こみっくパ〜ティ〜
ブランド名 Leaf ジャンル AVG+SLG
発売日 1999.05.28 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(219x152x32mm) マニュアル ブックレット
DISC容量 DISC1 : 650.3MB、CD-DAなし、CD-ROM XA
DISC2 : 121.9MB+CD-DA=632.8MB、CD-DA24トラック、CD-ROM XA
原画 みつみ美里甘露樹 シナリオ 三宅章生、む〜む〜、鷲見努
乾真樹
音声 一部あり、池田実、奥田香織、サクラ、山本みちる、静御前、高田マキコ、高橋ひなの、
田宮進一、中孝一、藤原りいな、MIYA、牟田悌子、夢実みあ
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 10箇所 あり(2曲、OP・ED)
おまけ アルバムを見る、音楽を聞く
対象属性 萌え、純愛、幼なじみ、赤髪、ポニーテール、オーバーニーソックス、眼鏡っ娘、
関西弁、金髪、ショートカット、リボン、緑髪、ボブカット、アイドル
1プレイ時間 4〜5時間 お奨め度 8

レビュー
概要
大学の入学を決めた主人公は、4月から通う大学を見学に行った帰り、友人の
九品仏大志に、同人誌即売会「こみっくパーティー」に連れて行かれる。昔から
絵を描くのが好きで、美術大学も受験していた主人公は、今まで知らなかった
世界に触れ、驚く。そして主人公は、大志に「同人誌を描け」と言われる。
主人公はその言葉を受け、同人誌を描くことを決意する。果たして主人公は、
同人誌で世界を征服することが出来るのか……という、ADV+SLG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

高瀬瑞希(たかせ みずき)。
主人公の幼馴染みで、大学も同じ所に通うことが決まっている。
主人公とともに「こみっくパーティー」に連れて行かれるが、あまりに世界が
違うため、同人活動には否定的。明るく元気でちょっと乱暴。

牧村南(まきむら みなみ)。
「こみっくパーティー」のスタッフ。柔らかい雰囲気の優しいお姉さん。
スタッフの時はてきぱきと仕事をこなすが、普段はおっとりマイペース。

猪名川由宇(いながわ ゆう)。
主人公が「こみっくパーティー」で出会った同人娘。関西出身で、実家は
老舗高級旅館を経営している。
同人活動に命を懸けており、周りの迷惑も顧みずに突っ走る暴走突撃娘。

塚本千紗(つかもと ちさ)。
主人公が利用することになる印刷屋の娘。元気いっぱいのドジっ娘。

大庭詠美(おおば えいみ)。
「こみっくパーティー」で出会った、超売れっ子同人マンガ家。
由宇とは犬猿の仲で、ことある毎にぶつかり合う。プライドが高く、自分が
大手であることを鼻にかけており、自分を軽んじる主人公にも突っかかる。
世間知らずで物知らず。

長谷部彩(はせべ あや)。
「こみっくパーティー」で出会った、物静かで大人しい女の子。
同人誌に懸ける想いは強く、ひたすら自分の描きたいものを描き続ける。

芳賀玲子(はが れいこ)。
「こみっくパーティー」で出会ったコスプレねーちゃん。
明るくマイペースで、周りを自分のペースに巻き込む。

他にもキャラクターはいますけど、なんか隠されてるっぽいので割愛(笑)
まあ、バレバレですけどね(^^;

絵の方は、なんというか、こう、ゲロ萌え(笑)
非常に可愛らしく、また整った絵柄で、あまりクセもないため、広く受け入れ
られるであろう絵柄ですね。
CGの処理も非常に丁寧で、原画の持ち味を活かしていると思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともあり。アクションが大きく判りやすいため、
会話がとても楽しく、感情移入もしやすいです。

キャラクターは個性的な面々揃い。みんな同人誌や「こみっくパーティー」に
思い入れがあるため、行動基準が明確です。

音声は、キャラクターとのマッチングも良く、演技の方も問題なしです。
ただ、残念ながらこの作品はパートボイスで、通常のイベントなどは音声が
ありません。ちょっともったいないですね。
それと、このゲームは主人公の名前変更可能なのですが、呼びかけ部分は
無音になっています。ただ、呼びかけ部分は独立していることが多く、無音
でもあまり気になることはありませんでした。まあ、音声が入っている箇所自体、
あまり多くないですからね……。

音楽は明るくポップな曲が多め。次いで、静かな落ち着いた曲ですね。
作品の雰囲気を上手く盛り上げてくれます。
ただ、BGMをCD-DAで鳴らしているとき、BGMの切り替えやループが発生
した時、ゲームの動作がしばらく止まるのは勘弁して欲しいです。

ゲームを起動すると、オープニングアニメーションが流れます。
歌は明るくポップな楽しい歌で、ノリが良く、聞いていて気持ちいいです。
絵の方も曲にあわせてころころ切り替わり、絵柄も明るくコミカルな感じの
ものが使われていて、見ていてとても楽しいオープニングですね。素晴らしい。
ちなみに、ごく希に別バージョンの歌が流れることがあるのですが、こちらは
聞いていて気持ち悪いです(笑)

エンディングも歌あり。ちょっと落ち着いた感じの曲ですが、根底には明るさが
潜んでいる感じで、こちらも聞き心地がよく、作品をうまくまとめてくれます。
システム
まずインストールですが、このゲームはインストールしたドライブにCDを入れて
いないと動かない仕様になっています。そして、BGMをCD-DAで流す場合、
先頭のドライブに入っているCD、もしくはCD-DA再生ドライブに(OSの設定で)
指定されているドライブから流れます。ですので、インストールしたドライブと
CD-DAを再生するドライブが違う場合、まともに動きません。
1ドライブが前提となった、融通の利かないシステムですね。

インタフェースはややキーボード操作可。
メッセージ送りや選択肢決定はキーボードで出来ますが、スケジュール選択や
同人誌のジャンル選択など、同人誌作成SLGパートに関しては、キーボードで
操作出来ないことが多いです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ搭載。
バックログはマウスのホイール機能にも対応しています。ただ、ホイールを回す
方向と、メッセージ履歴の辿り方が逆のような……。
それと、バックログのモードから抜けるためには、メッセージ位置を現在の位置
まで戻す必要があるため、何ページも履歴を辿っていると、復帰するのが大変
です。ちょっと使い勝手は悪いですね。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作の方はやや重め。
画面の書き換えやシーンの切り替えで引っかかる感じです。
先述の通り、BGMのループでも引っかかりますし。ちょっと苛つきますね。

セーブ箇所は10箇所。セーブ/ロードはスケジュール選択場面か、同人誌価格
決定場面ぐらいでしか出来ません。通常アドベンチャーパートでは出来ないので
注意。選択肢が出ているときにセーブ、ということは出来ません。
セーブデータはセーブ日時の他、ゲーム内日付と主人公の名前が格納されます。
数としては、全然足りません(^^; ヒロインの数はそれなりに多いですし、ゲーム
自体も結構セーブ/ロードが必要になる感じですので、ちょっとこの数ではどう
しようもない感じですね。1人2人クリアした時点で使い切ってしまいそうです。

システムは、選択肢決定型のアドベンチャー+同人誌作成シミュレーション。
アドベンチャーパートは、ごく普通の選択肢決定型で、選択肢の結果によって
イベントが発生したり、フラグが立ったりするようです。
同人誌作成シミュレーションは、まず3つの大きなジャンルからどのジャンルの
同人誌を作るかを選び、各ジャンルの中から細かいジャンルを選び、作る本の
タイトルを決定します。
そして、週単位でスケジュールを決定し、原稿を作成していきます。
主人公は「創造力」「画力」「仕上げ技術」「カラー技術」「出店センス」の5つの
パラメータを持っており、これが原稿作成の速度や完成度に繋がります。
各パラメータは「練習」もしくは「バイト」であげることが可能で、ただ原稿を描く
だけでなく、適度にパラメータも上げることが必要となります。
そして、入稿日になったら原稿を入稿します。その際に発行部数を決定します。
「こみっくパーティー」当日は、販売価格を決定します。
「こみっくパーティー」は、1ヶ月に1回開催されます。
こんな感じで原稿を作成していくのですが、休日は女の子に電話したり、外出
したりすることが可能になっていて、それによってイベントが発生したりします。
シナリオ・プレイ感
ゲームは、主人公が同人誌を作ることを決意するところから始まります。
月に1度開かれる「こみっくパーティー」に向けて原稿を描く傍らで、女の子と
会ったり電話をしたりしつつ親交を深めていきます。

ゲームは基本的にコミカルに、明るく楽しい雰囲気で進みます。
会話も楽しく、相手の反応がダイレクトに伝わってくるような感じなので、
サクサクとプレイできる感じですね。

そして後半、ヒロイン達の同人誌に懸ける意気込みや、信念などを絡めてやや
シリアスな話が展開して、最後はハッピーエンドという流れになります。
メリハリが利いていて引き込むような魅力があり、お約束な展開や意外な展開を
織り交ぜつつ進むシナリオは、読んでいて面白かったです。

特筆すべきは同人誌の作成過程に関する描写。同人誌を作る流れがゲームの
中で体験でき、そして同人誌に懸ける想いなどが、とてもよく伝わってくる内容に
なっており、本当に同人誌を作っているような気持ちにさせてくれます。
同人活動をやっている人のお約束的な行動や、ちょっとマニアックな単語なども
飛び出してきて、とても雰囲気を盛り上げてくれます。

欠点としてはイベントの幅の狭さ。イベントの内容自体はバリエーション豊か
なのですが、基本的に主人公とヒロイン1対1のイベントが多いため、今ひとつ
広がりがなく、閉じられた世界のように感じます。
エンディング付近では、他のキャラクターも絡んできてかなり盛り上がったり
するのですが、途中のイベントがやや盛り上がりに欠ける感じですね。

あと、ゲームは週単位でスケジュールを立て、「こみっくパーティー」は1ヶ月
単位で開催されるわけですが、その単位で見た場合、イベントの数が非常に
少ないです。1ヶ月の間に起こる大きなイベントは入稿後の1回だけということも
多々あって、ちょっと物足りなさを感じます。
特に、クリスマスやバレンタインがさらっと流されることも多く、今ひとつ盛り
上がりに懸けるようにも感じました。まあ、同人誌に懸けている人にとっては、
クリスマスやバレンタインなど関係ない、ということを表現しているのかも知れ
ませんけど(^^;

H度は並。基本的に各キャラ1回ですが、純愛物にしては描写は濃いめで、
尺もそれなりに用意されていると思います。ただ、あまり突飛な内容はなく、
どのシーンも似たような感じで進むため、面白みには欠けますけど。
# いや、平然とサンシャインの屋上でやってたりしますけどね(笑)

テキストは誤字はあまり目に付きませんが、行頭に『。』が来ている点がやや
目に付きました。それ以外は、あまりクセもなく、読みやすいテキストだと
思います。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は1年間。1週間単位でスケジュールを立てて進め、土日祝日のみ
1日ずつ午前午後の行動を決めます。時間の経過は1日ずつですが、イベントが
何も起こらない日は、何事もなく過ぎていきます。

ワンプレイは4〜5時間。プロローグ部分を飛ばせば、2〜3時間程度です。
各キャラクターのシナリオはほぼ独立しているため、1キャラあたりこれだけの
時間がかかることになります。1周はプレイしやすい長さですが、全体でみると、
それなりのボリュームはありますね。

難易度はやや高め。基本的には狙ったキャラと会い続けていればいいのですが、
土日を全てそれに費やすと、原稿が終わらなくなったりするので注意が必要です。
そして、クリアするためには同人のレベルが条件になっているキャラも結構いて、
パラメータもきっちり育てる必要があります。
さらに、ランダムで発生するイベントが結構あって、他のイベントと重なって発生
しなかったりすることもあって、選択肢できっちり好感度を上げないと、ランダム
イベントが起こらなかったせいで好感度が足りなくなり、クリア出来なくなることも
考えられるような感じなので、注意が必要です。
同人誌作成SLGは、ジャンルの選択から始まって、練習とのバランスを考えたり、
値段を設定したりなど、考えることが結構あって、慣れるまでは少し戸惑うかも
知れません。逆に、慣れてしまえば簡単で、単純作業になってしまいかねない
ですけど。
総評
お奨め度は、ちょっとコミカルな青春ラブストーリーが好きな人にお奨め。
同人誌を通して気持ちを通じ合わせ、想いをさらけ出していく課程が上手く
描かれており、同人誌に懸ける一生懸命な気持ちなどがとても良く伝わって
きて、感情移入しやすいと思います。
笑いあり、涙あり、萌えありで、ストーリーもややイベントが散発的ながら
メリハリもありますし、充分楽しめると思います。

そして、同人誌作成という、ちょっと変わったテーマを扱っていて、同人誌に
興味のある人や、実際に関わったことのある人にとっては、実際に同人誌を
作る様を体験するような感じで、いろいろと考えつつ進めることが出来ると
思います。
逆に、即売会に行ったことがないとか、同人誌に興味がないという人には、
何をどうすればいいのかわからず戸惑ったり、専門的な用語がポンポン出て
くるために、ちょっと引いてしまうかも知れませんけど。
ややプレイする人を選ぶかも知れませんが、それほど深く考える必要はない
と思いますし、同人誌作成SLGも慣れてしまえば大丈夫だとは思います。
同人誌即売会や同人誌作成を極めた人(笑)にとっては、「即売会がこんなに
整然としているわけがない!」とか「同人誌作成がこんなトントン拍子に進む訳が
ない!」など、色々言いたいことはあるかも知れませんが、ゲームなんですから、
多少の美化は許してあげましょう(笑)

問題としては、システム周りの弱さ。インストール時や起動時の問題から始まり、
BGMの制御、フラグ管理の甘さ、そしてもはやお約束となりつつあるCGモードの
不具合など、かなりシステムの貧弱さが目に付きます。
セーブ/ロードやバックログも使いづらいですし。

でもまあ、それを差し引いても充分楽しめると思いますし、なによりCGや音楽の
クオリティは非常に高く、キャラクターも魅力的で萌え転がれると思いますので、
同人誌がテーマとなっていることに引かない人であれば是非どうぞ。
システム周りの貧弱さがなければ、お奨め度 9 をつけてもいいぐらい、楽しめ
ました。

最後に。「256色モードにすると、快適な速度でお楽しみいただけます」
……余計なお世話です(^^;



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