あるぺじお きみいろのメロディ
ブランド名 SIESTA ジャンル 初恋体験ADV
発売日 2007.01.26 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(168x232x40mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 GAMEDISC : 1.11GB(DVD-ROM)
初恋MEMORIALDISC : CD-DA+462.0MB=564.3MB、CD-DA3トラック、CD-ROM XA
原画 雨音颯ゆきうさぎ シナリオ 岡崎綾瀬、眼鏡友の会/E.C
音楽 23曲、ManackOdiakeS、Hatsu あり(2曲、OP・ED)、榊原ゆい
DJ・MAO(as E.Kaibara)
音声 あり、榊原ゆい、青山ゆかり、鈴田美夜子、大花どん、海原エレナ
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 90箇所 CG枚数 102枚
おまけ CG mode、Scene mode、Music mode、Radio mode、Postscript
対象属性 純愛、学園物、女教師、お姉ちゃん、ショートカット、アホ毛、ストレートロング、
お嬢様、リボン、ツインテール、オーバーニーソックス、眼鏡っ娘
1プレイ時間 10〜12時間 お奨め度 5

レビュー
概要
音楽一家に生まれた主人公は、双子の兄と父親の知人であるむー姉ちゃんと
平和な毎日を過ごしていた。そしてある日、ラジオで音楽仲間募集の告知を
聞いて、バイオリンをやっていた主人公は興味を惹かれて行ってみる。すると
そこにはずっと憧れていた女の子がいて、一緒に「ホワイト・アンサンブル」
というコンクールに出て欲しいとお願いされる。かくして主人公は、仲間達と
一緒にコンクールを目指すようになるが……という、初恋体験ADV。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

六人部更紗(むとべさらさ)。(CV:海原エレナ)
主人公達と同居している、お姉さん的存在。しかし性格は子供っぽい。
音楽の先生をやっている。おっとりのんびりマイペース。可愛い物が大好き。
主人公はむー姉ちゃんと呼び、他の人からはむっちゃんと呼ばれる事が多い。

泡坂晴(あわさかはる)。(CV:大花どん)
主人公のクラスメイト。通称・ハル。言葉数少なくぶっきらぼう。真っ直ぐで
一生懸命。頑張り屋で、何かにこつこつと打ち込むのが得意な凝り性。

北見ちさと(きたみちさと)。(CV:榊原ゆい)
主人公の憧れの女性で、学園屈指の美少女。ひょんなことから一緒に音楽を
やることになる。清楚で穏やかな女の子だが、そそっかしく夢見がちな一面も。

双川なるみ(ふたがわなるみ)。(CV:青山ゆかり)
ちさとの友達で、喫茶店『レント』のオーナーの娘。ちさとと共に音楽をやる
ことになる。明るく元気いっぱいだが、ちょっと気が強くて短気。しかしとても
優しく思いやりのある女の子。

広瀬絢(ひろせあや)。(CV:鈴田美夜子)
世界的に有名なバイオリニストで、主人公の学園に転校してくる。
日本人だが日本にいた期間が短く、日本語が不得意。うどんが大好き。

絵の方はとても可愛らしく活き活きとした絵柄で、表情豊かでいろんな構図の
絵も楽しめていいですね。絢は眼鏡ありバージョンとなしバージョンの2種類
用意されているなど、なかなか芸も細かいです。
CGはやや独特の塗りになっていて、全体的にちょっと大雑把というか、若干
粗く見えました。イベント絵はそれほどでもないんですけど、立ち絵ではやや
気になりました。全体的にちょっと重い感じ?
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。とても表情豊かでアクションも
大きく、髪の毛が揺れたりぴょこぴょこ動き回ったりと、なかなか演出も凝って
いて面白いです。ただ、髪の毛がゆらゆら揺れているのはちょっと気になる(^^;
慌てたときのちさとがめちゃめちゃらぶりー(^^)

キャラクターは個性豊かな面々揃い。中でも絢は日本語が怪しいこともあって
飛び抜けた個性を放っていたように思います。
てことで絢LOVEー。でも、プレイしていると、普通はちさとに感情移入する
ような気がします(^^;
# そうしないと話が始まらない(^^;

音声はキャラクターとのマッチングも良く、演技の方も問題なし。
絢の怪しげな日本語がとても上手く表現されていて面白かったです。
ハルのぶっきらぼうな感じも良く出ていていいですね。
他にも圧巻な演技があるんですが、ネタバレになりそうなので最後に。

音楽はクラシック調の落ち着いた曲が多め。作品の雰囲気をゆったりと包み
込んでくれます。また、作中でキャラクターが楽器を演奏することがあるの
ですが、ちゃんとそれに合わせた曲が用意されていていいですね。

ゲームを開始すると、かなり長めのプロローグの後にオープニングアニメー
ションが流れます。もう、シナリオ1本クリアした気分になれます(^^;
歌は切なく訴えかけてくるような歌で、オープニングに入るラストのシーンとも
相まって、なかなか心に響きます。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介に、作品紹介的なものも入った、
なかなか良くできたオープニングだと思います。もっとも、あーんまりマトモな
思考で見られる状態じゃないですが(^^;

エンディングは基本的に曲のみですが、某シナリオのみ歌あり。
歌はしっとりとしてそれでいて力強い歌で、心に響くような感じです。

あと、作中にラジオ番組があって、その中で歌が流れるんですが、他メーカの
ゲームの曲が流れたりしてなかなか面白いですね。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りやバックログはキー
ボードで操作可能ですし、スキップやコンフィグはショートカットキーが割り
振られているのですが、メニューの中の操作や選択肢決定はキーボードで
出来ないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。スキップ動作はかなり高速です。
ただ、画面上にSDキャラのチップアニメが出ることがあるんですけど、それが
出ているときはテキストの表示(切り替え)が止まるので、ちょっとテンポが悪く
なるのは残念。設定でエフェクトをOFFにしてもフェードイン/フェードアウトは
するので回避できないですし。

セーブ箇所は90箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像が保存されます。
数としては、選択肢はそこそこあるものの、分岐に関係するものはわずかで、
分岐点はそれなりにわかりやすくなっていますので、これだけあれば充分かと
思います。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。クリア順制御がかかっており、
選択肢追加型のシステムになっています。増える選択肢2つだけっぽいですが。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「朝風陸(あさかぜりく)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公がひょんなことからホワイト・アンサンブルを目指すことに
なるところから始まります。

前半はアンサンブルに向けて真っ直ぐに向かう、青春一直線の展開。
笑いあり涙ありの王道純愛ストーリーで、見ていて恥ずかしくなるぐらいです。

そして後半、大きな事件が起こり、主人公が大きく思い悩みます。
周りの人に支えられ、迷惑をかけたり傷つけたりしながら、なんとか立ち直って
いくという、ちょっと鬱々とした展開になります。
そしてその壁を乗り越えて前に向かっていくという感じ。まあ、めちゃめちゃ
あっさり終わってしまうんですけど。
ラストは一応すっきり綺麗に終わりますが、ちょっと唐突なうえ、その後どう
なったのかがあまり描かれないため、やや消化不良かも。
シナリオによっては綺麗にまとめてくれるんですけど。

まず、プロローグ長すぎ(^^;
これだけで、ゲーム1本クリアしたぐらいの達成感があるんですけどっ。
実際、オープニングが流れてきたとき、エンディングだと思いましたし……。

そして中盤(?)で大きな事件が起こるんですが、その詳細は一切伏せられたまま
ストーリーが進むため、主人公とプレイヤーの間の情報格差が非常に大きくて、
プレイヤー置いてけぼりで話が進みます。正直、全然話に集中できませんでした。
ちょっとこれは、構成からして失敗しているように思いました。キャラクターと
プレイヤーとの間に大きな情報格差を設け、とてもそれが必要な構成だとは思え
ないんですよね。どうせなら、情報はさっさと出しておいて、その上で気持ちの
揺れとか葛藤を描いた方が、まだ入り込みやすかった気がします。

後半は完全に主人公のヘタレストーリーなので、感情移入なんて出来ませんし、
プレイしていていらつくことも多々。てゆーか、出来ることなら主人公殴りたい。
私はああいう状況に直面したことはないので、実際に直面すればああいった
行動に出てしまうのかどうか、それはわかりませんけど、少なくとも見ていて
気持ちいいものではありませんし、プレイしていて楽しくもなかったです。

そしてこの作品は、主人公が自分の気持ちに気付くまでを丁寧に描いてあるの
ですが、気持ちに気付いたとたんにマッハで告白して即Hという感じで、なんか
もう色々台無しな気がします。
「好きです」「ごめんなさい」「もう一度考え直して」「やっぱり好き」なんて展開が、
プレイ時間わずか5分程度の中に入っているのは凄いです(^^;

また、ちさととなるみのルートはいわゆる純愛ストーリーでいいのですが、他の
ルートはほとんど好きという気持ちを描かれないまま告白して、なし崩しに
Hするような感じで、やや弱く感じました。
何より、ちさとがほとんど出てこなくなるのがちょっと寂しかったです。
もう少し、ちさとの存在も上手く利用して欲しいところです。完全に蚊帳の外と
いうのはいくらなんでも切なすぎます……。

そして、作中のところどころでラジオ番組が流れるのですが、繰り返しプレイ
しているとこれがまあウザいです(^^;
確かに作中で重要な意味を持っていたりもするんですけど、これが出てくると
ゲームのテンポが崩れるので、どうにもそこで醒めちゃって……。
しかも、内容がある程度ランダムのようで、2周目以降もスキップが効かず、
たらたら見せられることになりますし。まあ、強制スキップは出来ますが。
また、ラジオパート中はバックログも出来ないのが微妙に辛いかも。ラジオ
パートが終わったら見られるようになるんですけど。
# 「最近、僕の住んでいる地域では天気がぐずついています」……えーっと、
# これ、ローカル局じゃなかったか?(笑)

H度は低め。各ヒロイン2回+α。バージョン違いもあったりします。
尺の方はやや短めで、描写も比較的あっさりです。
内容は純愛系のごく普通なシーンばかりで取り立てて変わったところはありま
せんが、気持ちを確かめ合うようなシーンが多く、まさに純愛系Hシーンという
感じです。

テキストは誤字等はあまり気にならず、あまりクセもなく読みやすいテキスト
だと思います。一部、ちょっと表現が回りくどかったり、分かりづらいように
感じることはありましたけど。
プレイ時間・難易度
ゲームは10月15日から始まります。
ゲーム期間は3ヶ月+α。+αの方がメインだったりするんですけど。基本的に
1日ずつプレイしていきますが、最後の方は1週間単ぐらい平然と飛んだりします。

ワンプレイは10〜12時間。そこそこ長いですが、前半はほぼ共通部で、後半も
シナリオによっては8〜9割ぐらい共通と、かなり共通部分が多くなっており、
2周目以降はスキップを使うとかなり短縮できます。スキップも早いですし。

難易度は低め。基本的に狙ったヒロイン寄りの選択をしていればOKですが、
クリア順制御がかかっているため、条件を満たしていないヒロインを狙うと
バッドエンド一直線になるので注意。
総評
お奨め度ですが、甘酸っぱく、そして辛く切なく苦しい恋愛ストーリーが
好きな人にお奨め。
前半は真っ直ぐな純愛ストーリーで、甘酸っぱい体験をすることが出来、
後半は色々と思い悩んだりすれ違ったりしながらも気持ちを通わせ合って
いくところが描かれ、切なく胸が締め付けられるような体験をすることが
出来ます。

前半はやや盛り上がりには欠けるものの丁寧で面白く、安心してプレイする
ことが出来るんですが、後半になると途端に感情移入しづらい、鬱々とした
展開になるのでちょっと戸惑いました。
さらに、何があったのかがわかるのはかなり話が進んでから、ものによっては
ホントに最後の最後にならないと真相が語られなかったりすることもあって、
でもストーリーは普通に進むため、プレイヤー置いてけぼりになって、感情
移入のしづらさを助長しているように思えます。
そのクセ、張ってある伏線は結構解りやすいものが多く、早い段階で気付いて
しまって、その後の展開にやや面白みを感じなかったり。
# 幼い頃出会った子供とかDJ・MAOとか、早い段階で気付いちゃったので……。

また、主人公が自分の気持ちに気付くところを延々と描かれるわけですが、
プレイヤーからしたら気持ちは分かりきっているので、どうにも茶番に見えて
しまって、いい話なんですけど、どこか醒めた目で見てしまうんですよね。
どうしても感情移入できないというか。

さらに、気持ちを確かめるところまでは丁寧に描かれるのですが、その後は
あっさりとあっけなく終わってしまって、どこか物足りなさを感じました。

全体的に見て、決してつまらないとは思いませんけど、楽しくはなかった、
という感じでしょうか。
見ていてひたすら辛い、痛々しい展開が続くので、正直めげそうでした。
しかも、どうしてそんなことになっているのか分からない状態で、ですから、
もう理不尽にも程がありますよ。
基本的に、思い込みで勝手に突っ走るキャラって好きじゃないですし……。
前半だけならお奨め度 7 付けてもいいと思えるんですけど、それ以降が
一気にしぼみましたね……。

まあ、辛く切ない気持ちはよく描かれていますので、鬱々とした展開や、
人を傷つけるような行動に嫌悪感を抱かない人であればどうぞ。
私はどうにも感情移入できませんでした。
特に、ちさとに感情移入しちゃうと、かなりつらーい気持ちになるかと。
しかし、前半部分をプレイしたら、普通はちさとに感情移入するだろう(^^;

最後に。「兄さんはもどかしそうに言う。けど、やっぱり兄さんの演奏が、
僕より勝っている部分があるとは思えない。」……すげぇ自信だな(^^;
# 「劣っている」じゃないかな(^^;


さて、このゲーム、ネタバレにならないようにするとどうにも思ったことが
なかなか書けないので、ここからはネタバレありで思いの丈をつづります。
強烈にネタバレ満載ですので、これからプレイする人は見ない方がいいかと
思います。一発でプレイする気なくすかも(^^;
# この直後の一文が、まず凶悪にネタバレ(笑)

まさかいきなり海を殺すと思いませんでした(^^;
あの展開だと、普通死ぬのは主人公だろう(笑)
しかし、それをひた隠しにするのはねー。まあ、話の流れから、海が死んだという
のは解りましたけど、どうして死んだのか最後の最後にならないと解りませんし、
それもさらっと流されるだけで、なんかもうプレイしていて終始ぽかーんでした。
特に、それでちさとのことを避けまくっている主人公は、正直プレイしていて腹が
立ちました。こっちは事情をなーんにも知らないわけですしねー。
ちさとも同じく何も知らないわけですから、いきなりあんな態度を取られたらと
考えると、切なくて主人公をぶちのめしたくなりますね。
辛い記憶を心の奥底に沈めようとしている割に、そのことを忘れないようにと
ピアノを弾き続けるとか、意味わかんない。
しかも、それで周りの人には気を遣わせたり、迷惑をかけまくったり、もう全く
もって感情移入できませんでした。
それに、絢にどうしてちさとと親しくできないかを質問されて選択肢が出るん
ですが、その時点ではプレイヤーは何も知りませんから。答えられませんから。

あと、絢がどうして昔の陸のバイオリンを知っていたかとか、DJ・MAOの正体
とか、主人公がむー姉ちゃんの態度になんでもやもやしていたのかとか、
理事長の正体とか、早々に気付いてしまったので、それもちょっと醒めちゃった
原因かも。まあ、あれだけ何の脈絡もなく昔の話が出てきたり、思わせぶりな
態度を取られたらね(^^;

しかし、前半の主人公とちさとにしても、いくら海外に引っ越すと言っても、
一生逢えなくなる訳じゃないと思うんですが、何でそこまで思いこんで無茶
苦茶するんでしょうね。実際、ほいほい帰ってきてるじゃないですか(^^;
どうにも滑稽に見えてしまうんですよねー。
まあ、好きな人と離れたくないと必死になるのは気持ちはわからんでもない
ですが、ちょっと視野狭すぎだろ、とも思いました。
てか、それで山越えとか始めるのはさすがに引いた(^^;
二人でいたいからって、歩いて山を踏破しようとするのはどんな超展開ですか。

そして、このゲームをプレイして思ったのは、海原エレナさんすげぇ(^^;
むー姉ちゃんの演技とDJ・MAOとエンディングの歌、全て同一人物だとは
なかなか思えないですよ。DJ・MAOはかろうじてわかりましたが、ラストの
歌は、スタッフロールを見てなお信じられませんでした(^^;
てゆーか、ずっと「海原エレナさんに歌わせたらいいのに」と思いながら
聞いてました……。
しかし、まさかむー姉ちゃんがメインヒロインだったとはね(^^;
あと、ちさとはいつの間にあんなこと調べてたんだ。しかし、絵すら出して
もらえず、さらっと流されて、つくづく報われないキャラだ……(T_T)

ところで、パッケージのキャラクター紹介、何故広瀬絢の血液型だけ
「B」と「型」が付いていないのでしょうか(^^;
# 日本語がカタコトなのを表現してる?(笑)



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