てとてトライオン!
ブランド名 PULLTOP ジャンル 真夏の学園で恋を謳歌するAVG
発売日 2008.08.29 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(188x264x42mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 GAME DISC : 3.94GB(DVD-ROM)
ORIGINAL SOUND TRACK : CD-DA=606.2MB、CD-DA31トラック
原画 たけやまさみいくたたかのん シナリオ 椎原旬下原正
十睡みちたか、御剣ヒロ
音楽 31曲、アムーヴ、Elements Garden あり(2曲、OP・ED)、NANA
音声 あり、宮坂結衣、羽沢月乃、沢井春香、秋月まい、初島さとみ、青山ゆかり、松田理沙、
茶谷やすら、芝原のぞみ、町田あみ、中本伸輔、如月葵、紫陽花、石川徹、事務台車
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 90箇所+オートセーブ5箇所+
クイックセーブ5箇所
CG枚数 97枚
おまけ ミュージック、シーン、シージー
対象属性 学園物、ドタバタ、ラブコメ、青春、ショートカット、アホ毛、ウェイトレス、ピンク髪、
ストレートロング、エプロンドレス、メイド服、オーバーニーソックス、眼鏡っ娘、
緑髪、ポニーテール、黒髪、ボブカット、リボン、お下げ、女教師
1プレイ時間 7〜8時間 お奨め度 8

レビュー
概要
研究者の父親について世界中を回っていた主人公。ある日、その父親から
学校に行くように言われる。喜び勇んで向かった獅子ヶ崎学園。そこは、
父親の研究がいたるところにちりばめられた学校だった。まだシステムが
不安定で、あちこちで起こるトラブル。しかし、主人公の首にはめられた
首輪には、システムにアクセスしてトラブルを解決する機能が搭載されて
いた。かくして主人公は、学園のトラブルを解決するため、生徒会に協力
することになる。果たして主人公の学園生活はどうなってしまうのか……
という、真夏の学園で恋を謳歌するAVG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

織原夏海(おりはらなつみ)。(CV:宮坂結衣)
主人公が学園で最初に出会った女の子。明るく元気でいつも笑顔を絶やさない。
水泳部のエースで、三度の飯より泳ぐのが好き。並外れた体力を持っている。
カフェテラス・サニーサイドのウェイトレスもやっており、生徒会の手伝いも
やっている。一見大雑把に見えるけど、実は細かいところに気がつく優しい娘。
話す時、顔をのぞき込むのが癖。親しみやすく、誰とでもすぐ打ち解ける。

胡桃沢鈴姫(くるみざわすずき)。(CV:秋月まい)
獅子ヶ崎の平和を守る、学園総合警備部部長。気が強く生真面目で堅物で短気で
直情的で負けず嫌いで怒りっぽい。中華料理店・白の子鹿亭でウェイトレスも
やっている。

葉山鷹子(はやまたかこ)。(CV:青山ゆかり)
主人公の先輩で生徒会役員。真面目で厳しく融通が利かない。体力や腕力が
飛び抜けており、学園最強と言われている。手鞠をとても大切に思っており、
過保護なまでに甘やかす。手鞠に近づく者は排除する。手鞠のルームメイト。

藤ヶ峰芹菜(ふじがみねせりな)。(CV:松田理沙)
生徒会副会長。物腰柔らかで包容力のある優しいお姉さん。ただし、怒ると
めちゃめちゃ怖い。非常に有能で、仕事はてきぱきとこなす。一乃の無茶な
行動を監視し、矯正する。一見真面目そうだが、実はイタズラ好き。
一乃のルームメイト。

十倉手鞠(とくらてまり)。(CV:羽沢月乃)
学園のシステム管理者である天才少女。白波寮の寮長も務める。感情表現に
乏しく淡々と話すが、頑張り屋で努力家。ちーかまが好物。鳴き声は「てまー」。
# 起床のベルを鳴らしている絵が可愛すぎるんですけどっ。

蓮見一乃(はすみいちの)。(CV:沢井春香)
カリスマ生徒会会長。明るく気さくでノリがいい。判断力や決断力に優れ、
みんなを引っ張っていく統率力を持っているが、案外おっちょこちょいで
ぐーたらで抜けている。イタズラ大好きで、なんでも面白おかしくする。
見栄っ張りだけでヘタレ。結構恥ずかしがり屋。
# 顔真っ赤の会長がめちゃめちゃ可愛いです。

倉田ちさと(くらたちさと)。(CV:初島さとみ)
主人公のクラスメイトで、夏海のルームメイトかつ親友。サニーサイドで
ウェイトレスをやっている。面倒見が良く気が利くお母さんのような女の子。
明るくほんわかした雰囲気を持つ。むにゅむにゅ星人。夏海のルームメイト。

葉山鳩子(はやまはとこ)。(CV:芝原のぞみ)
報道部部長で、鷹子の双子の姉。ラブリー伝書鳩。いつもテンションが高く、
好奇心旺盛。逃げ足が非常に速い。

瀬名優(せなゆう)。(CV:茶谷やすら)
学園総合警備部と水泳部に所属。真面目で真っ直ぐな体育会系娘。鈴姫の
ルームメイトで、いつも鈴姫に振り回されている。白の子鹿亭でウェイトレスも
やっている。

藤ヶ峰なずな(ふじがみねなずな)。(CV:如月葵)
主人公のクラスの担任。ほんわかおっとりした女性。親しみやすく、生徒から
慕われているが、敬われてはいない。アバウトで、生徒の自主性に任せている。
ようするに、ほったらかし。基本的に面白ければなんでもおっけー。
# 夫と娘がいるので攻略対象には入らない(笑)

絵の方はとても表情豊かで活き活きとした魅力的な絵柄。力強く生命力に溢れる
ような、とても勢いのある絵柄だと思います。
CGは明るく発色のいい色遣いで丁寧に処理されており、とてもよく栄えます。
立ち絵はポーズ変化・表情変化共にあり。会話に合わせてコロコロと切り替わり、
アクションが大きく、コミカルな表情なんかもあって、とても楽しいです。
会長の意地悪く笑う顔とか照れたところとか、夏海やちさとのにやにや笑った
顔とか、すんごいお気に入りです。

キャラクターは個性的な面々揃い。基本的に明るく活き活きとしたキャラクター
ばかりで、掛け合いもとても楽しいです。
芹菜がすっごい好きです。なずな先生もお気に入り。
会長が可愛すぎる。そしてダメすぎる(笑)
夏海も手鞠も鈴姫もちさとも鷹子も優も鳩子も、みんなみんなとっても魅力的で
好きですけど。
# あと、レオ丸がらぶりーすぎです。

音声はキャラクターとのマッチングは良く、演技の方も文句なし。
メインキャラももちろんいいのですが、サブキャラ達の演技が光っていたように
思いました。
# 獅子ヶ崎の主を「ししがざきのあるじ」と読んでましたが、「ぬし」の方が
# しっくり来る気がしたのですが……。

音楽はゆったりほのぼのした曲が多め。明るくコミカルな曲も多いです。
オープニングテーマ曲である「Try on!」のインストバージョンである「手と手を
繋いで見る世界」が、使いどころも曲(アレンジ)も秀逸で、心に響きました。
めちゃめちゃお気に入りです。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌は軽快でスピード感のある爽やかな歌。とても聴き心地が良く、作品の雰囲気
とも良く合っていていいですね。サビに入るところはかなりお気に入りです。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なものですが、曲に合わせてコロコロ
切り替わり、演出も凝っていて、なかなか見応えがありました。

エンディングも歌あり。とても伸びのある綺麗な歌で、エンディングの爽やかな
雰囲気をしっかり味わわせてくれます。

トライオンする時にアニメーションが入るのですが、それがスキップできなく
何度もあるのでちょっと鬱陶しいかも。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢決定、各種
メニュー画面表示はキーボードで出来ますが、一部メニュー内操作はキーボー
ドでできないようです。ESCキーが画面最小化なのは直感的でないかも。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。スキップ動作はそこそこ高速です。

セーブ箇所は90箇所+オートセーブ5箇所+クイックセーブ5箇所。セーブ/ロードは
随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とゲーム内日付が保存されます。
数としては、選択肢が極めて少なく、これだけあれば充分です。使い切ることは
ないのではないでしょうか。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
というか、ほとんど選択肢はなく、テキストを読み進めるだけの、スクリプトノベル
です。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「鷲塚慎一郎(わしづかしんいちろう)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が学園にやってきて、学園に起こっているトラブルを解決する
力を持っていたことから、救世主と呼ばれるようになるところから始まります。
学園に起こるトラブルを解決しつつ、楽しくドタバタな毎日を過ごしていく
という感じです。

前半は学園のトラブルを解決していくドタバタな展開。明るく楽しい展開が
ほとんどで、ちょっと深刻なことになっても楽しみながら乗り越えていくと
いう感じです。
オープニングが始まるまでのプロローグは1時間程度なんですが、ものすごい
密度かつテンポのジェットコースターストーリーで、もはやプロローグだけで
ぐったり疲れました(^^;

後半は、ヒロインとの絆を深めつつ、学園のトラブルを解決していき、
獅子ヶ崎祭りを成功させるために頑張るという感じ。
基本的にノリは前半と変わらず、ちょっとシリアスなシーンが入る程度で、
最後まで突っ走るような感じです。

ラストは盛り上げるイベントからそのままなだれ込むような感じで、とても
気持ちよく、爽快感溢れる終わり方です。
いろいろ投げっぱなしになっていても、全然気になりません。

特筆すべきは魅力的なキャラクター。メインキャラはもちろん、サブキャラに
いたるまでみんなとても活き活きとしていて魅力的で、掛け合いがとても楽しい
です。
主人公も、明るく前向きで真っ直ぐで気持ちのいい性格なので、とても好感が
持てましたし、感情移入しやすかったです。
名前がないような生徒達もみんなノリがいいです。

また、個別ルートに入っても、最後までみんなストーリーに絡んで来て一体感が
あっていいですし、さらに各ヒロインには対応するサブヒロイン(ルームメイト)が
いて常に一緒に行動したり、深く関わってきたりするので、とても広がりのある
ストーリーが楽しめます。

それと、ストーリーの端折り方のバランスがとても良かったです。
細かいところまでしっかりと描いてある作品は、キャラクターの心情や設定を
理解しやすくていいとは思うのですが、反面テンポが悪くなり、だらだらと
長く感じて、プレイするのが億劫になる可能性もあります。
この作品は、不要と思えるところは適宜描写を省いてあって、テンポを崩さず
サクサク進められるので、とても気持ちいいです。
それに、端折られてはいますが、ストーリー上、理解上問題があることはなく、
「ここをだらだら描かれたら嫌だなぁ」と思うところを適切に端折ってあった
ので、とてもプレイしやすかったです。端折るセンスがいいというか。

H度は並。各ヒロインとも複数回(2回)用意されています。尺は並。ただし、
挿入するまではやたら早かったりします。描写はそこそこ。
みんな初めてなんですが、最初から2回戦があったりもします。
内容は基本的に純愛系のラブラブHがほとんど。場所やバリエーションもあまり
ありませんが、一乃はいろいろ頑張ってます(笑)

テキストは誤字等はほとんど目に付かず、テンポも良く、とても読みやすい
テキストだと思います。
プレイ時間・難易度
ゲームは7月7日(月)から始まります。
ゲーム期間は1ヶ月弱。基本的に1日ずつ進みます。最後の方でちょっとだけ
飛ぶこともありますが。

ワンプレイは7〜8時間。テンポ良くサクサクと進むため時間をあまり感じず、
とてもプレイしやすかったです。半分ぐらいが共通部のため、2周目以降は
スキップを使えばそれなりに短縮出来ます。

難易度は低め。全編を通して選択肢は2つだけという潔さで、悩むことはない
というか、全ての選択肢を選ぶ必要があるわけで。そして、その選択肢2つで
個別ルートが決定します。……つまり、どうあがいても攻略対象は4人という
ことです。
総評
お奨め度は、学園ドタバタラブコメが好きな人にお奨め。
魅力的なキャラクター達が繰り広げる活き活きとした掛け合いはとても楽しく、
みんなで力を合わせてトラブルを解決していく様は、見ていて気持ちいいです。
基本的にみんな前向きでうじうじなやんだりヘタレたりせず、もしそういう
状態になってもすぐ周りの人がフォローに入ったり、安心してプレイすることが
出来ました。

これといった障害もなく(言ってしまえば全編トラブルなんですが(^^;)、最後まで
突っ走るストーリーなんですが、中だるみしたり単調になることもなく、最後まで
楽しめました。謎とかいろいろほったらかしのような気もしますけど(笑)
また、すっごくノリが良くて勢いがあって、プレイしていて気持ちいいです。
ぐいぐいストーリーに引き込んでいく、とてもパワーのある作品だと思います。

これといった欠点らしい欠点は見当たらないのですが、1つ挙げるとしたら、
どのシナリオも基本的にストーリーの流れが同じで、シナリオによっては
ほとんどメリハリもないため、人によっては単調に感じるかも知れないという
ところでしょうか。
まあ、キャラクターの魅力と勢いがあるので、充分楽しめるとは思いますが。
あとは、サブキャラがとても魅力的なので、攻略対象じゃないのはちょっと
もったいないなーと思えたぐらいでしょうか。

学園に起こる様々なトラブルに悩みながらも楽しんでいく、挫けず前向きな
ストーリーで、プレイしていて気持ちよかったです。
「仲間」「絆」「信頼」といったものが感じ取れる、とても方向性が明確で
感情移入しやすい作品でした。手と手、心と心を重ねる、なかなかいいですね。
プレイし終わった後すっきり爽快で、素直に「面白かったー」と思えました。

ややテンション高めのドタバタ劇なので、ちょっと人を選ぶかも知れませんが、
雰囲気やノリが気に入った人は是非どうぞ。

最後に。Palm InsTant Authentication SYSTEM、通称PITAシステム……って、
PIAシステムじゃダメなんですか?(^^;


以下、ちょっとネタバレを含む感想。


手鞠シナリオで、カササギ橋が放置されたのには拍子抜けしました(^^;
最後のトライオンは、絶対カササギ橋だと思ったのですが……。

あと、夏海シナリオがメインだと思ったのですが、学園に関することは
ほとんど何も解決せずほったらかしになってるんですよね(^^;
まあ、ラストの演出はさすがにすんごく凝っていましたし、綺麗でしたが。
# エンディングでちゃんと橋が上がってるのもいいですね。

告白シーンは、鈴姫が一番好きでした。なかなか心に響く感動的なシーン
でした。……一瞬でギャグに塗り替えられるんですが(^^;

シナリオとしては、一乃シナリオが一番好きかも。いろんな要素が詰め込ま
れていて、メリハリもあって楽しめました。ちょっと泣けましたしね。
# 学園祭あたりはご都合主義の嵐でしたが(^^;、まあそんなに気にならず。

ともあれ、どのシナリオも楽しめて、とても良かったです(^^)

ところで、この作品のタイトルを、「てとてとライオン」だと思っていたのは
私だけではない……ですよね?(^^;
舞台も獅子ヶ崎だし、ライオンのマークも出てきますし、レオ丸もいますし……。
# というか、レオ丸って何者?(^^;



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