ぐらいまで進んでからでしたし(^^;
ちょっとそのあたりの描写は弱かったような気がします。
逆に、静や七重の伏線は、序盤から張りすぎな気もしますけどね(^^;
というか、メーカのサイトで、「実の姉・母じゃない」というのを公然と書いて
あったり、クリスが女性だと書いてあるのは、OKなのでしょうか(^^;
# そのクセ、獣姫の正体は某シナリオ以外ではひた隠しにされますし……。
##いや、バレバレなんですけど(笑)

どうにも、全体的にちぐはぐに感じることが多かったのが残念です。
そもそも、どの姫と一緒に戦っても、結末は同じというのがねぇ……。
なんだか、その姫が報われない気がするのですよ。
どうせだったら、クリスはホントに男で、BLな展開にしても良かったのでわ。
……ごめん無理(^^;


あと……クリスを見た瞬間、エドワード・エルリックと思ったのは私だけ
でしょうか(^^;
リーゼルが出てきたときは、鋼の錬金術師が来たとか思ったんですが(笑)




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