フォーチュンクッキー -Fortune cookie-
ブランド名 smart ジャンル 不幸改善AVG
発売日 2004.03.19 定価 \7,800
パッケージ 紙製パッケージ(162x230x40mm) マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 1.86GB(DVD-ROM)
Sound Track : CD-DA=440.9MB、CD-DA18トラック
原画 有子瑶一 シナリオ 秋史恭、J・さいろー
たにみちNON(FlyingShine)
音声 あり、文月かな、夏川菜々美、楠鈴音、理多榎津まお
インタフェース ほぼフルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 50箇所 あり(2曲、OP・ED)
おまけ CG、Scene、Music
対象属性 コメディ、ほのぼの、感動、萌え、義妹、金髪、お兄ちゃん、義姉、緑髪、ボブカット、
義母、ピンク髪、触角、ロリ
1プレイ時間 5〜6時間 お奨め度 8

レビュー
概要
超不運な母・佳恵を持ちながらも、主人公と義妹・義姉の3人で家庭を支え、
なんとか細々ながらも平凡に暮らしている鷹弥家。しかしある日、食事中に
佳恵が呟いた。今月中に、過去最大級の不幸がやってきそうだ、と。佳恵の
不幸予想は的中率が非常に高く、財産の持ち逃げや火事なども当てていた。
何とか不幸を回避しようと右往左往する鷹弥家。そんな中、主人公は突然
運気の状態が見えるようになる。そして、家族の誰かと触れ合うことにより、
運気が変動することがわかった。果たして主人公は、家族と触れ合うことに
より、過去最大級の不幸を回避して、鷹弥家を守ることが出来るのか……
という、不幸改善AVG。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

鷹弥恋(たかやれん)。(CV:文月かな)
主人公の義妹。主人公の部屋が火事で焼けたため、同じ部屋で暮らしている。
お兄ちゃん大好きっ子で、常にくっついている。主人公も恋を甘やかしている。
超幸運の持ち主で、福引きなどはことごとく当たる。
# 「……くれそん……あすぱら……」……恋、らぶりー。
##「風邪の時は消化のいい物を食べないと。何か食べたいものある?」「フグさし」
##……恋、素敵すぎです(笑)

鷹弥唯(たかやゆい)。(CV:夏川菜々美)
主人公の義姉。父親がいない一家の家計を支える大黒柱。明るくさばさばした
性格で、結構照れ屋。
# 「これが運命なら、あたしは神様を呪殺できる」(笑)

鷹弥佳恵(たかやかえ)。(CV:楠鈴音)
主人公の義母。何か行動を起こすとかなりの確率でトラブルが舞い込むため、
家事すらやらせてもらえない。不幸が起こることをある程度予期できる。
# 「お母さんも甘やかして〜」……息子に甘えたがる母親って……。

安原奈々子(やすはらななこ)。(CV:理多)
鷹弥家のお隣さんの奥さんで、いつも鷹弥家を気に懸けてくれる。恋がバイト
しているパン屋のオーナー。

安原真由奈(やすはらまゆな)。(CV:榎津まお)
鷹弥家のお隣さんの娘。五歳。自由奔放に生きており、好き勝手な行動を取る。
やたら難しい物言いをし、何でもお見通しな雰囲気が漂うことも。
立ち絵は何故かいつも木枠を持っている。というか、体浮いてるんですけど……。
# 誰か突っ込めよ。

絵の方は綺麗で可愛い絵柄。ポーズが変わると、ややバランスが崩れることも
ありますが、まあ許容範囲でしょう。
CGの処理は丁寧で、原画の雰囲気を上手く活かしていると思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともあり。会話の内容に合わせて変化しますし、
距離感によって大きく表示されたりもするため、感情移入しやすいです。
さらに、上下左右に動いたり、とてもコミカルな表情があったりと、演出の面でも
なかなか面白いです。

キャラクターは、超不幸の佳恵、普通の唯、超幸運の恋と、運気ではっきり
分かれた配置。性格や設定もバラエティに富んでおり、会話も楽しいです。
恋がめっちゃくちゃらぶりー。拗ねて甘える佳恵さんも好きですけど。
唯も可愛らしいところがあったり、奈々子さんもなかなかいい感じです。
しかし、なんと言っても一番いい味を出しているのは真由奈でしょう。
とても5歳児には思えない言動が素敵すぎです。

音声はキャラクターとのマッチングも良く、演技も良好。唯のちゃきちゃきした
感じや、佳恵のほんわかした雰囲気がとても良く出ています。
恋は可愛らしさ全開ですし、奈々子さんも優しい雰囲気が出ていて、素晴らしい
です。真由奈のぼそっと凄いことを言うのも最高です。もう文句なし。

音楽は明るくコミカルな曲が多め。次いで、静かで穏やかな曲が多いですね。
シーンによくあった曲が使われており、上手く盛り上げてくれます。

ゲームを開始するとプロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌はポップで聞きやすい歌。柔らかく温かい雰囲気のあるなかなかいい曲だと
思います。
絵の方はキャラクター紹介、シーン紹介的なもの。特に目を引く点はなし。

エンディングも歌あり。穏やかで温かい曲で、とても聴き心地がいいです。
プレイ後の気持ちを静めてくれる、穏やかな気持ちになれる曲ですね。
システム
インタフェースはほぼフルキーボードサポート。セーブ/ロード画面のページ
変更だけが出来ない感じですね。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ搭載。
バックログはマウスのホイール機能にも対応しています。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は比較的軽快。ただし、画面エフェクトありだと描画でやや待たされます。
CPU利用率は低めで、エフェクトなしにすれば特にストレスはないと思います。

セーブ箇所は50箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、ゲーム内日付が保存されます。
数としては、選択肢は誰を選ぶかという明確なものが多く、それほどセーブ/
ロードも必要ないと思いますので、これだけあればまあ足りるでしょう。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。「運気グラフ」によって現在の
運気を見ることが出来るのが特徴ですが、これはただ見るだけで、運気を
操作するのは誰と触れ合うかの選択肢になります。いつでも自由に見られる
訳でもありませんし。
シナリオ・プレイ感
ゲームは、佳恵が「すっごい不幸」の予想をするところから始まります。
「財産持ち逃げ」や「家屋半焼(パッケージには全焼と書いてありますが)」で
すら「けっこうな不幸」止まりだったため、「すっごい不幸」では何が起こるの
かと大騒ぎになる鷹弥家。そして、なんとかその不幸を回避しようと、色々と
準備を始める……という感じです。

そして、主人公も運気が見えるようになり、家族の誰かと触れ合うことによって
運気を変えられることがわかり、なんとか不幸を回避しながら一ヶ月を乗り切ろ
うとします。

前半はコミカルな展開。不幸の起こるのが当たり前な鷹弥家の異常な日常と、
不幸をなんとか避けようと右往左往する様がおもしろおかしく描かれます。
いたる所に言葉遊び的なギャグなんかも挟まれていて、会話がとても楽しく、
見ていて自然と頬がゆるむ感じです。
# 車に突っ込まれるのが日常茶飯事な過程って一体……。
##修理費の見積もりがソラで言える家族(笑)

いたる所にパロディも盛り込まれていて、なかなか楽しいです。
ゲーム期間が夏休みということで学生である主人公達は宿題をこなすのですが、
「三年後に植物状態から目覚めた少女は自分の恋人が寝取られたのを知って、
沖縄に日本刀を買いに行った」……なんて素敵な英文が出てきます。というか、
そんな英文が載っているテキストっていったい……。

後半は、家族の絆をベースとしたちょっとシリアスな展開。鷹弥家は、佳恵と恋
以外は全く血の繋がりがなく、そのことについて、それぞれが思い悩んでいる
ことが噴出してくるという感じです。

そして、最後は爽やかで気持ちのいい終わり方です。ただ、冷静に考えると
「それって解決になってないし」と思えることもあるのですが、まあそれも一つの
幸せの形ということで。

特筆すべきは会話の楽しさ。家族はみな個性的なキャラクター揃いで、会話が
とても楽しいです。とっても愉快な家族という感じですね。
そして、「家族の絆」の描写が秀逸で、じーんとすることが多々ありました。
家族が一丸となって不幸を回避しようとしたり、血の繋がりはなくても本当の
家族としてみんなで助け合ったりと、胸が熱くなる展開もありました。

気になったのは「運気グラフ」。まず、運気グラフは基本的に見るだけで、
どうやって不幸を回避するかなどは誰と触れ合うかの選択肢で決まり、しかも
どう運気を変えるか自動的に決まることが多いため、単に不幸の位置を確認
するためだけの手段になってしまっています。もう少し積極的に運気を変える
ような感じを出して欲しいところですね。
さらに、運気グラフに表示されている不幸の位置とシナリオ上の不幸の位置が
食い違っていることがあり、不幸に突入するような方向に運気を変えたりする
こともあって、ちょっと違和感を覚えました。
最後の不幸なんて、運気グラフを見ている限りではどう運気を変えたってダメ
なように見えるのですが……。

H度はやや高め。各ヒロインとも複数回用意されており、描写もそこそこ濃厚
です。ただ、尺の方はやや短く感じることもありました。

テキストは誤字もほとんど気にならず、クセもなく、読みやすいテキストだと
思います。
プレイ時間・難易度
ゲームは7月31日から始まります。ゲーム期間は約1ヶ月。

ワンプレイは5〜6時間。プレイしやすい感じでしょうか。ややまったりした
雰囲気のため、長めに感じるかも知れませんけど。

難易度は低め。基本的に運気変更のために誰と触れ合うかで分岐します。
その他の選択肢も比較的効果がわかりやすいため、それほど悩むことはない
かと思います。
総評
お奨め度ですが、アットホームなほのぼのラブコメディが好きな人にお奨め。
緊迫した状況ながらも、どこかコミカルな雰囲気が漂っていて、軽い気持ちで
楽しくプレイ出来るかと思います。
ただ、基本は家族一丸となって不幸を回避しようという「絆」を描いた作品です
から、時折ほろっとするようなエピソードも入っていて、メリハリは効いていると
思います。

ただ、舞台が基本的に鷹弥家の家庭内のみで、他の登場キャラは、お隣さん
である安原家の人だけですので、ちょっと幅の狭さは感じます。
別に家族だけでなくても、他の人との触れ合いでもいいのでは……。
# 鷹弥家の運気だから、鷹弥家の人しか影響がないんでしょうかねぇ。

でもまあ、限られた舞台の中でもしっかりと人間ドラマは描かれていますし、
安原家の人たちもいいところで絡んでくるため、あまり気にはならないでしょう。
ただ、不幸の回避にユーザが入り込める余地が少なく、運気グラフもただ単に
運気を見るだけという感じで今ひとつ有効に利用されていないのは残念です。

それと、エンディングの数がそれほど多くなく、序盤はほとんど共通シナリオと
なっているため、ややボリューム的には物足りなさを感じるかも知れませんね。
舞台が限られていてるのもボリューム不足感を増しているのかも。
まあ、そうは言ってもそれなりに時間はかかりますし、定価も若干安めに設定
されていますし、何より充分楽しめましたので、個人的には満足です。

これといった欠点の見当たらない、うまくまとまった作品だと思います。最後が
ちょっと拍子抜けというか、うやむやにされた感はありますが、まあそれほど
気になりませんでしたし。
ちょっとコミカルなほのぼのハートフルストーリーが好きな人にはお奨め出来る
作品だと思います。

最後に。真由奈エンドきぼー(T_T) ←5歳児に何を求めている


「もうしこまれているだけ」というセリフを見て、「もう仕込まれているだけ」と
思った私に明日はあるでしょうか。←「申し込まれている」が正解(^^;
# 5歳で既に調教済み!?(笑)



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