PP ピアニッシモ-操リ人形ノ輪舞-
ブランド名 Innocent Grey ジャンル スタイリッシュミステリィAVG
発売日 2006.09.29 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(191x265x39mm) マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 1.90GB(DVD-ROM)
Tonality DISC1 : CD-DA=488.0MB、CD-DA23トラック
Tonality DISC2 : CD-DA=505.9MB、CD-DA23トラック
Unendliche Melodie : CD-DA+31.6MB=283.9MB、CD-DA4トラック
原画 杉菜水姫 シナリオ ますだ由希
音楽 47曲、Little WingMANYO あり(3曲、OP・ED・挿入歌)、
霜月はるか、Aya
音声 あり、高円寺中埜、風音、うえおかあい、井村屋ほのか、岩田由貴、富士爆発、南雲涼、
草柳順子、堀畑靖、手塚まき、巌蝉秋、機知通、小次郎、桜井雅斗、凹田U介、皇蒼真、
香澄りょう、蔵前力士、竹田彬夫、オルタナティブ山田、真田雪人、青木史生、木口貴弘
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 120箇所 CG枚数 223枚
おまけ CG gallery、Scene gallery、Music gallery
対象属性 ミステリー、幼馴染み、黒髪、帽子、巨乳、妹、お兄ちゃん、ショートカット、メイド、
エプロンドレス、眼鏡っ娘、チャイナドレス、ポニーテール、オーバーニーソックス、
ストレートロング、金髪、ストッキング、銀髪
1プレイ時間 6〜9時間 お奨め度 6

レビュー
概要
昭和十一年・東京。主人公は、ジャズバーでピアノを弾いて生活していた。
しかしある日、帰り道で見知らぬ芸妓の襲撃を受け、不思議な目眩を感じて
意識を失いながらも、何とか撃退して逃げ帰った主人公。しかし次の日、
バーに向かった主人公はクビを言い渡される。なんでも、芸妓が殺されて
おり、主人公が容疑者として指名手配されたという。果たして主人公は、
無実を晴らすことが出来るのか……という、スタイリッシュミステリィAVG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

橘美華夏(たちばなみかげ)。(CV:うえおかあい)
主人公の幼なじみで、雑誌社に勤める女性。明るくはきはきした女性で、
やや素直じゃない。主人公のことを信じており、無実を晴らすために
色々な情報を集めてくれる。

玖藤柚芭(くどうゆずは)。(CV:岩田由貴)
主人公の妹。明るく元気な女の子。お兄ちゃん大好き。主人公が自宅に
戻らなくなったため、心配している。

高梨千花(たかなしちか)。(CV:草柳順子)
バーに住み込みで働いている女給。主人公のことをちょっと怖がっており、
やや避け気味。控えめな女の子。

韮崎璃宝(にらさきりほ)。(CV:南雲涼)
主人公とともにバーで働く歌い手。主人公の相棒。色気たっぷりの女性で、
やややる気なさげ。歌を歌うのが好き。

白河綾音(しらかわあやね)。(CV:風音)
主人公が芸妓に襲われ逃げているときに出会い、かくまってくれた女性。
その後、チンピラに絡まれているところを主人公に助けられる。
主人公のことを気に入っており、無実を晴らすため調査に協力してくれる。
一見お嬢様っぽいが、案外じゃじゃ馬で頑固で負けず嫌い。

相馬葵(そうまあおい)。(CV:手塚まき)
指名手配された主人公を匿い、仕事を与えてくれる女性。ただし、与え
られる仕事はやくざまがいの仕事ばかり。気が強く自分の思うとおりに
ならないと気に入らない。

御巫久遠(みかなぎくおん)。(CV:井村屋ほのか)
バーで出逢った不思議な女の子。非常に頭が良く知識も豊富で、達観した
言動を見せる。

絵の方は独特の色気のある絵柄。派手さはありませんが、表情の微妙な
変化などもしっかり描かれていていいですね。
CGは落ち着いた独特の雰囲気のある塗りで、作品の雰囲気とも良く合って
いてすばらしいです。
立ち絵はポーズ変化・表情変化共にあり。それほど派手な変化はありま
せんが、会話にあわせて切り替わり、コミカルな表情もあったりして、
なかなか楽しめます。綾音のじと目がらぶりー(^^)

キャラクターは落ち着いた雰囲気ながらも、結構個性的な面々揃い。
明るいキャラと色っぽいキャラではっきり分かれており、やや控えめな
千花と、クールな久遠が別系統という感じでしょうか。
綾音LOVE(T_T)

音声はキャラクターとのマッチングもばっちりで、演技の方も文句なし。
実力派の声優さんが揃っており、特に男性声優はかなり豪華です。
逢禅寺が「甘いわ小僧ッ!!」とか言いながら格闘するのは反則な気がします(笑)

音楽はピアノを中心とした落ち着いた曲が多め。ジャズ調の曲も多く、
作品の雰囲気を上手く盛り上げてくれます。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌は完全なジャズで、作品の雰囲気ともよく合っていて、なかなか聴き応えも
ある歌ですね。
絵の方はほぼキャラクター紹介のみ。特筆すべき点はなし。

エンディングはゆったりとしたおだやかな曲。
優しい気持ちになれる、余韻の残るいい歌だと思います。
エンディングによっては英語のジャズ調の歌が流れたり、歌はなしの曲のみの
場合もあります。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢決定、ある
程度のメニュー操作は出来ますが、セーブ/ロード画面や設定画面などはキー
ボードで操作できないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作はやや重め。音声や効果音の再生で待たされる感があります。
スキップ動作はそこそこ高速ですが、描画で引っかかることがあるため、あまり
早くは感じません。
また、メッセージは基本的にメッセージウインドウに表示されるのですが、
視点がヒロイン視点のときはメッセージが全画面表示の縦書きになります。
最初はちょっと戸惑いました。

セーブ箇所は120箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、章タイトルとメッセージの一部が保存されます。
数としては、選択肢は結構多いものの、分岐のポイントは限られているため、
これだけあればまあ何とかなるかと。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
条件を満たすと新たなシナリオをプレイできるようになる、シナリオ追加型の
システムになっています。シナリオが追加されたときは、その旨が表示されます。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「玖藤奏介(くどうそうすけ)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が指名手配され、逃げ隠れる生活を始めるところから始まり
ます。葵に匿われ、やくざまがいの仕事をしつつも、事件の真相を探るため
仲間たちの協力を得つつ日々を過ごしていきます。

前半は身を隠しながら何とか事件の真相を究明しようとあがく展開。
主人公は追われる身のため、緊迫感のある展開ではありますが、結構普通に
出歩いていたり、ややコミカルな展開があったりと、ちょっと緊張が緩むシーンも
見受けられます。

そして前半の最後、更なる事件が発生し、後半に突入します。

後半は新たに起こった事件をきっかけに、事件の真相を暴いていくという
感じです。
こちらは前半よりさらに緊迫した展開で、最初は無気力な主人公がなんとか
立ち上がり、事件に立ち向かっていくという展開になります。
最後には大立ち回りを演じたりと、なかなか派手な展開になったりします。

ラストはシナリオによって様々ですが、どこか物悲しさのある、退廃的な
終わり方が目立ちます。全てすっきり終わることはほとんどありません。
むしろ、現実から目をそむけるような終わり方が多いです。
また、バッドエンドもかなり多いため、さらに切なさは増しています。

まずプレイしていて感じたのは、ストーリーがひたすら受け身なこと。
主人公は指名手配されているためあまり大っぴらに動き回ることは出来ず、
捜査は周りのキャラクターに任せっきりになっています。
また、事件の真相も主人公以外のキャラによって語られ、重要な局面でも
他のキャラクターが出てきて解決するなど、主人公はほとんどなにもして
いないような印象が強いです。

H度はやや高め。回数は1〜3回で、ヒロインによってまちまち。尺の方は
そこそこ、描写の方もそれなりです。
内容としては、気持ちの入らない、ただ身体を重ねるだけというシーンが
結構多いです。もちろん、純粋に愛し合うシーンもありますが。
また、主人公以外のキャラに陵辱されるシーンもあるため、苦手な人には
ちょっと辛いかもです。

テキストは中盤から後半にかけて若干誤字・脱字は見受けられますが、
それほど気にはなりませんし、難解な展開でも比較的わかりやすく
読みやすく噛み砕いて描写されているのは好感が持てます。
プレイ時間・難易度
ゲームは章立てて進んでいきます。
ゲーム期間は不明。日付の表示はなく、ぽんぽん飛ぶので、気にする
必要はないでしょう。

ワンプレイは6〜9時間。シナリオによって結構違いますが、そーんなに
長くは感じませんでした。また、共通部が多いため、2周目以降は
スキップを使えばかなり短縮できます。

難易度はやや高め。エンディングが多く、選択肢も多くて分岐がやや
解りづらいため、全てのエンディングを見るのはちょっと大変かもです。
また、条件を満たさないと見られないシナリオもありますし、BAD END
でもCGが用意されていたりと、コンプリートしようと思ったら結構手間
かもですね。
総評
お奨め度ですが、落ち着いた雰囲気のミステリー作品が好きな人にお奨め。
事件に巻き込まれた主人公が、真相の究明をしようとあがき、更なる事件に
巻き込まれていくという重い展開で、退廃的で、切ない雰囲気が漂います。

いろんな人に協力をしてもらいつつ、謎を解き明かしていくストーリーは
緊迫感もあり、ストーリーの軸はしっかりしているので矛盾点もほとんど
見あたらず、なおかつそれほど難解ではなく理解しやすいストーリーに
なっているので、入り込みやすいかと思います。

ただ、基本的に主人公は何も出来ず、周りの人たちによって調査が進み、
謎解きも周りの人によってなされるためにやや置いてけぼりな感があり、
比較的早い段階で真相はわかるため、その後の繰り返しプレイにはあまり
目新しさがないのは勿体ないですね。
また、事件のキーになる物がかなり突拍子もなく、そもそもジャズバーが
あちこちにあるというのが時代的にやや微妙な気がしますし、それ以外にも
時代にそぐわない表現や言葉がちらほら見受けられるため、フィクションと
割り切らないといろいろと気になってしまうかと思います。

そして、人が血まみれになって殺されたり、腕が切断されていたりするような
描写があるため、苦手な人にはちょっと辛いかもです。
まあ、それほどグロかったりエグかったりするわけではありませんし、なんの
前触れもなく突然出てきたりするので、一瞬びっくりしましたけどそんなには
嫌な感じではありませんでした。いや、内容はめちゃめちゃ衝撃的でしたが。
それよりも、主人公以外のキャラによる陵辱シーンの方が辛いかも。

お話しとしてはなかなか面白かったですし、ミステリーとしては読みやすく入り
込みやすいのは良かったのですが、主人公がほとんど行動できず、勝手に
ストーリーが展開していったり、早い段階でほとんどの謎が解ってしまうため、
謎解きをしているという感覚が薄いのは残念です。

また、手放しで喜べるハッピーエンドはほとんどなく、むしろハッピーエンドは
取って付けたようなおまけのようなシナリオのため、あまりノリきれなくて
ちょっと消化不良な印象が強いです。

さらに、個別ルートに入ると、一部のキャラ以外は出てこなくなってしまうため、
ややシナリオの幅が狭く、不自然に感じることもありました。
まあ、裏で色々と動いていたりはしますけど。

でもまあ、芯はしっかりしたストーリーだと思いますし、雰囲気はとても良く出て
いて絵も綺麗ですし、音楽も雰囲気があって力も入っていますし、全体的な
クオリティはかなり高い作品だと思います。
雰囲気が気に入って、ある程度キツい展開にも耐えられる人はどうぞ。

最後に。周回を繰り返せば繰り返すほど、死ぬ人が増えるのはなんだかな(^^;
全然解決に向かっている気がしねー(^^;


以下、ネタバレ全開の感想。これからプレイ予定のある人は読まない方が
いいかと思います。事件の真相とかにも触れてますし。


あーんまり他の作品と比較するのはアレですが、同メーカの前作「カルタグラ」と
雰囲気的にはよく似た作品ですね。
主人公の知らないところでストーリーが進んでいるところとか、事件の真相を
別の人に全部語られてしまうところとか(笑)
主人公が自ら黒幕を倒すことが一度もないというのはさすがにどうかと思った(^^;
というか、むしろ足手まとい?(笑)
まあ、グロ描写はほとんどなくなってますので、猟奇色を減らしたカルタグラ、
という感じですね。

しかし、カルタグラといいピアニッシモといい、なんで私の気に入ったキャラ
ばかり殺しますか(血涙)
まあ、カルタグラと違って、何の前触れもなく突然だったので、まだマシでは
ありましたけど……。いちおー最後に救いもありましたしね。

ところで、全部のシナリオをクリアした後に、CONDUCTORというシナリオが
プレイ出来るようになっていて、それは美華夏シナリオをベースとした、舞台
背景の説明になっているんですが……私のプレイした美華夏シナリオと全然
違うしっ(笑)
# 璃宝死んでないし、久遠とやってないし!(笑)

そして、CONDUCTORをクリアすると、綾音シナリオが追加されるのですが……
こんな取って付けたようなパラレルストーリーなんかいらないやい(T_T)
しかも、真相は明らかになっているわけで、とんだ茶番です。
出来れば、本筋のストーリーの中で、自分の力で救ってあげたかったです……。
でもまあ、「私は生きてるよ」でちょっとうるっと来ましたけど。
「例え夢であったとしても、この世界で私は生きている」という言葉で、ちょっと
救われたような気はします。
……でも、やっぱり、自分の力で助けたかった……。
選択肢の結果次第で、葵を早い段階でどうにか出来るとか、久遠が葵を煽ら
なくなるとか、そういう自然な展開が良かったな……。

てゆーか、真相を全て知ると、久遠に全然感情移入出来なくなるんですが(^^;
あと、美華夏不憫すぎ(T_T)



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