愛のメイドホテル物語〜愛しのスク水メイド〜
ブランド名 PSYCHO ジャンル オムニバスAVG
発売日 2004.05.21 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(166x219x31mm) マニュアル B6ブックタイプ
DISC容量 544.9MB、CD-DAなし、Alpha-ROM
通販特典CD : 227.4MB+CD-DA=379.8MB、CD-DA4トラック、CD-ROM XA
原画 桂ともえ、大和えりな、
サスカッチ円空・赤い靴CLUB
シナリオ 林保成、沙村武士、下地和彦
音声 あり、理多、金田まひる、涼森ちさと榎津まお児玉さとみMI-KO
千葉隆秀、雨月士郎、KAZUMA
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応
セーブ箇所 50箇所 あり(2曲、OP・ED)
おまけ おまけモード、CGモード、音楽モード
対象属性 コメディ、メイド、エプロンドレス、ツインテール、リボン、オーバーニーソックス、金髪、
スクール水着、お兄ちゃん、体操服、ブルマ、黒髪、ストレートロング、ウェイトレス、
紫髪、ボブカット、ストッキング、ガーターベルト、サイドポニーテール、ご主人様、
ウェディングドレス、姉妹丼
1プレイ時間 1〜2時間 お奨め度 5

レビュー
概要
舞台は「巫女みこナース」から50年後。「極楽病院」の経営者である「シゲ」と院長
である「ハゲ」は二人とも「達也」に運営を任せ隠居した。「シゲ」は別荘を改築し
「ホテル極楽」を、「ハゲ」は古くなった看護婦寮を改装し「極楽マンション」を
経営する。しかし、「ホテル極楽」は経営不振に陥っていた。その時、新たな
支配人として月夜野概がやってくる。一方、「極楽マンション」には、月夜野概の
従兄弟である月夜野斗牙が管理人をやっていた。そして、「ホテル極楽」にある
ショットバーでは、松野慎一郎という新人のアルバイトが働いていた。彼ら3人を
中心に、物語は進行していく。果たして、彼らの行く末は……という、オムニバス
形式のアドベンチャーゲーム。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

真穂空(まほそら)。(CV:理多)
ホテル極楽で働くメイド。真面目で堅苦しい。概をひき逃げした張本人。
いや、真面目なヤツがひき逃げするか、ふつー。

水城蓬(みずしろよもぎ)。(CV:金田まひる)
ホテル極楽で働くメイド。明るく元気いっぱいな女の子。思い込んだら一直線の
暴走突撃娘。極楽マンションに住んでいる。

朝霧香奈子(あさぎりかなこ)。(CV:涼森ちさと)
極楽マンションの住人。極楽ホテルの近所にある喫茶店「Teahouse極楽」で
働いている。人見知りで、人と話すときはどもってしまう。

朝霧夏美(あさぎりなつみ)。(CV:榎津まお)
極楽マンションの住人。香奈子の妹。元気いっぱいで自由奔放な女の子。
斗牙のことを「お兄ちゃん」と呼び、ひたすらじゃれつく。
国語辞典の大きさと硬さと匂いが一番気持ちいいらしい。
# 外にいるときも体操服かスクール水着というステキキャラ。

氷室涼(ひむろりょう)。(CV:児玉さとみ)
ホテル極楽内にあるショットバーのマネージャー。さっぱりした性格。
自分の夢のために働いている。

岬河名(みさきかわな)。(CV:MI-KO)
ホテル極楽に泊まりに来た、大金持ちのお嬢様。どこかで見たことがあるような
気がするのは気のせいでしょう。目は見えているようです(笑)
# 「新規開拓! 目の見えるヒロイン」……いや、ふつー見えると思うよ(^^;

バスガイド。(CV:金田まひる)
岬河名と共にホテル極楽にやってきたバスガイド。「大和えりな」という名前なの
ですが、ゲーム中ではほとんど「バスガイド」としか呼ばれず、スタッフロールで
すらも「バスガイド」でクレジットされる可哀想なキャラ。

みらくる☆みきぽん。(CV:MI-KO)
ホテル極楽に住み着いている謎の生命体。その全てが謎に包まれているし、
誰も知りたいと思わない(笑)

絵の方は、すっきりした可愛らしい絵柄。全体的に明るい雰囲気で、衣装も
派手なため、華やかな印象があります。ただ、原画家が複数いる関係か、
シーンによってややバラつきがあるように思えます。バスガイドは明らかに
絵柄が違っていますけど。
CGの方も、綺麗ではあるのですが、若干ばらつきが気になります。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともになし。ただし、会話シーンではフェイス
ウインドウが出現し、その中の表情はコロコロ変わります。コミカルな表情が
なかなからぶりーです。ただ、怒っているシーンでも立ち絵の表情はにこにこ
していたりするのはちょっと違和感。

キャラクターは個性豊かで様々な方向性のキャラがいて、みんな好き勝手に
動いているような感じです。シナリオ毎にメインとなるキャラは違っているの
ですが、キャラクター間の繋がりはあって、別のシナリオにも登場したりと、
会話などの幅は広くなっています。

音声は、どのキャラも最初はちょっと違和感を覚えましたが、すぐに慣れると
いう感じでした。キャラクターの個性が強いため、最初はキャラクターに声が
引っ張られているように感じるのですが、徐々に馴染んでいくような感じ。
最終的には、違和感もなく、自然に聞くことが出来ました。
演技の方は全く問題なし。ただ、個性的なキャラクターが多いため、合わない
人にはウザく感じることもあるでしょう。香奈子とか夏美なんかは特に。
あと、蓬とバスガイドは同じ人が演じているのですが、きっちり演じ分けが
されていて、なかなか良かったです。

音楽は、ゆったりほのぼのした曲が多め。コミカルな曲からシリアスな曲まで
幅広く揃っています。

ゲームを起動すると、オープニングアニメーションが流れます。
歌はノリのいいポップな曲。至る所に合いの手やかけ声が入っていて、明るく
楽しい雰囲気です。ただ、歌の方はややパワーに欠け、曲に負けてしまって
いるように感じます。もう少し曲とのバランスを取って欲しいところ。
絵の方は、キャラクター紹介を交えつつ、コミカルで変な絵が続々と出てくる
という、なんやよーわからん構成になっています。画面上に常に野郎の絵が
出ているような状態で、しかも全裸になったりするのはちょっと(^^;

エンディングも歌あり。こちらは、なんかだ演歌調の面白い歌。暗いんだか
明るいんだかよーわからん曲ですね。
絵の方ですが、スタッフロールがスタッフの名前をただ流すだけではなくて、
文章で紹介していくような感じになっていて、しかも開発裏話的なものもあり、
なかなか面白いです。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りと選択肢決定、
メニュー画面の呼び出しはキーボードで出来ますが、メニューの内部操作は
キーボードで出来ないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常時も、音声のリピート再生は可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。動作はやや重め。描画でちょっと
引っかかる感じです。CPU利用率はべったり100%。

セーブ箇所は50箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シナリオタイトルと章番号、シーン画像が
保存されます。
数としては、選択肢が片手で数えられる程度なので、充分すぎますね。
全てのシナリオをクリアしても、使い切ることはないかと。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。
最初にどのシナリオをプレイするか選ぶ、オムニバス形式になっています。
シナリオは3本ありますが、パーテン編のみ一度他のシナリオ(ホテル編?)を
クリアしていないとプレイできないようです。
別にバーテン編に他のシナリオのネタバレがあるわけでもなし、どうして
クリア順を制御したのか謎ですが。
それぞれのシナリオは、クリアするとオマケが見られるようになります。

このゲームはAlpha-ROMによるプロテクトが施されています。サポートの方は
早かったです。

ディスクレス起動不可。バックグラウンドの動作も不可です。
シナリオ・プレイ感
ゲームの方は、ホテル編・マンション編・バーテン編の3つに分かれていて、
ゲーム開始時にどのシナリオをプレイするかを選択します。

ホテル編は、主人公がホテル極楽にやってくるところから始まります。
着いた早々事故に遭うが、挫けずホテルまでやってくると、そこに事故の
当事者がいて、一悶着ありつつもホテルの支配人としてなんとかやって行く、
という感じです。ちなみに、事故の話はその後さらっとスルーされます。
どこかで見たことがあるようなお嬢様、岬河名やバスガイドがホテルに泊まり
一悶着起こしたりしながらも、経営不振のホテルをなんとかやりくりしていく
という流れになります。
話は基本的にコミカルに進み、途中ちょっとシリアスなシーンを挟みつつ、
最後はほのぼの締めるという感じで、安心してプレイできます。
まあ、今ひとつ盛り上がりもないわけですが。

マンション編は、マンションのゴミ捨て場が荒らされる事件が起こるところ
から始まります。マンションの住人である朝霧姉妹も下着を盗まれたり不審
人物を見たということで、それを警戒しつつ姉妹との交流を深めていくという
流れになります。
こちらも終始コミカルな感じで進むのですが、根底に事件や不審人物の事が
あるため、どこか緊迫した雰囲気も漂います。
最後はお約束な感じではありますが、まあ安心してプレイできるかと。
ちょっとあっけなさ過ぎて拍子抜けな感がありますが。

バーテン編は、ショットバーで働くバイトである主人公が、ひょんなことから
カウンターに入ることになり、マネージャーの涼と親交を深めつつ、涼の持つ
悩みなどを解決していく……という流れになります。
こちらはややシリアスな感じで、修羅場的な描写も結構あって、メリハリの
効いた内容になっています。ただ、人間のドロドロしたところを描いた部分も
あって、ちょっと気分悪く思えるところもありました。
最後は爽やかに締めてくれるのは同じですが。
しかし、ホテルは経営不振で困っているのに、その中にあるバーにはそんな
いっぱい客が来るのか?(^^;

特筆すべきはキャラクター達の関係。あるシナリオではメインヒロインでも、
別のシナリオではサブキャラなわけですが、そういったサブキャラが、上手く
ストーリーに絡んできて、盛り上げてくれます。
ただ、シナリオによってはほとんどそういったサブキャラが出てこなかったり
しますけど。

逆に気になったのは、キャラクターの一貫性のなさ。シナリオが違うと全然
性格がちがったり、同じシナリオの中でも後半はがらっと性格が変わった
ように思えるなど、ややちぐはぐなところが見受けられました。
特に主人公に多いのですが、Hシーンでは全く別人のようになったり、最初は
大人しいキャラかと思っていたら、実は愉快な奴だったり。逆におちゃらけた
ヤツかと思っていたら、最後はすっごい真面目に締めたりなど、ちょっと感情
移入しづらかったです。

あと、シナリオの各所にギャグがちりばめられているのですが、これはかなり
好みが分かれる気がします。合わない人にはひたすら鬱陶しい、感情移入の
阻害でしかないでしょう。
「エッチなのは良くないと思います」だの、「スーツの裾がひるがえらぬ様」
だのというアニメのパロディから、「ど、ど、どうする!?」「あいふる〜♪」
といったネタまで、色んなネタがちりばめられています。そもそも、岬河名の
存在自体がパロディという感じですし。
他にも、「みらくる☆みきぽん」というキャラクターの存在や、エンディングの
お遊びなど、楽屋ネタ・内輪ネタが見受けられ、ヘタをするとプレイヤーに
疎外感を与えかねないですね。知ってないと面白くない、というネタが多いので、
かなりプレイする人は選ぶと思います。

H度は並。各ヒロインとも複数回用意されていて描写もそこそこ濃いのですが、
尺がやや短く、主人公の性格が豹変するため、今ひとつ盛り上がりきらない
感じです。ただ、1つのシーンで何枚も絵が用意されていたり、ほとんどが着衣
のままだったりと、こだわりは見受けられます。

テキストは、ちらほら誤字が見受けられます。それほど致命的なものはない
と思いますが、よく意味が通らなかったり、一瞬考えさせられるようなものは
ありました。
「重いものを動かしたりしないので、もし良ければ手伝っていただけませんか?」
……動かしたりしないなら、別に手伝わなくていい気がするのですが(^^;
# 「動かしたりしたいので」じゃないんですか? それとも、「重いものを動かせ
# なんて言わないから手伝ってよ」という意味? ……違うと思うけど。
##んで、スタッフロール、鈴森って誰だよ(笑)
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は不定。シナリオによっては数日だったり、数ヶ月だったり。
平然と2ヶ月経過したりするので、特に意識する必要はないでしょう。

ワンプレイは1〜2時間。シナリオによって若干差はありますが、総じてかなり
あっさり終わります。

難易度は低め。各シナリオは選択肢が1つ2つしかなく、全てエンディングの
分岐になっているような感じですので、悩むことはないでしょう。
総評
お奨め度ですが、明るくコミカルで軽いノリの話が好きな人にお奨め。
各所にギャグ・パロディがちりばめられていて、作品全体が軽いノリになって
いて、テンポも良くプレイしやすいです。
ただし、パロディは元ネタを知らないとなかなか楽しめませんし、内輪ネタに
いたっては、プレイヤー置いてけぼりなことも多々あって、人によっては嫌う
かもしれません。

そして、シナリオのボリュームも気になりました。どのシナリオも1時間程度で
クリアできるのですが、山が1つしかなく、ほとんど盛り上がらないまま終わる
ような感じで、ちょっと物足りなさを感じます。
シナリオも短いため、必然的に描写も端折られたり、展開が性急だったりと、
かなり無理があるところも見受けられました。
# 「私あなたのことが好きになりました」「じゃあいいんだよね?」……早っ(^^;

さらに、シナリオが3本あるとはいえ、エンディングの数はそれほど多くない
ため、メッセージスキップを使えばあっさりコンプリート出来てしまうため、
全体のボリュームとしてもかなり物足りなさが残ります。

ややばらつきはありますが絵柄はとても可愛らしいですし、声優さんも実力の
ある人が揃っていますから、あまりネタに走りすぎず、普通に作ったとしても、
充分楽しめるものになるような気がします。それなのにネタに走りすぎた結果、
せっかくの魅力を殺してしまい、物足りなさを感じてしまうのが残念です。
ネタに走るとしても、まず作品の方をしっかり作り、それからにして欲しい
ところですね。パッケージに「馬鹿げーを目指せ」とありますが、
馬鹿ゲーとして見た場合、中途半端な内容になっているように思えますし。
インパクトもあまりなく、ごく普通にちょっと外した感のあるコメディ調の作品
という感じでした。というか、どこらへんがバカゲーなんですか?(^^;
# 確かに、蓬エンドのラストはあんまりだとは思いますが(^^;

最後に。香奈子さん、外にいる時も袴なのはまあいいとして、トレイは持って
いなくていいだろう(^^;


斗牙や概を見ていると、やたら超重神グラヴィオンだの勇者王ガオガイガーが
頭をよぎるのですが(^^;
つーか、他にもまほろまてぃっくとかファイナルファンタジーとかサクラ大戦
とかいろいろ頭をよぎりますけど。……パロディキャラばっかりかよ(^^;

心の叫び2題。
・香奈子、初めてじゃないのかよ! 相手は誰だ!
・河名、Hシーンなしかよ! バスガイドにすらあるのに!
以上(T_T)

しかし、作品の売りであると思われるオープニング・エンディングの歌やムービーを
サイト上でフルに公開したり、CGもかなりの数掲載されている状態では、何のために
ゲームを買ったのかよーわかりませんね(^^;
もう少し、情報は小出しにしてもいいのではないでしょうか……。
歌やCGを全部見せても売れるほどのシナリオ、というわけでもあるまいに。



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