春色桜瀬
ブランド名 PurpleSoftware ジャンル アドベンチャー
発売日 2008.07.31 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(183x258x40mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 Game Disc : 1.97GB(DVD-ROM)
原画 月杜尋、悠樹真琴 シナリオ 東トナタ、有馬ケンジ
音楽 35曲、株式会社ランティス
マッツミュージックスタジオ
橋本みゆき、鈴木マサキ
あり(2曲、OP・ED)、橋本みゆき
音声 主人公以外フルボイス、遠野そよぎ、澤田千景、乃嶋架菜、風音、沢野みりか、
みる、五行なずな、楠鈴音、倉田まりや、小池竹蔵、角川竜二、三原椎名、御苑生メイ
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 108箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 121枚
おまけ CG鑑賞、Hシーン鑑賞、音楽鑑賞
対象属性 純愛、学園物、妹、黒髪、ボブカット、お兄ちゃん、浴衣、幼馴染み、ストレートロング、
お嬢様、ストッキング、ツンデレ、金髪、ツインテール、アホ毛、リボン、ウエイトレス、
先輩、ヘアバンド
1プレイ時間 8〜9時間 お奨め度 7

レビュー
概要
人を好きになったことのない主人公は、この春進学する妹にせがまれ、
一緒に学園の下見にやってきた。学園には、その木の下で出会った2人は
恋仲になるという、恋桜があった。そして、その木の下で、1人の少女に
出会う主人公。その少女は、主人公に向かって、自分に恋をさせると
言い放つ。新学期が始まり、果たして主人公と少女たちとの関係はどう
なっていくのか……という、恋愛アドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

沖田綾乃(おきたあやの)。(CV:みる)
主人公の妹。この春から主人公と同じ学園に通う。明るく純粋な女の子。
主人公のことをお兄ちゃん、撫子のことをお姉ちゃんと呼び慕う。

愛沢撫子(あいざわなでしこ)。(CV:澤田千景)
主人公のお向かいさんで、幼馴染み。家はお金持ちのお嬢様。
やきもき焼きで、素直になれない。いつも主人公や周りの人とも言い合いに
なってしまう。

青野・クーデルハイツ・鈴蘭(あおの・くーでるはいつ・すずらん)。(CV:乃嶋架菜)
主人公の家の隣に引っ越してきた留学生。通称・くー。頭が良く、
6カ国語を操る。言葉数少なく感情をあまり表に出さない。
人見知り。小さいと言われたり、子供扱いされることを嫌う。

佐山千夏(さやまちなつ)。(CV:楠鈴音)
主人公の先輩で、生徒会長。面白ければそれでよしをモットーに、ノリと
勢いで行動する。明るく元気いっぱいの猪突猛進娘。

若葉京子(わかばきょうこ)。(CV:倉田まりや)
生徒会副会長。千夏先輩の天敵。いつも仕事をサボろうとする千夏を
とっ捕まえて働かせる。真面目だが、優しい女の子。

桜木このは(さくらぎこのは)。(CV:遠野そよぎ)
恋桜の下で主人公と出会い、自分に恋をさせると宣言した女の子。
くーの保護者。一見おしとやかでおとなしそうだが、結構頑固でお茶目な
女の子。

黒井美沙(くろいみさ)。(CV:五行なずな)
オカルト研究会会長。主人公達に目をつけ、ことあるごとに勧誘する。
変人ということで有名。

菅原桔梗(すがわらききょう)。(CV:風音)
オカルト研究会副会長。真面目で堅物、クールで無表情な女の子。

岡崎春奈(おかざきはるな)。(CV:沢野みりか)
家の前に行き倒れていた女性。漫画家。熱中すると他のことが見え
なくなる。大食いで、食事を抜くと空腹で倒れる。

絵の方は表情豊かで活き活きとした可愛らしい絵柄。原画家さんは2人
いますが、それほど絵柄に差もなく、違和感はありませんでした。
CGは明るめの発色で綺麗に丁寧に処理されており、見栄えもいいです。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。会話にあわせてころころ
切り替わり、アクションも大きく臨場感たっぷりです。
そしてなにより、演出が凄いです。駆け寄ってくる、呼びかけると振り
返る、怒ってそっぽを向くなど、立ち絵でしっかり表現されています。
他にも、バスのドアが開閉する、景色が流れるなど、細かい演出が
各所にちりばめられていて、見ごたえがあります。

キャラクターは個性豊かな面々揃い。メインキャラは比較的大人しい
キャラが多いのですが、サブキャラは個性豊か……というか、アクの
強いキャラ揃いです。

音声はキャラクターとのマッチングはばっちりで、演技も文句なし。

音楽はほのぼのゆったりとした曲が多め。透明感のあるクリアなサウンドで
とても聴き心地がいいです。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌は力強く伸びのある歌でなかなか格好いいです。パンチはあるけど聴きやすい
感じの、心地いい歌ですね。
絵の方はそこらへんのテレビアニメのオープニングなんてめじゃないぐらい、
しっかりきっちりアニメーションしています。絵もかなりゲーム中の絵に近く
なっていますし、綺麗で滑らかで自然で、非常にクオリティが高く見応えのある
アニメーションだと思います。これだけでも見る価値があるかも。

エンディングも歌あり。こちらも力強さやパンチのある歌で、なかなか格好いい
歌だと思います。ただ、オープニングの歌と雰囲気が似ていて、いまひとつ
エンディングという感じがしませんでした。まあ、悪くはないと思うんですけど、
もうちょっとじっくり余韻が味わえる歌の方が良かったかなー、と。
# ほとんどのエンディングは、余韻の残るような終わり方じゃない、という話も
# ありますけど(^^;
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能、音声のリピート再生も可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は軽快。スキップ動作は高速です。凄いのは描画や演出で引っかかることが
ないところ。描画や演出は通常時と同じように動いているのに、メッセージは
全く引っかかりなく流れ、しかもスキップは非常に高速と、ストレスなくプレイ
出来るのが素晴らしいです。

セーブ箇所は108箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とゲーム内日付、自由記述の
コメントが保存されます。
数としては、選択肢が少なく、1つ2つの選択肢で簡単にシナリオが分岐する
ため、これだけあれば充分でしょう。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「沖田陸(おきたりく)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が学園にある伝説の木、恋桜の下でこのはと出会うところから
始まります。新学期が始まり、色んな女子達と出会い、絆を深めて行くという感じ。

前半は各キャラクターの紹介という感じのエピソードが続きます。
個性豊かな面々とのドタバタな毎日が描かれており、会話も楽しいです。

後半は主人公が次第にヒロインに惹かれていき、恋心に気付き、そして
気持ちを通わせ合っていくという感じ。ヒロインの抱えた問題を乗り越えて
いったりしつつ、気持ちを確かなものにしていきます。

最後はご都合主義というか、奇跡というか、ファンタジーというか、かなり
強引で突拍子もない展開になったりもしますけど、綺麗にまとめてくれる
ので、まあいいかなと。力業で無理矢理まとめた気がしますけど(^^;

まずプレイしていて感じたのがキャラクター同士の距離。
主人公は人を好きになったことがないため、自分の気持ちを持て余したり
勘違いしたりうじうじしたりするので、プレイしていてちょっといらいら
することもありました。
そして、主人公と綾乃、撫子、このはにくー、春奈と、ヒロインのほとんどが
ご近所さんで、春奈以外はいつも一緒という感じなのですが、それ以外の
キャラは出番が少なく、シナリオによってはほとんど出番がなかったりする
のは、ちょっともったいないかなーと思いました。

あと、基本的に大人しめのキャラが多いのですが、撫子はやたらツンツン
していてヤキモチ焼きで、主人公に近づく女の子にはひたすらキツくあたる
ため、見ていてあまり気分のいいものではありませんでした。
千夏先輩とか黒井先輩とかも、人によっては好き嫌い分かれそうですね。
# 一番キツいのは白鳥か(^^;

H度は並。各ヒロインとも複数回(3回)用意されており、尺の方はそこそこ長め。
描写はそこそこ濃いめです。
内容的には純愛系のらぶらぶHがほとんど。会話多めの、正しい純愛系Hシーン
という感じです。

テキストは誤字等はあまり気にならず、テンポも良く読みやすいテキストだと
思います。たまに「?」が行頭に来たりはしていましたが。
プレイ時間・難易度
ゲームは4月7日(月)から始まります。厳密には前日からですが。
ゲーム期間は約1ヶ月。基本的に1日ずつ進みます。たまに飛びますが。

ワンプレイは8〜9時間。テンポ良く進むため、それほど長くは感じません
でした。全体の半分ぐらいは共通部なので、2周目以降はスキップを使えば
それなりに短縮は可能です。

難易度は低め。選択肢は誰に対応するものかわかりづらいものもありますが、
選択肢の数は両手で数えられるほどなのでそれほど苦労することはないかと。
ただ、キャラによって優先順位があるようで、選択肢1つで別のシナリオに
入ってしまったりするので、ちょっと注意が必要です。
ファーストプレイ、このは狙いでプレイしていたら、何故かくーエンドに辿り
着いていたのは何か大いなる力が働いたのでしょうか。……き、きっと、
プレイ順制限とかあったんですよね! ←ねーよ
総評
お奨め度ですが、真っ直ぐな純愛ストーリーが好きな人にお奨め。
恋をしたことのなかった主人公が、恋心に目覚め、女の子との距離を縮めて
行く様が描かれており、ちょっとやきもきしつつも、甘酸っぱいストーリーが
楽しめます。

主人公のまわりの女の子は基本的に主人公に好意を抱いているんですが、
主人公は「好き」という気持ちが分からないため、序盤は女の子達の行動が
空回りします。むしろ暴走気味になることもあり、ちょっと気になることも
ありました。

逆に後半は、好きという気持ちに気付いて、真っ直ぐな純愛ストーリーに
なり、らぶらぶでベタベタな展開になります。
ちょっと駆け足気味で、最後は無理矢理奇跡で終わらせた感がなきにしも
あらずですが。

キャラクターはみんな魅力的で可愛らしく、特に綾乃はどう見ても狙いすま
したキャラクターで、萌えないわけにはいかないでしょう。
くーとのコンボは強力すぎます。
逆に、春奈や桔梗はちょっとインパクト弱めですが。
そして一番気になったのは撫子。素直になれず、まわりの人に突っかかって
いくため、なんだか空気がギスギスしたり、ドタバタになったりと、やや
落ち着きがなくなってしまったような気がします。撫子がいなかったら、
もっと落ち着いた雰囲気の作品になったんじゃないかなー、と思います。
まあ、ウザさでは白鳥の方が上かも知れませんけど(^^;

内容的には普通で、最後はかなり強引な感もある話ですが、ずば抜けた演出の
おかげで臨場感たっぷりに楽しめて、感情移入もしやすくて、さらに軽快で
使いやすいシステムはプレイストレスもほとんどなく、ワンランク上の評価に
なっている感じです。ホント、これはすごいです。

恋を知らなかった主人公が初めて恋をする、いわゆる初恋ものなわけですが、
恋桜の伝説と絡めたちょっとファンタジックな展開で、一風変わった展開に
しようとしているんだと思いますが、それがむしろ足を引っ張っているような
気がします。別に、普通で良かったんじゃないかな……。

まあ、全体的によくまとまった、絵もシナリオも音声も音楽もシステムも
演出もあらゆる面でクオリティが高い作品だと思いますので、悪い印象を
抱くことはないように思います。キャラクターや雰囲気が気に入った人は
是非どうぞ。

最後に。きっとほとんどの人がこう叫ぶと予想しているでしょうけど、敢えて
叫びます。若葉エンドきぼー。←綾乃じゃないんだ(^^;
# 千夏エンドや美沙エンドも欲しいな……。


くーの歌は、挿入歌と、出来ればアニメーションも入れるべきだろう。←贅沢

「きっと君は、私に恋をするよ」……ほとんどのシナリオでしてない気がする
のは気のせいですよね、きっと(笑)

あと、「どうせファンディスクで綾乃シナリオやるんでしょ?」とか思っている
のは私だけじゃないハズ(笑)



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