明日の君と逢うために
ブランド名 Purple Software ジャンル アドベンチャー
発売日 2007.11.30 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(183x257x40mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 GAME DISC : 1.98GB(DVD-ROM)、Alpha-ROM
原画 まっぴーらっく シナリオ 鏡遊北川晴
音楽 34曲、yan(鳥煮亭)、
マッツミュージックスタジオ
アブカワオサム、橋本みゆき
あり(2曲、OP・ED)、橋本みゆき
音声 あり、安玖深音、祢乃照果、五行なずな、井村屋ほのか、沢野みりか、一色ヒカル、
風音、北都南、城樹翔、小池竹蔵、葉村夏緒、倉田まりや
インタフェース フルキーボードサポート 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 126箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 141枚
おまけ CG鑑賞、シーン鑑賞、音楽鑑賞
対象属性 純愛、学園物、赤髪、幼なじみ、体操着、女教師、お下げ、巨乳、ツンデレ、後輩、
金髪、ツインテール、チャイナドレス、黒髪、ショートカット、先輩、ボブカット、浴衣
1プレイ時間 9〜11時間 お奨め度 7

レビュー
概要
御風島、そこは神が住む島と言われ、盛りの奥深くに入った者は神隠しに遭う
と言われていた。7年ぶりに御風島に帰ってきた主人公は、森の中で、7年前に
神隠しにあって消息を絶っていた幼なじみと再会する。しかしその幼なじみは
過去の記憶を失っていた。そして御風島で過ごし始める主人公。いろんな人に
逢い、絆を深めていく。果たして主人公は、神の住む島で何を見、何を得て
いくのか……という、純愛アドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

若宮明日香(わかみやあすか)。(CV:安玖深音)
主人公の幼なじみで、7年前に神隠しに遭い消息を絶っていた。帰っては来た
ものの、過去の記憶を全て失っている。御風家で里佳と共に暮らしている。
明るく元気で無邪気な天然娘。しかし頭は良く、スポーツも万能。ただし常識は
欠落している。感情が豊かで、ヘコんでもすぐ立ち直る。

御風里佳(みかぜりか)。(CV:一色ヒカル)
主人公の従姉。学園の国語教師にして学園長。代々御風島の盟主たる家系で、
島一番の屋敷に住んでいる。主人公の保護者を気取るが、家事は全く出来ず、
主人公に頼りっきり。大雑把で面倒くさがりだが、とても優しい女性。
数字に弱い。数字とはもう別れたらしい。

七海美菜(ななみみな)。(CV:風音)
主人公のクラスメイト。いつもテンション高く騒がしい。ムードメーカー兼
トラブルメーカー。妄想が生きる糧。演劇部に所属しており、部長のあさひに
憧れる。また、本土で中華料理屋のアルバイトをやっている。
成績はかなり悪く、補習の常連、崖っぷち。

夕霧瑠璃子(ゆうぎりるりこ)。(CV:五行なずな)
主人公の後輩で、ほんわかした優しい女の子。ちょっと身体が弱い。
明日香と仲が良く、主人公にもよく懐いている。
グループ内では唯一の常識人。ただし、ちょっと天然。

泉水小夜(いずみさや)。(CV:祢乃照果)
主人公のクラスメイト。クールでぶっきらぼう、人を寄せ付けない雰囲気を
持つ女の子。頭が良く、スポーツも万能だが、どちらも明日香に負けている
ためか、明日香を目の敵にする。物事をはっきり言う。毒舌。

月野舞(つきのまい)。(CV:沢野みりか)
七海がアルバイトしている店のリーダー。実質的に店を牛耳っている。
お客様の前では笑顔を絶やさないが、本質は人をいじめること、からかう事が
何より大好き。ツインテの悪魔、嫌がらせのデパートの異名を持つ(笑)

藤崎あさひ(ふじさきあさひ)。(CV:井村屋ほのか)
主人公の先輩で、演劇部部長。おっとりほんわかした雰囲気でマイペースだが、
実は結構毒舌。つかみ所のない不思議な女性。
演技力はずば抜けており、演技の時は人が変わる。

りん。(CV:北都南)
森の中で出会った不思議な女の子。無口で無表情。言動もなぞめいているが、
主人公に行き先のアドバイスなどをしてくれることも。
正体バレバレとか言うの禁止。

絵の方は可愛らしく、とても活き活きとした魅力的な絵柄だと思います。
パッケージの絵と本編ではちょっと雰囲気が違うように感じました。
本編の絵の方が活き活きとしていていいと思います。
CGは明るめの発色で綺麗に処理されており、見栄えも良くていいですね。
立ち絵はポーズ変化・表情変化共にあり。ポーズ変化はアクションが大きく、
表情も非常に豊かで、コミカルな表情も多く、立ち絵を見ているだけでも
とても楽しめます。特に明日香はコミカルな表情が多く、面白いです。
そして、立ち絵だけでなく、背景も含めた演出がめちゃめちゃ凝ってます。
電車の動きに合わせてつり革が揺れる、背景は流れる、水面はきらめく、
砂浜には波が打ち寄せる、主人公がきょろきょろすると絵が左右に動く、
女の子が近づいてくるとどんどん立ち絵が大きくなる、テレビではずっと
アニメーション(というか、プリミティブ・リンクのオープニング)が流れて
いる(少なくとも連ドラではないと思う(笑))、立ち上がる時にいったん体が
前に動いてから上に動く、などなど、至る所にアニメーションなどで演出
されており、とても臨場感に溢れています。
もう、これだけでお腹いっぱいなぐらいです。
# ただ、とりあえず、シリアスな話する時はテレビを切って下さい。
# ずっとプリリンのオープニングが流れていて気になって仕方ありません(^^;

キャラクターは個性豊というか、自分勝手というか、フリーダムに生きている
キャラが多く、とても活き活きとしています。
明日香や七海はやりたい放題騒がしいですし、舞や小夜は暴言吐きますし、
あさひ先輩はマイペースに毒舌ですし、里佳姉はだらしないですし、瑠璃子は
おろおろしてますし、りんは無表情ですし。みんなとっても魅力的です。
……全然魅力的に聞こえないかも知れませんが、それはきっと気のせいです。
ところで、小夜は目つきが悪い、怖いと言われてますけど、普通に可愛いので
別にそんな風には感じませんでした。

音声はキャラクターとのマッチングは良く、演技の方も問題なし。
テンション高めのキャラが多いですが、おかげで会話もとても楽しく、
引き込まれるぐらいの勢いがあります。
あさひ先輩はもう少し間延び感があってもいいような気はしましたけど。

音楽はゆったりした綺麗な曲が多め。のどかな落ち着いた雰囲気がよく出て
いると思います。基本的に静かな曲が多いですが、一部明るく騒がしい曲も
あったりと、メリハリがあります。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌は軽快なテンポの爽やかな曲ですが、それでいて力強さや切なさも感じられる、
なかなかいい歌だと思います。
絵の方はイメージムービー的なものですが、テレビアニメに勝るとも劣らない
ぐらい動きまくっていて、これぞ「アニメーション」という感じですね。
もう、これを見ただけでも満足できるぐらい、クオリティの高い、また曲とも合って
いるアニメーションだと思います。
何故かやたら全裸率が高いのは気になりますが。

エンディングも歌あり。歌はちょっと切ない雰囲気の漂う、力強い曲。
ラストをしっかりと締めくくってくれる感じです。

なお、タイトルメニューで放置すると、キャラクター紹介という名のコントを
見ることが出来ます。これを見てからプレイすると、キャラクターがつかみ
やすくていいかも。変な先入観も持ちそうですけど。
システム
インタフェースはフルキーボードサポート。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能、音声のリピート再生も可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は軽快。スキップ動作も高速です。

セーブ箇所は126箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とゲーム内日付、自由記述の
コメントが保存されます。
数としては、選択肢の数はそれほど多くなく(途中で一気に増えますが)、
効果も比較的わかりやすいので、これだけあれば充分でしょう。

システムは選択肢決定型のアドベンチャー。
条件を満たすと選択肢が増える、シナリオ追加型のシステムになっています。
ヒロインはグループに分かれていて、段階的にクリアできるようになっていく
みたいですね。

この作品にはAlpha-ROMによるプロテクトが施されており、初回起動時のみ
ディスクチェックが入ります。その後はディスクレス起動が可能です。
バックグラウンドでの動作は可能です。
主人公の名前は「八代修司(やしろしゅうじ)」固定です。

細かい設定の出来るシステムなんですが、メッセージウインドウの背景色は
もうちょっと細かく設定したかったかも。贅沢ですけど。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が御風島に帰ってきて、明日香と再会するところから始まり
ます。神隠しにあって消息を絶っていたはずの明日香と再会して驚きつつ、
明日香が過去の記憶を失っていると知って落胆し、それでも毎日を楽しく
過ごしていく……という感じです。

前半は明るく楽しくコミカルに進みます。元々主人公は御風島に住んでいた
ので、前半では各キャラクターと再会したり、新しい出会いをしたりという
縁を広め・深めていくところが描かれます。
基本的にみんな明るく楽しいキャラなので、会話はとても面白く、テンポ良く
ぽんぽんと進む感じです。

後半は女の子との距離を縮め、気持ちを通わせ逢いつつ、女の子の抱えた
問題や、島の伝説などを絡めた話が展開していきます。
ややシリアスになったりすることもありますが、そんなにドロドロするわけ
ではなく、メリハリもあるので、プレイはしやすいかと思います。

最後はすっきり綺麗にまとめてくれますので、プレイ後の気分は爽快です。

まず特筆すべき点は、先にも書きましたが演出の細かさ。
立ち上がる、振り返る、歩くといった動作が、テキストだけでなく立ち絵
でも表現されていて、とてもわかりやすく臨場感たっぷりで、感情移入が
しやすいです。
まあ、「涙目になる」とテキストで出た時点で、絵では目の幅涙になって
たりましますが、すっげぇ可愛らしいので問題なしです。(いいのか?)

そして、キャラクターもみんなとても活き活きとしていて魅力的で、みんな
お気に入りというぐらいです。みんな一癖も二癖もあるキャラクターなの
ですが、不思議と憎めなくて、むしろそれすらも魅力になっているという
感じで、作中でとてもよく活かされていると思いました。

そして、セリフのメリハリが凄いです。マジメな話をしてしんみりしたと
思ったら、次の瞬間にはもう別の視点でギャグやってたり、相手もちゃんと
それに突っ込んでいたり、とにかくテンポが小気味いいです。もちろん、
ホントにシリアスなところはちゃんとシリアスにやってくれますし。
ただ、会話の切り替えがめちゃめちゃ早いので、馴染めない人もいるかも
ですね。ちょっと気を抜くと置いて行かれますし。

H度は並。各ヒロインとも複数回(3回。1回だけのキャラもいますけど)用意
されており、尺の方はそこそこ長め。描写はややあっさりめです。
基本的に純愛系の気持ちを伝え合うようなシーンで、そんなに変わった
ものはありません。ただ、場所は結構いろんな所でやってますが。

テキストは誤字等はほとんど気にならず、テンポも良くメリハリもあって
読みやすいテキストだと思います。
プレイ時間・難易度
ゲームは6月2日(月)から始まります。
ゲーム期間は2ヶ月弱。最初は1日ずつ進んでいきますが、後半は結構飛ぶ
ことも多いです。

ワンプレイは9〜11時間。ちょっと長めですが、テンポが良くメリハリもある
ため、そんなに長くは感じませんでした。
ただ、共通部分は結構あるものの、個別ルートも結構長く、またエンディングも
そこそこ多いため、2周目以降スキップを使っても、コンプリートするには結構
時間がかかります。

難易度はやや高め。基本的に狙ったキャラ寄りの選択をすればいいのですが、
選択肢のどちらを選んでも誰かのフラグが立つという感じのものが多く、
うまく避けていかないと狙ったキャラのシナリオになかなか入れなかったり
します。また、ちょっと引っかけっぽい選択肢もあったりしますし、さらに
クリア順制御もありますので、コンプリートするのはやや大変かも。
総評
お奨め度ですが、ちょっと伝奇的な雰囲気の漂う純愛ストーリーが好きな人に
お奨め。基本的にドタバタ学園ラブコメなんですが、神隠しなんかが絡んで
来ますので、一風変わった展開になることもあります。

キャラクターはみんな魅力的で活き活きとしており、細かい演出や演技等で
さらに盛り上げてくれます。感情もとても良く伝わってきますし、テンポも
よく、システムも快適で、とてもプレイしやすいと思います。

ストーリーは島の伝説を中心として様々な話が展開し、最後にそれを綺麗に
まとめるという作りになっていて、まあそれぞれの話で完結してはいるん
ですけど、最後までプレイすると綺麗にスッキリするという感じです。

それほど大きな感動があるわけでもなく、大笑いできるわけでもないですが、
演出の細かさやキャラクターの魅力、テキストのメリハリでぐいぐいと引き
込んでいく力はある作品で、とても丁寧に作られており、綺麗にまとまった
作品だと思います。
ややインパクトには欠ける気もしますけど、大外しもしない、という感じ
でしょうか。
基本的にキャラクター主導の作品ですので、雰囲気とキャラクターが気に
入った人は是非どうぞ。
オープニングと演出だけでも、充分見る価値はあると思います。

最後に。なんか、学園祭に喫茶ヴィオーラとか出てるんですけど(笑)
# ヴィオーラ : 前々作「あると」に出てくるファミレス。
##プリリンのオープニングといい、微妙に過去作ネタにするのね(^^;


以下、若干ネタバレなつぶやき。

七海攻略対象外かよ!(^^;
# まあ、見事なまでにパッケージでも紹介されてませんでしたしね(^^;

……まあいいや。舞が攻略対象だったから(笑)
てっきり、舞が攻略対象外だと思ってました(^^;

里佳も攻略対象外だと思っていたら、ちゃんと攻略対象、むしろオチ(笑)
だったのはびっくりしました。
ということでりんエンドきぼー。←そこかよ



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