俺たちに翼はない
ブランド名 Navel ジャンル 恋愛アドベンチャー
発売日 2009.01.30 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(280x190x30mm) マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 2.47GB(DVD-ROM)
原画 西又葵 シナリオ 王雀孫
音楽 58曲、アッチョリケ あり(2曲、OP・ED)、美郷あき
音声 主人公以外フルボイス、森谷実園、五行なずな、籐野らん、みなせがわゆい、
たなかりお、大花どん、上田はるこ、井村屋ほのか、沢村かすみ、三つ葉、川椰桜、
泉菊之介、縦溝精史、十利須我里、鳩万軍曹、小池竹蔵、掘畑靖、ビッグバン半太、
小鳥遊アキラ、悠輝タクト、遠野そよぎ、所たかし、佐々留美子、あおいろとうこ、
島崎比呂、タピオカパン、青山ゆかり、月代綾人、森本有紗、コマッチョ六本木、
少林寺アキラ、水野かっぱ、魔梵、塚本太鱚、Skay bay Dan、高砂$子、我妻鉄生、
加藤三郎
インタフェース ほぼフルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 100箇所+オートセーブ10箇所+
クイックセーブ10箇所
CG枚数 238枚
おまけ GALLERY、MUSIC
対象属性 ドタバタ、ギャグ、コメディ、ミステリー、ストレートロング、ストッキング、黒髪、
ボブカット、アホ毛、お兄ちゃん、ウェイトレス、ストッキング、金髪、リボン
1プレイ時間 22〜25時間 お奨め度 6

レビュー
概要
大都市『柳木原』に暮らす主人公達は、いろんな生活を送り、いろんな人と
出会い、毎日を生きていた。様々な悩みや事件などに遭遇しつつ、暮らして
いた日常が、徐々に変わっていく。果たして主人公達の運命は……という、
恋愛アドベンチャー。……そんなに恋愛要素ありましたっけ。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

渡来明日香(わたらいあすか)。(CV:森谷実園)
鷹志のクラスメイトで、学園一の人気者。明るく元気で人当たりもいいが、
ホントは人付き合いが嫌い。

羽田小鳩(はねだこばと)。(CV:みなせがわゆい)
主人公の妹。人見知りが激しくおとなしく控えめな女の子。基本的に無邪気。
勉強や家事を嫌がらず率先してやる。

山科京(やましなみやこ)。(CV:たなかりお)
鷹志のクラスメイト。身体が弱く、学校は休みがち。影が薄く、控えめ。
無性に人と話したくなることがある。

望月紀奈子(もちづききなこ)。(CV:上田はるこ)
ファミレス『アレキサンダー』でアルバイトをしているウェイトレス。
予備校二年生。明るくノリのいいお姉さん。得意科目は道徳。

日野英里子(ひのえりこ)。(CV:大花どん)
ファミレス『アレキサンダー』でアルバイトをしているウェイトレス。
口も荒いが気も荒い、やりたい放題の自由人。好きな乗り物は玉の輿(笑)

米田優(よねだゆう)。(CV:井村屋ほのか)
鷲介がお世話になっている雑誌社の編集さん。明るく気さくでフレンドリーな
お姉さん。寝起きは機嫌が悪い。

玉泉日和子(たまいずみひよこ)。(CV:五行なずな)
学生小説家。ファミレス『アレキサンダー』でアルバイトをしている。
生真面目で融通が利かない。感情が表に出やすい。

香田亜衣(こうだあい)。(CV:沢村かすみ)
森里和馬の幼なじみ。ひょんなことから隼人と知り合い、以来つきまとう。
人懐っこく誰にでも親しく話しかける。

アリス。(CV:佐々留美子)
繁華街によく出没する女の子。日本語は片言で、文法はでたらめ。
妙に大人びているところも。

鳳鳴(おおとりなる)。(CV:籐野らん)
鳳翔の妹。おっとりのほほんとしたマイペース娘。やや人見知りで、知らない
人の前では大人しい。

春日春恵(かすがはるえ)。(CV:三つ葉)
移動式クレープ屋を経営している女性。姉御肌で面倒見のいいお姉さん。
ピンク色が大好き。

絵の方は柔らかいタッチの可愛らしい絵柄。ただ、やや描き分けが弱く、
パッと見た瞬間どのキャラかわからないことも。逆に、同じキャラなのに、
全く違って見えることもあったり、やや安定性に欠ける気がします。
CGは明るく発色のいい色使いで、とても丁寧に処理されていると思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。アクションが大きく、表情も
豊かで、見ていて楽しく、感情移入もし易いです。

キャラクターは個性豊というか、アクが強い面々揃い。全キャラもれなく
イタい……とまでは言いませんが、かなり言動が危ないキャラが多いです。
優さんLOVE。紀奈子さんもいい感じです。香田もいいですね(^^)
……もれなくサブキャラな気がするのはきっと気のせいです。
# アリス萌え(笑)

音声はキャラクターとのマッチングはほぼ良し。ただ、一部ちょっと微妙な
キャラもいましたが。特に伽楼羅は、見た目と声のギャップが凄かったです。
というか、見た目と性格からして、ギャップがあるわけですが。

音楽は静かで落ち着いた雰囲気の曲が多め。次いで、明るくコミカルな曲
という感じでしょうか。曲数が非常に多く、様々なタイプの曲が用意されて
いて、シーンにあった曲が使われており、作品を盛り上げてくれます。

ゲームを開始すると、プロローグから引き続いてオープニングアニメーションが
流れます。
歌はポップで聴きやすく、爽やかながらもちょっと切なさの漂うような、なかなか
いい歌ですね。
絵の方は、テレビアニメに勝るとも劣らない、動きまくりのアニメーションで、
非常に見応えがあります。不思議な雰囲気の作りで、見ていてドキッとする
ようなシーンもあったりと、なかなか面白かったです。
システム
インタフェースはほぼフルキーボードサポート。バックログ中の音声再生など、
一部の操作以外はキーボードで可能です。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作はやや重め。描画でちょっとひっかかる感じです。
スキップ動作は高速です。一度見たシーンはシーン丸ごとスキップも可能です。

セーブ箇所は100箇所+オートセーブ10箇所+クイックセーブ10箇所。
セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とシーンタイトルが保存されます。
数としては、選択肢は少なめで、シーンスキップなどもありますので、これだけ
あれば充分でしょう。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
条件を満たすと、新たなシナリオが読めるようになる、シナリオ追加型の
システムになっています。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「羽田鷹志(はねだたかし)」「千歳鷲介(ちとせしゅうすけ)」
「成田隼人(なりたはやと)」「伊丹伽楼羅(いたみかるら)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは章立てて進み、章ごとに主人公が異なります。
まず、4人の主人公のストーリーを見て、その中の選択によって、その後誰の
ストーリーに入るかが決まります。

最初はわけがわからない不思議なストーリーが展開して、ぽかーんとしながら
プレイしていたのですが、だんだん設定がわかってきて、キャラクターも繋がる
ようになってきて、そして物語の核心に迫っていくような構成になっています。

登場キャラはみんな個性的で、特に各主人公はかなり強烈なキャラクターで、
好き嫌いがハッキリ分かれそうです。
すぐ妄想の世界に飛ぶキャラや、「ブッ殺すぞコノヤロウ」が口癖のキャラなど、
痛々しかったりウザかったり、全キャラを受け入れることの出来る人は、かなり
心の広い人だと思います。
私は、最初の3時間(羽田鷹志編)は苦痛以外の何物でもなかったです。
これを一番最初に持ってくるというのはどうでしょうねぇ。いきなり引く人が
多いような気がするんですが。まあ、確かに世界観の根幹をなす話だとは
思いますけど……。

また、各章は唐突に終わり、そのまま前置きなく次の話が始まります。
中途半端なところで終わることも多く、プレイヤー置いてけぼりで、話だけが
ポンポン進んでいくような印象を受けました。

ラストは綺麗にまとめられてはいるのですが、シナリオによってはやや弱く、
今ひとつ盛り上がりに欠けた感がありました。

恋愛アドベンチャーと言いながら、恋愛要素は薄く、むしろ、主人公達の身の
振り方を考えるような部分がメインだったように思います。

H度はやや低め。回数はキャラによってまちまちで、1〜3回です。尺の方は
やや短め、描写もあっさりめです。
内容は基本的には純愛系のHですが、妄想の中やいたずら的なシーンも多く、
様々なシチュエーションが楽しめます。……まあ、短いですが。

テキストは誤字等はちらほら見受けられましたが、そんなに気にはなりません
でした。テンポ良く進むのですが、テキスト量が凄く、内容も痛々しいため、
ちょっと読みづらかったです。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は章によってまちまち。基本的に1ヶ月弱です。

ワンプレイは22〜25時間。かなり長いです。全体の7〜8割が共通部なので、
2周目以降はスキップを使えばかなり短縮出来ますが、そもそも長いため、
個別ルートだけでも並のゲーム1周分のボリュームがあります。

難易度はやや低め。選択肢の数は少なめで、効果も比較的わかりやすい
ため、それほど悩むことはないでしょう。ただし、クリアの条件を満たすと、
それ以降のキャラはクリアに必要な選択肢が選べなくなる(=クリア出来なく
なる)ため、注意が必要です。
総評
お奨め度ですが、一風変わった設定とキャラクターを楽しみたい人にお奨め。
キャラクターはかなり個性的で、各主人公は痛々しいまでの個性を放って
いますので、並の純愛物とは一線を画しています。

最初は意味不明の謎設定に思えるのですが、プレイを奨めていくうちに、
だんだん設定がわかってきて、それを上手く利用したストーリーを楽しむ
ことが出来ます。

前半は各主人公の話が展開するのですが、時間軸が同じで、登場人物も
一部被っていたりと、各章の間で繋がりがあり、その繋がりがどんどん大きく
なってきて、最期には一本の線で繋がる、という構成になっています。
とてもよく考えられていて、クリア後は感心してしまいました。

ただ、各主人公の言動は痛々しく、特に設定がはっきりわかるまでは何故
そんな言動をしているのかがわからないため、下手をすると嫌悪感を催す
ほどの意味不明な言動が鼻につきます。
なので、プレイする時には、かなりおおらかな心が必要だと思います。

さらに、テキスト量がものすごく、ちょっと読みづらかったです。
単純に長いというのもあるのですが、テキストウインドウいっぱいに文字が
びっしり表示されることも多く、ちょっとうんざりすることも。
テンポは良くて、サクサクと進むのですが、大量の文字を読んでいるという
実感があるため、プレイしていて疲れます。

とても力のあるストーリーと、よく考えられた設定で、最後までプレイすれば
面白いと思えるとは思うのですが、キャラクターの言動やテキスト量の問題で、
かなりプレイしづらく、かなり人を選ぶ作品だと思います。
雰囲気やノリ、キャラクターの性格が受け入れられそうと言う人はどうぞ。
テキスト量だけでなく、CG枚数や曲数、キャラクター数や参加している声優
さんの数など、かなりの大ボリュームで、とてもやりごたえはあると思います。
プレイする前に、まずメーカのサイトで公開されている、各章のプロローグを
プレイしてみて、合うかどうかを判断した方がいいかもしれません。

最期に。「ごめん、チョコは好きだけど君は嫌いだから」……格好いい(笑)
# もう少し、歯に衣着せようぜ(^^;


以下、ちょいとネタバレも含みますので、これからプレイしようという人は
ご注意を。

この作品、主人公は痛々しいですし、ヒロインもかなりクセがあるので、
どうしてもサブキャラに目がいってしまいがちだと思います。
むしろヒロインより目立っているサブキャラもいて、エンディングがない
のはかなり残念です。何が言いたいかというと、香田エンドきぼー、と。
てゆーか、てっきり香田はメインヒロインだと思ってましたよ……。
# アリスエンドきぼー……とまでは言いませんから(笑)

それと、この作品、主人公は別人格ですが同一人物なわけですが……
どう見ても別人にしか見えないキャラいるんですけど(^^;
というか、なんで声まで変わってるんですか……。
# 髪も染めてるんですか?(笑)
##とりあえず、伽楼羅さん、イカレすぎです(^^;

そんな中、鷹志と蔵人の会話があまりにもステキでした。
「あ? どのキャラっておまえ、こいつらみんな同じような顔じゃねえか」
……それだけは言っちゃならねぇ(笑)



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