さくらシュトラッセ
ブランド名 ぱれっと ジャンル AVG
発売日 2008.01.25 定価 \9,240
パッケージ 紙製パッケージ(232x167x41mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 2.77GB(DVD-ROM)、Alpha-ROM
原画 くすくす シナリオ NYAON
音楽 34曲、BURTON、樋口秀樹、鈴木マサキ あり(4曲、OP・ED・挿入歌)、
橋本みゆき、WHITE-LIPS
音声 あり、佐本二厘、風音、桜川未央、井村屋ほのか、一色ヒカル、青葉りんご
本山美奈、桃井いちご、角川竜二、倉田まりや、氷室百合、富士山一番、葵時緒、
屑星宇宙男、雑賀隆三、紫色舞
インタフェース メッセージ送りのみキーボード可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 100箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 75枚
おまけ CG鑑賞、シーン鑑賞、音楽鑑賞、おまけ1、おまけ2
対象属性 純愛、ドタバタ、幼なじみ、ボクっ娘、ポニーテール、ウェイトレス、義姉、ヘアバンド、
義母、未亡人、お下げ、金髪、魔女っ子、ガーターベルト、ストッキング、リボン、
オーバーニーソックス、ツンデレ、銀髪、ストレートロング、放尿、ボブカット、ショタ
1プレイ時間 9〜10時間 お奨め度 6

レビュー
概要
料理人を目指す主人公は、母親が倒れたと聞き、実家に戻ってくる。そして、
母親が1人で切り盛りしていたレストラン「かもめ亭」を、なんとかやって
いこうと決意する。そこに、不思議な少女が現れ、店を手伝うことになる。
しかし、その女の子は魔女だった。果たして、主人公はかもめ亭を無事に
やっていくことが出来るのか……という、ドタバタアドベンチャー。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

里村かりん(さとむらかりん)。(CV:桜川未央)
主人公の幼馴染み。明るく元気で無邪気で若干脳みそが緩そうな女の子(笑)
食べることが大好きで、いくら食べても太らない腹ペコキャラ。
頭の中はお子様で、羞恥心がカケラもない。

綾瀬優佳(あやせゆうか)。(CV:風音)
主人公の義理の姉。短気で強気、すぐに暴力で主人公を押さえつける。
しかし、基本的に主人公のことを溺愛している。料理の腕は壊滅的。
ゴキブリが苦手。

綾瀬美咲(あやせみさき)。(CV:本山美奈)
主人公の義理の母親。おっとりのほほんとした女性。かなり天然。
子供っぽくて、茶目っ気たっぷりだが、包み込むような優しさを持つ。

小野寺早希(おのでらさき)。(CV:桃井いちご)
かもめ亭のある商店街一帯を取り仕切る家の娘。かもめ亭のために、
色々とアドバイスをしてくれる。ただし、言うことは厳しい。
人をからかうのが大好き。

マリー・ルーデル。(CV:佐本二厘)
かもめ亭で働くことになった魔女っ子。明るく優しい女の子。あがり症。
照れ屋で意地っ張りで一生懸命。基本的に前向きだが、ふとしたことで
自虐モードに入りどんどん自分を追い込む。
抱き枕カバーを欲しがるオタク娘。

ルゥリィ。(CV:井村屋ほのか)
マリーの使い魔。……だが、マリーの言うことを聞かない。
表情に乏しく、クールで気まぐれな女の子。毒舌。猫大好き。

クラウディア・クレメント。(CV:一色ヒカル)
マリーの友達である魔女。世界制服を目指して日夜悪事に励む。
人が嫌がることが大好き。

クリストフ・クレメント。(CV:青葉りんご)
通称・クリス。クラウディアの弟。……だが、見た目の可愛らしさから
女の子に間違われることもしばしば。礼儀正しく丁寧な子。
いつも傍若無人で無茶苦茶な姉のフォローに回っている。

絵の方はほんわかした雰囲気の可愛らしい絵柄。表情豊かで動きもあって
いいですね。
CGは柔らかいタッチで丁寧に処理されており、優しい雰囲気が漂います。
立ち絵はポーズ変化・表情変化共にあり。アクションが大きく、コミカルな
表情なんかもあって、とても活き活きとしています。

キャラクターは個性豊かな面々揃い。基本的に人の話を聞かない傍若無人な
キャラクターが多く、勝手に突っ走っていきます。主人公も人の話を聞かない
ため、もはや会話が成り立っていないことも。
で、お気に入りキャラですが、もう言わなくてもわかりますよね?
ええ、クリス以外に誰がいると言うんですか! ←男です
……えーっと、高月久美子萌え? ←絵すらありません
……ぐーでりあん萌え? ←猫です
ルゥリィも好きですよ? ←普通だ

音声はキャラクターとのマッチングは良く、演技の方も文句なし。
かりんの明るく元気いっぱいなところや、ルゥリィのクールなところがとても
よく表現されていて、感情移入もし易いです。
メッセージウインドウに出ていないところのセリフ、まわりの冷やかす声とか、
連れ去られていくフェードアウトとか、ぶつぶつ文句言ってるところとか、
そういう部分も凝っていていいですね。
なお、淫語は一瞬無音になるだけなので、ほとんど違和感なく聴けます。

音楽はほのぼのゆったりした曲が多め。静かでちょっと切ない雰囲気の曲も
多いです。ピアノや管弦楽器をメインにした、綺麗な曲が多く、単体で聴い
ても充分に楽しめますね。

ゲームを起動すると、オープニングアニメーションが流れます。
歌は落ち着いた雰囲気の温かみのある爽やかな歌。とても聴き心地が良く、
リラックスできる感じです。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なものですが、演出が凝っていて
曲に合わせてパタパタと切り替わるので、なかなか見応えはあります。
一部、微妙に曲とズレていて気持ち悪いところもありましたが。

そして、プロローグが終わると、また別のオープニングが流れます。
歌は優しく暖かい感じの歌で、ゆったりと聴けていいですね。
絵の方は基本的にキャラクター紹介と、あとは文字によるプロローグ的な
演出が入ります。

エンディングも歌あり。ゆったりほのぼのとした歌で、雰囲気のあるいい歌
ですね。

挿入歌もあるんですが、結構動きのある激しいシーンで、しんみりとした
挿入歌を流されても……。
# かりんシナリオではなかなかいい感じでしたが。

あと、マリーの変身シーンには、ムービーが用意されていたりします。
# 「普通、こんなシーンにわざわざムービー用意するか?」(笑)
システム
インタフェースはメッセージ送りのみキーボード可。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能、音声のリピート再生も可能です。
前の選択肢に戻る機能も付いています。……選択肢、ほとんどありませんが……。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作は重め。音声やBGMの再生でかなり負荷がかかっているようですね。
また、描画もやや重めで、全体的にちょっともたつく感じです。
スキップ動作はやや遅め。

セーブ箇所は100箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像が保存されます。
数としては、選択肢の効果が明確で、エンディングも少ないため、これだけ
あれば充分でしょう。
ただ、セーブ/ロード画面を開くと、必ずクイックセーブ/ロード画面が開くと
いうのは、ちょっと使いづらい気がします。最新のデータがあるページを開く
ぐらいの優しさが欲しいところです。
まあ、クイックセーブを多用する人には、この方がいいのかも知れませんが……。
あと、セーブ/ロード画面でクイックセーブの画面があるんですが、何故かその
ページにもセーブが出来ちゃったりします。なので、実質セーブ箇所は+9箇所
ですね。

システムは移動場所選択型のアドベンチャー。いくつか選択肢も出てきます。
移動場所選択は誰に逢いに行くかを決めるもので、空振りすることはありません。
まあ、誰もいないところを選択すれば、ヒロイン以外のイベントが起こりますが。

あと、音楽鑑賞は、ちょっと使いづらいと思います。わざわざリストに登録して
から再生しないといけないのは面倒ですよ……。なんでこんな仕様にしたのやら。

本作品にはAlpha-ROMによるプロテクトが施されており、初回起動時のみディスク
チェックが入ります。それ以降はディスクレス起動可。
バックグラウンドでの動作は可能です。
主人公の名前は「綾瀬春美(あやせはるみ)」固定です。
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公がかもめ亭をやっていくことを決意するところから始まります。
1人ではとても厨房を取り仕切れず途方に暮れていたところに、料理の上手な
マリーが現れ、協力してもらって何とかやっていく……という感じ。

前半は慣れないレストラン経営の中のドタバタ劇を描くコミカルな展開。
冒頭から、緊迫したシリアスでおバカな話が展開したりと、ギャグやパロディが
ちりばめられた、メリハリのある展開が楽しめます。

後半は、各ヒロインと親密になり、障害を乗り越えて絆を深めるという展開。
シリアスな展開が多く、ちょっと重くなったりもしますが、最後はすっきりと
終わってくれるので、プレイ後の気分は爽快かと。
おちゃらけて終わることが多いので、感動的という感じではありませんが。

まず特筆すべき点は演出。立ち絵のポーズ変化・表情変化は当然として、
キャラクターが振り返る、喜んで飛び跳ねる、いきなり近寄ってくるなど、
立ち絵でも動きが表現されていて、臨場感たっぷりです。

逆に、プレイしていて気になったのは、キャラクターの描き方。
まず主人公ですが、ちょっとプライドが高くて人の話を聞かない空回りくんで、
平気で人を傷つけるようなことを言ったり威張ったり怒鳴り散らしたり暴言を
吐いたりと、ちょっと入り込みづらかったです。
すぐカッとなるため、乱暴で思慮の浅い発言が多かったですし。

他のキャラも、同じく人の話を聞かず、空気が読めず、頭が悪いのを言い訳に
好き放題するかりんや、暴力で人を押さえつけようとする優佳、ちょっとした
ことですぐにうじうじと籠もってしまうマリー、人の迷惑を顧みず嫌なことを
繰り返すクラウディアなど、マイナスの印象が強すぎます。
特にクラウディアは、迷惑のかけ方がちょっと人として許せませんでした。
序盤のかりんもやや疲れますけど、その比じゃなかったです。
基本的に悪い奴じゃないとは思いますし、最後にはいい味を出していたりも
するのですが、最初の悪い印象が強すぎて。

そんな好き放題なキャラクター達が、テンションの高いドタバタ劇を演じる
前半は、ついていくのが大変で、プレイしていて疲れました。ちょっと嫌な
気分になることも多かったですし。
後半はしんみりとしたいいお話になるのですが、前半のイメージが強すぎて、
今ひとつ乗れませんでした。
# マリーは逆に、後半になるほどイメージ悪くなってる気もしますが。

それと、どのキャラクターも前半と後半で性格が変わるというか、かなり
印象が違うのですが、その切り替わりがやや唐突で、ちょっと戸惑うことが
ありました。
ルゥリィがいったいいつ心を許すようになったのかとか、もう少し丁寧に
描いてくれても良かったんじゃないかなー、と。

H度は並。各ヒロインとも複数回(3回)用意されており、尺の方はそこそこ。
描写はややあっさりめです。キャラクターによっては、2回戦3回戦が用意
されていたりもします。
内容的には、基本的に純愛系のらぶらぶHですが、結構特殊なシーンが多く、
ひと味違った展開が楽しめます。
主人公は基本的にHで、おっぱい星人で、放尿もOKという人なので、結構
ノリノリです。その割には経験がないので、最初はおっかなびっくりだったり、
失敗しちゃったりすることもありますけど。

テキストは誤字等はほとんど気にならず、テンションが高くノリのいいテキ
ストだと思います。
プレイ時間・難易度
ゲームは3月30日から始まります。
ゲーム期間は約1ヶ月。基本的に1日ずつ進みます。

ワンプレイは9〜10時間。若干長く感じましたが、テンションが高くテンポが
いいのでサクサクと進められました。
全体の7割ぐらいは共通ルートなのですが、誰と会うか、誰のイベントを見るか
選択肢ながら進む作品なので、思ったほどスキップは効きません。
とは言っても、半分ぐらいにはなりますけど。

難易度は低め。基本的に狙ったキャラクターと会い続けていればOKです。
総評
お奨め度ですが、テンションの高いコミカルな一風変わった純愛ストーリーが
好きな人にお奨め。基本的にはレストランを舞台にした普通の純愛ストーリー
なのですが、魔法という要素が入ってくることによって、ちょっと変わった
展開になっています。

演出がとても凝っていてキャラクターの感情が良く伝わってきますし、
テンポ良くメリハリのあるストーリーは引き込む力があると思います。
キャラクターも個性的で活き活きとしていていいですね。

ただ、ちょっと個性的すぎるというか、マイナス面がクローズアップされて
いたのがちょっと気になりました。
なんだか前半は、各キャラの嫌な面ばかり見せられている感じ。
プライドが高く人の話を聞かない主人公、すぐにうじうじ勝手に悩むマリー、
騒がしく空気を読まないかりん、すぐ暴力に訴える優佳、わがまま放題の
ルゥリィ、迷惑かけ倒しのクラウディア。クリスだけが唯一のオアシス(^^;

テンションが高くドタバタなのは別にいいんですが、ちょっと看過できない
ようなことをやるキャラクターがいたり、印象が悪いのはどうにも。
自分が食べたいものがあるからワザとオーダー間違えて余らせて食べようと
したり、残り少ない食材を嫌がらせのためにつまみ食いしたり、人として
どうかと思うような言動がちらほら見受けられてあまりいい気分はしません
でした。クラウディアの嫌がらせとか、かりんの「難しいこと言わないで」
とか、何度も何度も繰り返されるので、いい加減鬱陶しかったです。
プライドが高くすぐ怒鳴る主人公よりも、私の方が許容範囲は狭かった模様(^^;

作品全体で見ると、ノリが良くてメリハリもあって、笑えるし泣けるいい
作品だと思いますし、演出が凝っていたりムービーや挿入歌も入ったりと、
なかなか丁寧に作られている作品で好感は持てます。
それだけに、キャラクターに感情移入出来なかったのだけが残念です。
もうちょっとキャラクターが落ち着いていれば、もっとすんなり作品に入り
こめたと思うのですが。
後半のストーリーなんか、すっごく好きなんですけどねぇ。

テンションが高く突っ走っている作品が好きで、ノリやキャラクターが気に
入った人は是非どうぞ。プレイする時は、ある程度広い心が必要かも知れ
ませんが(^^;
心に余裕のない時にプレイすると、結構イライラするような気がします……。
このキャラクターを受け入れられるかどうか、全てはそれ次第ですね。

最後に。過労で倒れて1ヶ月入院って、どんだけ過労してたんだ(^^;


以下、ラストに絡む感想。

かりんシナリオの最後、お約束ではありますが、すっごくいいシーンだと
思うんですよ。実際泣けましたし。
ただ、もう少し、もう少しだけエンディングに入るのを引っ張って欲しかった。
泣けたと思ったらもう終わってるんだもの! もう少し浸らせて下さいよ……。
まあ、最後は全ての記憶を戻してあげてもいいんじゃ? とは思いましたし、
そもそもお互いの気持ちを確かめるのがあっけなさ過ぎるというのもありますが。
上手くやれば、もっと盛り上がったと思うんですけどねぇ。
マリーシナリオは、何しにドイツまで行ったの? って感じでしたし。
あと、優佳シナリオは魔法が無駄遣い過ぎる(笑)
ルウリィは、キャラ萌えだけが全てだったような気も。
特に、猫の姿の時の表情がめちゃめちゃ可愛いんですがっ。
とりあえず、早希シナリオきぼー。いや、むしろクリスを(笑)
あと、まじかるまりんアニメ化きぼー(笑)



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