タユタマ-kiss on my deity-
ブランド名 Lump of Sugar ジャンル 恋する乙女の神通力ADV
発売日 2008.07.11 定価 \9,800
パッケージ 紙製パッケージ(190x267x38mm) マニュアル A5ブックタイプ
DISC容量 4.16GB(DVD-ROM)
Vocal Collection「Moment of Love」 : CD-DA=301.4MB、CD-DA9トラック
原画 萌木原ふみたけ シナリオ 史方千尋
音楽 29曲、大川茂伸、志倉千代丸、
虹音、浅井裕子、KAB
あり(8曲、OP・ED・挿入歌)、
kicco、霜月はるか
泉戸ましろ(cv.松田理沙)、
河合アメリ(cv.花野香)、
小鳥遊ゆみな(cv.青戸由羽)、
如月美冬(cv.三咲里奈)
音声 主人公以外フルボイス、松田理沙、花野香、青戸由羽、三咲里奈、
二朗、比留間京之介、黒岩圭介、中瀬ひな、名和野恋、空乃太陽、松永雪希
インタフェース ややキーボード操作可 描画 Window・フルスクリーン両対応、
800x600
セーブ箇所 100箇所+クイックセーブ1箇所 CG枚数 189枚
おまけ CGレビュー、シーンレビュー、ミュージック、ムービー
対象属性 純愛、学園物、伝奇物、幼馴染み、ツインテール、リボン、オーバーニーソックス、
巫女装束、金髪、触角、先輩、ストッキング、女教師、ピンク髪、義妹、ボブカット、
お兄ちゃん、獣耳、尻尾、和服、着物
1プレイ時間 10〜12時間 お奨め度 5

レビュー
概要
実家が神社である主人公は、ある日、学校のグラウンド拡張工事現場で、奇妙な
遺跡を目にする。遺跡に不思議なものを感じた主人公は、壊される前に別の所に
移そうと、御魂移しの儀式を行う。しかし、誤って遺跡を壊してしまい、中から
見たこともない生き物が出てくる。それは「太転依(たゆたい)」という物の怪で、
遺跡に封じられていたという。そして、その太転依の中で最強の存在が、少女に
姿を変えて主人公の家に居着き、太転依の中でも三強と呼ばれる者達を捕まえ、
太転依達を大人しくさせ、太転依と人間が共存できる世の中を作る手伝いをして
欲しいという。果たして主人公の運命は……という、恋する乙女の神通力ADV。
キャラクター・CG・音声・音楽
キャラクターは以下の通り。

河合アメリ(かわいあめり)。(CV:花野香)
主人公の幼馴染みでクラスメイト。学園理事の娘。気まぐれとその場のノリで
生きている。自分勝手でわがまま。

如月美冬(きさらぎみふゆ)。(CV:三咲里奈)
学園の女子学部に在籍する最上級生で、主席代表と生徒会長と監督生を足した
上にいくつかの教諭を超える特権を持っている総代(ミレディ)。
真面目で責任感が強く、武道にも長けている。

蘭ちゃん(らんちゃん)。(CV:中瀬ひな)
主人公のクラスの担任。ノリが良くてきとーででたらめで破天荒な教師。
……本名はなんですか?(^^;

小鳥遊ゆみな(たかなしゆみな)。(CV:青戸由羽)
一時期主人公と一緒に暮らしていた妹のような女の子。主人公のことを
「お兄ちゃん」と呼び慕う。常に自分より周りのことを気遣う優しい娘。
突き抜けたテンションと自殺しそうなほどのネガティブを同居出来る(笑)
思い込みが激しく、知識はかなりマニアック。

泉戸ましろ(みとましろ)。(CV:松田理沙)
最強の太転依、綺久羅美守毘売(きくらみかみのひめ)の転生体。
おっとりマイペースでほんわかした女の子だが、案外負けず嫌い。
主人公のことを夫と呼ぶ。泉戸姓は主人公から取っている。

絵の方はほんわかとした非常に可愛らしく活き活きとした絵柄。
表情豊かで感情が良く伝わってきます。
CGは明るめの発色で丁寧に処理されており、とても見栄えがいいです。
立ち絵はポーズ変化・表情変化ともにあり。会話にあわせてコロコロと切り
替わり、コミカルな表情があったり、演出も凝っていたりと、見ていてとても
楽しいです。

キャラクターは個性豊かでアクの強い面々揃い。基本的にみんな我が強く、
人の話を聞かず、思い込みで突っ走るキャラばかりのため、かなり破天荒な
ストーリーが展開されます。
応龍がツンデレすぎて噴きました(笑)

音声はキャラクターとのマッチングは良く、演技の方も問題なし。
ましろは小さくなったり大きくなったりするのですが、しっかり雰囲気が
出ていていいですね。

音楽は落ち着いたほのぼのとした雰囲気の曲が多め。透明感のある綺麗な
曲が多く、爽やかな雰囲気が漂います。
また、雑踏や後ろで人が話している声なんかが効果音として使われていて、
臨場感があります。……が、聞き取りづらくて何言ってるのかわかりません。

ゲームを開始すると、プロローグの後にオープニングアニメーションが流れます。
歌は爽やかで聴きやすい曲。聴いていてなんだか温かい気持ちになれるような、
穏やかないい歌ですね。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。特筆すべき点はなし。

そして、中盤に差し掛かったところで、中オープニングが流れます。
歌はスピード感があり爽やかで聴き心地のいい歌。こちらは力強さや希望を
感じられるような歌で、なかなかいい感じです。
絵の方はキャラクター紹介・シーン紹介的なもの。……2回もキャラクター
紹介しなくてもいいと思うんですけどね(^^; 若干変わってますが。

エンディングも歌あり。こちらもオープニングと同じく二段構えになっていたり
します。……スタッフロールを2回見せられてもね。

挿入歌もふんだんに使用されます。どのぐらいかというと、ちょっとそのへんを
バイクで走る時にも挿入歌が流れるぐらい(笑)
しかも、ホンのちょっとしか流れない曲もあったりして、ちょっと使いどころが
おかしいというか、もったいない気がします。
システム
インタフェースはややキーボード操作可。メッセージ送りや選択肢決定はキー
ボードで出来ますが、それ以外の操作はほとんどできないようです。
既読スキップ、強制スキップ、バックログ、オートモード搭載。
バックログはマウスのホイール機能に対応しており、音声の再生も可能です。
通常のメッセージ送りもホイールで可能、音声のリピート再生も可能です。

描画はWindow・フルスクリーン両対応。画面サイズは800x600です。
動作はやや重め。描画やテキストの切り替えでもちょっと待たされる感じです。
スキップ動作はそこそこ高速です。

セーブ箇所は100箇所+クイックセーブ1箇所。セーブ/ロードは随時可能です。
セーブデータはセーブ日時の他、シーン画像とシーンタイトル、メッセージの
一部が保存されます。
数としては、それほど選択肢は多くなく、効果も明確なので、これだけあれば
充分かと思います。

システムはオーソドックスな選択肢決定型のアドベンチャー。

ディスクレス起動可。バックグラウンドでの動作も可能です。
主人公の名前は「泉戸裕理(みとゆうり)」固定です。

カーソルの自動追尾が初期値でONなんですが、どうも戻る時の動きがおかしい
気がします。戻り過ぎな感じ?
シナリオ・プレイ感
ゲームは主人公が誤って遺跡を壊してしまうところから始まります。中から
大量の太転依が出てきて街中に散らばってしまう。その長である太転依は自ら
転移体となり人間の身体を得て、主人公と共に太転依たちを鎮め、太転依と
人間が共存できる世界を作ろうとする……という話。

序盤は、太転依であるましろが主人公の元にやってきて、人間として過ごす
ために様々なことを経験していくという展開。ましろは太転依ということで
なかなかみんなには信じてもらえず、気持ちがすれ違ったり、色々と問題が
起こったりと、ドタバタな展開が続きます。

中盤以降は、太転依の中でも三強と呼ばれる強力な太転依たちと戦い、
暴れないようにして、人間と太転依との共存を目指していく展開。
そんな中で、ヒロインとの絆を深めて行きます。

最後はご都合主義満載な終わり方ですが、まあすっきり綺麗に終わってくれる
ので、プレイ後の気分はそこそこ爽快です。

まずプレイしていて気になったのが、キャラクターの描き方。
どのキャラクターも魅力的で、いいところもいっぱいあるのですが、どうにも
そういういい面よりも、負の面ばかりをクローズアップして描いていたような
気がします。
特に序盤では、ほとんどのヒロインに対していい感情を抱けませんでした。
アメリは自分勝手にきゃんきゃん騒ぎ立てますし、美冬は人の話を聞かず決め
つけで糾弾してきますし(これは主人公が悪い気がしますけど)、ましろは大人
しい外見とは裏腹に言うこと結構キツいですし。ゆみなはまだマシですけど、
基本自分に否定的なキャラですし。何よりも、主人公が優柔不断で日和見主義で、
物事がいつもややこしくなっていきます。口べたすぎて、説明がへたくそで、
周りの人もそれに対するフォローが一切なくて、むしろ主人公の言動に文句を
言うだけで、いらいらしました。
ましろのことや太転依のことは忘れろとか言うけど、それによって被害が出る
ことなんて一切考えてないだろ? という感じで。
主人公はおそらく、色々と考えて言葉を選んで喋ろうとして、その結果時間が
かかるうえにおかしなことを言っているように感じます。素直に思ったことを
言っている時は、普通に好感が持てるのですが。
気を遣いすぎていて、ちょっといらいらします。
「ズバズバはっきり言う」とか「思ったことを腹の中に溜めておけない」とか
言われてますけど、全くそうは思えませんでした。

序盤さえ乗り切れば、ちょっとはプレイしやすくなると思いますが、それでも
やっぱり各所に負の面がちらほら見え隠れして、どうにも気分良くプレイする
ことが出来ませんでした。基本的にみんないいキャラなんですけどね……。

あと、アイキャッチで関係図とか太転依の紹介とか出るんですが、表示される
のが一瞬でマトモに読めません。
カットインでデフォルメ絵が表示されたりもするんですが、読み込みで時間が
かかるうえ、表示されるのは一瞬なので、どうにもタイミングを外されて
しっかり見られないことが多々ありました。

H度はやや高め。各ヒロインとも複数回(4回)用意されています。尺の方は
そこそこ。描写は比較的濃いめです。
内容は基本的に純愛系のラブラブHですが、シチュエーションは様々で、
2回戦・3回戦も用意されていたりと、純愛系としてはかなり頑張っていると
思います。

テキストは誤字等はほとんど気にならず、テンポも良く読みやすいテキスト
だと思います。
プレイ時間・難易度
ゲーム期間は不明。2ヶ月程度でしょうか。イベントのあるところだけを
プレイするような感じで、日付の経過はあまり気にする必要はありません。

ワンプレイは10〜12時間。そこそこ長めで、全体の半分以上が個別ルートな
ため、2周目以降はスキップを使ってもかなり長いです。

難易度は低め。基本的に狙ったヒロイン寄りの選択をしていればOKです。
選択肢の数も少ないため、苦労することはないでしょう。
総評
お奨め度ですが、一見ほのぼのした雰囲気の実は結構殺伐とした伝奇物風
純愛ストーリーが好きな人にお奨め。……えらい限定的ですね(^^;

パッと見の雰囲気はとても可愛らしく、ほのぼのした作品に見えるのですが、
目的は三強と戦って従えるものですし、人間関係も絡み合い、猜疑や嫉妬と
いった負の感情で溢れています。

各ヒロインはそれぞれ三強と対になっているため、どのシナリオに進んでも
きっちりみんなストーリーに絡んでくるのですが、基本的にみんな主人公の
助けにはなってくれず、フォローもなしに孤軍奮闘しているイメージが強い
です。

そして何より、どのヒロインも暗い部分、負の感情を持っており、作中で
それがかなりクローズアップするため、プレイしていてあまりいい感じが
しませんでした。せっかくの可愛らしいキャラクターが、嫉妬に狂ったり、
自暴自棄になって暴れたり、そんなシーンは見たくないですよ……。

キャラクターはとても可愛らしいですし、設定はなかなか面白いですが、
展開はご都合主義満載ですし、せっかくのキャラクターも負の部分ばかり
描かれていて感情移入しづらいですし、展開も結構キツいものがあったり、
どうにもちぐはぐな印象が強い作品です。
もっと開き直って、徹底的に萌えゲーにしてしまった方が、まだ良かった
ような気がします……。

可愛ければ多少性格に難があっても気にしないという人は是非どうぞ。

最後に。「八衢(やちまた)」と聞く度に、「やっちまった」と聞こえるのは
私だけではないと信じたい(^^;


ましろは小さい方がいいと思うのは、私だけじゃない……ですよね?(^^;
というか、小さいましろとのHシーンに突入した時は、諸手を挙げて大ブラボー
だったんですが、途中で大きくなっちゃって絶望しました。
大きくなるのは、Hシーンが終わってからでも良かったんじゃないかな……。

あと、蘭ちゃんエンドきぼー(笑)
# せめて名前を教えて下さい(^^;



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