天使のたまご
ブランド名 PurpleSoftware ジャンル アドベンチャー
発売日 2007.08.17 定価 \4,000
パッケージ 紙製パッケージ(182x256x40mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 GAME DISC : 1.94GB(DVD-ROM)
Original Sound Track : CD-DA=160.7MB、CD-DA4トラック
原画 zinno シナリオ 東トナタHARE
音楽 12曲、マッツミュージックスタジオ
Blueberry&Yogurt
あり(2曲、OP・ED)、Rita
音声 あり、佐本二厘、野神奈々、井村屋ほのか
インタフェース メッセージ送りのみキーボード可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 100箇所+クイックセーブ10箇所 CG枚数 32枚
おまけ アルバム、メモリー、サウンド、おまけ
対象属性 純愛、学園物、幼馴染み、ストレートロング、悪魔、ツインテール、リボン、着物、
オーバーニーソックス、天使、羽根
1プレイ時間 3〜4時間 お奨め度 6

レビュー
概要
平凡な毎日を送っていた主人公。しかしある日、突然現れた謎の少女・流音に、
人類の滅亡を賭けたゲームに参加するように告げられる。突然のことに驚き、
悩む主人公。果たして主人公の運命は、人類はどうなってしまうのか……という、
人類救済アドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

倉田真織(くらたまお)。(CV:佐本二厘)
主人公のお隣さんで幼馴染み。面倒見が良く、主人公の食事やお弁当を
作ってくれる。純粋ですぐに人の言うことを信じる。

流音(るね)。(CV:野神奈々)
突然主人公の前に現れた、自称・悪魔の、変な格好をした女の子。
いつもウサギのぬいぐるみを持っている。人をからかうのが大好き。

神楽奏(かぐらかなで)。(CV:井村屋ほのか)
真織の親友で、主人公ともクラスメイト。明るくさっぱりした性格で、
親しみやすい。好奇心旺盛。

絵の方はすっきりとして可愛らしい絵柄。立ち絵ではやや表情が固く
思えるところもありましたが、イベント絵では気になりませんでした。
CGは丁寧に処理されていると思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。パターンは少なめですが、
会話に合わせて切り替わるため、感情移入はしやすいかと。
もう少しアクションが大きくてもいいかな? と思いましたが。

キャラクターは素直で純粋な真織、ひねくれ者でひとをからかうのが
好きな流音、そして明るくお調子者な奏という配置。
キャラクターが少なく、ヒロイン同士の絡みはそーんなに多くはないの
ですが、やりとりはなかなか面白いです。

音声はキャラクターとのマッチングは良く、演技の方も問題なし。
ダミアヌス(ウサギのぬいぐるみ)の声も腹話術っぽく演じられているのが
なかなか面白いです。

音楽はゆったりと落ち着いた曲が多め。ほのぼのとした雰囲気でシーンを
包んでくれるような感じです。もちろん、しっとりとした切ない曲なんかも
用意されています。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌は比較的アップテンポな曲ですが、軽快というわけではなく、むしろシリアスな
雰囲気が漂っているような、どこか張り詰めたような印象のある歌で、なかなか
面白かったです。
絵の方はキャラクター紹介と、イメージムービーという感じ。演出がとても凝って
いて、動きも綺麗で滑らかでクオリティも高く、とても見応えがありました。
文字による演出も格好いいですね。

エンディングも歌あり。こちらは軽快で爽やかで、それでいて心に染み入ってくる
ような、とても優しい雰囲気の漂う歌で、ラストの雰囲気をしっとりとまとめて
くれるような感じです。
システム
インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートプレイ搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能、音声のリピート再生も可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。ただし、エフェクトが結構遅く、エフェクトがかかっている
時にキーを押したりクリックすると、エフェクトがスキップされるので注意が
必要です。まあ、設定でエフェクトの速度を上げたり、速度重視の設定にすれば
問題ないと思いますが。
スキップ動作はそこそこ高速です。

セーブ箇所は100箇所+クイックセーブ10箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とシーンタイトルが保存されます。
数としては、そもそも選択肢がありませんから、これだけあれば充分というか、
使い切ることはまずないでしょう。

システムはテキストを読み進めていくだけのノベルタイプ。
最初に倉田真織ルートと流音ルートのどちらかを選択して開始したら、あとは
ストーリーを読むだけです。
なお、条件を満たせば、新たなルートやおまけシナリオを見ることが出来る
ようになる、シナリオ追加型のシステムになっています。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「藤田優人(ふじたゆうと)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは、主人公の元に流音がやってきて、人類の命運をかけたゲームに
参加しろと言われるところから始まります。突然のことに戸惑いつつ、期限まで
悩んだり、夢の中で声を聞いたりしつつ過ごしていく……というもの。

前半は、ゲームの話を聞いても現実を受け入れず、面白おかしく毎日を過ごす、
テンション高めのコミカルな展開。流音や奏が主人公達を引っかき回すような
展開になります。

後半は、ゲームについて真剣に悩み、その日までを大事に過ごしていくという、
ややシリアスで重い展開になります。

ラストはややご都合主義でお約束な展開ではありますが、綺麗に感動的に
まとめてくれるので、プレイ後の気分は爽快かと。

特筆すべきは作品の構成。最初、2つのルートから選んでプレイするわけですが、
その2つのルートが対照的な観点から描かれており、さらにその後、それらを
統括したような話を見ることが出来たりと、規模は小さいながらも、しっかり
組み立てられたストーリーを楽しめます。
ただ、最初のルートをプレイすると、だいたいストーリーの背景が見えてしまう
ため、その後のルートは意外性に欠けるのがちょっと勿体ない気もします。
それと、登場人物が非常に少ないため、それぞれに与えられた役割がすぐに
予想出来てしまう、つまり展開が簡単に読めてしまうのも、ちょっと残念かも。
もう少し、このあたりは工夫が欲しかったところですね。

H度はやや低め。各ヒロインとも複数回用意されていますが、1シナリオ中には
1回しかないキャラクターもいます。尺の方はやや短め、描写もややライトです。
内容的には、本編では純愛的なものが多め……というか、各ヒロイン1回は
あるのですが、むしろおまけの方がインパクトは強いかも。
なお、奏はHシーンが用意されていませんのでご注意を。

テキストは誤字等はほとんど気にならず、テンポも良く読みやすいテキストだと
思います。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は5日間。シナリオによってはもっと短かったりもしますけど。
基本的に、ゲームの日までを描いた作品で、それまでは1日ずつ進みます。

ワンプレイは3〜4時間。かなりあっさり終わります。テンポも良くサクサク
進むので、ちょっと物足りなさがあるかも。

難易度は激低め。というか、選択肢がないので、悩みようがありません。
総評
お奨め度ですが、簡単お手軽純愛コミカルシリアス感動ストーリーが好きな
人にお奨め。……自分で言ってて訳がわかりません。

1周は短めで、全体で見てもボリュームは小さめの作品なんですが、そんな
中に色んな要素が詰め込まれた、かなり密度の濃い作品です。
作品のベースには人類を救う天使と悪魔のゲームという重い設定があり、
それについて悩んでいくというシリアスな展開なのですが、コミカルな会話や
キャラクターの魅力もあって、ただ重いだけでなくメリハリの効いたプレイ
しやすい内容になっていると思います。
選択肢がないため、ストーリーに集中出来ますし。

やや展開が駆け足だったり、説明不足な点も見受けられますが、まあ仕方ない
かな? とは思います。
ボリュームは小さめですが、価格は低く設定されていますし、密度は結構濃い
ため、そーんなに不満には思いませんでした。
それよりも、奏ルートがない方が不満かも(笑)

ともあれ、コンパクトながらも、色んな要素の詰め込まれた密度の高い話を
読むことが出来ますし、プレイもしやすく、演出も凝っていて、とても丁寧に
作られているという印象を受けました。
キャラクターも魅力的ですし、設定もなかなか面白くて、話の先は読めて
いても、充分に楽しむことが出来ました。

雰囲気が気に入った人は是非どうぞ。手に入れづらいのが難点ですが。

最後に。ダミアヌスエンドきぼー。←それはない



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