スカーレット-Scarlett-
ブランド名 ねこねこソフト ジャンル ビジュアルノベル
発売日 2006.05.26 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(170x234x47mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 3.30GB(DVD-ROM)
原画 秋乃武彦、あんころもち、
司ゆうき、ミヨルノユメギ、仲本六日
シナリオ 片岡とも木緒なち
秋津環、海富一、大月佑佑
音楽 28曲、Elements GardenEbi
まにょっ(LittleWing)
Barbarian On The Groove
Dreaming RabbitSENTIVE
猫野こめっとBlasterhead
あり(2曲、ED・挿入歌)、
木蓮、KOTOKO
音声 あり、籐野らん、まきいづみ、夏野こおり、青山ゆかり、
楠鈴音、神村ひな、綾川りの、上本のぞみ、堀奈生、奥森香由
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 100箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 84枚
おまけ CGモード、サウンドモード、おまけモードFINAL
対象属性 金髪、オーバーニーソックス、ボブカット、黒髪、ストレートロング、お嬢様、縦ロール、
ショートカット、お兄ちゃん、銀髪、眼鏡っ娘
1プレイ時間 9〜11時間 お奨め度 7

レビュー
概要
平凡な毎日に嫌気がさした主人公は、非日常を求め、学校を退学してあての
ない旅に出た。そして、最後に立ち寄った沖縄で、謎の少女・しずかと出会う。
そこで非日常を見せられた主人公は、非日常に対する憧れをより大きくする。
そして復学した主人公は、そこでしずかと再会する。そして徐々に非日常に
足を踏み入れていく主人公。果たして主人公の未来は。しずかの正体は……
という、ビジュアルノベル。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

しずか。
本名、別当・和泉しずか・スカーレット。なげーよ(笑)
沖縄で主人公と出会った不思議な少女。
明るくお茶目でいたずらっぽい。お兄ちゃん大好きっ子。
しかし、シリアスになるとクールで威圧感たっぷり。

葉山美月(はやまみつき)。
陸軍幕僚監部調査部の三佐。しずかの兄、九郎の昔なじみ。
知的で情報の扱いに長けている。やや強気で意地っ張りだが、基本的には
明るく親しみの持てる女性。お酒にはめっぽう弱い。
# 「そこの縦ロール、ちょっとこっち来なさい?」(笑)

アメリア・ウィークス。
しずかの父、八郎がスイスで密かに育てていた少女。無邪気で天然。
人懐っこく素直。しかし、天才的な数学能力を持っている。

他にもキャラクターはいっぱいいますけど、ストーリーと密接に絡むキャラも
いますので割愛。

絵の方はすっきりとした可愛らしい絵柄。原画家さんは複数いるものの、
それほど違和感もなく、すんなり入れると思います。
CGは丁寧に処理されており、見応え充分。背景や小物も綺麗ですね。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。会話に合わせてコロコロと
変化し、感情移入しやすいです。

キャラクターは性格的には普通のキャラが多いんですが、設定は特異な
キャラが多く、むしろそれが普通に思えてしまいます(^^;
みんな、権力とか地位持ちすぎ……。

音声はキャラクターとのマッチングも良く、演技の方も問題なし。
一部、兼ね役をやっている方がいらっしゃるようで、ちょっと気には
なりました。まあ、キャストが公開されていないんですけど(^^;
ちょっと気になったのは、ボリュームが一定ではなく、キャラによって、
シーンによって結構変わるため、いちいち合わせるのは面倒でした。

音楽は明るい曲から静かで切ない曲まで幅広くそろっており、シーンに
合った曲が使われています。ジャジーな曲が多めですね。

エンディングは歌あり。しっとり落ち着いた曲で、とても雰囲気があって
いいですね。もっと明るい曲でも良かったかもですけど。

挿入歌もあり。スペイン語の歌で、独特の雰囲気がいいですね。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。スキップやコンフィグなどには
ショートカットキーが割り当てられているにも関わらず、選択肢決定や
メニュー内の操作がキーボードで出来ないというのは片手落ちもいいところ
のような気がします……。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートプレイ搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。スキップ動作は高速です。

セーブ箇所は100箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、メッセージの一部とスクリーンショットが保存
されます。
数としては、選択肢(視点の選択も含む)はそこそこありますが、それでも
これだけあれば充分すぎるほどです。使い切ることはないかと。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。一部、メッセージ全画面表示の
ビジュアルノベルタイプになります。
通常の選択肢の他、誰の視点で話を進めるかを決める視点選択もあります。
また、ゲームはチャプターごとに進むのですが、チャプターが切り替わる
ときにはそのまま進むかそこで中断するかが選択できます。
特徴としては、辞典システムとあらすじシステム。
辞典システムは、作中に出てきた特殊な単語の説明をいつでも見られると
いうもの。辞典に単語が追加されたときは、ボタンが光ってわかるように
なっています。ただ、ストーリーに集中しているとそんなの見ている場合では
ないことが多いですけど(^^;
# ゲーム中の説明でも、あとからまとめて見ることが推奨されていますね。
あらすじシステムは、新たなチャプターが始まる前に、その前のチャプターの
内容のあらすじが見られるというものです。
チャプターの最後で中断して、後日新たなチャプターから始めるときなんか
には便利ですが、次々と読み進めているときはちょっと邪魔かも(^^;
まあ、パパッと読み飛ばせばいいんでしょうけど……。

毎回ディスクチェックが入るため、ディスクレス起動不可。
バックグラウンドでの動作は可能です。
主人公の名前は「大野明人(おおのあきと)」固定です。しずかの兄である
「別当・和泉九郎・スカーレット」も、サブ主人公っぽい感じですね。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が沖縄でしずかと出会うところから始まります。
非日常に憧れる主人公は、米軍のことに詳しく、謎の多いしずかに惹かれる。
そしてしずかと再会し、非日常の世界に身を置いていく……というお話。

ゲームは章立てて進んでいきます。最初は主人公が非日常に身を置いていく
ところが描かれ、その後は諜報員として仕事をしていきます。
途中、いきなり過去の話に飛んだりもしますが。

全体的にややハードでシリアスに進みます。もちろん、コミカルなイベントも
いっぱいありますけど、雰囲気は渋い感じです。
途中、人の生き死にに関わるようなキツい展開もあり、重苦しく切ない雰囲気が
漂ったりもします。

ラストはすっきり綺麗に晴れやかに終わり、プレイ後の気持ちは爽快です。

H度は低め。各ヒロインとも1回のみ、用意されていないヒロインもいます。
ストーリー中に自然に配置されてはいますが、尺は短く、おまけのような
感じですね。描写もあっさりめです。
ただ、おまけシナリオにHシーンがあるものもあるため、そこまで含めれば
それなりの数になります。

テキストはやや誤字等が目立ちます。特に前半。……普通は、後半になれば
なるほど誤字が増えるものだと思うんですけどね……(^^;
修正ファイルを入れないと、いきなりテキストと音声が違っていたりします。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は不明。章によって時代バラバラですし、章の中でも数年が
経過することがありますので、日付の経過なんかは無意味です(^^;

ワンプレイは9〜11時間。やや長めですが、基本的に1度クリアすれば終わりで、
あとは回収のみという感じですから、全体的なボリュームはさほどでもないです。

難易度は低め。選択肢はほとんど意味がなく、視点の切り替えでイベントが
若干変わる程度です。1つだけ(かな?)バッドエンド直行の選択肢がありますが。
# マニュアルには「バッドエンドにいけないのですが」「無理しないで下さいね」
# というヒントが書かれていますけど(笑)
総評
お奨め度ですが、ちょっとハードで読み応えのある作品が好きな人にお奨め。
すっきりとしていてテンポ良く、メリハリもあってどんどんストーリーに
のめり込んでいくような力のあるストーリーが楽しめます。

ただ、このゲームのメインは日常に嫌気が差し、非日常に憧れる主人公が、
非日常の世界に身を置いていく過程だと思うのですが、肝心のその部分は
さらっと流され、非日常に入ってからの話や、過去の話に比重が置かれて
いるため、ちょっと焦点がぼやけてしまっているように感じました。
また、章によって時代が違ったり、時間軸が前後したりするため、ちょっと
馴染むのに時間がかかったり、章によって文体が違うように感じたりと、
ややちぐはぐに感じる部分もありました。
さらに、修正ファイルを入れないと誤字等がかなり気になったり、音声が
食い違ったりなど、やや荒さも見受けられます。

ねこねこソフト最終作ということで、今までとは雰囲気の違う、やりたい
ことをやった作品とのことですが、やっぱり雰囲気は今までの作品を継承
しているように感じますし、どうにもパワー不足、消化不良に感じる点も
あり、もっとまだまだやりたいこと、やりきっていないことがあるんじゃ
ないかなー、と思ったりしました。
時間のない中でなんとか作った、という印象が強いのはもったいないです。

ただ、お話としてはかなり面白いですし、メリハリのあるストーリー展開は
サクサクと読み進められますし、あらすじシステムがやや気になるものの
ほとんどストレスもなく、エンターテイメント作品としてはかなりよく出来て
いると思います。スタッフもすっごい豪華ですし。
雰囲気が気に入った人は是非どうぞ。

最後に。あらすじ「しずかHシーン」……わかりやすすぎ(笑)


この作品、一見主人公(明人)の非日常へのストーリーですが、本当は
しずかのストーリーなんですね。全ての登場人物がしずかに繋がって
いる感じですし。

しかし、3章はキツかったっス(T_T)



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