MagusTale〜世界樹と恋する魔法使い〜
ブランド名 Whirlpool ジャンル マジカル恋愛ADV
発売日 2007.11.30 定価 \8,800
パッケージ 紙製パッケージ(232x168x40mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 ゲームディスク : 3.11GB(DVD-ROM)、Alpha-ROM
原画 てんまそこもわた遙華 シナリオ 大三元、尾之上咲太
音楽 28曲、OdiakeS(ARS NOVA)、
鈴木マサキ、田辺トシノ、景家淳
あり(3曲、OP・ED)、
橋本みゆき、yozuca*YURIA
音声 あり、佐本二厘、安玖深音、青山ゆかり、木村あやか、成瀬未亜、風音、
みすみ、北都南、海原エレナ、三咲里奈、月黒斗夜、ミサイルγ
インタフェース メッセージ送りのみキーボード可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 100箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 130枚
おまけ CGモード、ムービーモード、シーンモード、サウンドモード
対象属性 学園物、魔法少女、純愛、ドタバタ、ラブコメ、銀髪、ストレートロング、リボン、アホ毛、
義妹、お兄ちゃん、オーバーニーソックス、ポニーテール、ツンデレ、赤髪、女教師、
ピンク髪、ボブカット、先輩、白衣、金髪、ツインテール、双子、エプロンドレス、
メイド服、ご主人様、紫髪、長耳
1プレイ時間 7〜8時間 お奨め度 7

レビュー
概要
主人公は、父親が失踪したことを妹に知らせるため、妹が通っている学園の
ある島に向かっていた。しかしそこで遭難し、打ち上げられた浜辺で倒れて
いる1人の少女と出会う。記憶を失っているその少女と共に、とりあえず
学園を目指す主人公。しかし主人公達は、侵入者ということで攻撃を受ける。
その攻撃は、魔法を使ったものだった。なんとか妹と再会した主人公は、
この島のことを聞く。この島は、魔法使いの島で、学園でも魔法を教えて
いるという。そして主人公は、その学園に通うことになる。果たして、
主人公は、この学園で何を学んでいくのか……という、マジカル恋愛ADV。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

アリシア=インファンス。(CV:佐本二厘)
主人公が流れ着いた浜辺に倒れていた少女。記憶を失っている。
性格は丁寧で控えめ、引っ込み思案。優しく思いやりのある女の子。
主人公を全面的に信頼し、いつもついてまわる。

天ヶ瀬小雪(あまがせこゆき)。(CV:安玖深音)
主人公の義妹。留学生として学園にやってきている。
性格は明るく前向きで、頑張り屋。おだてに弱い。誰からも好かれる
親しみやすい性格。魔法の素質も高く、成績は学年トップクラス。

セーラ=フィニス=ヴィクトリア。(CV:青山ゆかり)
主人公のクラスの委員長で、成績はトップ。同学年のリーダー的存在。
学園長の娘で、魔法の素質は非常に高い。プライドが高く負けず嫌い。
物事をハッキリ言う。

エルダ=フィニス=ヴィクトリア。(CV:海原エレナ)
学園長で、セーラの母親。優しく親しみやすい性格で、ノリがいい。
この世界が気に入っており、しきたりや風習などをどんどん取り入れる。

ミレーヌ=サーヴィス。(CV:北都南)
学園の講師。人当たりが良く、優しく頼れる先生。学生思いで、親身に
なって相談に乗ってくれる。

九条優花(くじょうゆうか)。(CV:木村あやか)
学園の先輩で、小雪のルームメイト。病弱で、学園は休みがち。38度5分
までは微熱と言い切る。身体は小さいが大食いで、身体の体積以上の食事を
たいらげる。植物が大好きで、中庭の花壇の手入れをしている。花壇の主。

レナ=ジェミニス。(CV:成瀬未亜)
学園の後輩で、小雪の親友。双子の姉。明るく無邪気で好奇心いっぱい。
魔法の発動は得意だが、制御は苦手。思うがままに行動するため、時には
周りを巻き込むことも。

ニナ=ジェミニス。(CV:風音)
学園の後輩で、小雪の親友。双子の妹。大人しく控えめで落ち着いた性格。
魔法の制御は得意だが、魔力が小さく発動は苦手。奔放な姉を抑える役。

エマ=グラディウス。(CV:みすみ)
主人公のクラスメイト。主人公と同じく魔法が使えず、運動が得意。
成績は悪く、主人公・アルベルトと共に三バカトリオを結成する。大雑把。

セシル=アベセンティア。(CV:三咲里奈)
世界樹を観測する観測台の管理人。精霊で、魔力高い人にしか見えない。
クールで口数が少なく、感情表現にも乏しい。外に出るのと高い所が苦手。
# 鉄火面(笑)

絵の方はすっきりとした絵柄で、とても可愛らしく活き活きしていて魅力的
だと思います。表情も豊かでいいですね。
CGは明るめの色遣いで丁寧に処理されており、見栄えもいいと思います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。会話に合わせてコロコロ切り替わり、
コミカルな表情もあって、見ていて楽しいです。
ただ、ボガードの肩にちゃんと鷹を乗せて欲しかったなとか、アルベルトの頭に
スズメをのっけて欲しかったなとか、細かいところで気になるところはありま
したが。
あと、各所でデフォルメ絵が使われるのですが、これがすっごく可愛らしくて
ほのぼのしていて良かったです。

キャラクターは個性豊かな面々揃い。いわゆる恋愛アドベンチャーによくいる
キャラクターを集めたような感じで、王道という感じですね。
妹やツンデレ、双子など、お手本のような配置です。
セシルLOVE。エマやミレーヌもいい味出してますね。

音声はキャラクターとのマッチングは良く、演技の方も文句なしです。
各声優さんの代表的な、得意なタイプのキャラクターが割り当てられている
感じで、非常に安定していて、入って行きやすいです。
# 「的を射た」とテキストでは正しい用法なのに、音声では「まとをえた」と
# 読んでいたのはちょっと気になりましたが。
##あと、「花壇の主」は、「かだんのぬし」なのか「かだんのあるじ」なのか
##どっちなんですか(^^;

音楽はほのぼのとしたのどかな雰囲気の曲が多め。他にも、緊迫感のある曲や
静かな曲、激しい曲など多彩に取り揃えられており、作品を盛り上げてくれます。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌はアップテンポで流れるような旋律の爽やかな曲で、伸びのある歌声と相まって
とても聴き心地がいいです。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なものですが、演出がなかなか凝って
いて、キャラクター自体はアニメーションしないものの、背景やエフェクトは
よく動いていて、なかなか見応えがありました。

エンディングも歌あり。軽快なテンポながらも、どこか切なさの漂う、心に染み
入ってくるような歌で、ラストの雰囲気とよくあっていていいですね。
システム
インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作はやや重め。エフェクトでいちいち待たされます。エフェクトをOFFに
すれば、若干マシにはなりますが。
スキップ動作はやや遅め。

セーブ箇所は100箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とメッセージの一部が保存されます。
数としては、選択肢はそれほど多くなく、エンディングの数もそんなに多くは
ないので、これだけあればなんとかなるでしょう。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。フラグによって、
攻略キャラが分岐するようです。
また、条件を満たすとシナリオが増えたりおまけシーンが追加されたりする、
シナリオ追加型のシステムになっています。

この作品はAlpha-ROMによるプロテクトがかかっていて、初回起動時のみ
ディスクチェックが入ります。2回目以降はディスクレス起動可能です。
バックグラウンドでの動作は可能。
主人公の名前は「天ヶ瀬大樹(あまがせだいき)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公がフォーティア魔法学園にやってくる所から始まります。
そこで記憶喪失の女の子・アリシアと出会い、一緒に学園を目指す途中、
教師や学生達から魔法で攻撃されまくり、なんとか学園にたどり着いて、
そのまま学園に通うことになる……という感じ。

前半は、明るく楽しくドタバタな学園生活が描かれます。コミカルな描写が
多く、ギャグやパロディもちりばめられていて、とても楽しいです。
# 手から和菓子を出したり、他人の夢を見たりするのは、特定の島でしか
# 使えない魔法じゃないかな……(笑)
##もしかして、この島は初音島なのか!? 世界樹は実は桜なのか!?(笑)

この前半で、色んな人達の元を回って、誰と一緒にいたいかを決めていく
という感じになります。
イベントは単発で、飛び飛びな感じのため、ちょっと作業感が漂います。

後半は、一緒に過ごしたいと決めた人とともに、この島最大のお祭りである
世界樹祭に向かって準備していく、という展開。その中で、各ヒロインの
抱えた問題と直面したりしつつ、絆を深めていきます。

ラストはちょっと切ない展開があったり、手放しでハッピーエンドとは言い
つらい展開もあったりはしますけど、それでもすっきり綺麗にまとめられて
いて、後味の悪さ等はなく、爽やかに終わります。

プレイしていてまず感じたのが、主人公の立ち位置のうまさ。
主人公はこの島で唯一魔法の使えない学生で(実際にはエマもいますけど)、
そのかわり体力はあり、頭は悪いけどバカではなく、行動力もあってあまり
うじうじしたりもしない、非常に親しみやすい、感情移入しやすい主人公
だと思います。いつも前向きで気持ちいいですね。
この主人公なら、多くの人から好かれても納得、という感じです。

また、他のキャラクター達もみんな魅力的で、サブキャラにいたるまでみんな
作中でしっかりとした役割があり、作品を盛り上げてくれます。
まあ、サブキャラは、特定ルートでしか活躍しないこともあったりしますけど。

逆に、細かいところでちょこちょこ気になるところもありました。
まず、キスシーンには絵が欲しかったです。一番盛り上がる、いいシーンだと
思うんですが、そこに絵がないのは肩すかしを食らったような感じです。
あと、小雪のペンダントを最初見た時にそれが何か気付いていたはずなのに、
後から見た時に初めて気付いたようなことを言われたり、アリシアは魔法試験を
受けていなかったはずなのに成績が載ってたり、レナ・ニナに自分の部屋を提供
してましたけど、そんなことしなくても普通にレナ・ニナの部屋を使えばいいん
じゃ? とか思ったり。

H度は並。各ヒロインとも複数回(2回+α)用意されており、尺はそこそこ長め。
描写は比較的濃いめです。
みんな初めてなんですが、いきなり2回戦に突入したり、3回戦もあったりと、
純愛物にしては頑張っていると思います。
内容的には純愛系の王道で、気持ちを確かめ合うようなシーンが多いです。
また、条件を満たすと、シーンモードでおまけシーンを見ることが出来るように
なります。

テキストは誤字等はちらほら見受けられましたがそれほど気にはならず、
テンポも良く読みやすいテキストだと思います。
プレイ時間・難易度
ゲームは11月28日から始まります。厳密にはその前日からですが。
ゲーム期間は約1ヶ月。シナリオによってはもう少し続いたりもしますが。
基本的に1日ずつ進みます。最後の方は飛んだりもしますけど。

ワンプレイは7〜8時間。テンポが良くサクサク進むので、あまり時間は感じず。
プレイ時間的にはちょうどいいぐらいでした。
また、共通部分が6割ぐらいありますので、2周目以降はスキップを使えば結構
短縮は可能です。

難易度は並。ツリー状に分岐していくような選択肢で、ある選択肢を選ぶと
その後の別の選択肢が出てこなくなるような感じなので、奥深いところにある
選択肢に気付かず進んでしまうこともあるので、注意しないと狙ったルートに
入れないことがあるでしょう。また、選択肢は誰に関連するものか解りづらい
ものも多く、セーブ/ロードを駆使して進むのがいいかも。
まあ、選択肢の数はそれほど多くないので、そんなに苦労することはないかも
知れませんが。ただ、選択肢の数が少ないため、1つでも見逃すと、別のルートに
入ってしまうこともありますので、狙ったキャラ以外の選択肢は、極力選ばない
ようにしておいた方がいいかも。
総評
お奨め度ですが、真っ直ぐな王道純愛物が好きな人にお奨め。
魔法使いの島という特殊な舞台ではありますが、内容は純愛ストーリーで、
惹かれ合っていく様がとても丁寧に描かれており、じっくりと楽しむことが
出来ると思います。
また、嫌な印象を受けるシーンがほとんどなく、安心してプレイできるのが
ありがたいですね。
ちょっと切ない展開なんかもあったりするんですが、しっかりアフターフォロー
してあったりと、とても好感が持てました。

そして、主人公を含めて、サブキャラにいたるまでキャラクターがみんな
とても魅力的で、掛け合い等も活き活きしており、ストーリーの流れもとても
自然で、感情移入しやすかったです。
サブキャラもとても魅力的なだけに、エンディングがないのはとても残念に
思えますね。そのぐらい、みんな活き活きとしていました。

ただ、個別ルートに入ると、出てくるキャラクターが限られたり、後半はやや
駆け足気味だったりで、もう少しじっくり描いて欲しかったな、という印象は
ありました。特にサブキャラは、活躍するシナリオが限られていたのは残念。

全体的にとても丁寧に作られていて、大きな欠点は見あたらず、純愛物の
お手本のような王道の展開で、安心してプレイすることが出来ました。
魔法使いの島という設定も上手く使われていて、主人公や各キャラクターの
設定も含めて、よく考えられていると思いました。
特に、キャラクターの配置、ギャグとシリアスの比率、イベントの配置など、
あらゆる面で非常にバランスがいい作品だと思います。
細かいところはちょこちょこ突っ込みどころがありますが、逆に言えばそう
いう細かいところぐらいしか突っ込みどころがない、良くできた作品だとも
言えると思います。
これといった強烈なインパクトはないのですが、よくまとまった、いい作品
だと思いますので、雰囲気が気に入った人は是非どうぞ。
「信頼」「絆」といったものがテーマという感じの、心温まるシナリオを
是非楽しんで欲しいです。

最後に。ところで、八神主任エンドはないんですか?(笑)
# あれだけプロローグで意味ありげに出てきたのに、その後放置かよ(笑)


以下、凶悪にネタバレですので、未プレイの方はスルー推奨。

サブタイトルを見て、「世界樹と恋する」って、どんな植物フェチだよ、とか
思ってたんですけど……ホントに世界樹と恋してるーっ(笑)
まあ、かなり序盤でその設定には気付いてましたけど。
てっきり最後は、ラピスがアリシアに変化するのかと思いました(^^;
# まあ、トゥルーシナリオで、もっとえらいことになったわけですが(笑)

……ところで、ラピスが発現しないのに、主人公、卒業できるんですか?(笑)
まあ、島を出なければ、記憶を失わないでしょうし、そもそもトゥルーでは
封印解けちゃってるので平気なのかも知れませんけど。



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