メモリア
ブランド名 Purple Software ジャンル ファンタジック恋愛リフレインADV
発売日 2009.08.28 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(181x258x40mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 GAME DISC : 3.20GB(DVD-ROM)
ORIGINAL SOUNDTRACK -DISC I- : CD-DA=519.1MB、CD-DA20トラック
ORIGINAL SOUNDTRACK -DISC II- : CD-DA=553.1MB、CD-DA21トラック
原画 皐月徒兎、薩摩屋蒸気 シナリオ 比高海、北川晴、風雅
音楽 38曲、株式会社ランティス
マッツミュージックスタジオ
橋本みゆき、鈴木マサキ
あり(2曲、OP・ED)、
橋本みゆき、榊原ゆい
音声 あり、夏野こおり、井村屋ほのか、みる、鮎川ひなた、榊原ゆい
深井晴花、一色ヒカル、松永雪希、かわしまりの
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 108箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 126枚
おまけ CG鑑賞、Hシーン鑑賞、音楽鑑賞
対象属性 純愛、学園物、ケモノ耳、女教師、銀髪、ストレートロング、眼鏡っ娘、巨乳、ボクっ娘、
お団子頭、ツインテール、着物、和服、スパッツ、猫耳、黒髪、お嬢様、ストッキング、
触角、ヘアバンド、犬耳、ボブカット、うさ耳、リボン、白衣
1プレイ時間 12〜15時間 お奨め度 6

レビュー
概要
動物界・エステリアと人間界・アステリアがゲートで繋がった世界。3年前に
記憶を失った主人公は、エステリア人とアステリア人が通う学園で、毎日を
過ごしていた。そんなある日、主人公は、一人の少女と出会う。その出会いが、
主人公の運命を変えていく。果たして主人公はどんな過去を持っているのか。
仕組みが改名されていないゲートとはいったい何なのか。エステリアとアス
テリアの関係は……という、ファンタジック恋愛リフレインADV。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

シャール=カーライル。(CV:深井晴花)
主人公のクラスの担任。親しみやすく優しい先生。指導は厳しいが、結構
アバウト。しかし、締めるところはきっちり締める。

相川智枝(あいかわともえ)。(CV:井村屋ほのか)
主人公の家の隣に住む女の子。面倒見がいいが、怒りっぽく、すぐ手が出る。
成績優秀で、研究所にも籍を置き、ゲートの研究をしている秀才。
ゲート事故で家族が行方不明になっており、一人で暮らしている。

ユウキ=ハンクス。(CV:榊原ゆい)
主人公のクラスメイトである牛娘。しかし貧乳ちびっ子。明るく元気で素直な
女の子。みんなから好かれ、可愛がられている。子供扱いされるのを気にして
おり、大人の女性に憧れる。学校の成績はかなり残念の女の子。腹ぺこキャラ。

桜坂由佳里(さくらざかゆかり)。(CV:一色ヒカル)
主人公の保護者。記憶を失い、道ばたで倒れていた主人公を引き取ってくれた。
いつも笑顔で優しい女性。料理が上手く、人の気持ちを察することにも長ける。
ゲートの空港で働いている。

アリサ=クラウス。(CV:みる)
主人公のクラスメイト。エステリアの名家の生まれで、父親は外交官。猫娘。
でも運動はあまり得意じゃない。清楚でお淑やか、物腰柔らかいお嬢様。
猫舌でアイスが好き。アイスクリーム専門店『ラ・ネージュ』でバイトしている。

香奈実=レインズ(かなみ=れいんず)。(CV:鮎川ひなた)
町で出会った女の子。生活のため、学園の購買とラ・ネージュでアルバイトを
はじめる。おっとりのほほんとしたちょっと天然の女の子だが、接客業は
得意で仕事はそつなくこなす。

ハルナ=エレンディル。(CV:夏野こおり)
学園に転校してきた女の子。エステリア人で、ゲートの研究をしている。
やや無口で感情の起伏に乏しいが、無愛想というわけではない。

アイカ=ランディック。(CV:松永雪希)
町で出会ったうさ耳少女。ゲートの研究をしている。見た目は小さいがしっかり
者で、物事はハッキリと言うさばさばした性格。

アカネ=ハンクス。(CV:かわしまりの)
ユウキの母親。物腰丁寧で優しいが、怒ると怖い。料理や掃除はからきし。
裁縫だけは得意。ユウキのことをとても可愛がっている。

絵の方はほんわかした雰囲気の可愛らしい絵柄。表情豊かで活き活きしていて
いいですね。ただ、若干シーンによって雰囲気が違うように思います。正面から
見たときと横顔で別人のように見えたりとか。
CGは明るめの発色で丁寧に処理されており、よく栄えます。
立ち絵はポーズ変化・表情変化共にあり。会話に合わせてコロコロと切り替わり、
表情豊かでアクションも大きく、コミカルな表情なんかもあって、見ていて
とても楽しいです。さらに、怒ったら迫ってくる、呼びかけたら振り返るなど、
演出も凝っていて、見応え充分です。座っていて立ち上がる時の動きなんかは
なかなかリアルです。

キャラクターは普通の人間(アステリア人)と、猫耳等動物の特徴を持つエステ
リア人に分かれています。みんな個性的で活き活きしており、会話もとても
楽しいです。
ユウキが色々可愛すぎます。香奈実もかなり好きです。

音声はキャラクターとのマッチングは良く、演技の方も問題なし。
ユウキなんかはとてもよく雰囲気が出ていて良かったです。

音楽はほのぼのゆったりとした曲が多め。作品の雰囲気を柔らかく包んでくれ
ます。他にも、コミカルな曲や静かな曲も用意されており、シーンにあった曲が
使用され、シーンを盛り上げてくれます。

ゲームを起動すると、アニメーションが流れます。
歌や絵はなく、プロローグ……というか、過去にあった、物語の発端にもなる
出来事を、アニメーションで描かれます。完全なフルアニメーションで、
テレビアニメに勝るとも劣らない、非常に見応えのある、綺麗なアニメーション
でした。本編との繋ぎ方も上手いですね。

そして、超絶長いプロローグ(具体的には、15時間ぐらい。ゲーム1周半)の後、
オープニングが流れます。……まあ、1周目のラストにも流れるんですけど。
歌はパンチの効いた格好いい歌で、これから何かが起こりそうな雰囲気のある、
とても聴き応えのある歌だと思います。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。まあ、キャラクター自体は
とっくに把握出来た頃に流れるので、主にシーン紹介とか、イメージ映像的な
ものです。それほど動きまくりではないですが、構図は凝っていて、曲ともあって
いて、見応えはありました。

エンディングも歌あり。しっとりとした綺麗な曲で、しっかり余韻の味わえる、
いい歌だと思います。ちょっと歌い方のクセが気になりますが。綺麗な旋律の
曲ですから、素直に真っ直ぐ歌った方が、聴き心地がいい気がするんですけど。

なお、1周目のエンディングは、オープニングと同じ曲が流れます。
……というか、オープニングとして流れるより先に、エンディングとして流れる
わけですが。このエンディングへの入り方がなかなか綺麗で、盛り上げてくれる
のでなかなかお気に入りです。

また、タイトルメニューでしばらく放置すると、各キャラクターのキャラクター
紹介が流れます。なかなか面白いので、見ておいた方がいいでしょう。
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能、音声のリピート再生も可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は軽快。スキップ動作はかなり高速です。
ただ、テキストボリュームがかなりあるため、次の選択肢にジャンプとか、
シーンスキップ機能が欲しいところですね。

セーブ箇所は108箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーンタイトル(というか、ゲーム内日付)と
シーン画像、自由記述のコメントが保存されます。
数としては、選択肢の数が少なく、エンディングもそれほど多くないため、
これだけあれば充分でしょう。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。条件を満たすと選択肢が増える、
シナリオ追加型のシステムになっています。
条件を満たした時、ダレのシナリオが解放されたか表示されるようになって
います。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「桜坂宏一(さくらざかこういち)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームはハルナが転校してくるところから始まります。主人公と出会い、
ゲートの研究を進めていくうちに、色々な事実が出てきて……という感じ。

この作品、1周目は選択肢が一切無く、エンディングは固定になっています。
1周目でまず作品の世界観や、各キャラクターの背景や性格、そして主人公と
ハルナの関係などを描き、2周目以降、作品の世界に入り込みやすいように
なっています。
これを見てから2周目に入ることで、「これはこういうことだな」「なるほど、
そういう意味だったのか」など、納得しながらプレイを進められます。
ただ、1周がかなり長く、また、それほど盛り上がりもなく、どうでもいいような
イベントが延々と続くため、ちょっと退屈に感じることも。

そして2周目以降、各ヒロインと主人公の関係を中心とした、恋愛と謎解きの
ストーリーが展開します。
内容はシナリオによって様々ですが、基本的には主人公の記憶とゲート、
エステリアとアステリアの関係などを中心に話が進みます。

前半はコミカルで面白おかしい日常が描かれますが、後半は結構ヘビーで
シリアスなストーリーが展開します。
ただ、あまりドロドロすることはなく、比較的あっさり終わる感じですが。
# とは言っても、主人公軽く死にかけたりしますけど。

ラストは、シナリオによってまちまちですが、概ね心温まる終わり方になって
いると思います。まあ、1周目なんかは、ものすごい中途半端に終わりますが。
# 最後にちゃんとフォローされますけど。

まずプレイしていて気になったのは、様々な点の統一感の無さ。
たとえば、主人公はカレーが好きという設定ですが、あるシナリオでは2日
続けてだとちょっと嫌がったかと思えば、別のシナリオでは2日連続でも
喜んでお願いしたり、女の子に対する反応なんかも、シナリオによってやや
差があったように感じます。
あと、同じキャラでも姓と名の区切りが『=』だったり『・』だったり統一感が
なかったり、ちらほらとちぐはぐな点が気になりました。

H度は並。各ヒロインとも複数回(2〜3回)用意されており、尺の方はそこそこ。
描写は比較的濃いめです。純愛系にしては、頑張っている法だと思います。
内容は純愛系のラブラブHがほとんどで、気持ちを確かめ合うような感じの
シーンが多いです。

テキストは各所に誤字等が見受けられ、ちょっと気になりました。
また、音声とテキストが違っていることもあり、きっちりデバッグが行われて
いるのか、ちょっと疑問です。
プレイ時間・難易度
ゲームは12月1日の月曜日から始まります。
ゲーム期間は約1ヶ月。基本的に1日ずつ進みます。後半は日が飛んだりしますが。

ワンプレイは12〜15時間。淡々と進むこともあって、かなり長く感じました。
全体の6〜8割が共通部のため、2周目以降はスキップを使えばかなり短縮は
可能ですが、テキストボリュームが凄いため、高速なスキップをもってしても、
スキップ自体に時間がかかりますし、個別ルートは3割程度と言っても、元々の
ボリュームがかなりあるため、4〜5時間程度はかかります。
したがって、コンプリートしようと思ったら、結構な時間がかかります。

難易度は並。選択肢の数は少なめですが、効果がやや解りづらく、引っかけの
ような選択肢もあるため、ちょっと迷いそうです。また、狙ったキャラ寄りの
選択肢を選んでも、他のキャラのフラグに負けて狙ったシナリオに入れなかっ
たり、そもそもクリア順規制で狙ったキャラが攻略出来なかったりと、やや
コンプリートするのは大変かも。
総評
お奨め度ですが、ケモノっ娘好きな人にお奨め。
猫娘、牛娘、犬娘などよりどりみどりですし、どのキャラクターも個性豊かで
活き活きとしていて魅力的だと思います。
また、1周目をまるまる使ってキャラクターや世界観の説明をしてくれるため、
感情移入しやすく、しっかり作品の世界に浸れると思います。

ただ、ストーリー上どうでもいいようなイベントが多く、プレイしていてやや
だれるのと、あまり盛り上がりもなくすんなり終わってしまうことが多く、
さらに1周のプレイ時間が長いこともあって、中身が薄く、物足りなさが強く
なってしまっているように感じます。
まあ、ストーリー上どうでもいいようなイベントも、キャラクターの魅力を描く
ためには有効だと思いますから、全く無意味ではないんですが。

また、シナリオ毎に各キャラクターの言動などの細かい違いや不整合、誤字や
テキストと音声の違いなど、感情移入を阻害されるような要素がちょっと目に
ついたのが残念です。

でもまあ、キャラクターはとても活き活きしていて可愛らしいですし、個別
ルートに入っても他のキャラがシナリオに絡んで来たり、みんなで支え合って
進んでいく所なんかは心温まりますし、キャラクター重視の作品としては
充分楽しめるかと思います。
演出は凝ってますし、曲の使い方や作品の構成、オープニングと本編や
エンディングへの繋ぎ方など、とても綺麗で見応えがあります。

雰囲気が気に入って、まったりのんびりプレイしたい人は是非どうぞ。
ただし、プレイする前に、修正パッチは適用しておいた方がいいでしょう。
盛り上がっているところに誤字や変な音声が来ると、ちょっと萎えます。

最後に。香奈実の額のクリスタルが髪の毛の色と似ている上に小さくて
見づらいため、ヘアバンドが宝石だと思って「でっかい宝石だなー。
というか、これって石なの?」と思ったのは私だけではないと信じたい(^^;


以下、シナリオの順番に触れているので、予備知識無しでプレイしたい人は
回避推奨。

最初は強制的にハルナシナリオに入るわけですが、ラストが中途半端というか、
とんでもないところで終わって、「そこで終わりかよ!」と衝撃を受けてすぐ。

「智枝、香奈実、アリサルートが解放されました」という表示が。
ハルナは今クリアしたからいいとして、智枝、香奈実、アリサ……あれ?
ユウキは? まさかのメインヒロイン!? とさらに衝撃を受けました(笑)
賑やかしキャラだと思ってたのに……。というか、エンディングないかもと
思ってたのに(笑)
そして、アイカエンドがないとは何事(T_T)



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