朱【-Aka-】 | |||
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ブランド名 | ねこねこソフト | ジャンル | デジタルノベル |
発売日 | 2003.06.13 | 定価 | \8,800 |
パッケージ | 紙製パッケージ(164x230x52mm) | マニュアル | A5ブックタイプ |
DISC容量 | インストールDisk : 32.0MB、CD-DAなし 2.84GB(DVD-ROM) Disk1 : 665.8MB、CD-DAなし Disk2 : 694.4MB、CD-DAなし Disk3 : 690.4MB、CD-DAなし ORIGINAL SOUND TRACK : CD-DA=564.8MB、CD-DA21トラック |
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原画 | 秋乃武彦、歩鳥、神代舞、小田原箱根 | シナリオ | 片岡とも、東トナタ、高嶋栄二 |
音声 | あり、宇佐美桃香、籐野らん、まきいづみ、安倍有紀、 鳥居花音、狩奈まえ、蓮香、紅まゆ、北都南、夏海萌 |
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インタフェース | メッセージ送りのみキーボード可 | 描画 | Window・フルスクリーン両対応、 800x600 |
セーブ箇所 | 60箇所 | 歌 | あり(7曲、OP・ED・挿入歌) |
おまけ | アルバムモード、音楽プレイヤー、シーン回想、おまけシナリオ | ||
対象属性 | シリアス、純愛、感動、時代物、銀髪、ストッキング、ガーターベルト、茶髪、ボブカット、 ストレートロング、リボン、赤髪、お下げ、金髪、オーバーニーソックス、青髪、ヘアバンド、 ポニーテール、エプロンドレス、メイド、ツインテール、白髪、 魔法少女、お兄ちゃん、スクール水着、妹、ポンコツ(笑) |
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1プレイ時間 | 12〜15時間 | お奨め度 | 6 |
レビュー |
概要 |
荒涼とした砂漠が広がる土地に、不思議な力を持つルタと呼ばれる者がいた。 そして、そのルタから不思議な力を与えられた眷属と呼ばれる者たちは、ルタ からの命を受けて様々な活動を行っていた。その眷属達がルタから命を受けて 行動することに疑問を抱くとき、物語は始まる。果たしてルタとは何者なのか。 眷属達に待ち受ける運命は……というシリアスノベル。 |
キャラクター・CG・音声・音楽 |
キャラクターは以下の通り。 アラミス。(CV:宇佐美桃香) ルタの眷属。最強の眷属と呼ばれる還す者。記憶を消す力を持っている。 根は明るく無邪気な女の子だが、使命のためにあまり感情を表に出せなく なっている。幼馴染みであり守護者でもあるカダンと行動を共にする。 チュチュ。(CV:籐野らん) ターサと共に旅をしている。明るく、誰とでもすぐ打ち解けられる。 ポンコツ(笑) ファウ。(CV:まきいづみ) ハファザの街で薬師をやっている娘。行き倒れたウェズを助ける。 とても優しい娘で皆を助けたいと願っている。 ルタ。 叶える者。多くの眷属を従える謎の人物。 他にも魅力的なキャラクターはいっぱいいるのですが、とりあえず割愛。 宿屋の娘とか水鏡の者とかかなりいい味だしてるんですけどねー。 絵の方は可愛らしくていいですね。複数の原画家さんがいらっしゃいますが、 統一もとれていていいと思います。 CGはとても丁寧で綺麗ですね。バランスや配色も良くてとても映えます。 ただ、画面がシネマサイズとなっていて上下がカットされていたり、モノクロで 進むところが結構あるのでちょっと勿体ないかも。 おまけのアルバムモードではフルサイズ・カラーのCGを見ることが出来ます。 立ち絵はポーズ変化、表情変化ともそこそこ豊富に用意されており、会話の 内容に合わせて変化しますので臨場感たっぷりです。 キャラクターはメインキャラもさることながら、サブキャラクターにいい味を 出しているキャラが多く、物語に絶妙に絡んできて盛り上げてくれます。 とりあえず、ファウ可愛すぎるねん! ああ、なんていい娘なんでしょう。 是非私を守護者にしてください。←バカ # なにげにフィフェ萌え。←ハファザの街の領主の娘です(笑) 音声はキャラクターとのマッチングもそこそこ良く、演技の方も得に問題ない と思います。基本的に抑えめの演技が多いですので、あまり声が自己主張 することはありませんが。そんな中、チュチュの声は自己主張しまくり。 いいんです。ポンコツだから!(笑) 特筆すべき点はサブキャラ達。メインキャラもさることながら、サブキャラの キャストもかなり豪華で、しっかりとした演技をしてくれます。 特に北都南さんはいったい何役やってるんですか(^^; 1章なんてほとんど北都南さんオンステージ状態(笑) そして音声に関しては1つ大きな問題が。1章のヒロインであるアラミスは、 初回プレイでは音声がありません。1度クリアすると音声をありにするかなしに するかが選べるようになります。……どうしてこんな仕様にしたのでしょうか? 「テンポを速くするため」とのことですが、音声があってもメッセージを読み 終わったら次に進めればいいだけですし、もし音声が鳴る事自体が鬱陶しいと いうなら、個別音声ON/OFF機能でも付けてくれればいいと思います。 アラミスだけ音声がなく、まわりのサブキャラは音声ありというのはどうしても 違和感を憶えてしまいます。 それに、1本道でそれなりに長さのあるこのゲームを、音声のためだけにもう 一度プレイするというのは辛すぎます……。 音楽は静かでちょっと物悲しげな曲が多め。どの曲も単体で聴いても十分通用 する完成度の高い曲ばかりで、非常に聴き応えがあります。 そして、挿入歌が5曲(うち2曲は既存曲)用意されているのですが、どれもちょっと 切ない感じの独特の雰囲気を持った歌で良かったです。 中に銀色の主題歌が挿入歌として使われるところがあるのですが……反則。 歌聴いただけで泣いてまうっちゅーねん(^^; # みずいろは……まあおまけだし(笑) ゲームを起動するとプロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。 歌は静かで落ち着いた中にも力強さを感じさせる歌で、雰囲気も良くなかなか いい感じです。 絵の方は非常に綺麗で細かい絵がよく動いていて見応えがあります。あまり 派手な演出はないのですが、細かい動きまできっちり表現されていて、なかなか 良かったです。 |
システム |
インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。 強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。メッセージ送りとバックログは マウスのホイール機能にも対応しています。 マニュアルの説明ではスキップは既読のみとのことですが、未読メッセージも さくさく飛ばされたような気が……。 まあ、メッセージスキップを使うことはほとんどないとは思いますけど。 描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。 ただし、ゲーム中では上下をカットしたシネマサイズになっていて、カットした 下の余白部分にメッセージが表示されるような感じです。 動作は比較的軽快なのですが、テキストの表示速度を高速にしても完全に 一瞬では表示されないのがちょっと残念。まあ、ほぼ一瞬で表示されます から気にするほどでもないかも知れませんが……。 セーブ箇所は60箇所。セーブ/ロードは随時可能です。 セーブデータはセーブ日時の他に章番号とシーン名が格納されます。 数としてはこれだけあれば充分でしょう。全ての選択肢でセーブしても使い 切ることはないかと。 システムは選択肢決定型のアドベンチャー。選択肢の数はそれほど多くなく、 文章を読み進めることが主体のノベル形式となっています。 |
シナリオ・プレイ感 |
ゲームは章立てて進みます。各章毎に主人公・ヒロインが違ってあり、様々な ストーリーが楽しめるようになっています。ただ、舞台や時代は同じで、ベース となっている設定も統一されています。 ゲームを開始すると説明も何もなしにいきなりストーリーに入っていくので、 最初はちょっと戸惑うかも知れません。しばらく進めていけばだいたい背景 なんかはわかってくると思いますけど。 ストーリーは現在の話と、主人公とヒロインどうして出会ったか、なぜ眷属に なったかという話が平行して進んでいき、最後までプレイすれば全ての設定が 明らかになる、という感じです。 全体的に落ち着いた、少しもの悲しげな雰囲気が漂っており、あまり激しい 展開になったり明るい展開になったりはほとんどしません。 淡々と進んでいく印象があります。 まず感じたことは、キャラクター同士の絡み方が絶妙。 時間軸と舞台が同じため、他のシナリオでも別のキャラが出てきたり、その キャラがやったことの結果が別のキャラに受け継がれたりと、話が綺麗に 繋がっています。このあたりは非常に丁寧に作られており、サブキャラ達も 見事にストーリーに絡んでくるため、厚み・広がりのあるストーリーになって いると思います。 そして、各キャラクターの背景が徐々に解っていく過程はとても丁寧に 描かれており、全てが解るところまでの持っていき方は素晴らしいです。 ただ、全て解った瞬間、あまりにもあっけなく話が終わってしまうことが 多かったです。何度「え? それで終わりなの?」と思ったことか……。 もちろん、その後の話で解決されたりはするんですが、どうしても各章の ラストはぶつ切りっぽく感じてしまうのが残念です。 # というか、全然話が進展してません(^^; あと気になったのは、眷属がどうしてルタの命に従わなければならないか、 という点が曖昧なため、「嫌だったらやめりゃいいじゃん」と思ってしまい ました。実際、嫌だからやめてる人もいるようですし(^^; そのあたり、ルタと眷属の関係とか、もう少し丁寧に説明して欲しかったなー と思いました。ストーリーの根幹に関わる部分ですし、ね。 Hシーンは薄め。別になくてもストーリーに全然影響しない感じ。 むしろ、その状況でやるのはどうよ? と疑問を抱くことが(^^; てゆーか、魅力的なサブキャラ達にも是非お当番を〜(T_T) # おまけシナリオが一番濃いかも……。 テキストは誤字等もほとんど見あたらず、文章も2行以内の短いもので読み やすく、ストーリーに集中できていいですね。 |
プレイ時間・難易度 |
ゲーム期間は……200,000日ぐらい?(笑) 章によって飛んだり大きく戻ったりしますので意識することはありません。 所々で○○daysという表示が入りますが、あまり気にする必要はないかと。 いや、ストーリーの繋がりという意味では気にした方がいいですけど。 ワンプレイは12〜15時間。テキスト量が多いため、読み進める速度と音声を どこまで聞くかでかなり変わってくるとは思いますけど。 あと、おまけシナリオなんかも含めれば、さらに2時間程度かかるかと。 難易度は非常に低め。基本的に一本道のストーリーですから、よっぽど 選択肢で大間違いしない限りはクリアできるでしょう。ただ、クリアしても 「え? これでハッピーエンドなの?」と思うかも知れませんが(^^; # マニュアルによると、次の章に進めればハッピーエンドらしいです……。 |
総評 |
お奨め度ですが、もの悲しい雰囲気を持つシナリオ重視のちょっと切ない シリアスストーリーが好きな人にお奨め。というか、まさにそういうゲームです。 ストーリーは非常に上手く組み立てられており、キャラクター同士の絡み方は 直接的なものは少ないですが間接的なものも含めて絶妙で、幅の広い奥深い ストーリーを楽しむことが出来ると思います。 基本的に大きな起伏もなく淡々と進むので、ともすれば退屈になりかねないの ですが、ポイントはしっかり押さえてある上手いシナリオだと思います。 唯一気になったのは、ほとんどの章でラストがあっけなく終わりぶつ切り気味に なってしまっている所。もう少し余韻を楽しみたいところです。 一番最後の話までプレイした後も、ちょっとその終わり方に納得できかねる ところがあったりして、やや消化不良でした。このあたりはあまり詳しく書くと ネタバレになってしまいますから、最後にちらっと隠して書きます。 そして最大の疑問点はアラミスの音声。最初のプレイでは音声がなく、1度 クリアすれば音声ありでプレイできるようになるのですが、これに何の意味が あるのでしょうか。何度も繰り返しプレイするような作品であればこの仕様も ありだとは思いますけど、基本的に1本道で、1回クリアしてしまえば任務完了 という感じの作品でやる意味を感じません。先にも書きましたが、音声を 入れることによってテンポが遅くなるというのは勝手な押しつけに感じます。 プレイヤーがそう感じたときに音声を自由にOFFに出来るような仕組みだけ 用意してくれた方がよっぽど親切だと思います。この点が非常に残念です。 アラミスの音声がなかなかいいだけに、余計に。 この音声の件と、ストーリーのラストがやぶつ切りで、内容も納得しづらい 内容だったことを除けば、細かいところにまで気を配ってありとても丁寧に 作られているいい作品だと思います。 CGや音楽の1つ1つをとってもかなりのハイクオリティで、これだけの質を 持っている作品はなかなかないと思います。それだけでも充分見応えあると 思いますので、雰囲気が肌に合いそうならば是非。 ストーリー重視の人ならば大外しすることはないかと思います。ラストに納得 できるかどうかは責任は持てませんけど(^^; # ややインパクトに欠ける点も否定できませんけど。 お奨め度は6を付けていますが、銀色 完全版をプレイしていてなおかつ気に 入っている人であれば+1しても問題ないと思います。そのまんまの雰囲気を 継承していますので。 # 最初からアラミスの音声があれば、迷わず7を付けたのですが……。 で、ここからはちょっと毛色を変えた身も蓋もない話になります。 この作品、ぶっちゃけ銀色2ですね(^^; ストーリーの組み立てや演出もさることながら、ベースの設定やシナリオの 根幹に関わる部分まで、見事なまでに銀色を引き継いでいます。 しかも、銀色は銀色でも銀色 完全版の方ですね。 銀色 完全版をプレイしていなくても楽しめるとは思いますけど、プレイして いるとストーリーの深い部分までわかってさらに楽しめると思います。 私も思わずプレイし直してしまいました(^^; # さらにアラミスの音声を聞くために朱も2回プレイしたので、やたら時間が # かかってしまいましたが……。 最後に。このアラミス仲間など必要としておらぬわ!(笑) # 一番面白いのがおまけシナリオの緊急回避ボタンというのが……(^^; ##嫌なことは嫌と言える勇気! 流石は勇者! かっこいい!(笑) ↓ ここからはややネタバレちっくな個人的感想。いちおー隠しときますね。 このゲームの終わり方って、本当に幸せなのでしょうか……。 これって言ってしまえば単なる逃げなのでは? 個人的にはウェズやニムラムのような生き方の方が好感が持てますねー。 いや、カダンとアラミスがあの後どうしたのかは描写されてませんから わかりませんが。願わくば、思いとどまってそのまま暮らしてくれることを。 # あれですか? 朱 完全版で明かされるってヤツですか?(笑) 最後に、身も蓋もない一言。金かかってんな〜(笑) # スタッフロール見てちびりそうになりました(^^; |