加奈 〜いもうと〜
ブランド名 D.O. ジャンル 恋愛ノベルアドベンチャー
発売日 1999.06.25 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 290.2MB+CD-DA=641.7MB・CD-DA16トラック
原画 米倉けんご シナリオ 山田一
音声 なし
インタフェース キーボード操作不可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 30箇所 あり(3曲、OP・ED・挿入歌)
おまけ プロフィール、CG鑑賞、エンディング鑑賞、音楽鑑賞
対象属性 感動、純愛、妹、病弱
1プレイ時間 約5時間 お奨め度 9

レビュー
1999年に発売されたゲームの中で、シナリオでKanonと争えるのはこの
ゲームしかないとまで言われ、いや、Kanonよりこちらの方が優れている
とまで言う人もいるゲーム、D.O.の加奈〜いもうと〜。


オープニングは歌とアニメーションがあるのですが、これがまたゲームの
雰囲気をよく表す切ないいい曲ですね。この歌はかなり好き。
ただ問題は絵の方。カット毎に加奈の顔違うし(^^;
しかも、子供の頃の絵とかもあるのですが、服装が同じだったらたぶん
気付かないぐらいにどこも変わってない(笑)
逆に、同じ時代でもいきなりごっつい大人びている絵もあったりして、
なかなか見た目だけでは理解の難しい絵ですね(^^;


システムはいつものD.O.のシステム。

インタフェースはマウスのみ。ヤな感じですね(笑)
ノベルタイプのゲームでキーボード使えないっちゅーのはどーだろ。
あ、ちなみにメッセージ表示は全画面表示のビジュアルノベル型です。


キャラクターの方は、妹の藤堂加奈、幼なじみの鹿島夕美。以上(笑)
いや、他にも叔母の霧原須摩子さんや従妹の霧原香奈ちゃん、看護婦の
近藤美樹さんなんかもいるんですけど、ヒロインじゃないし(笑)
てゆーか、基本的にヒロインは加奈だけだし(笑)
# 夕美はお色気担当。さすがに加奈ではお色気担当は難しいので(笑)

ちなみに加奈は昔から体が弱く、夕美とは小学校時代にとある事件
(すげー些細(笑))が起こって疎遠になり、須摩子さんは末期ガン、
香奈ちゃんは慢性肝不全という、はちゃめちゃなキャラ設定になって
ます(笑) 主人公の周りは不幸な奴ばっかりか?(^^;
# 美樹さんは看護婦さん。

絵の方は…萌えない…。
でもまあ、妹属性(お兄ちゃん属性)のある人は、そんなことお構い
なしに萌えるのが正義なんでしょうね(笑)

私は…強いて言うなら小学校時代の夕美萌え(激爆)


ストーリーの方は、病弱で入院しっぱなしの加奈が、高校受験に合格
する所から始まります。…と思ったら、いきなり過去の話が始まります(^^;

主人公は昔は加奈ばかり両親に可愛がられるのがムカついてひねくれ、
加奈に対して辛くあたっていました。しかし加奈が8歳の時点で小学校は
卒業できない、つまり死期が3年後ぐらいだと言われていて、最後のハイ
キング(大袈裟)でのエピソードが語られます。ちなみに加奈は慢性腎不全+α。

はっきり言って私はこの時点で主人公が大嫌いになったため、その後の
展開で全く感情移入できませんでした(^^;
# いや、逆にこれは感情移入出来てるということなのかな?

その後は小学校時代の話が続くのですが、このあたりはけっこー明るい
ノリでプレイしやすかったです。
ただ、やっぱり加奈絡みの話になるとちょっと切なくて、たまに読んで
いてうるうるするような所もありました。
そして話はだんだんダークになっていき、野良猫の話やホスピスの話、
そして加奈の病気の話に入ったときはもう救いようがないですね。

慢性腎不全、末期ガン、肝不全。めちゃくちゃテーマは重いです。
特に叔母の須摩子さんの話は心にのしかかってきます。はっきり言って
辛いです。

内容に関してはあまり深くは触れません。もしこれからプレイしようと
思う人がいるのなら、存分にこの重さを体験して欲しいですし、私自身が
ちょっとあんまり書きたくないので。そのぐらい重いんです。
# あんまり触れないと言いつつ、以下はちょっと内容に触れます。

人は何故こんな重い宿命を背負って生きていかなきゃならないのか。
特にラスト近くの怒濤の展開は、一人の人間がこれだけの宿命を背負って
生きることなんてあり得るのか? と思うほどでした。
# もちろんゲームの中の話ですけど、妙にリアリティあるので…。

「生きたい」…このたった一言が重いですね。
「自分のなすべきことを終えた人は、安心して命を全うできる。その時、
人は死を克服する力を手に入れる」…言うだけなら簡単ですが、本当に
死を克服出来る人間なんてそうそういないと思います。それだけに、ゲーム
中の加奈がとても健気で大きく強く見えます。

絵的には全然萌えない加奈ですが、シナリオに惹かれて最後には主人公と
同じく守ってあげたいと思うようになりました。シナリオが良ければ絵は
多少萌えなくてもなんとかなるものなんですね。まあ、これで絵が萌なら
もっと破壊力が増したかも知れませんけど。
# ただ、このゲームにF&Cの様な絵が付いてもどうかと思いますけど(^^;
##ゲームの雰囲気には合った絵、といったところでしょうか。

挿入歌がまたぐっと来きます。もはや私はこのあたりからラストまでの1時間
ぐらいは泣きっぱなしでした。まぢで画面が見えない状態。
# 遠いものを手にするかわりに、近いものを手放さなければならないか…。


シナリオの方はさすがという感じですが、たまに表現が気になる部分が
ありますね。「ちょと珍しいレアな表情」というのは、日本語的に(いや、
英語も入ってるけど(^^;)ちょっと違和感を覚えなくもない(^^;

基本的には重たいシナリオですが、途中の部分には軽い部分もあって、
テンポは結構いいように感じました。

のり弁当に卵焼き、ウインナー、ミートボールは世界最高の取り合わせ
らしい(笑)
# ささやかな世界最高ですね(^^;
##電気ネズミのぬいぐるみ…(^^;

兄と妹が禁断の愛に陥る話(爆笑) 美樹さん…それ、キツいっす(^^;
# 美樹さん、本ゲーム中唯一お茶らけたキャラ(笑)
# ごっついゲームの雰囲気から浮いてるんスけど…(^^;
##「もう、ちょっぷ」(笑)

しかし、もうすぐ死ぬ人間、しかも血小板不足で今度吐血したらヤバい
かもしれないと言われている人間相手にお当番するかね? ふつー(^^;
しかもどう考えても男性経験ないぞ、加奈って(^^;
お当番が原因で死んだらどーすんだよ(^^; 実際そんな気もしますが…。
# いや、抱かないという選択肢はありますし、最初はそっちを選びました
# けど、あの状況で抱かないのもどうかと思いますし(^^; ←言い訳(笑)
##罪悪感なんてくそったれな倫理観と一緒にゴミ箱行きだ(笑)


ゲーム期間は…小学5年生の頃から大学1年の頃まで。←長っ(^^;
プレイ時間は5時間程度でしょうか。印象的にはKanonと同じくらい。
エンディグの数は6個なので、総プレイ時間もKanonと同じくらい
なのではないでしょうか。


エンディングは…もうその頃には私はズタボロになっていてよく覚えて
いないのですが(^^;、Kanonのように晴れ晴れした物ではなく深く心に
滲み入る物でした。ただ、ひたすら悲しいだけじゃなくて、未来に希望を
抱くような終わり方だったので、まだ救いはあったかな、と。
# 夕美ちゃん、健気(T_T)

最後の方は慢性腎不全でどんどん衰弱していく加奈を、なんとか元気
づけて短い生を謳歌させてあげようとする主人公の気持ちや、加奈と
夕美との間で揺れる主人公の心などを上手く絡めて、ぐっと引き付ける
展開でした。
もうこの頃には私は涙腺のバルブを開放していたので(笑)、大洪水が
発生していました(笑)

で、この展開、何かに似てると思ったら、Kanonの真琴シナリオですね。
真琴がどんどん言葉を忘れていく展開と、加奈が衰弱していく展開は結構
ダブる所がありました。ただ違うのは、最後に救いがあるかどうか。

Kanonはテーマが奇跡で最後には奇跡が起こってハッピーエンドになる
わけですが、加奈は慢性腎不全。不治の病。ゲームをプレイする前から
バッドエンドがわかっているゲームです。ええ、奇跡が起こらない限り
ハッピーエンドはあり得ないという。

ですから、Kanonのシナリオをぬるい・甘いと思う人には、加奈は最高の
ゲームたり得るかも知れないと思います。
あゆがあのまま意識を取り戻さない方がいいという人、名雪は秋子さんが
回復せず自失のままがいいと言う人、栞は手術に失敗してそのまま帰って
こない方がいいと言う人、真琴はあのまま消えていればいいと言う人、
舞はあのまま腹かっさばいて自害したらいいと思う人(笑) そーいう人には
是非一度このゲームをプレイしていただきたいです。
# まあ唯一ハッピー系のエンディングもあるのですが…。

お奨め度ですが…死と向かい合う勇気のある人にならお奨めできるでしょう。
逆に、娯楽であるハズのゲームで辛い思いをするのが嫌な人はプレイしない
方が賢明でしょう。そのぐらいキツい話です。はっきり言って、テーマは
「死」です。ポジティブに考えれば「生」なんでしょうけど、このゲームには
「死」と言う方がふさわしいと思います。そーいうゲームです。

シナリオは泣けます。かなり。しかし、それはKanonのように希望に満ちた
喜びと感動の涙ではなく、ただ辛く悲しい切ない涙です。
# ごく一部だけ感動の涙もありますが。

重いシナリオに耐えられる人で、この絵に拒否反応を示さない人になら是非
プレイして戴きたいですね。

私はプレイしてちょっと人生を見つめ直そうかと思ってしまいました(^^;
人の死についてこんなに深く考えさせられたことってあっただろーか…。
# 私が月光をプレイしたら、骨髄バンクに登録しようとか思うんだろう(^^;
##影響されやすい奴(^^;


あと、音声再生関係とセーブ関係に不具合があるようですね。
他のウインドウにフォーカスを移すと音声再生が一時的に中断するのですが、
その時にリソースリークをしているようで。長時間プレイしたあと終了すると、
Kernel32がエラーを起こします(^^;
# まあホントはDirectX…てゆーかWindowsの問題なんですけど。

あと、セーブ箇所が30箇所あって、10箇所毎にページを分けられているの
ですが、3ページ目へのセーブが異常に遅い。なんでセーブが遅いんでしょう?
# ゲームの後半になると情報が増えるからでしょうか。


しかし…ソフ倫の元締めであるD.O.が、高校入学直後の女の子、しかも
設定的には妹とお当番させてしまうのはどーだろ(^^;
今のソフ倫の基準だとたぶん通らないよね(^^;
# まあ、病弱でなかなか学校に行けなかったため高校受験をしたのは
# 18過ぎてて実は妹じゃなくてあかの他人でした☆という設定にすれば
# OKでしょうけど(笑)
##てゆーか、主人公と2つ違いで主人公は既に高校を卒業しているという
##ことは、実際にそうか(^^; でも、1年遅れだとまだ16…(^^;


…とまあ、極力明るく書いたつもりですが、読み返すとやっぱり重いですね。
このゲームの感想を面白おかしく書くなんて私には無理でした(^^;

ちなみにこのゲームをプレイして、小学校時代酷いことをした人の顔を思い
浮かべた人、現実はそんなに甘くないです(笑)


あと、このゲームは好評だったためか、後に「加奈の郵便屋さん」なるメール
クライアントソフトが発売され、「死にかけの病人に郵便配達をさせるとわ!?」
と大評判だったようです(笑)
# ゲームの特典として付いてきた携帯ストラップもたいがいだったのに…(^^;



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